Mon 140203 クライマックスを過ぎた諸君へ ぬるくゆるびもてゆくな 灰がちになるな  | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 140203 クライマックスを過ぎた諸君へ ぬるくゆるびもてゆくな 灰がちになるな 

 これから神戸に向かう。羽田空港に着くと、ダイアモンドラウンジはビックリするぐらい混雑していて、座る席が見つからないぐらいだ。いつもは「閑散としている」と言ったほうがいいぐらいだから、このレベルの混雑は初めての経験だ。
 うにゃにゃ、もしかしたらダイアモンド会員を乱発し過ぎなのかもしれない。羽田⇔伊丹便など、優先搭乗にダイアモンド会員が30人も列を作っていたりする。もちろんかく言う今井君自身が「乱発のタマモノ」なのであって、一昨年も昨年も会員資格ギリギリの11万ポイントでやっとセーフになった。
 そんなナンチャッテ会員に過ぎない今井君が、不満だの不平だのを漏らすのは甚だナマイキなようだが、羽田のダイアモンドラウンジには「いくら何でもデスクが少なすぎないか?」という問題を感じる。1階下のプラチナラウンジならデスクがいくらでも並んでいるのに、ダイアモンドのほうには何と合計で6つしかないのだ。
ニャゴ1
(ネコたちの新しいベッド。爪研ぎも兼ねたニュータイプである)

 ま、「ダイアモンド会員のレベルになったら、デスクワークなんかしませんよね。デスクワークは秘書とか部下とかに任せて、ゆったりソファでくつろいで下さいませ」という発想なのかもしれないが、伊丹便に30人も列を作るダイアモンドの乱発ぶりと比較して、やっぱりデスクの少なさは異様である。
 サト助はせいぜいでブログを書く程度だから、別にデスクなんか必要ない。文字通りの「ラップトップ」であって、ソファにゆったり腰を沈め、我がラップに戦友Mac君をのっけて、自由自在に激しくキーをたたきまくる。
 しかし諸君、この世の中にはホンマモンの仕事人間だって多いはずだ。「デスクワークも絶対に他のヒトには任せたくない」と思いながらラウンジに乗り込むと、「デスクがたった6つ」では困っちゃうだろう。サト助は今のままでかまわないけれども、せめて窓際の席にデスクを30席ぐらいズラッと並べたほうがいいんじゃないかね。
ニャゴ2
(ニャゴは縁にアゴをのせて眠るのが好きだ)

 さて、2014年の大学受験はほぼ完全に終わりを告げた。もちろんまだ東大後期試験が残っているけれども、たいていの受験生は昨日までで苦しい受験生活の幕を閉じたわけだ。ホッとしたというか、疲労しきったというか、気がついたら昼過ぎまでグッスリ眠ってしまったヒトも多いだろう。
 そこで「今日から何をするか」の問題が浮上する。明日明後日ぐらいまではノンビリするとしても、そのあとは何をして過ごそうか。今のホッとした気持ちをそのまま放置すると、ニンゲンとはマコトにダラしないもので、あっという間に「燃え尽き症候群」の餌食になる。
 今になって思えば、苦しいながらも甘く楽しい1年だったじゃないか。特にこの2~3ヶ月は、毎晩2時3時まで頑張っただろうし、「いや、むしろ朝3時4時に起きてやってました」と、この数ヶ月の経験を熱く語りたいヒトも少なくないはずだ。
 厳しければ厳しいほど、その記憶も甘やかなものとして残る。だから30歳代とか40歳代のオトナになっても、
「ワタクシの人生で一番充実していたのは、18歳の厳冬期。あの1月と2月のことは決して忘れません」
「ふと見上げた夜空に、オリオン座の3つ星がキレイに光っていました」
と、思わずコブシを固めたり、うっすら涙を浮かべるヒトだっている。
ニャゴ2
(アゴのせニャゴ、真横の光景)

 だから受験生諸君も、その周囲のオトナたちも、まさにその「人生で最も充実感に溢れた甘やかな記憶に残る時代」を、向こう側に通り抜けてしまったことになる。言わば「1つのクライマックスは過ぎた」ということであって、次のクライマックスを早めに設定してすぐに走り始めないと、熱いクライマックスの記憶を懐かしむだけのユルーいニンゲンになってしまうばかりだ。
 結果の発表まではまだ10日ほど残っている。この10日余りは、まだ不安定な気分と身分のまま過ごすことになるのだが、うーん、諸君、しっかりしたまえ。気持ちが緩んでいく状況を放置すると、そのまま「ぬるくゆるびもてゆく」ハメになる。
 今井君自身の受験は、「高3の12月にスタート」というたいそうトボケたものだったから、マトモな受験生の苦しく厳しい日々なんてものとは縁遠かった。しかしそれでも「ぬるくゆるびもていく」ことに関してだけは一流だったので、入学式を迎えるころには、もうすっかり「白き灰がちになりて」「わろし」というテイタラクに陥っていた。
ニャゴ4
(アゴのせニャゴ、遠景。後ろ障子もニャゴが損傷)

 諸君、すでにこのブログでも何度か引用しているのだが、サト助どんは「枕草子」の「冬は」が大好き。句読点をつけ漢字を多めにして、分かりやすい形で念のために引用しておく。
「冬はつとめて。 雪の降りたるは言ふべきにもあらず。 霜のいと白きも また、さらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も 白き灰がちになりて、わろし」
 ということは、2月27日、諸君の周囲はついに「昼になりて」まで来ちゃったのだ。おお、気温も上昇してきた。雪はどんどん融けていく。そのうちホーホケキョが鳴き出し、花粉症のクシャミがそこいら中に響き、ティッシュ1箱カラッポにして鼻水を拭っているうちに、サクラの便りが届きはじめる。
 卒業式だ、花見だ、入学式だ。科目登録だ、サークルの勧誘だ、新歓コンパの連続だ。そんなことの連続で心も身体もシャンとする暇がない。で、気がつくと、諸君の心も身体もすっかり「ぬるくゆるびもていく」だろうし「火桶の火も白き灰がち」になっちゃって、最後に思い切り「わろし!!」と決めつけられる。
ニャゴ5
(アゴのせニャゴ、変化形)

 そんなんじゃダメじゃないか。「わろし」でござるよ、「わろし」。「わろし!!」などと冷たく決めつけられるのは、この今井君だけで十分だ。発表までの10日のうちに、次のクライマックスを設定し、とにかく走り出したまえ。
 「ぬるし」「ゆるし」「わろし」。そういふ形容詞のニンゲンへ真っ逆さまの危険性は、熱いクライマックスを経験した直後だからこそ、より高まるのである。ま、ノンビリ眠るのは、あと2日ぐらいにして、それ以降はネコにでも任せておきたまえ。
 羽田から伊丹に飛ぶヒコーキに乗り込みながら、サト助が考えていたのは以上のような「ショモナイこと」であった。大阪便ということは、昨日まで東京大学を受験していた灘高生なんかも、同じ機内に複数存在していたのであろうね。いやはや、とにかく諸君、ご苦労さまでござったのぉ。

1E(Cd) Bobby Coldwell:AUGUST MOON
2E(Cd) Bobby Coldwell:CARRY ON
3E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
4E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION③
5E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
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