Mon 140929  弥彦山の夕景  越後湯沢の夕闇  魚民ブーム  リスボンに誘われて | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 140929  弥彦山の夕景  越後湯沢の夕闇  魚民ブーム  リスボンに誘われて

 10月19日、新潟発17時半の新幹線に乗れば、東京には19時半に到着する。ぴったり2時間。名古屋よりちょっと遠く、京都よりは近い。居眠りをして旅するにはちょうど良い距離感である。

 ただし、それではホントに居眠りできるかというと、なかなかそうもいかないから新幹線は厄介である。まず今井君はコドモの頃から「電車の車窓が大好き」。稲の刈り取りが済んだ越後平野の秋の夕暮れに、平べったい弥彦山が鎮座している姿を眺めれば、もう「ゆっくり居眠り」なんてのはバカバカしく思えてしまう。

 弥彦神社は、弥彦の山そのものをご神体とする神社で、万葉集にも登場する。「山そのものがご神体」ということになると、奈良の大神神社とおんなじだ。大神と書いて「おおみわ」と読み、おおみわとは大三輪であって、三輪山をご神体とする。

 このタイプの神社には、本来は拝殿だけあって本殿は存在せず、拝殿の向こうのお山や巨岩巨石に向かって拝礼する。もちろん今井君はあまりその辺のことは詳しくないから、チャンとしたことはチャンとしたヒトに尋ねてくれたまえ。

 問題なのは、あくまで「興奮して居眠りができない」という点である。夕焼けの西空に浮かんだ弥彦山の姿にワクワクしてしまった今井君は、夕暮れの長岡、夕闇の越後湯沢、大清水トンネルの向こうに広がる関東平野の夜景と、次々にウットリしつづけて、気がつくと「Maxとき」は埼玉県民のホコリ=大宮に到着してしまっていた。
名古屋すいか
(東京駅にて① 名古屋で味噌カツを満喫するsuica君)

 大宮から先は、これと言ってウットリする対象もないから、居眠りにはもってこいの20分間なのだが、諸君、新幹線の問題点には「人の話し声がウルサイ」というのもある。

 仕事帰りのサラリーマン諸氏がビールにチューハイをグビグビやり続け、酔いが深まるに従って話し声にも遠慮がなくなり、部長や部長代理の批判から、部下や新入社員に関する悪口雑言まで、もうどうにもトメドがつかない。

 かく言う今井君は「Aさん本人のいないところでAさんの悪口雑言」が大キライな聖人君子である。「ちょっとちょっとアナタがた、悪口は聞き苦しいからよしなさい」と、思わず口を出したくなってタマらない。

 この日の悪口雑言は、今井君を前後から挟み撃ちにしたのだった。①通路をはさんで斜め前の女子2名と、②今井君の真後ろの中年男子2名。いやはや、こりゃキツい。大嫌いな悪口雑言が2種類、何の脈略もなく混じりあってクマどんを直撃する。思わず「ガオーッ!!」と唸りそうになるころ、ようやくMaxとき君は東京駅に到着した。
京阪神すいか
(東京駅にて② 京阪神版のsuica君は、たこ焼きを満喫中)

 こういう疲労には、居酒屋でダラしなく2~3時間を過ごすのがベストである。高級お寿司屋とか高級天ぷら屋のカウンターに座って贅沢するのも悪くないが、疲れている時に贅沢をすると、ますます疲労がつのる。安いチェーンの居酒屋で、好き放題に飲み食いした方がいい。

 諸君、2014年秋の今井君には、何と「魚民ブーム」が訪れた。「和民」「笑笑」でもいいが、今はどうしても「魚民」である。東京駅八重洲口に出て徒歩3分、魚民八重洲口店に入ってみた。同じようなチェーンの居酒屋が雑居ビルの全フロアを占拠し、マコトに健康な眺めである。

 「どうして東京駅の真ん前に、昔から『昭和天ぷら粉』と『サロンパス』の大っきな広告がキラキラしてるんだろう。サロンパスはともかく、『東京駅を降りていきなり天ぷら粉が必要になる』という事態が考えられるだろうか」
とたいへん不思議になるが、まあいいじゃないか。
天ぷら粉
(フシギな八重洲の「天ぷら粉」広告)

 ホンの10年前を思い出してみたまえ、あの頃の駅前雑居ビルを占拠していたのは、ほとんど例外なく消費者金融だった。1階から10階まで、ぜーんぶサラ金。テレビのCM枠もサラ金に占領されて、高金利の借金まみれの人も少なくなかった。

 あの駅前が、今では酔っぱらいの明るい笑い声や歌声で満たされ、日曜日だと言うのに、中年のサラリーマンで超満員だ。いいじゃないか、楽しいじゃないか、全く健康じゃないか。

 「これで上司や部下の悪口がなかったら、もっともっと健康な街になれるのに」であって、まあそこだけが不満だけれども、ホッケにサンマに焼き鳥にギョーザ、そういう定番でウーロンハイに日本酒をグビグビやれば、クマさんも「また明日から頑張ろう♨」と、グッと決意を噛みしめるのであった。
魚民
(今のクマどんは「魚民」がブームだ)
 
 この前々々日、今井君は冷たい秋風の吹く夕暮れの渋谷の街に出た。見たい映画があったからで、タイトルは「リスボンに誘われて」。ドイツ映画で、原題は「NIGHT TRAIN TO LISBON」。「夜行列車、リスボン行き」であるが、外国映画の邦題というものは、いつでもこんなふうに余計なイジられ方をする。

 ストーリーその他については、映画の公式HPでどうぞ。スイスの作家&哲学者パスカル・メルシエの小説が原作で、早川書房から浅井晶子氏の翻訳が出ている。原作を読んでもいいが、10月末まで東急Bunkamuraで上映中だから、ヒマな人は是非どうぞ。

 今井君としては、ただ単に「お、リスボン、懐かしいな」というだけで見たくなった。シントラ、コインブラ、スペインのサラマンカなど、映画の中に現れる地名も、すっかり馴染みになった場所ばかりである。

 リスボンをウロウロしていたのは2009年だから、もう5年も前のことである。しかしリスボンは、これまでの数々の旅の中でもマルセイユとともに最も気に入った街の一つである。

 ファドを聞いて真夜中を過ぎてしまい、誰もいない石畳の道を走って帰ったのが印象的。真夜中のリスボンの路面電車ほど物悲しいものには、世界中旅しても滅多にお目にかかれない。諸君、リスボンとマルセイユ、ダマされたと思って是非近いうちに旅してみたまえ。
ホッケ
(魚民のホッケ。サンマも旨い)

 19時からの上映だったからか、観客は多いとは言えない。20人か30人しかいない寂しい状況で、年齢層もかなり高め。40歳代から60歳代、それぞれ「かなり知的」というか、「美術や哲学、音楽や文学に精通していそう」「何にでもヒトコトありそう」「コムズカシそう」といったタイプの人ばかりである。

 確かに、20世紀のポルトガル国内事情、サラザール政権によるレジスタンス弾圧みたいなことを全く知らない人にとっては、かなり取っつきにくい映画ではある。

 ホンの5年前、能天気な今井君はニコニコ陽気に走り回ってきたが、何しろポルトガルというのは「500年間、延々と右肩下がり」という恐ろしい衰退の先輩だ。日本人の想像もつかない根深い問題が、たくさん詰まっているのである。おお、また久しぶりにリスボンの旅をしたくなっちゃったじゃないか。

1E(Cd) Peabo Bryson:UNCONDITIONAL LOVE
2E(Cd) Four Play:FOUR PLAY
3E(Cd) Deni Hines:IMAGINATION
6D(DMv) THE STRAIGHT STORY
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