Wed 140702 インチキ禁止 朝4時のボルテージ 徹夜しない理由 感謝と感動と感激 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 140702 インチキ禁止 朝4時のボルテージ 徹夜しない理由 感謝と感動と感激

 人類の歴史上マレに見るシャイなクマである今井君は、どうしても生徒たちとデレデレじゃれあうのを好きになれないので、こういう合宿の場でも最初から最後まで、NHKアナウンサーも顔負けの丁寧語で通す。

「いいかぁー、ええっとなあー、オマエたちはさぁー」
「よく聞けぇー、なあー、いいかー、うーん」
「オメエらと一緒に5日過ごせて、オレはよぉ、ホントホーント嬉しかったんだぁ」
みたいなデレデレな態度を今井君に求めても、そりゃ海でオサルを探し、山でサンマやイワシを要求するのと同じことである。

 その代わりボクチンは、与えられたテキストを使って教えられることは1つ残らず、懇切丁寧に詳述することに最大限の努力を惜しまない。教室内で生徒たちは飲食禁止だが、講師のほうはインチキ禁止。おお、インショクとインチキを引っ掛けたオヤジギャグ、ますます今井君は冴えわたっていく。
DOGU
(土偶のTシャツ)

 勢いに引きずられるタイプの授業を求めている人は「何でこんなにヨソヨソしいの?」と不思議に感じるかもしれないが、授業というものは落ち着いて冷静に受講するのが理想なのである。

 授業時間の真っ最中に生徒がボンボン燃え上がっているのがいいと思うのは、マスメディアのヒトビトの誤解。というか、ペラいTVドラマじゃあるまいし、「英語でエアロビ」「ビートルズ熱唱」「ヒップホップでダンス」とか、「英語なんかカンタンだ!! 歌っているうちに身につくぞ」と絶叫するとか、そういうことをやっていれば、生徒はあっという間にドンビキになる。

 生徒たちの偽らざる実感は、
「英語はマジで奥が深い。だから面白いし、やりがいがある」
「いくらやってもその先がある、だからどんどん進みたい」
「『ボクについてこい、1週間で身につくぞ』とか、そんなバカバカしいことを言ってほしくない」

 「文法なんか必要ない」「単語なんか覚えなくていい」「踊っているうちに自然に身につくぞ」「悪いのは受験英語だ」、そんなのは、30年も前の時代錯誤。時代遅れの発想にしがみつき、そんな姿勢で番組をつくっているから、テレビの視聴率はどんどん低下していくのだ。

 学園ドラマを制作するなら、ディレクターや脚本家から現場のスタッフまで、ぜひ一度われわれの合宿を見学していただきたい。「歌って踊れば、使える英語がマホウのように身につくんだ」などというペラい発想の生徒は、ここには1人もいないことに気がついてほしい。

 彼ら彼女らははるかに硬派であって、TVの世界の20年も30年も先に行っている。単語も硬派にガツガツ記憶するし、文法をイヤがることもない。むしろ文法を楽しむスベを熟知していて、文法をオモチャのようにつかって遊びながら、硬派な英語運用能力を鍛えるのである。
音読1
(食事の席でも音読する)

 合宿4日目から5日目にかけて、90分授業を3つ、確認テスト類も4回。西海岸のハードなサーファーよろしく、全てを軽々と乗り越えて、やがて日付がかわり、ついに合宿最終日に入る。4日目の朝6時に起床して以来、すでに18時間が経過。18時間の全てを学習に費やしてきた。

 しかし、ここからが本番。100人全員がそれを熟知している。残り4時間、朝4時の就寝時間まで、徹底的に音読し、徹底的に文法と戯れ、心の底から長文読解をエンジョイする。この時の彼ら彼女らの様子をドラマにできないようでは、申し訳ないが脚本家としてまだ3流の域を出ない。

 午前3時半、今井君はお部屋からノコノコ教室に向かう。いやはや、教室はもうたいへんなことになっている。100人の音読のボルテージは最高潮になり、立って歩きながら音読する者、椅子の上に起立して音読する者、友人どうし励ましあいながら音読を続ける者など、迷いは全く感じない。

 ホントは、3時半にちょっと教室の様子を覗きにいったら、すぐに部屋に帰って寝ちゃおうと考えていたのだ。ところが諸君、この迫力に一瞬でも触れてしまうと、誰だって「最後まで見届けたい」と思ってしまう。3時45分が過ぎ、3時55分も過ぎ、ますます音読のボルテージが上がって、とうとう4時が来た。
満点
(50点満点が続出。クラス平均48を超えたりする)

 10年昔の合宿では、このまま朝7時まで完全徹夜をする生徒が多かった。次第に明るくなっていく窓から、まず湖の穏やかな光が見え、「曇りがちかな」と思っていた空が実は快晴であることが分かり、やがて快晴の空をバックに富士山の雄大な姿が浮かびだしてくる。午前5時過ぎの富士に気づいて、教室から歓声が上がったりしたものだった。

 この時間帯からあえて教室を出て、宿舎のすぐ前の湖岸まで全員で出かけるクラスもあった。あくまで昔の話であるが、朝の湖に向かって絶叫するように音読の声をぶつけるのである。少なくとも、爽快であることだけは間違いなかった。

 しかし諸君、そういうのはどうも勘違いなんじゃないか。日常的に継続することのできない努力を、その場の勢いに任せてやってみても、思い出にはなっても実力にはつながらない。「楽しかったね」「スゴかったね」と頷きあうだけで力がつくなら、誰も苦労なんかしないのである。

 そこで、あくまで冷静に「日々の努力の継続」を考え、合宿で取り組んできた努力を日常につなげる面を重視すれば、「完全徹夜みたいな激烈すぎることは慎む」という姿勢になる。勢いに引きずられて体調管理を忘れるなどというのは幼稚すぎるのであって、オトナなら「Try get some sleep」を忘れてはならない。
音読2
(真夜中の音読シーン)

 合宿最終日でも午前4時には全員就寝という方針になったのは、3~4年前のことである。実際、「7時まで起きていた」などと言っても、5時以降は多くの生徒が睡魔クンと戦っているだけであって、テキストは開いているが、それを茫然と眺めているだけという生徒がほとんど。睡魔クンの勝利は誰が見ても明らかだったのだ。

 4時就寝には、最初のうちは反発もあった。「たった2~3時間寝るより、完全徹夜したほうがマシだ」「どうしても7時までやり遂げたかった」と、口を尖らせる生徒もいた。しかし今では、反発は消えた。生徒たちはマコトに素直に音読をやめ、粛粛と寝室に戻っていく。

 前夜11時の段階で、今井君からも一応「朝7時までの8時間分を、4時までの5時間で集中してやってしまいなさい」と指示をする。おお、巧みである。「8時間分を5時間で♨」ということになれば、よほどの集中力を発揮しなければならない。3時半のボルテージは、その集中力のタマモノである。
クラス閉講式
(涙♡涙のクラス閉講式)

 午前8時45分、修了判定テスト。Macどんは「終了藩邸」。幕府にお取り潰しにされた外様大名みたいな変換をして遊んでいるが、生徒たちにはそんな余裕はない。テキストに載っていなかった長文読解問題も出題される。それでも満点近い生徒が大量に出て、教室はまたまた盛り上がる。

 10時、クラス閉講式。表彰式☞今井君の短い挨拶の後、若いスタッフ諸君1人1人の挨拶になる。読者も予想がつくだろうが、これがいつでも「涙♡涙」の渦になる。まずスタッフが感極まって泣き出してしまい、それに反応して生徒たちのすすり泣きが始まる。

 この状況で、閉講式が長くなりすぎることがある。まあ仕方がないだろう。これだけ厳しい合宿を5日間も耐えぬいた直後、20歳前後の若者たちがそれぞれの感謝と感激と感動を語り始めたら、そりゃ止まらなくなって当たり前だ。

 しかし思わず閉講式が1時間半にもなると、①まず全体の進行に迷惑がかかり、②時間を無駄遣いしているキライも出てくる。このあとランチもあって、みんなバスで地元に戻らなきゃいけないし、終わったことへの感激をいつまでも語りあっているより、早く次のステップに進むべきである。

 だから、この場面での今井君はマコトに素っ気ない。「最後にもうヒトコト」と求められても、「そんなことより、どんどん次に行きましょう。どんどん♨どんどん」と告げて、そそくさとその場を立ち去ることにしている。

1E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 2/6
2E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 3/6
3E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 4/6
6D(DMv) TRISTAN + ISOLDE
total m12 y1132 d14062