Tue 140325 いまオランダにおります ウィーン国立オペラ座で(ヨーロッパ40日の旅12) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 140325 いまオランダにおります ウィーン国立オペラ座で(ヨーロッパ40日の旅12)

 こうして連日10年前の旅行記を書いていると、「じゃあ現実の今井先生は今いったい何をやってるの?」という疑問が湧きあがってくるのも不思議ではない。
 特にこのブログの初心者なんかだと、「ブログとはその人の身辺雑記を綴るもの」と思い込んでいて、「誰と仲がいいのか」「どんな人たちと食事をしたか」「どの講師とヘベレケになるまで酒を飲んだか」、そのたぐいのことにしか興味がありませんという人が多いのも致し方ない。
 しかし諸君、今井君はあくまで「記録魔」「記憶魔」として、自分の記憶しているあれこれを、ひたすら詳細に記録しておきたいだけなのである。いやはや、記録に対する欲望も、驚くべき記憶の粘っこさも、ともに「常軌を逸している」と言っていい。
 だから読者からの反響も、
① 何でそんなに隅々まで熱心に記録するんですか?
② 何でそんなに隅々まで正確に記憶してるんですか?
の2点についてのものが多い。特に②に関しては驚嘆の対象らしくて、Mac君なんかは驚嘆のあまり「驚嘆の大将」というそれこそ驚くべき反応を返してきた。
 そうやって驚いてしまうあたりが、「記録する」ということについての認識不足なのであって、諸君、あれこれを思い出しながら昔の経験をポツリポツリとでいいから記録してみたまえ。記憶は次第次第にアクティベートされて、「あんなこともあった」「こんなこともあった」と、諸君だってたちまち記録の痺れるような楽しさに開眼するに決まっている。
ベルベデーレ1
(ウィーン、雪のベルベデーレ 1)

 ではついでに、「そんなことには興味なんか一切ありません」「知りたいのは予備校講師の身辺雑記だけです」というヒトビトのために、2014年4月のクマ蔵が今いったい何をしているのかを書いておくと、実は「オランダ・アムステルダムに滞在中」というのだから恐れ入る。
 アムステルダムに滞在して、来る日も来る日も「チーズ&チーズ」の生活を続け、エダムチーズにゴーダチーズ、余りのチーズ攻めにカラダの芯からチーズ臭くなりながら、そういえば英語の「cheesy」という形容詞は「低俗な」「怪しげな」「安っぽい」という意味だったなと思い出して、「おやおや、このままじゃcheesyサトイモになっちゃうな」と頭とかいている。
 それにしても諸君、オランダという国は恐るべき活気に溢れたスンバラスイ国である。「ベネルクス」のうち、オランダは「ネ」であるにすぎない。「ベ」であるベルギーは昨年1月に訪ねたばかりであるが、「べ」と「ネ」を比べてみる時、少なくとも活気と活力の面では「ネ」が圧倒的に優勢である。
ベルベデーレ2
(ウィーン、雪のベルベデーレ 2)

 「ベ」や「ネ」と比較してさえ、国土面積がはるかに小さなルクセンブルクが「ルクス」だなんて、早慶上智3者の関係とソックリである。昔は私大の雄を「早慶」としか言わなかった。後から入り込んで、自分だけフルネームで「早慶上智」とは、若干ナマ意気なんじゃないか。同様に、「オマエだけずっと小さいクセに、『ルクス』とはナマ意気だ」という気がするのである。
 ま、小さいものどうしのそういう小競り合いはそのぐらいにしておいて、諸君、オランダは、特に首都アムステルダムは、パリもロンドンもビックリするぐらいの力が漲って、旅慣れたクマ蔵どんを驚かせてくれる。ベルリンもミュンヘンもウィーンも、やっぱりこのエネルギーにはかなわない。
 詳しくは、帰国して5月中旬から書きはじめるであろう旅行記「おらんだサトン事件帖」に譲る。またまた目いっぱいの記憶魔&記録魔ぶりを発揮して、諸君を「実際にオランダに行くよりもずっと詳しくオランダが分かる」という経験にいざなおうと考えている。
ベルベデーレ3
(ウィーン、雪のベルベデーレ 3)

 さて、2005年2月20日から21日にかけてのサト助は、マコトにマジメに美術館めぐりとコンサート通いにいそしんでいた。そりゃそうだ。何しろここはウィーンだ。美術と音楽のメッカに初めてやってきて、まさか「美術館はパス」「オペラ座もパス」というワケにいかないだろう。
 ただし、コンサートのうちの1つは「ハズレ」というか「やられた!!」だったのであって、旅の初心者のうちはそういう失敗がつきものである。初心者諸君、是非たくさんの失敗をし、出来ればそれを克明に記録して、失敗の経験さえもこの上なく楽しい記憶に変えてしまいたまえ。
 ウィーンでの失敗の記憶については、すでにこのブログに詳細を記録してある。興味のある読者は、右欄「旅行記・ウワバミ文庫」から「東欧・ブダペスト&プラハ」をクリックして、以下の5日分を熟読してくれたまえ。たった3時間の失敗の経験を、5回にわたって驚きの詳細さで記録しておいた。

①Fri 100108 
2005年2月、シェーンブルン宮殿で何が起こったか
②Sat 100109 
2005年オランジェリー・コンサート 特濃100%農協果汁 ケビン大行進
③Mon 100111 
オランジェリーコンサート、シマシマの観客席で思ったこと、いろいろ
④Tue 100112 
「パッチもの」の語源なの? どかミシ、こここ、ミシぴょーん、ミシどん
⑤Wed 100113 
塾の理想は「自分で教える生徒は自分で集める」という若い先生である
ベルベデーレ4
(ウィーン、雪のベルベデーレ 4)

 一方、「さすがにウィーン!!」と絶叫したくなったのが、国立オペラ座での一夜である。演じられたのは、ヴィチェンツォ・ベッリーニの「ノルマ」。ストーリーは説明するのに窮するほど複雑&怪奇だから、その辺はグーグル先生に頼っていただくしかないが。あの夜の今井君は、素晴らしい舞台に酔い、ウィーンの観衆の素晴らしさに酔ったのであった。
 惜しみなくカーテンコールを続ける観客。劇場がすっかり明るくなっても、握手を求める観客に応える主役級の4人。「感動で思わず涙する」というのは、ほとんどの場合単なる常套句に過ぎないけれども、あの夜のサト助はホントに感動で涙したのだった。
王宮
(ウィーン、王宮)

 ただし、「ウィーンのバーチャンたちに叱られた」のもやっぱりあの夜の記憶である。第1幕が終わった幕間、後ろの席のバーチャン3人組にたしなめられた。
「アナタは頭を動かしすぎですよ。右に傾げたと思うと、今度は左に傾げるでしょ。そんなにグラグラされると、後ろの観客がソワソワするじゃありませんか。あんまり頭を動かさないでくださいね、bitte」
とおっしゃるのである。Bitteは英語のpleaseであるが、あのbitteの響きのイヤラシさは、今もなお忘れられない。
 単なる意地悪かと思ったし、実際に意地悪の一種だったに違いないが、考えてもみたまえ、バーチャン3人組でやっとこさ手に入れたプラチナチケットだ。ソワソワしないで落ち着いてノルマを満喫したかっただろうし、ちょっと他の客に意地悪だって言いたかっただろう。オペラに高揚した気分の中、バーチャンが嫁イビリと同じような言動をしてみたくなったとしても、周囲の人間はニコニコ我慢ぐらいしてあげていいのである。

1E(Rc) Solti & Chicago:DEBUSSY/LA MER・PRÉLUDE A L’APRE MIDI D’UN FAUNE & RAVEL/BOLERO
2E(Rc) Bernstein & New York:/SHOSTAKOVITCH SYMPHONY No.5
3E(Rc) Rozhdestvensky & Moscow Radio:BARTOK/DER WUNDERBARE MANDARIN & TWO RHAPSODIES FOR VIOLIN & ORCHESTRA
4E(Rc) Darati & Detroit:STRAVINSKY/THE RITE OF SPRING
5E(Cd) 東京交響楽団:芥川也寸志/交響管弦楽のための音楽・エローラ交響曲
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