Mon 140331 サンマルコ広場の夜 またまた眺めのよくない部屋(ヨーロッパ40日の旅18) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 140331 サンマルコ広場の夜 またまた眺めのよくない部屋(ヨーロッパ40日の旅18)

 2月25日、ヴェネツィアでの最終日は、深夜までサンマルコ広場をウロウロして過ごした。サンマルコ広場には「カフェ・フローリアン」「カフェ・クワドリ」など、チョー有名なカフェが3軒並んでいて、夜になると競うようにミニコンサートが始まる。
 もちろんどこかの1軒のカフェに決めてテーブルを確保し、ビールなりコーヒーなりコニャックなりを注文して、くつろいでコンサートを楽しむこともできる。しかし多くの観光客は、テーブルにも向かわず、酒も注文せずに、3軒のミニコンサートをハシゴする。
 1軒で1曲が終わり大喝采が収まると、それを待っていたかのように、隣の店が別の一曲を奏で始める。それが延々と日付が変わる頃まで繰り返されるので、人々は3時間でも4時間でも3軒の店先をクルクル回りながら、疲れ果てるまで音楽を満喫するのである。
 かくいうサト助も、この旅の夜には「クルクル派」をやった。サト助の見るところ、どうもフローリアンよりクワドリのほうが優勢のようであって、喝采の大きさも集まった観客の数も、うーん、フローリアンは劣勢。というか、全体的におとなしい印象だった。
サンマルコ広場
(ヴェネツィア、真夜中の大鐘楼)

 この2年後に再びヴェネツィアを訪れたとき、ついに今井君は1軒を選び、最後方のテーブルに陣取ってお酒も注文してみた。もちろん、今井君の判断で「優勢」と思われるクワドリのテーブルであった。
 このお酒たった一杯が、諸君、ビックリするぐらい高い。サト助が注文したのはコニャック、もちろんストレート。コーヒーのエスプレッソ程度の分量で3時間も粘るのだから、高い値段も仕方ないが、「いくら何でも高すぎる」であって、諸君の心臓に負担がかかるといけないから、今井君はあえてその値段を秘密にしておく。
 秘密にした上で、「でもご安心を」とも言い添えておこう。別に「10万円請求された」とか「ボラれた」とか、それほどのことでもない。50ユーロ札1枚で済んだんだから、ま、大したことではないのだ。
 こうして深夜までミニコンサートのハシゴが続き、夜11時を過ぎてもサンマルコ広場は大変な賑わいだ。しかしさすがに午前0時、広場中央の大鐘楼の鐘が重々しく鳴り響くと、人々は三々五々ざわめきながら、宿泊先のホテルに帰っていく。広場は一気に静まり返って、明日はもうフィレンツェに移動する身としては、大鐘楼の鐘が何となく恨めしい。
 あんまり寂しいので、サト助は深夜のヴェネツィアを走り回ることにした。そりゃヴェネツィアだって、こんな深夜の裏町に入り込めばさぞかし治安は悪いだろう。しかし、治安がちょっとぐらい悪くたって構わないじゃないか。治安だ治安だと大騒ぎして、集団行動しかできない臆病な日本人は情けない。深夜だって、大いに走り回ろうじゃないか。
運河1
(移動日、鉄道駅までヴァポレットに乗る 1)

 ウワサでは、「ヴェネツィアは物価が高い」ということになっている。「メシもホテルも高いし、お酒も高い」と多くのヒトが口を揃える。しかしサト助が「高いな!!」とビックリしたのは、この時のコニャックのみ。他の食事のお値段は、みんなマコトにリーズナブルであった。
 ただし諸君、リーズナブルなのはあくまで「値段」であって、「お味」のほうは「うにゃにゃ♨」と唸る感じ。もちろん、チャンとした店を選んでチャンとしたオカネを払えば、「うにゃにゃ♨」なハメにもならないのだろうが、この時の今井君が求めたのはあくまで疑似放浪。食事もホテルもこだわらずに行き当たりばったりを貫いたから、「うにゃにゃ♨」もまた致し方ないことであった。
運河2
(移動日、鉄道駅までヴァポレットに乗る 2)

 中でも、2日目のランチに選んだ店のパスタには度肝を抜かれた。「これまでの長い人生で、マズいほうから2番目」と宣言してよかったかも知れない。サト助は思わず、早稲田大学の昔の学食(今はすっかりキレイで美味しい学食に変身したらしいが)の「スパゲッティ」を思い出した。
 ディナーのほうは、オールガラス張りのキレイなお店に2日連続で出かけた。この店については、すでにこのブログで書いたことがあるから、今回は割愛する。イタリア人の大家族が、すぐ隣のテーブルに今井君がいるにも関わらず、「中国人と日本人をどう見分けるか」を声高に語り合っていた。
 口角泡を飛ばしながら見分け方を語り合いつつ、この家族が次々に威勢よくシャンパンを開ける様子に、思わず今井君も感激。自分ながらアホじゃないかと思うけれども、日本人の根性を示そうとワインを痛飲した。1時間ちょいのうちに2本カラッポにして、翌日のフィレンツェには、キツい二日酔い症状の真っただ中で乗り込むことになった。
フィオーレ1
(フィレンツェ、サンタ・マリア・デル・フィオーレ)

 ヴェネツィアからフィレンツェへは、鉄道で2時間半ほどの旅である。いまはもう全面的に新幹線タイプの車両に代わっただろうと思うが、あのころはまだ古めかしいコンパートメント車両。フィレンツェまでのんびり静かな旅を楽しんで、午後3時前にフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着した。
 フィレンツェでも3泊の予定。ホテルは「LUNGARNO」。「ロケーションが素晴らしい」ということで評判のプチホテルで、もしもアルノ河に面した部屋にしてもらえれば、手の届くところにポンテ・ヴェッキオが眺められ、その向こうに大聖堂の姿も見える。窓からの眺望は、映画「眺めのいい部屋」のモデルになったんじゃないかと思えるほどのものであるはずだ。
フィオーレ2
(サンタ・マリア・デル・フィオーレ。夕陽が傾くと、次第にオレンジまたはピンクに染まっていく)

 ところが諸君、今井君のお部屋はアルノ河やポンテ・ヴェッキオとは正反対のサイドであって、窓を開けるとお隣の建物の汚い屋根が見えるだけ。またまた「とっておき」な感じの眺めのよくない部屋なのであった。
 しかも、サト部屋のお隣が「メイドさんたちの仕度部屋」。もちろんアキバ的メイドではない。40歳代&50歳代のお母さんメイドがズラリと揃っている。
 そういうイタリアの逞しいメイドさんたちが、互いに厳しく罵りあう声や、誰かの冗談にどっと爆笑する声が筒抜けで、マコトに騒がしい。この部屋で3泊、優しいサトちゃんはじっと耐え忍んだ。
 どんなに騒がしくても、要するに部屋にいるからいけないのであって、お部屋を一歩出れば、やっぱり最高のロケーションであることに変わりはない。何はともあれポンテ・ヴェッキオをわたって、サンタマリア・デル・フィオーレを目指すことにした。

1E(Cd) Tower of Power:URBAN RENEWAL
2E(Cd) Tuck & Patti:CHOCOLATE MOMENT
3E(Cd) 村田陽一 & Solid Brass:WHAT’S BOP
4E(Cd) デュトワ&モントリオール:ロッシーニ序曲集
5E(Cd) S.フランソワ& クリュイタンス・パリ音楽院:ラヴェル/ピアノ協奏曲
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