Tue 140701 合宿の日々 挑み戦う 音読総量18000行の迫力 ラスト19時間に突入 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 140701 合宿の日々 挑み戦う 音読総量18000行の迫力 ラスト19時間に突入

 毎年毎年の定点観測を続けて、気がついてみたら目の前の生徒たちの英語力が大きく向上している(スミマセン、昨日の続きです)。それはもちろん嬉しいに違いないが、「講師の心構えのほうがなかなか追いつかない」というのが実情である。

 ベテラン講師になればなるほど、「生徒の学力はこのぐらい」というガンコな思い込みを消すのはたいへんだ。「あれも分からないだろう」「これも迷うだろう」と、余計な親切心を捨てることができない。

 1問1問解説するごとに、どうしても懇切丁寧に「微に入り細を穿って」という感じの説明を始めてしまう。すると解説が異様に詳しくなって、なかなか前に進まなくなる。予備校によくある「詳しくてよかったけど、テキストが半分しか終わらなかったよ」というヤツである。

 ダラしない講師だと、終講日に「プリント集」を配布し、「授業で扱えなかった分はプリントを読んでおけ!!」「量より質が大切だ!!」と言い訳の絶叫でゴマかしてしまう。

 生徒にとってこれほど迷惑なことはないのだが、「講師のファン」を自称する生徒は講師に負けず劣らずダラしないから、プリント集を抱えて顔を紅潮させ、マコトに嬉しそうに家路につく。プリント集には膨大な「付録」なんてのもついていて、得した気分をますます盛り上げる。

 しかし諸君、今井君は同じ「ベテラン」の仲間であっても、そのへんを凌駕したベテラン♨、というか、そのレベルはとっくの昔に卒業したウルトラ♡ベテランの領域に属している。

 解説したいことがあっても、チャンと我慢して時間内に収める。制限時間の中に収まらない話まで無理やり押し込むと、生徒のアタマとお腹が破裂しかねない。というか、与えた教材が最後まで終わらなければ、どう言い訳しようと「講師失格」ということになってしまう。
BAD TORO
(合宿Tシャツ第2弾は「BAD TORO」。2009年バルセロナで購入)

 今年の合宿テキストは、生徒諸君の学力向上を考えてグッと難易度が上がった。量の面でもググッと増えたし、質の点でもググググッと高度になった。

 昨年までの90分は、ディクテーション5問+文法問題20問+長文読解1問。今年のテキストは、ディクテーション5問+文法問題25問+長文読解1問。「何だ、大して変わらないじゃないか」と思うだろうが、昨年までの長文読解は25行程度、今年は35行レベル。設問数も1.5倍になった。

 しかも諸君、「予習不要」「授業時間内に問題を解く時間も含む」という形式である。講師が説明にあてられる時間は、ギューギューに絞られる。生徒が文法問題を解くのに8分ほど、長文読解問題に12分ほど。解かせているだけで20分かかるから、解説時間は70分にも満たない。

 この70分に、今井君は説明できる全てを効率的に盛り込むのである。講師の予習が念入りでないと、バランスが崩れて解説が散漫になる。テキストをチャンと終われない危険性とか、「あーあ、あれもこれも解説できなかったな」という後悔とか、そういう不快なモチャモチャやワチャワチャが、お風呂の湯垢みたいにいろいろ浮遊することになる。
富士山
(富士に笠雲がかかった。「風が強くなる」の予兆である)

 長文読解問題は、文章それ自体の中身も設問の難易度も、ホントにグググググッと難しくなった。語彙の点でも構文の点でも、読み取らなければならない内容の面でも同様に、センター6番を少し超えるレベルの問題がズラリと並んだようである。

 これを生徒が12分で読み☞解き、講師は30分前後のスピードで解説する。今井君ほどの超ベテランでも、口から火を吹き、全身から猛烈な湯気が噴き出すぐらいの迫力でなければ追いつかない。

 ホントなら、大昔の駿台の鈴木長十師や奥井潔師のような悠然とした授業をしたいのだが、これも時代の流れで「スピード!!」「スピード!!」「何が何でもスピード!!」「時間との勝負!!」と囃し立てられるのだから、どうにも致し方ない。

 感心なのは生徒たちであって、これほど濃密&濃厚に詰め込んだ90分に、見事に適応するのである。さすがにハイレベル1組に入った100名だけあって、ディクテーション☞文法☞長文読解の順番で次から次へと突きつけられる英語の嵐に、余裕で対応してくるのである。体力も精神力もホントに大したものである。
表紙
(ハイレベルクラスのテキスト。ググっと難しくなって、やりがいタップリだ)

 授業が終われば、講師はお部屋に戻ってノウノウとしていられる。クーラーのよく効いたお部屋で、まずゆっくりとお風呂につかり、余裕があればお相撲を観戦したりもできる。豪風のワチャワチャ相撲でも横綱&大関を破り、余裕で勝ち越せる不思議にふとアタマを傾げ、ますます豪風のファンになる。

 しかしその間も生徒諸君は「個別学習」「確認テスト」「音読」の連続に耐えていかなければならない。「確認テスト」は、たったいま受講したばかりの授業について、約60分後に行われる。

 問題のレベルは決して低くないので、クマどんが見る限り「8割も得点できれば上出来じゃないか」と思うのだが、諸君、毎回毎回クラス平均は驚くべき数値をたたきだす。9割どころか、97%~99%の正解率なのである。約100人のクラスで「平均97%、満点取得者60人超」などと言われると、あんまり嬉しくて思わず立ちすくむほどである。

 しかしそれでもまだ彼ら彼女らは満足しない。何しろ「挑戦めえ」であり、「挑め」「戦え」(昨日の写真参照)である。確認テストの段階では、どうしても文法部分や単語の学習に偏りがち。35行もある充実した文章を読んだのに、そちらのほうの音読は5回がせいぜいだ。
テキスト
(長文読解問題の1例。こういうのを14問解説する)

 ここでスタッフが叱咤激励する。「スタッフ」と言ったって平均年齢25歳にも満たない。生徒たちと年齢的にきわめて近い諸君である。「確認テスト」3回分をまとめて、夕方の時間帯に「まとめテスト」が実施されるから、「まだここで安心していてはいけない、まとめテストに向けて今の講をもう1回勉強し直そう」ということになる。

 ただし、「叱咤激励」と言っても、こういう世界にありがちな無用な悪口雑言は禁止。昭和の社会人研修なんかで山の宿舎にカンヅメにされると、どういう資格なのか分からないコワそうなインストラクターが出てきて「悪口雑言のための悪口雑言」を撒き散らし、エンディングの感激を盛り上げるためだけに無理難題を押しつけたものだった。昭和日本ではそういうのを「研修」の名で呼んでいたが、どうも今井君は、そういうのは野蛮で無意味なのはキライである。
確認テスト
(確認テスト中。この集中力が頼もしい)

 だから、スタッフの叱咤激励とは、まず今やるべきことを明確に指示し、その優先順位をハッキリと告げて、「やれ!!」または「やりなさい!!」と穏やかに言うだけのことである。すると諸君、驚くなかれ、100人の生徒たちは1秒もかからずに集中し直し、直ちに読解問題の音読を始める。

 目標は、音読回数30回。ディクテーションと文法問題の例文が1行ぐらいずつ25。長文読解問題が毎回35行。1レッスンで計60行であるが、これを10レッスン繰り返す。のべ600行。これを30回ずつ音読するとすれば、10レッスンでのべ18000行。この圧倒的な音読量を、4泊5日でこなすのである。

 第4日の朝9時、「生徒たちは疲れ果てているだろうな」と思いつつ教室代わりの宴会場を目指す。ところがむしろ、生徒諸君はスタッフとともにますます盛り上がっていて、「今夜の最終学習」に熱く燃え上がっている。

 ここからラストまで、90分授業が3つ、確認テストが3回、まとめテストが1回。食事の場でも音読を続け、一気に朝4時まで駆け抜ける。1人の脱落者も出さずに、朝9時から翌朝4時までの19時間を集中し続けるのであるが、その模様については明日の記事で詳細を書くことにしたい。

1E(Cd) Casals:BACH/6 SUITEN FÜR VIOLONCELLO 1/2
2E(Cd) Casals:BACH/6 SUITEN FÜR VIOLONCELLO 2/2
3E(Cd) Preston:BACH/ORGELWERKE 1/6
6D(DMv) THE PASSENGERS
total m6 y1126 d14056