Sun 140202 受験生の健闘を讃えたい 凱旋門の勇姿 凱旋門の冷たい雨 (マタパリ31) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 140202 受験生の健闘を讃えたい 凱旋門の勇姿 凱旋門の冷たい雨 (マタパリ31)

 いやはや、今年の受験生諸君、ホントにホントに心からお疲れさまでござった。「全力を出しきれよ」も何も、力はもう120%も150%も出し切って、今ごろはもう冗談のように抜けガラになり、肩でようやく息をついているヒトも少なくないだろう。
 2月26日、主な国公立大学の入試は今日ですっかり終わりである。今井君はいつもの年以上にヘトヘトに疲れきって、もうキーボードをたたく気力も残っていないアリサマ。諸君が第1志望に合格していることを、心の底から熱くお祈り申し上げる。
 しかし、どんなに熱心な予備校講師でも、この後に及んでは「熱くお祈り申し上げる」以外にどうすることも出来ない。マホーの鏡にいろいろ訴えかけても、試験の点数が10点20点も上がることはないし、悪魔どんにタマシイを売りわたしても、すでに終わってしまった試験をなかったことにすることはできない。
猫と酒
(山形の友人から届いた日本酒と、孤高のニャゴロワ)

 今夜の写真の1枚目に、お酒2本を前に佇む白い美ネコを掲載したのは、そういう意味である。おお、美しいネコじゃないか。その眼差しには「怪しいマジナイで点数を稼ごう」などという邪念は一切感じられない。
 勝利の美酒のほうは、大昔の友人から届けられたもの。「大昔」とは、すでに数世紀以前を意味しているのであるが、何百年前の親しい友人は、キチンとした公務員として山形県庁に勤め、今井君みたいな怪しいことは1つたりともせずに誠実にヒトビトのために尽くし続けている。
 この友人と連絡がついたのは、つい20日前のことである。彼は大学学部時代の同級生。今井君でさえ一瞬「彼にはかなわないかもしれないな」と思うほど英語ができるヒトだったが、英語とはあまり関わりのない山形盆地の一角で、誠実に毎日のお仕事をこなし続けている。
凱旋門1
(パリ、冬の雨の中の凱旋門)

 諸君、「誠実」とはそのようなことである。若い諸君は「将来の夢は?」と尋ねられた時、「世界での活躍」「国際舞台での飛躍」を熱く語るが、実際の社会でヒトビトのために最も奉仕しているのは、実は「30年、地方の高齢者のために奉仕し続けます」という、地道な決意を忘れないヒトビトなのである。
 今井君なんかは、18歳のころからフワフワ落ち着かない愚かなクマであったから、彼をはじめとしてここまでキチンと職務を全うしてきた友人たちの人生を見て、今さらながら感動を禁じ得ない。
 学部の入学式で出会った18歳のあの日、「国家公務員を目指す」と宣言した者もいた。入学式の段階で「弁護士だ」「裁判官だ」と法曹の夢を語る者も少なくなかった。その多くをサトちゃんは「夢が小さいねえ」とニヤニヤ冷笑していたものだったが、今になって気がつけば、要するに若きサト助がアホだっただけである。
 ようやく受験を終えた諸君も、1年後に受験を控えた諸君も、あるいはその周囲で彼ら彼女らを応援する立場のヒトビトも、地方や国家の日々を支える地味な存在について、決して忘れることがあってはならない。18歳のサト助がニタニタ笑って見つめていた友人たちこそが、実は日本の屋台骨を支えていたらしいのだ。
凱旋門2
(シャンゼリゼから眺めた雨の凱旋門)

 その他4枚の「今日の写真」は、すべてパリの凱旋門である。「何で凱旋門?」であるが、サト助は今年の受験生だった全員に敬意を込めたつもりである。結果として勝利をつかむであろう諸君ばかりではない。運悪く勝利に至ることができない諸君にだって、栄光の凱旋門をくぐって当然の素晴らしい青年がズラリと居並んでいることを、よくわかっているつもりである。
 諸君、諸君はここまでホントに勇敢に戦った。これほど勇敢で雄々しい戦いを戦うことは、これからの一生でもなかなか考えられない。今井君なんかはホントにダメなクマであるから、数学も怠け放題に怠け、告白するなら「文系だったのに、実は世界史ですらマトモに最後までやってません」というテイタラクだったのである。
エッフェル塔
(凱旋門から、雨のエッフェル塔を望む)

 しかしそれなのに今井君は、2014年東京大学の世界史の問題を的中させた。「トルコ史、特にクリミア戦争の周辺が危ないね」という予言は、ごく身近なヒトしか知らないが、2月下旬のクマ予言として、長く記憶にとどめられていいぐらいかもしれない.
 ま、いいか。明日からの今井君は、日本全国を駆け巡る日々を再開する。神戸→西宮→福岡→前橋→室蘭→函館→長崎→豊橋。サト助がそうやって全国行脚をやっているうちに、多くの受験生諸君の運命が決するのであるが、最終的な合不合がどうあれ、結果から逃げることなくキチンとこの後の人生を歩んでほしい。
凱旋門3
(シャンゼリゼからの凱旋門、拡大図)

 さて、凱旋門の写真を4枚も掲載したからには、旅行記「マタパリ」を復活させないわけにはいかない。12月27日、雨のオルレアンから臨時列車でパリ・オーステルリッツの駅にたどり着いたサト助は、その足でそのまま地下鉄6号線に回り、凱旋門の足許に到着した。
 ホントなら途中の駅で降りて、雨に濡れるエッフェル塔の姿を写真に収めてきたかった。しかし諸君、さすがにこの夜は冷たい雨が冷たすぎて、夜のエッフェル塔の写真を幾枚か撮影することさえ躊躇うほどだった。
 6号線終点の正式名称は、「シャルルドゴール・エトワール」。クリスマス直後の冷たい雨に濡れる凱旋門の駅に降りると、「エトワール」の星形の反対側に出てしまった。「すぐにシャンゼリゼの坂を降りていこう」と考えていたが、地上に上がると、まさにシャンゼリゼの反対側であった。
 ま、こんなにツイていないパリの旅があってもいいのである。到着からずっと冷たい雨。明日は東京に戻るという夜なのに、やっぱり激しい雨。パリから郊外に離れるといくらか晴れていたのに、パリに戻るとまたまたどこまでもしつこい冬の雨。しかし諸君、レマルクが60年前に描いた通り、これもまたパリの真実の姿なのである。
 
1E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
2E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
3E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION③
4E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION①
5E(Cd) Karajan:BACH/MATTHÄUS PASSION②
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