Thu 141002 ムルタバ 若い人々が圧倒的に多い しょんぼりグマ(速攻シンガポール7) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 141002 ムルタバ 若い人々が圧倒的に多い しょんぼりグマ(速攻シンガポール7)

 で(スミマセン、昨日の続きです)、シンガポールのアラブ人街で出会ったばかりのオーサカどんが、猛烈な勢いで「行きましょ」「行きましょ」「行きましょ」とクマどんを引っ張っていったのが、「ムルタバ」の店である。

 「図書館で借りました」というガイドブックをかざしながら、「おかしいな♨」「見つからんな♨」「ここかいな!?」「ここや♡ここや!!」と、ますます盛り上がり、店のヒトの言うことなんかほとんど聞きもせず、グイグイ店の奥まで進んでいく。

 お店のヒトは、一目で「日本人!!」と見抜いたらしい。おとなしい今井君をみて判断したのか、強烈なオーサカどんを見て判断したのか、それはハッキリ分からないが、とにかく困ったような笑顔で「お好み焼きです」と日本語で言ってくれた。アラブ系と言うより、マレー系の人である。

 店内は天井あたりで大きな扇風機がうなっているから、まあ申し訳程度には涼しい。しかし諸君、熱帯の30℃、クーラーなしだとやっぱりツラい。座った途端に汗が噴き出し、シャツは水をかぶったようにクマの肉体に貼りついてくる。

 おそらくオーサカどんも状況は同じなのだが、そこは一切おかまいなし。「シンガポールにきた!!」「アラブ人街にいる!!」「ムルタバの店に入った!!」など、とにかくウルトラ興奮のご様子である。いきなり店の人に5ドル札を1枚大きく掲げ、「キャッシュ」「キャッシュ」と叫びはじめた。

 つまり、「クレジットカードがダメなら、キャッシュで払いたい、5ドルのムルタバがほしい」、そういうことである。店構えをみれば、まあクレジットカードが使えそうにないのは判断できるが、いきなりお札を大きく広げる剣幕は今井君のドギモを抜いた。
ムルタバ
(ムルタバ)

 ガイドブックには「シンガポールはたいへん進歩したクレジット社会。どこでもクレジットカードがつかえます」と説明しているが、うーん、この情報は現実とは全く違うようである。滞在中、カードが使えたのは2回だけ。他ではみんな「クレジットカードは扱ってません」と断られた。

 今井君は生意気なクマなので、日本でも欧米でも必ずテーブルでチェックする。昨日の夕食の店でもテーブルで支払おうとしたが、ウェイターがカードをもって店の奥に消えてしまった。おお、マコトに危険である。

 もちろん悪いことなんかしないだろうが、カードを持って店の奥に消えてしまえば、悪いことをしようとすればいくらでもできる。ウェイターの基本として、カードはあくまでお客の目の前で扱わなきゃいけない。今のところ、シンガポールにはまだまだカード文化は根付いていないようである。

 セブンイレブンでもクレジットは使えない。日本の「ID」とか「Edy」と似た感じのカードはあるらしくて、地元の人がその種のカードを使っている光景も見かける。しかしそれもごく稀であって、クシャクシャにひしゃげたプラスチックのお札で現金払いするのが普通のようである。
ホーカーズ
(安い飲食店街。人いきれと料理の熱でますます暑さがつのる。ニオイも激烈だ)

 セブンイレブンを非常にたくさん見かけるのも、21世紀シンガポールでの驚きである。発見頻度は、日本のコンビニに迫る勢い。どこに行っても例の看板を見かける。他のコンビニは見かけないから、セブンイレブンの独壇場であって、どの店もなかなかの繁盛ぶりである。

 ただし日本のコンビニとは全然違うので、「トイレ使わしてください」なんてのは無理である。「KIOSKの拡大判」という程度であって、水、お菓子、ビール、パン類、身の回りの品、手に入るのはそんなところである。おっと、忘れていたが、タイガーバームも売っている。

 クレジットカードが浸透しないのは、おそらくこの街がまだたいへん若いせいである。地下鉄に乗っていても、街を歩いていても、目につくのは若者ばかり。ジーチャン&バーチャンはもちろん、「中高年」という年齢層の人もあまり見かけない。20歳代と30歳代が圧倒的に多いのである。

 高齢化した日本社会を見慣れたクマどんの目には、たいへん新鮮に映る。そして諸君、若者はやっぱりキャッシュが普通なんじゃないだろうか。クレジットカードを持っても、おそらくその限度額は余り高くしてもらえない。限度額の低いカードじゃ、持っていても心配で使い勝手が悪いだろう。
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(インド人街で。これもまた、十分に暑苦しいですな)

 そういうことを考えながら、猛烈に頑張っているオーサカどんを眺めていたら、いつの間にか注文も決まっていた。オーサカどんは「サーディンのムルタバ」。「サーディンっていうのは、イワシのことですよ!!」と、スゴい剣幕で今井君にたたみかけてくる。

 まあそりゃサーディンはイワシだろうけれども、問題はこちらに相談もなく「ノードリンク!!」「ドリンク、ノー!!」「ノー!!」と断ってしまったことである。こんなに暑い店で辛いお好み焼きを食べるのに、ドリンクなしはツラいだろう。

 オーサカどんによれば、「いつでもドリンクは持ち歩いてます」とのことで、ペットボトルに入れたお水を掲げて見せてくれたが、いやはや、バイタリティーはマコトに素晴らしい。ただし諸君、店の中じゃそのお水は飲めないじゃないか。

 今井君はチキンのムルタバを選び、ちょっと躊躇してからアイスティーを付け加えた。「ドリンクとか、そんなんムダやないか」「ええかっこしいや」「ドリンクはペットボトルで持ち運んだらええやん」と、非難の嵐が吹いてきそうだが、さすがに飲み物ナシでムルタバはキツい。
厳禁
(アルコールは、STRICTLYにNOである)

 運ばれてきたムルタバは、要するに「カレーとお好み焼きのセット」である。お好み焼きのほうは、薄く伸ばした生地に肉とタマネギとタマゴを包んで焼いたもの。サーディンとかチキンとかマトンとかは、カレーのほうに入っている。

 これを昼から完食するのは、なかなか至難の業である。この暑さで「ビールはナシ」☞「アイスティーでガマン」じゃ、今井君には完食は不可能と思われた。何しろここはアラブ人街。アルコールは御法度なので、ビールなんか注文したくてもstrictlyにprohibitedである。

 ホントはこの日のお昼、カニを食べようと思っていた。カニを単独で食べるのは厄介。小さいカニなら単独でも食べきれるが、小さいカニとは要するに「殻ばかり」であって、身なんかちっとも入っていない。カニは重さで値段が決まるから、小さなカニを注文するのは、=「殻にオカネをつかう」であって、バカバカしいもいいところだ。

 「では大きいカニは?」となると、足を広げれば大皿からはみ出すようなカニを注文してみたまえ、半分も食べ残して、お店の人に叱られるのが関の山。叱られないで済んだとしても、「変わったお客さん」「変人」という奇異の目で見られるのは、特に外国ではツラい。
インド
(いよいよ「リトル・インディア」へ)

 いきなり声をかけてくれたオーサカどんを道連れにしたのも、「道連れがいれば大きなカニも大丈夫だろう」「そのためなら、御馳走することになっても構わない」という熱い思いがあったのだ。

 それなのに諸君、今やクマどんのお腹はカレーとお好み焼きでパンパンだ。脂っこい生地のせいで手もベトベト、噴き出す汗でシャツはグショグショ、汗が目玉に流れ込んで、目玉はショボショボ。もうすっかりガッカリして、しょんぼりグマ状態である。

 しかしオーサカどんは「で、どこに行きましょ?」とますます燃え上がっている。サーディンのムルタバもペロリと平らげ、涼しい顔でペットボトルの水を飲みながら歩きはじめた。

 「うーん、ではズラリと屋台の並ぶあたりを通って、リトル・インディアを散策しますか?」と言ってはみたが、しょんぼりグマの頭の中は、食べそこなったカニのことでいっぱいだ。
「あーあ、カニ。カニ、カニ、カニ」
「こんなに満腹しちゃって、胃袋にカニの入る余地はないカニ?」
「カニさんと戯れるチャンスは訪れるカニ?」。
普段なら絶対口にしないつもりの低レベルなダジャレを、口の中でそっと呟いてみた。

1E(Cd) Tommy Flanagan Trio:SEA CHANGES
2E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN⑨
3E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN⑨
6D(DMv) CLIFFHANGER
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