Fri 140221 愛知県豊橋でお仕事 今夜も大熱演 不機嫌ドライバーと不機嫌ウェイトレス | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 140221 愛知県豊橋でお仕事 今夜も大熱演 不機嫌ドライバーと不機嫌ウェイトレス

 3月10日、今井クマ蔵は午後2時の新幹線で名古屋に向かった。今夜のお仕事は愛知県豊橋であるが、「豊橋まで行く」は「名古屋まで行く」のに比較して遥かに精神的負担が大きい。
 名古屋なら「のぞみ」がいくらでも走っているが、豊橋ということになると、スタンダードは「こだま」。運が良ければ「ひかり」に乗れる可能性もあるが、「ひかり」というのはマコトにややこしい。「静岡・浜松に停車」もあれば、「三島・豊橋に停車」もある。「ひかり」に巡りあったからと言って無闇に飛び乗ったりすると、目的の駅をビューンと無慈悲に走りすぎてしまうことになりかねない。
 そこでサト助はそういう面倒を回避するために、「豊橋でお仕事」と決まったその日のうちに、宿泊は名古屋と決め、さっさと名古屋マリオットの予約をとった。ホテルも早めに予約すれば、かかるオカネも2割引3割引になって、たいへんお得感が高い。
 名古屋着、16時。豊橋でのスタッフとの待ち合わせは18時であるから、1時間ほどホテルの部屋でまったりと過ごし、この日(3月10日)正午過ぎに舞い込んだ吉報&朗報の喜びを、ホントにしみじみと噛みしめていた。
豊橋1
(愛知県豊橋、大盛況でございました 1)

 名古屋から豊橋へは、「こだま」で東京側に2駅戻ることになる。3月も中旬というのに、この日はビックリするほど寒い日で、名古屋の空には切れ切れの雪雲が北風に吹かれて漂い、豊橋でもチラチラ雪が舞ったという。「豊橋で雪が降るのは、ホントに珍しいんですよ」と豊橋のスタッフも苦笑したものだった。
 今夜の会場は、愛知大学の大教室である。出席者215名。当初の予定は190名前後ということだったが、思いがけないほど新規の申し込みがあって、大教室が満席になる大盛況になった。
 ここでもやっぱり若いスタッフの諸君が大活躍してくれた。強烈な北風に乗って雪が舞い、北風は松の樹々に吹きつけ、松の葉の間を吹き抜けていかにも寒々しい音を立てた。カッコよく言えば「松籟」であるが、外に立って生徒たちの道案内をしているスタッフ諸君があんまり寒そうで、何だか申し訳ない。
 出席者は、豊橋の名門・時習館高校の諸君が中心。時習館に続く「豊橋南高校」からも東京大学に1名合格したとのことで、スタッフ一同大いに沸き立っている。マジメ&素直に、スタッフの言葉通りにやるべきことを全てこなし、やるべきでないことは一切やらずに通した。
 ひたむきな努力の結果として、有名進学校以外のごく普通の県立高校から東京大学合格を果たす。塾や予備校に関わるものとして、「こんな嬉しいことはない」という瞬間である。
夜景
(寒い夜は夜景も美しい。午前0時半、名古屋マリオット40階から南西方向を望む)

 あまり新しいとは言えない大学の大教室だから、音響の面ではいろいろカンペキでない点もある。今井君が例の調子で話しはじめてすぐ、マイクの調子がおかしくなった。
 何だか分からんが「じーーーーーーっ」という雑音が入り、機械をいじるといったん止まるけれども、2~3分経過するとまたまた「じーーーーーーっ」と唸りはじめる。誰かの怨念か、大学に住みついた悪霊か、六条御息所の生き霊か。いじっては唸りだし、いじっては唸りだし、それが5~6回繰り返されたところで、サト助は業を煮やしてマイクのスイッチを切ってしまった。
 200名+αの教室なら、もともとマイクなんか必要ない。朗々としたクマ蔵の美声は、隅々までキチンと届く。むかしは大学や予備校の大教室にマイクなんかなかった。それでも名物講師たちは、朝から晩まで名調子の授業を繰り広げたものである。
 クーラーもなくて、真夏の盛りの講習には、教室の4隅に氷の柱が立てられた。「氷があるんだから、それだけで十分に涼しいだろ」ということだが、生徒たち文句を言わずに、ウチワで仰ぎながら懸命にノートをとった。今井君みたいなベテランから見るに、マイクだクーラーだと、その段階ですでに贅沢すぎるような気がする。
 こういうふうで、今夜のお仕事は後半から「マイクなし」「地声で215名」という力感あふれる形態になった。地声を張り上げると、普段すっかり怠けているポンポンの筋肉にまでパンパンに力が入って、話をしていてマコトに心地よい。「これからはX≦200の時はマイクを断ろうかな?」と余計なことさえ考えた。いやはや、楽しい90分であった。
豊橋2
(愛知県豊橋、大盛況でございました 2)

 終了後、タクシーで豊橋駅前の祝勝会場へ。10分強で到着したが、この日のクライマックスはここからだったと言ってもいい。うぉ、タクシーの運転手さんのご機嫌が、言語道断に悪いのである。
 小学生のころ読んだマンガの中に、「ご機嫌、ナナメ?」と聞かれた男が「ナナメどころか、直角だぁ」と答えるセリフがあったが、まさにこの夜の運転手さんの機嫌は直角そのものであった。
 何を言われても無言。道順を説明されても「わかってます!!」と突き放す。それでいてケータイの着信音は、なかなかユニーク。水滴が洞窟の中で弾ける水琴窟をイメージしたと思われる、しかしケータイに出た彼はヒトコト「いま実車中。ルート検索してます!!」と相手を冷ややかに突き放し、アクセルを踏み込んだ。
 しかもそのアクセルの踏み方が強烈。目の前の信号が赤に変わったにも関わらず、まっしぐらに突っ込んでいく。おお、カーチェイスさながらの鋭い弧を描いて、クルマは驀進した。今井君はお茶目な中年だから、こういうときには必ず「面白い着信音ですね」と指摘するのだが、あまりの機嫌の悪さに思わず萎縮して、着信音のことを指摘できずにいた。
 タクシーに同乗したスタッフ2人も、おそらく「噛みつかれるんじゃないか」という恐怖に縮み上がり、みんな黙りこくったまま、ひたすら目的地を目指した。カーラジオの音だけが、静まり返った車内を満たしたのである。
豊橋3
(愛知県豊橋、大盛況でございました 3)

 ラジオからは、「SKE48のメンバー」を名乗る女子2人のおしゃべりが聞こえてくる。サト助はSKEとかAKBとかには全く興味がないから、誰が誰やらサッパリわからないが、2人は盛んに「1+1は、2じゃないぞ」「1+1は、2じゃないぞ」と繰り返している。
 普段なら思わず「じゃ、1+1はいくつなの?」と誰かが呟いてみるところだけれども、諸君、運転手さんがコワすぎて、そんなケーハクな反応も出来ないぐらいである。
 そもそも、実はこの運転手さんがSKEの超ウルトラ特大ファンである可能性だって否定できない。1週間待ちわびたSKEのラジオ。「たった一人でヒトコトも漏らさずにSKEの囁きを脳裏に刻みたい」と、そう願っていた矢先、おかしな中年の客3人がドヤドヤ乗り込んできた。「許せん、絶対に許せん」と、もしもそういうことだったとしたら、ここでSKEを茶化すなどという行動は、火に油を注ぐ愚挙に他ならない。
 3回目の「1+1は、2じゃないぞ」が聞こえたあたりで、マコトに幸いなことにタクシーは豊橋駅前に到着。逃げるようにタクシーを後にして、今夜の大祝勝会場にたどり着いた。
祝勝会
(豊橋、祝勝会場の光景)

 ところが諸君、おかしな夜にはおかしなことが連続するものである。この夜、豊橋のヒトビトがこぞってイライラするような原因でもあったのだろうか。出会うヒト出会うヒト、みんな異様にイライラして、温和の権化:サト助ちゃんはただただ縮こまるばかりであった。
 今度のイライラ人間は、お店のウェイトレスさんである。「ウチの店では、このiPadで注文していただくことになってます!!」から始まった注文システムの説明は、イライラとツンツンとトゲトゲを煮詰めてガムシロップにしたかと思うほどに強烈。彼女が去るとすぐ、「今の説明、わかったか?」と話し合ってみたけれども、すぐにみんなiPadを諦めて、「紙のメニュー、ありませんか?」と尋ねることに決まった。
 結局、そのお店に23時15分まで。今井君は運転手さんとウェイトレスさんに恐れをなし、最終の新幹線に飛び乗った。ほうほうのていで名古屋着、23時50分であった。
 こんな書き方をして誤解されるといけないからチャンと断っておくが、今夜のシュールな楽しさはまた別格。是非またすぐに豊橋を訪問したい。もうすぐ6月から8月の夏シリーズの予定も入るころだ。完全授業タイプの別バージョンもたくさん準備して、お声がかかるのを待ちわびている。

1E(Cd) Brendel(p) Previn & Wiener:MOUSSORGSKY/PICTURES AT AN EXHIBITION
2E(Cd) Sinopoli & New York:RESPIGHI/FONTANE・PINI・FESTE DI ROMA
3E(Cd) Dutoit & Montréal:RESPIGHI/LA BOUTIQUE FANTASQUE
4E(Cd) Rubinstein:CHOPIN/MAZURKAS 1/2
5E(Cd) Rubinstein:CHOPIN/MAZURKAS 2/2
total m121 y276 d13196