Mon 140210 17年目のカバンとスーツ イクラ丼は酢飯か 夜はアルゼンチンワイン | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 140210 17年目のカバンとスーツ イクラ丼は酢飯か 夜はアルゼンチンワイン

 こうして3月3日、サト助の長い出張旅行は、後半の北海道編に突入した。いったん東京に戻ってカバンの中身をすっかり入れ替えたから、気分もマコトに好調である。通称「医者の往診カバン」であるが、諸君、下の写真を見てくれたまえ。
 このブログに登場するのは2回目。渋谷のZEGNAショップで17年前に発見して、すぐに購入を決めた。17年前と言えば、駿台から代ゼミに移籍した直後であるが、あの年はちょっと無理して、スーツやら靴やらカバンやら、ちょっと値の張るものをたくさん購入した。
鞄
(17年の戦友、ZEGNAのカバン)

 それと言うのも諸君、駿台から代ゼミに移ってみると、講師室内のムードが全然違うのである。駿台のほうは、講師の服装なんかホントに地味であって、多くの講師がポロシャツにジーンズでゴソゴソ歩き回っていた。
 スーツを着ているヒトはいても、デパートの平場で買ったようなものがせいぜい。靴もカバンも地味なものばかりで、「ケーハクな話題なんか持ち出したら、みんなにバカにされるんじゃないか」という雰囲気。着る物や持ち物の自慢なんかするヒトは誰もいなかった。
 1997年3月、サト助が代ゼミに電撃移籍してみると、おお、講師室内は有名ブランドの服が溢れている。教室に向かうエレベーターの中でも、スーツ自慢が始まるは、「この靴は1000万円。世界に1足しかねえんだぜ、マジでぇー、うぉーん」とニヤニヤしている超有名講師はいるは、サト助はまさに呆然とする思いであった。
 色彩もマコトに豊か。ピンクのスーツに紫のスーツ。オレンジのスーツに黄緑のスーツ。サト助みたいな地味な紺のスーツを着ているヒトなんか、だーれもいない。しかも駿台時代からの習慣で、デパートの平場で買ったヤツである。
スーツ
(17年の戦友、ZEGNAのスーツ)

 それでも移籍当初からサト助は「英語のビッグ4」「四天王」のうちの一人にしてもらっていたから、他の先生方が注目しているのはイヤというほど分かる。その注目もこの上なくトゲトゲしたものであって、電撃移籍なんてのは、よほど強烈な闘争心を持っているヒトでないと、精神的にとても耐えられないことである。
 あるたいへん有名な英語の先生がいきなりサト助の隣に座り、「今井サンって、スーツは○○○で買ってるの?」と話しかけてきた。○○○のところには、おそらく超有名ブランドの名前が入るのだけれども、あいにく今井君はそんなブランド名はサッパリ分からない。
「いえいえいえ、渋谷の西武デパートの平場で買ってます」
と、こちらは大慌てで正直に告白した。すると某先生は露骨に「呆れた」「信じられない」「コイツはアホか?」という表情で肩をすくめ、それ以上何も言わずに去っていった。
クラシック
(今日は移動日。仕事はないから、北海道に到着してすぐに「サッポロ・クラシック」をグビグビやった)

 そういうことが次から次へと起こって、今井君は「やっぱり郷に入っては郷に従え、かな」と考え、初めてブランドショップに足を運んだ。勇気をふりしぼって声をかけてみたのが、渋谷西武の中のZEGNAショップ。それでもやっぱり渋谷西武というあたりがカワイイじゃないか。
 ホントに懐かしい話だが、あれは1997年6月のこと。2014年現在、今井君の目の前にズラリと並んだ受験生って、ちょうどあの頃に生まれた諸君なんであるね。思えば、マコトに感慨深い。
 で、清水の舞台から飛び降りる思いで購入したのが、紺のスーツ2着と、この「医者の往診カバン」。ZEGNAはこの試作品を作って以来、カバンの製作はヤメてしまっているから、今井君のカバンはレアな希少価値たっぷりのカバンなのである。
 あの時のスーツも、まだ現役で活躍中だ。今回の北海道シリーズも、17年間の戦友でありつづけたスーツを着てまわる。今井君は、ちょっと無理してでもいいものを買い、それを大切に大切に長い年月使い続けるのが好き。冬のコートなんか、驚くなかれ、もう25年も着続けている。
 さて、そんなことを思い出しているうちに、ヒコーキは新千歳空港に着いた。17年目のスーツ、17年目のカバン。靴はもう8年も履いているチャーチの革靴があるのだが、早春の北海道に革靴を履いてくると、雪解け水に浸かって1発でダメになる。今回は、欧米を旅する時の安い合皮の靴を選んできた。
うにいくら
(新千歳空港のウニ丼&イクラ丼セット)

 新千歳空港で、さっそく丼物をむさぼりり食っていくことにした。今日は移動日でお仕事はないから、ビールだって飲める。なかなか祝勝会の場でむさぼることのできない丼物を満喫し、ビールで豪快にメシを飲み下すのには絶好のチャンスである。
 注文したのは、ウニ丼とイクラ丼のセット。つまり丼飯を2杯むさぼり食うわけだが、腹を減らしたクマにとっては、丼飯の2杯や3杯はそれこそ「朝飯前」。ウニでもイクラでも、それこそいくらでも食べられる。
 ところが、あれれ、運ばれてきたウニ丼もイクラ丼も、なぜか丼の中は酢飯である。イクラ丼を一気にかきこもうとすると、あろうことか鼻にも肺にもいっぱいに酢の匂いが流れ込んでくる。
 イクラ丼って、酢飯だっけ? ウニ丼って、酢飯だっけ? 何しろここは北海道であって、北海道のヒトが間違うわけはないのだが、しかし今井君は酢飯のイクラ丼を食べたことがない。
 「海鮮丼」なら酢飯だろうけれども、豪快にかき込んで胃袋に送り込み「ふえー♨ 食った食った。もう腹いっぱいだよぉ♡」とタメイキをつく時、そのタメイキが酸っぱいんじゃ、何だかタメイキらしくないじゃないか。
 翌日、室蘭でのお仕事の時、サト助はスタッフの皆さんに「あのー、イクラ丼って、酢飯でしょうかね?」と恐る恐る尋ねてみた。「酢飯に決まってるじゃないですか」という返答を恐れたのである。すると、ホッとしたことに
「うーん、酢飯ってことはないですね。普通の温かいゴハンに、たっぷりのイクラが定番じゃないですか?」
との答え。複数のヒトに尋ねて、全員がアンチ酢飯派であった。
辛口ピザ
(夜はアルゼンチンワインをオトモに、辛口ピザで〆にした)

 用心深いクマ蔵は、翌々日の函館でも、函館の先生方に「イクラ丼は酢飯か」「ウニ丼は酢飯か」の質問をぶつけてみた。何しろ函館駅に到着するなり、挨拶もそこそこにその質問が口をついて出たのだから、函館の先生方もビックリしたことだろう。そしてやっぱりその答えは、
「酢飯ってことはないでしょう。それじゃ酢の匂いが鼻について、豪快にかき込めないじゃないですか」
であった。
 おお、安心した。すると新千歳空港のイクラ丼は、やっぱり邪道だったのだ。いや、「アルバイト従業員が勘違いしたのに違いない」とクマ蔵はニラんでいる。
 今や日本はすっかり国際化して、外国のヒトビトがたくさん働いていらっしゃる。東京のコンビニのレジなんか、中国のヒトばっかりだ。イクラ丼に酢飯、ウニ丼に酢飯、そういう勘違いがあるのは、もはや防ぎようがない。「同じようなもんじゃないか」と言われれば、うーん、確かに贅沢言ってちゃダメなような気もする。
 昼のイクラ丼のカタキをとるためにも、夜はイタリア料理屋に入ってワインを楽しむことにした。そのへんにもクマ蔵独特のこだわりがあって、辛口のピザをツマミながら注文したのはアルゼンチンワイン。おお、旨かった。酢飯の呪いを振り払うのには、辛口ピザとアルゼンチンワインは最高のタッグだったようである。

1E(Cd) Grover Washington Jr.:WINELIGHT
2E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
3E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION③
4E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
5E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
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