Fri 140214 3月10日、吉報が来た 函館朝市でイクラ丼とウニ刺身 何故か札幌に向かう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 140214 3月10日、吉報が来た 函館朝市でイクラ丼とウニ刺身 何故か札幌に向かう

 3月10日、正午をホンの10分ほど回ったところで、今井君の手許にとんでもない吉報が届いた。この場で吉報の中身を明らかにすることは出来ないが、「可能性は6分vs4分」「いや、5分5分ぐらいか」と考えていたので、この吉報に今井君は高くビョーンと飛び上がる思いである。
 ホントなら、ビョーンと飛び上がりたい時には実際にビョーンと飛び上がったほうが精神の健康のためにもいいはずだが、今日のお仕事は愛知県豊橋である。ヒコーキなんかに乗ってビョーンと舞い上がってしまうと、豊橋を軽く通り越して、大阪まで行くしかなくなる。
 もちろん大阪までビョーンと飛んでいって、そこから豊橋まで引き返してもいいけれども、そりゃたいへんご苦労な行程になるばかりでなく、唐変木というか表六玉というか、変人というか変態というか、世間の不審尋問を受けかねない。
 そこで仕方なく東京駅に向かい、大嫌いな「新幹線」というシロモノに乗り込んだ。いつも書いている通り、異様にご丁寧でシツコイ車内放送に悩まされながら、サト助はようやく新横浜までたどり着いた。
 乗ったのは「のぞみ」だから、新横浜の次は豊橋を通過して名古屋まで行ってしまうけれども、今日の宿泊予定は名古屋マリオット。名古屋—豊橋間を往復するぐらいなら、表六玉と罵られることはないし、不審尋問を受けるほどのフシギな行動でもない。
かにいくら
(函館朝市「きくよ食堂」のカニ&イクラ丼)

 では「なぜ吉報の中身をここで明らかにすることが出来ないか」であるが、まさにそれがこのブログの方針なのだ。2008年6月5日の開設当日、「迷惑がかかるといけないから、家族や友人のことは一切書かない」と宣言した。
 それでも世の中には詮索好きな御仁が多くて、
「さては、クマが一緒に飲みに出かけたのはアイツか」
「さては、サトイモが書いてるのはアイツのことか」
など、「さては&さては」的にいろいろと勘ぐってくる。それが楽しいなら致し方ないが、ま、とにかく今井君は今後もこの方針を貫き通す決意である。
ウニ刺身
(函館朝市「きくよ食堂」のウニ刺身)

 で、話は3月6日の函館にさかのぼる。テレビの天気予報では
「今日の北海道は道東を中心に暴風雪が予想されます」
「無用な外出は避けてください」
と、マコトに緊迫した表情で訴えかけていた。今井君が一昨日の夜から察知していた通り、湿雪と南風はやがて襲ってくる暴風節の前触れだったのだ。
 テレビ画面の左と上のスペースに「暴風雪情報」が映し出される。鉄道は道東を中心に運休が相次ぎ、道路もすでに各地で閉鎖になっている。高校入試も延期。ヒコーキのほうも欠航情報が出始めて、「このクマ蔵は無事に東京に帰り着けるのだろうか」と、若干の不安がこみ上げはじめた。
 しかし、この段階での函館は快晴。ホテルの窓からは函館山がキレイに姿を見せ、風もまだそんなに強烈ではなかった。午前9時、余裕のサト助は「函館朝市に、朝飯でも食べに行ってこよう」と、マコトに余裕たっぷりな決断を下した。「荒天だから、一刻も早く帰京しなきゃ」みたいに慌てふためくと、どうせロクなことにならない。
ホタテかに
(函館朝市、ホタテ君たちと毛蟹サンたち)

 朝市みたいな場所は、実を言えばクマ蔵は苦手である。「カニ買ってって」「シャケ買っていきな」「ホタテも買ってってね」「カニもシャケもホタテもいらないなら、日持ちする松前漬もあるよ」と、そんなに四方八方から責めたてられたら、とても落ち着いて買い物なんかできない。
 クマ蔵はひたすら顔をうつむけ、全てを無視して朝市を早足で通り抜けた。だから、活気溢れる市場の写真は一枚もない。読者諸君には申し訳ないが、これもクマ蔵の内気な性格のなせるワザ。許してくれたまえ。
 そのぶん、市場の名店「きくよ食堂」でたっぷりくつろぐことにした。「きくよ」については、昨日のうちに函館のスタッフの皆さんに推薦してもらった。「きくよ」の丼物なら間違いないです、旨いですよと、みんなの意見が一致した。
 ラーメンでもいいけれども、函館名物は「塩ラーメン」。「今井先生は旭川の醤油ラーメンがお好きらしいから、函館の塩ラーメンじゃ物足りないかも知れませんね」との声が上がった。うにゃにゃ、ならばやっぱり「きくよ」の丼で行こうじゃないか。
 しかもこの朝、店の前で声をかけてくれた「きくよ」のダンナが気に入った。他の店みたいに、しつこくも厚かましくもない。「朝御飯、食べちゃいましたか?」「どうです、イクラ丼かウニ丼か」と、内気な笑顔で優しく尋ねてくれたのである。サト助は、こういう笑顔にすこぶる弱い。
きくよ食堂
(きくよ食堂、全景)

 注文したのは、「カニ&イクラ丼」「ウニの刺身」。一昨日の新千歳空港からずっと、「イクラ丼は酢飯か」という世紀の大問題に悩まされてきたから、運ばれてきたイクラ丼が温かい普通のゴハンだったのには、まさに快哉を叫ぶ思いであった。
 ウニの刺身も、「ちょっと高いかな」と思いつつも、たいへんおいしゅーございました。「活イカ」と書いて「カツイカ」も、やっぱり昨日の「イカ清」と同じで品切れ。「連日のシケで漁に出られません」というのでは、やむを得ないものはいくら粘ってもやっぱりやむを得ないのである。
 ならば仕方がない。活イカではない普通のイカのお刺身を注文。何のことはない、別に活イカでなくとも、普通のイカちゃんでも十分に他所のイカどもを圧倒する旨さだったのである。
 しかし、こうして朝のクマ蔵が丼メシとウニやイカの刺身でノンベンダラリと時間を過ごしているうちに、函館の天候は一気に荒天に変わっていたのである。まさに天気予報のおっしゃっていた通り、函館山は雪雲に覆われ、真横から吹きつける吹雪で視界が遮られた。
 もちろん今井君は、この程度の吹雪に動転するようなヤワなクマではない。さっそく小学校の校歌3番の歌詞を思い出し、「吹雪に鍛えし港魂」「さかまく波に帆をあげて、自由の海に漕ぎいでむ」と心の中で絶叫するように歌い上げた。
男爵倶楽部
(函館「ホテル男爵倶楽部」のエントランス)

 それでは、サト助はいよいよ自由の海に漕ぎいでることにする。手に握りしめたのは、JRのチケット「札幌市内→東京都区内」。は? キミはいま函館にいるんじゃなかったっけ? 函館から東京に帰るのに、どうしてチケットは札幌発になってるの? そもそも、函館から東京へは、ヒコーキが圧倒的に便利なんじゃじゃないの?
 もちろん、そんなことは改めて確認するほどのことでもない。函館から東京なら、ヒコーキが便利なのは当たり前。しかし、クマ蔵だのサト助だのを常識や効率性で縛ろうとするほうが間違っているのだ。クマ蔵は、常に神出鬼没。ヒトの予想もしない行動で、常識人の度肝を抜くのが大好きな困った生き物である。
 10時、ホテルをチェックアウト。宿泊していたホテルも、何故か「男爵倶楽部」である。「は? 何ですって、男爵倶楽部?」という常識人の呆れ顔が、ボクチンはたまらなく楽しいのだ。
 向かったのは、函館空港。タクシーでも約2500円でたどり着けるマコトに便利な空港であるが、何とこれから今井君は「函館→札幌便」というヒコーキに乗る予定。プロペラをブルンブルンと回転させる形式の、むかし懐かしいボンバルディア機で、札幌まで40分程度で飛べる。
 あれれ、ホンマにいったい、何だコイツは? なぜクマは荒天の中を札幌に逆戻りするんだ? 諸君、その秘密は、明日の記事で明らかにされる、かもしれない。

1E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
2E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION③
3E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
13G(α) 塩野七生:迷走する帝国(上):新潮文庫
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