Sun 140817 白鷺三味線 ヴァカ 街がオレンジ色 アンネの家(おらんだサトン事件帖29) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 140817 白鷺三味線 ヴァカ 街がオレンジ色 アンネの家(おらんだサトン事件帖29)

 アムステルダムの公園を散歩中、夢のように大きなアオサギ君と遭遇した件については、8月30日の記事に書いた(Wed 140806 おらんだサトン事件帖18参照)。空から眺めるオランダは一面水びたしであるし、陸に上がってクマがノシノシ闊歩しても、運河にお堀に牧場に、どこまで行っても水との縁が切れない。
 こういう国だから、水鳥との付きあいも日本にいる時よりずっと濃厚になる。池にも沼にも無数のカモが浮かんでいるし、黒い身体に顔だけ白い「カオジロ」☞正式名称オオバンも、カモに混じって子育て中だ。4月、水鳥たちにとって春の盛りは、子育てに夢中になれる素晴らしい季節である。
 日本でもそうだが、アオサギよりずっと数の多いのがシラサギたちである。ニャゴロワみたいな真っ白い羽毛を春の太陽にキラキラ輝かせ、例の意地悪そうな目つきでジッと小魚や虫を探している姿は、マコトに微笑ましい脱力系であって、コドモの頃から大好きである。
街並み
(オランダは水の国。地盤も悪い。気のせいか家々が傾いているように見える)

 むかしむかし大昔、まだ今井君がこの世に誕生する前の日本に、「高田浩吉」という名の歌手兼役者が存在した。彼の歌ったウルトラ脱力系「白鷺三味線」は、タモリ先生も大好き。30年前のオールナイトニッポンで取りあげられ、番組内に白鷺三味線コーナーが作られたりもした。

 (1)白鷺は 小首かしげて水の中
    ワタシとおまえは エー
    そーれそれそれ そじゃないか
    アア チイチク パアチク 深い仲
 (2)白鷺の 羽も濡れます恋ゆえに
    吉原タンボの エー
    そーれそれそれ そじゃないか
    アア チイチク パアチク 春の雨

 作詞:西条八十、作曲:上原げんと。恐るべし、今井君は今でもカラオケでこれを歌うことができる。しかしブログにクマの歌声を掲載するわけにはいかないから、諸君、まあYouTubeでホンモノの歌を聞いてくんなまし。昭和日本がどれほど脱力系の天下だったか、こんなによく理解できる教材はありえない。
西教会
(アムステルダム西教会。地盤の悪いアムステルダムでは、これ以上高い塔は建てられない)

 高田浩吉には、他に「大江戸出世小唄」なんてのもあった。「器量よいとてうぬぼれな。どうせ一度は散る花よ。ええ 風が吹く。ああ 風が吹く」。うん、こりゃまたいいね。作詞:藤田まさと、作曲:杵屋正一郎。これもYouTubeでどうぞ。
 こうなると諸君、ついでに口ずさみたくなるのが「都はるみ」というヒトの「はるみの三度笠」である。作詞・作曲とも、市川昭介。諸君、これもまたまたYouTubeのお世話になるしかないが、
   「あいつは女だ 男じゃない」と
   バレてしまえば 私の負けさ 
   笠で隠した十九のツボミ
   おっとっとっと いけないよ
   おっとっとっと いけないよ
   見ないでおくれよ お月さん
La VACA
(第3のステーキ屋「VACA」と出会った。このステーキ屋に4回も入り浸ることになる)

 さてアムステルダムのクマ君は、白鷺どんのマネをして小首を傾げながら運河の水を渡り歩いた。翌日からスケジュールがグッと緊迫してくるから、とりあえず今日はこのまま1日アムステルダム市内をブラつき、心身ともにリラックスしておいたほうがいい。
 あと、たっぷりメシを食って腹ごしらえも重要。腹が減ってはイクサが出来ないらしい。今井君の人生は脱力系の最たるものだから、「イクサ」などという切羽詰まった行動に全く興味がもてないが、旅もまた、腹が減った状態では長続きしない。地元の路線バスを乗り継ぐのに「おっととっと」「おっととっと」という千鳥足じゃマズいだろう。
 旅の前半は街の東部を中心に散策したから、西側はいまだに空白の状態。さすがにアムステルダムは人口230万の大都市であって、たかだか1週間かそこら滞在していても、まだホンの一部を見たにすぎない。
 ライツェ広場近くのカフェ「ルクセンブルグ」でオランダビール・グロールシュを注文し、改めて街を見渡すと、オレンジ色の服を着たヒトビトがそろそろ目立ちはじめたことに気づく。
オレンジ色
(雑貨店の前にも、オレンジ色の服が目立ちはじめた)

 3日後に迫った「国王の日」には、国民の多くがオレンジ色の服を着込んで、国全体が「無礼講」になる。どのぐらいの無礼講かはその日の記事に譲るとするが、サッカーW杯直後の渋谷の街ですら、その激しい無礼講から見ればまだ「ホンモノの無礼講」とは呼べないレベルなのである。
 街にオレンジ色の服がチラホラしはじめたのは、超ウルトラ無礼講への予告であり、雰囲気の静かな高まりである。平和と国際法を尊重して生きてきたチーズと風車と自転車の国の国民が、どれほど激しいエネルギーを秘めているか、国王の日についての記事を楽しみに待っていてほしい。
 さて、ライツェ広場の近くで発見したのがアルゼンチンステーキの店「バカ」である。Vは英語でもスペイン語でも「ヴ」であって、「ヴァカ」と書いておかないとイヤミな人に「バカ」と批判されかねないが、中南米スペイン語ならBとVを区別しないで発音するらしいから、VACAはバカで構わない。ヴァカをバカと書いても、いちいちバカにされるには当たらないのだ。
 で、この日の夕食はVACAと書いてバカ、このいかにもB級に見える気楽な店で、B級のステーキを貪りまくることに決めた。「すぐランチ」でもいいが、繰り返している通り今井君は1日1食の空腹感が大好き。ディナーの時間までもう少し散策を続けて、次第につのる空腹感を満喫することにした。
アンネ
(西教会の近くに「アンネの家」がある。すぐそばにアンネの像も立っている)

 ここから運河沿いにさらに深く西側に入っていくと、「西教会」の高い塔が見える。何しろアムステルダムは海の中に泥を積み上げて作った街である。ヴェネツィアほどではないにしても、やっぱり地盤は軟弱だ。気のせいかそこいら中のオウチが傾いているように見える。なかなか高い塔は建てられない。西教会の塔は、これでもアムステルダム随一の高さなのだそうだ。
 その塔のすぐそばに「アンネ・フランクの家」がある。フランクフルトに住んでいたアンネ一家は、ゲシュタポの手を逃れてアムステルダムに移住。ついに捕らえられて悲劇への道をたどるが、その前の2年間をここに隠れて住んだ。アンネが日記を書き続けたのがこの家である。

1E(Cd) Bobby Coldwell:AUGUST MOON
2E(Cd) Bobby Coldwell:CARRY ON
3E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
4E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
5E(Cd) Joe Sample:RAINBOW SEEKER
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