Thu 140417 久しぶりに身辺雑記 池袋で芝居を観る 竹本住大夫 写真は昨日の続きです | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 140417 久しぶりに身辺雑記 池袋で芝居を観る 竹本住大夫 写真は昨日の続きです

 5月10日金曜日、世の中からはもうゴールデンウィークの甘い記憶は遠ざかり、やっと訪れようとしている新しい当たり前の週末を目いっぱい楽しもうとするヒトビトで、東京の街はどこもかしこもごった返していた。今井君も夕方から池袋に出かけ、久方ぶりのサンシャイン劇場で、久方ぶりにお芝居を観てくることにした。
 池袋は久しぶりである。10年前まで代ゼミ池袋校に1週間に1度だけ出講していたし、駿台時代にも同じように週1で池袋に行っていた。それどころか、秋田から東京に出てきて最初に生活した街が西武池袋線の石神井公園。池袋は馴染みのある街なのだが、この10年間すっかり疎遠になった。
 疎遠にしているうちに、街の雰囲気もずいぶん変わった。金曜の夕方ということもあるのだろうが、ヒトビトの動きが昔よりもワイルドである。すっごく活力が満ちている感じ。イスタンブールのイスティクラール通りとか、サンパウロの市場周辺とソックリの、湧き上がるようなアジアのエネルギーの横溢を感じる。
日本切手
(コドモのころ、夢中で集めた使用済み普通切手。昨日の記事で触れたホタルイカの35円、弥勒菩薩50円など)

 そういう夕暮れの人々をかき分けて進むうちに、クマ蔵は何だか「こりゃ何かムサボリ食うしかないな」と実感した。6月の授業収録を控えて、現在はダイエット中。オランダの旅の2週間、またまた暴飲暴食をして5kgも太っちゃったから、大切な授業収録が始まる前に、キチンと肉体を元に戻しておかなきゃいかん。
 「何を収録するの?」であるが、「D組」「センター90%」の収録も完了しているから、6月の予定は新素材。現在、素材から作りはじめている。これまたきわめて重要な仕事になるので、ダイエットは必須。月末までに5kgは絞っておかなきゃいけない。
 しかし諸君、イスタンブールやサンパウロのエネルギーを池袋の人の渦の中に感じたら、やっぱり「仕事はともかく、何かワシワシ貪り食わねば♨」という強烈な欲求にあらがうことはできない。
 そういう時は、何をおいてもトンカツであり、トンカツの中でも最も望ましいのは、溶き玉子と一緒に煮込んだカツ煮定食である。溶き玉子は出来れば2個ほしいし、タップリのタマネギも欠かせない。甘辛いカツ煮に丼メシ。これに生ビールがつけば、もう言うことはない。
 ただし今井君は、これから演劇を2時間も観なければならない。生ビールぐびぐびとか、日本酒グビグビとか、そういうことを演劇前にやるのは、演ずる人ばかりか周囲の観客にも失礼である。涙を飲んで、瓶ビール1本の消費にとどめた。消費税8%以外にも、日本の消費が冷え込む原因は様々なのである。
CCCP切手
(これもまた昨日の話題のCCCP切手など)

 パリやニューヨークに滞在しても、劇場に1週間も10日も入り浸るぐらいだから、クマ蔵は若い頃からなかなかの演劇好きである。人形浄瑠璃・文楽を見るためだけに、わざわざ大阪にヒコーキで飛んでいくぐらいだ。
 ホントなら今ごろは三宅坂の国立劇場で、竹本住大夫の引退公演を見ていなければならないのだ。驚くなかれ今井君は35年も前から住大夫のファン。引退間近に駆け込みでファンになったニワカ・ファンとはワケが違う。
  35年前と言えば、文楽の看板は竹本越路大夫と竹本津大夫の時代。住大夫は当時まだ「竹本文字大夫」の名前で、文字久大夫などの後継者を育てていた。
 豪放磊落な性格で豪快に観客を魅了する津大夫、お手本通りの精妙な語り口が持ち味の越路大夫、この東西2横綱に伍して、横綱昇進を間近にした「強い大関」の感じだったのが文字大夫である。
 クマ蔵がファンになった頃、大人しい東京の観客たちからも「待ってました!!」「文字大夫!!」「文字さん!!」と大きな声がかかった。「これは早晩、津大夫や越路大夫に肩を並べることになるな」と、文楽ファンは誰もが予感したと思う。
 その文字大夫が住大夫を襲名して、長く文楽の屋台骨を支えた。30年昔はあんなに空席が目立った文楽が、いまや大阪でも東京でもチケットがとれないほどの人気である。吉田玉男もすでになく、津大夫も越路大夫もずっと昔に世を去った。それなのにこの人気ぶり。住大夫の足跡はマコトに大きいのであって、その引退公演が超満員なのも当たり前である。
パラグアイ切手
(これもまた昨日の話題のパラグアイ切手)

 ホントのホントの引退になる5月東京公演のチケット発売当日、今井君は朝からPCの前にはりついて、「意地でも最終日のチケットを予約してやる」とコブシを固めていた。4月、オランダ旅行に出かける数日前のことである。
 ところが諸君、それが欲張り過ぎ。何も無理して千秋楽を狙うことはなかったのに、欲張りすぎて失敗した。「あっという間の出来事」というか、予約開始の2~3分後には、すべての席が完売。2等席も3等席も全部売り切れてしまった。
 ま、いいか。これほどの人気では、住大夫の最後の勇姿を見届けることは出来ない。しかし今井君の脳裏には、大関・文字大夫として両横綱を猛追していた頃の彼の勇姿が焼き付けられている。
 というか、何しろ「記憶魔:今井」である。全盛期の彼の名演の数々が、ブルーレイよろしく鮮明に記録されている。目を閉じれば、今すぐに20年前の住大夫の語りが蘇ってくる。チケットがとれないなら、目を閉じればいいだけのことである。
へえ
(目を丸くして「たくさん集めましたね」と驚くナデシコどん)

 そこで仕方がないから、池袋サンシャイン劇場にキャラメルボックスの新作を見に行くことにした。文楽とは似ても似つかないが、「鍵泥棒のメソッド」。2014年スプリングツアーの初日である。
 文楽は千秋楽を狙って失敗したが、演劇は「初日」を狙う。演じる側ばかりか観衆や劇場スタッフにも張りつめた緊張が広がり、緊張のせいでロビーはマコトに花やいだ雰囲気である。
 サンシャイン劇場は、何故かホントに久しぶりだ。何もこの劇場を避けて通っているわけではないが、考えてみるともう30年も来ていない可能性がある。芝居に入り浸ってきたつもりのに、偶然といふものは面白いものだ。
 記憶にあるのは「ジーザスクライスト・スーパースター」。劇団四季の公演で、浅利慶太演出、鹿賀丈史がジーザス、滝田栄がユダ、市村正親がまだ「若手売り出し中」だった。おお、そういえばあの時も友人とトンカツ食った。「キャベツだけで、丼メシ3杯はオカワリできるよな」と話し合ったものだ。
チケット半券
(昨日のチケット)

 お芝居は7時開演、9時終了、客席はほぼカンペキに満員。軽いストーリーで、最後まで気楽に楽しめる。ただ、冒頭部で「シャツに血が付いている」という理由で銭湯に入った殺人者が、途中で「ホントは人を殺していない」「殺人は偽装」ということになるのは何故だろう。腑に落ちないというか、今井君の理解力不足か、何となくモヤモヤさまーずな一夜であった。
 終了後、まだ腹が減っていたので、ちょっと寿司をつまんで帰ることにした。選んだのは、サンシャインシティ59階の寿司屋「福助」。チェーン店だけれども、さすがに「59階からの夜景を見ながら」ということなら、チェーンの寿司屋でも十分に旨いだろう。
 残念ながら「22時ラストオーダー」「22時半閉店」。大慌てだったが、えぼ鯛、キビナゴ、おいしゅーございました。池袋からの帰り道、ちょっとチンピラ風の若い男子が、追い越し際に今井君に丁寧に頭を下げて挨拶して行ったが、あれは何だったのかね。ボクチンって、地元を仕切る親分さんみたいに見えますかね。

1E(Cd) Incognito:NO TIME LIKE THE FUTURE
2E(Cd) Incognito:POSITIVITY
3E(Cd) Larry Carlton:FINGERPRINTS
4E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT
5E(Cd) Luther Vandross:DANCE WITH MY FATHER
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