Fri 140912 台風の夜の居酒屋 オランダ人の疾走 宴の終わり(おらんだ先生訪問記43) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 140912 台風の夜の居酒屋 オランダ人の疾走 宴の終わり(おらんだ先生訪問記43)

 10月5日、台風18号が接近しつつあった東京は朝から激しく雨が降り続いた。今井君んちのご近所のオウチで、ちょうど雨だれの落ちる位置に洗面器みたいなのを逆さに置いてあるらしく、こんな激しい雨降りの日は洗面器をたたく雨だれの音が鳴り響いて、まさに「太鼓連打」のアリサマになる。
 何でそんなところに洗面器なんか置いたのかわからないが、昨日もまた朝から太鼓連打が始まった。こんなに勇ましく疲れを知らない太鼓連打となると、夏祭りのお囃子だってなかなか敵うものではない。
王様たち
(愉快なオーサマご一家)

 クマどんはこの5年来、朝1時間お風呂につかって文学全集を読みふけるのが習慣。1時間も入るとなると、窓を閉め切ったお風呂では肉体ものぼせ上がるし、せっかくの文学全集もヨレヨレになってしまうから、お風呂の窓は必ず大きく開け放つ。
 すると諸君、激しい雨だれのお囃子が、お風呂一杯に鳴り響くのである。間に高い塀が立っているので推測するしかないが、洗面器ダイコの位置は、お風呂の窓から約3メートルである。テンコ♨テコテコ、テテスコ♡テンコ、テンコ♨テコテコ、テテスコ♡テンコ、雨だれ君の熱演による太鼓のライブ演奏が、今井君の読書を妨げること甚だしい。
 もちろん、こんなことでご近所トラブルなんかになったらバカバカしいから、雨の日はお風呂での読書をあきらめるしかない。確かに、「朝8時から窓を開け放って1時間お風呂」という行動を、世間が快く許容してくれるとは思えない。おそらくそこいら中で「忍耐の範囲内」と笑われて終わりである。
ステーキ
(国王の日のステーキ。今見ても、あんまり旨くなさそうだ)

 台風の雨がいよいよ厳しくなってきた夜10時、こんな時間&こんな天候でも「飲みに行かないか」という誘いがかかるのは、それもまた素晴らしいことである。詳細は書かないが、確かに「こんな時間&こんな天候」だからこそ、ゆっくり落ち着いてお酒を楽しめる道理である。
 タクシーで5分ほどの小さな駅前に出て、結局午前2時半まで飲んでいた。台風がますます接近したせいか、昨日の東京は気温15℃程度。それでも寒さに強いクマどんはまだポロシャツ1枚でそこいらを闊歩しているから、世間のヒトビトにはマコトに奇異な生き物に見えるらしい。みんなジロジロ見ていくので、たいへん誇らしい気分である。
 1軒目は、完全にハズレ。「こんな時間&こんな天候」だったはずなのに、静かもシットリもユッタリもあったものではない。どこかの劇団のウチアゲが進行中で、10秒に1回の大喝采、15秒に1回の大爆笑、30秒に1回の罵声が飛び、その隣の席でお酒なんてのは、朝の山手線の中で飲み会をはじめるのと同じぐらい困難を極める。
 仕方がないので、同じビルの中の別のフロアに移動。すると諸君、完全な別世界、別天地、地獄から天国に救いあげられたような気分である。というか、「他にお客はいるの?」と心配になるほどであった。
とうきび
(こんなサイドディッシュもあり)

 もちろん、下も上もごく安いチェーンの飲み屋なので、酒や料理の味には全く変化はない。それどころか、「もしかして厨房も同じ?」と首を傾げるほどそっくりなのだが、昨夜の今井君は何よりも静寂を求めていた。求めていた静寂が手に入ってしまうと
「12時半で帰ろう。それならまだ電車も動いている」
☞「せっかくだ、1時までいいだろう」
☞「1時半にタクシーを呼んでもらおう」
と、どんどん際限がなくなった。結局、「すいません、タクシーを呼んでください」とお店の人にお願いしたのは、午前2時半を過ぎていた。
 すると、さっきから丁寧に応対してくれていた男子店員さんが「もしかして今井先生ですか?」「むかし受講していて、第1志望に合格できました」と話しかけてくれた。「おお、よかった&よかった」と、何だかもじゃもじゃやっているうちに、オウチに帰り着いたのは3時近かった。
完食
(今井君はトウモロコシを食べる天才である)

 さて、4月26日のオランダであるが、こちらもまたズンドコ宴は際限なく続きそうな勢いであった。しかし諸君、宴が終わるキッカケは思いもかけず「尿意の氾濫」。いくら威勢よく老若男女が歌い踊り続けても、厳しい尿意の嵐には屈強な身長2メートル軍団でも抵抗は難しい。
 ズンドコ船隊は次々と運河の岸に接岸し、男も女も、老いも若きも、欲望のはけ口を求めて疾走する。クマ君は一足先にホテルに引き上げ、疾走するオランダ軍団の様子をホテル最上階のお部屋から高みの見物で眺めていたのだが、いやはや、世界新記録が出ても全くおかしくないぐらいの強烈な疾走ぶりはさすがである。
 やがて運河には、カラッポになったズンドコ船が寂しく浮かぶ姿が増えてきた。欲望のはけ口を発見してしまった以上、「もう船には戻らない」という選択肢を選んだ人が圧倒的に多かったらしい。
 乗り捨てられたズンドコ船には、カラのビール瓶、カラのビール缶、オレンジ色の布の切れ端が散乱し、やがて宴の後の寂寥感が街を包みこんだ。時計は午後5時。意外なほど早く宴の終わりが訪れたのである。
今日の猫
(ステーキ屋のネコ君)

 寂しくなったクマどんは、「余韻だけでも楽しみに行こう」と決意。再びホテルの部屋を出て、南のライ駅のほうまで散歩してみた。しかしライ駅前広場もまた、ゴミと空き瓶&空き缶が果てしなく散乱するのみ。あんなにズンドコしていたのに、潮が引くようにヒトビトは去ったのである。
 仕方あるまい。今井君だけは宴を続けることにして、近くのステーキ屋に飛び込んだ。オープンカフェの形式で、外のテーブルでステーキを貪るという趣向であるが、うーん、この選択は失敗である。今日2枚目の写真を見てもわかるはずだが、今回のアムステルダム滞在で唯一の「失敗ステーキ」になってしまった。
 ただし、ステーキぐらい失敗したって、別に構わない。サイドディッシュで注文したトウモロコシは文句なく旨かったし、暢気そうにアクビしながら出てきたネコどんとの出会いも秀逸だった。メシで失敗したぐらいで不平タラタラなんてのは、諸君、クダランのであるよ。

1E(Cd) Akiko Suwanai:SOUVENIR
2E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK, JANÁĈEK, and BRAHMS
3E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
4E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
5E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
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