Fri 140502 スミマセン、また身辺雑記です オペラを観にいく 復習派 ウーロン茶割8杯 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 140502 スミマセン、また身辺雑記です オペラを観にいく 復習派 ウーロン茶割8杯

 5月25日、首都圏でも気温は30℃近くまで上がったが、今井クマ蔵は暑さにめげることなく、西新宿というか初台というか、久しぶりの新国立劇場までオペラを観に出かけた。
 今井君のオウチから、オペラシティはすぐそばである。徒歩でも20分程度。夏の日差しがちょっとキツかったが、爽快な風が吹き渡っていて、ちょっと早足で歩いても、「汗まみれ」というような不快なことにはならなかった。
にゃご
(椅子にからんだニャゴロワ)

 オペラは、リヒャルト・シュトラウスの「アラベッラ」。台本はホーフマンスタール、1930年代前半の作品である。ま、ストーリーについては、後でグーグル先生にでも質問してくれたまえ。ハッキリ言って、ストーリーは○○○なかった。
 空欄○○○のところには、それぞれ平仮名1文字を入れて、諸君のほうで完成していただきたい。「つまら」でもいいし、「わらえ」でもいいし、「くだら」でもいい。
 しかしそれは今井君の発言ではない。読者諸君がその選択肢を択んだのであって、クマ蔵は一切の責任を回避できるはずである。だって諸君、別に「かゆく」「いたく」「あまく」「えろく」「そそら」「たまら」などの可能性を排除してはいないのだ。
なでしこ
(箱にはまったナデシコ)

 前回オペラシティで観たのは「オテロ」。ハンカチ1枚の行方をめぐって、勇猛果敢な名将がバカげた嫉妬をつのらせ、ついには妻を殺害して破滅に陥る。それも諸君、「イチゴのハンカチーフ」である。シェイクスピアは好きだが、「イチゴのハンカチーフ」となると、やっぱり○○○ない。
 「アラベッラ」のストーリーが○○○ない原因は、専ら台本のほうにある。芝居の冒頭、主人公アラベッラの妹が男性の姿で現れた段階で、ちょっとオペラを観慣れた観客なら、みんなシカケを見抜いてしまう。
 しかも芝居の中心に据えられているのは、ここでもまた男の嫉妬。さすがにイチゴのハンカチーフも木綿のハンカチーフも太田裕美どんも登場しないが、アラベッラで鍵になるのは「部屋のキー」。「そんなことでそこまで嫉妬するもんかね?」と、ほとんど呆気にとられるほどである。
 最後になって、登場人物の一人が「何というどんでん返し」「何と予期せぬ結末」と頭をかかえるけれども、こんなに分かりやすいシカケしか工夫できなかったクセに、作者自身が「何というどんでん返し」というセリフを書いたんじゃ、観客がシラケるのも仕方がない。
チケット
(新国立劇場「アラベッラ」チケット)

 しかも悪いことに、日本のオペラファンはマコトにマジメだから、みんな事前にストーリーを予習してきている。昔なら「オペラ案内」みたいな本で、今はグーグル先生で、みんながみんな詳細に予習済みなのだ。
 ズデンコという名の男子のはずが、実はズデンカという女子であっても、だから誰も驚かないし、予習した通りであることに納得して、フムフム頷くだけである。
 旅と同じで、予習を完璧にしてしまうと、芝居もオペラも確認作業に終わりやすい。それじゃつまらないと思うのだが、なにしろ中高生のころから「予習が大切」「予習が全て」と言われて育った国民だ。これもまた致し方ないのかもしれない。
 マジメに予習して、予習内容を確認して、万が一予習内容と異なった展開になると腹を立てる。旅も授業も芝居もオペラも、驚きや予想外のスリルを排除して、自分で全てをつまらなくしてしまう。だから今井君は復習派。恥を承知でビックリして回り、後からニタニタ復習すると「2度おいしい」というお得感を満喫できる。
オブジェ1
(オペラシティのフシギなオブジェ)

 ま、いいか。さすがにリチャルト・シュトラウスだから、ストーリーやツマラン男の嫉妬はそっちのけで、音楽に集中していればそれでいいのだ。
 第2幕で、「ミッリ」という名の派手な歌姫が登場。舞台はこの歌姫というかコンパニオンというか、フシギな女の登場で、いきなり豊かに乱れたフェリーニ的祝祭の場に変わる。
 第3幕でも、特にセリフもなければ歌い踊る場面のないのに、取り巻きを引き連れて「どんでん返し」の場面にミッリが登場。彼女の存在一つで、予習内容から外れてワクワクするスリルが味わえるのは、これはなかなかの演出の妙である。
オブジェ2
(オペラシティ、オブジェとともに。この閑散ぶりが心配だ)

 終演後、新国立劇場のお隣、オペラシティ53階「北海道」に入る。高層ビルの最上階なのに、何の変哲もない居酒屋である。しかも、休日のオフィスビルだから、お店のヒトが可哀そうになるぐらいのウルトラ・ガラガラであった。
 昔は同じ53階の「旭寿司本店」が好きでよく通ったものだが、あのころに比べると、このビルはずいぶんヒトが減ってしまった気がする。それこそ「どげんかせんといかん」であるが、かつてその名言を吐いた人物も、そろそろどげんかせんといかんような気がする。
 飲んだのは、ひたすら「ウーロン茶割り」。何度も書く通り、夏のスケジュールを見る限り、しばらくは強い酒を我慢して、体調管理に努めなければならない。ワインや日本酒も当分の間は禁止。「ホントにお酒が入ってるの?」と、店のヒトに真顔で質問したくなるほど薄いお茶割りで通すことにする。
 ただし、そんなことを言って威張っているわけにもいかない。だって諸君、そのウーロン茶割り、今井君は1時間半で8杯も飲み干してしまった。それも小さいグラスではない。ビールの中ジョッキと同じ大きさのジョッキで8杯、豪快に飲み干したのである。これじゃ、何にもなりませんな。

1E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
2E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
3E(Cd) Holliger:BACH/3 OBOENKONZERTE
6E(Pl) 2013/14シーズン:アラベッラ:新国立劇場オペラパレス
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