Sun 140105 中学受験生との交流 王たちのシンボル オルレアンに向かう(マタパリ27) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 140105 中学受験生との交流 王たちのシンボル オルレアンに向かう(マタパリ27)

 毎度おなじみのことであるが、「お仕事の日々の記録」と「海外旅行記」とが互い違いになって、「いったい今このサトイモはこの地球のどこにいるんだ?」と、読者諸君は首を傾げていることだろう。
 今日は1月29日。2月1日を控え、受験生諸君だってそろそろ本格的な入試の日々が始まるはず。首都圏の中学受験は2月1日からだから、小学6年生たちは今ごろホントに大変だ。大学受験生なら「放っといてほしい」とさえ言えば静かに放っておいてもらえるが、中学受験となるとそうはいかない。
 塾の側でも、「中学受験は塾の花」などといって、最後の最後、ギリギリのギーリギリまで、やいのやいのと小6生を煽り立てる。1月31日の夜8時、わざわざ小6生を大教室に集めて「壮行会」などということになる。
 一昨日書いた通り、今井君はかつて埼玉県南浦和の塾で校舎責任者をやらされていたことがあるから、その辺の事情はマコトによく分かる。1月30日も31日も、「朝から晩まで直前特訓」ということになる。
 講師たちももう目の前が真っ赤になっていて、特訓に次ぐ特訓だ。算数・国語・理科・社会、4人の先生が我れ先に特訓授業に駆けつける。主人公である小6生のほうは正直言ってヘトヘトなのだが、パパとママ、講師に校舎長に事務長まで、オトナのほうで歯止めが利かなくなっている。
サラマンダー
(フランソワ1世のシンボル、炎のサラマンダー。ブロワ城にて。ケータイの待ち受けにして、受験のオマモリにぜひどうぞ)

 意地悪いヒトが見れば、「塾の宣伝広告を兼ねた大パフォーマンス」ということになるのだが、先生方にはそんな思いはヒトカケラも存在しない。ひたすら全員合格させたいし、ひとしずくの涙も見たくないので、
「アイツにはこのプリント」
「コイツはまだココをマスターできていなかった」
「清宮の第1志望のヤマはココ」
「高島の苦手な天文分野、最後まで特訓してやらなきゃ」
と、コピー機の前は大混雑になる。
 ヘトヘトの小6生も、ここまで周囲が必死になれば、「ネミー」「疲れた」「カッタリー」とか、そういうホンネを吐くわけにはいかない。4科目の先生方が作成した超大量のプリントを全部やり遂げ、午後8時、いよいよ大教室での壮行会に出席することになる。
ヤマアラシ
(ルイ12世のシンボル、ヤマアラシ。ブロア城にて。上のサラマンダーとともに、受験のオマモリにどうぞ)

 コドモたちの「やり遂げた」という晴れやかな表情は、アルバイト気分の校舎責任者クマ蔵からみても、思わず感激で涙ぐむほどであった。講師・校舎長・事務のオネーサンたち(彼女たちもまた塾の花なのだ)・パパたちとママたち、みんなが教室の入口に並んで、粛粛と入場してくる小6生たちを暖かい拍手で迎える。
 そういうときには、ずっと指導してきた小学部の先生たちばかりでなく、中学部や高校部の先生方も動員されてコドモたちに拍手をおくる。これがまたコドモたちには晴れがましいのだ。
 中学部の英語の先生。高校部の数学の先生。何だか知らんがいつもは難しい顔で難しそうな科目を教えている馴染みのないオトナたちまで、今はあんな笑顔で自分たちに拍手をしてくれている。
 高校部の英語の先生なんか、中学受験とは全くカンケーないけれども、「塾講師として生きていくのも悪くないな」と実感するのは、まさにこの瞬間。緊張でシャチホコばっている小6生と目が合った瞬間だったりする。
白テン
(ルイ12世の奥方アンヌのシンボル、白テン。これもやっぱりオマモリにいいと思います)

 1月31日夜まで、あと48時間程度。大学受験生諸君、もしも身近に中学受験生がいたら、彼ら彼女らの様子を見に行ってみたまえ。チャンスがあれば、一言二言しゃべってみるのもいい。
 何のカンケーもないオニーチャンやオネーチャンとコトバを交わし、何だかワケがわからないが優しく励ましてもらった経験は、コドモたちにとっても素晴らしい心の支えになる。
 大学受験生の諸君の側でも、あんなに純粋&真剣に受験に立ち向かおうとする幼いコドモたちと触れ合えば、「本番に向かって中ダルミの真っただ中」というキミの心は、「やらなきゃな」とビックリするほど奮い立つはずだ。
 その昔、一つの家庭に兄弟姉妹がいくらでもいた頃の日本なら、高校生の姉が小6の弟を支え、ナマイキな妹とコトバを交わすことがお兄ちゃんの励みになった。今はそういう関係を塾の中で見つけるしかない時代なのかもしれない。
 かく言う今井サト助は、すでに「受験生のオニーチャン」どころか「受験生のパパ」という風情。「受験受験と受験一色に染まってちゃ、受験そのものも煮詰まって中田ルミになってしまうぞ」と、優しくアドバイスしてあげたいのである。
 もちろん、「中田ルミ」と変換したのはmac君の責任であって、全国の中田ルミちゃんに謝罪しなきゃいけないのはサト助ではない。サト助はチャンと「中だるみ」と思って書いているのだが、ガンコなmac君は意地でも「中田ルミ」「中田ルミ」と、自らの意志を変えようとしないのだ。
 ま、いいか。とにかく「受験受験と受験のことしか考えていないと、中田ルミになっちゃうぞ」であって、この時期のサト助が頻繁に海外旅行記をブログに挿入するのは、そういう親心からである。「不謹慎だ」「ノンキすぎる」とか、そういう批判はあたらない。
オルレアン
(12月27日お昼前、クマ蔵はブロワからオルレアンに到着)

 12月27日、ブロワ城をゆっくり堪能した今井君は、これから電車でオルレアンに向かう。お城にはフランソワ1世のシンボル「火トカゲ」または「炎のサラマンダー」の像がズラリと並んで、たいへん可愛らしかった。
 他にも、ルイ12世のシンボル・ヤマアラシ、その奥方アンヌのシンボル・白テンも、「また来てくださいね」と歓声をあげながら見送ってくれた。どうだい、今井君のシンボルはクマにサトイモにキウィ。フランス王族の人々より、ずっとたくさんシンボルを持っているのだ。かっかっか。
 冷たい雨の中、ブロアの駅まで徒歩で戻って、オルレアンまでのキップを買う。ドイツでもイタリアでもスペインでも、この5~6年でキップの自動販売機が急速に普及して、大混雑の有人窓口に並ぶ必要がなくなった。
 「1列に並ぶ」「整列する」が苦手な欧米人は、有人の窓口だとすぐに列は崩れ、丸いオダンゴ状になってラチがあかなくなる。「こんなに列が出来ているのに、どうしてそんなに熱心に窓口のヒトと話し込むかな?」という迷惑な人々も多くて、1人につき5分は覚悟しなければならない。
 だから自動販売機の普及はマコトにありがたい。チケットを手に入れる時間が大幅に短縮されたし、ドイツなんか「乗り継ぎ一覧表」という便利なものまで、キップと一緒にプリントアウトしてくれる。
チケット
(ブロワ→オルレアンのチケット)

 ただし、決して「日本と同等」を期待してはならない。21世紀の日本は間違いなく「おとぎの国」なのである。何もかもがスムーズ、何もかもが至れり尽くせり、痒いところに手が届き過ぎで、たとえ「痒いところ」が数万光年のカナタでも、日本の「マゴの手」は見事にそこをカリカリ掻いて癒してくれる。
 ブロワからオルレアンまでは、電車で40分ほどの道のり。サト助が乗る電車は、TGVでも新幹線でもなく、普通料金の電車に過ぎない。しかし、そのチケットを手に入れるのに、最短でも10分は覚悟しなければならない。
① 大きな駅なのに自動販売機は3台しか設置されていない
② 3台のうち1台は故障中。おそらく永遠に修理されない
③ 残った2台に、それぞれすでに2人ずつ並んでいる
④ その2人は、心行くまで機械の操作を楽しんでいる。後ろのヒトのことなんか考える余裕はなくて、納得いくまで機械君とのヒトトキを満喫する
⑤ 機械の反応が言語道断に遅い。日本の自動販売機のタッチパネルと比較すれば、スピードは5分の1程度。押したいボタンを指先でジックリ温めてあげると、しばらくして「ああ、そうですかぁ?」という反応を返してくれる
 ま、そんな状況である。オルレアン行きのキップを手に入れるまで、この日もやっぱり10分+αが経過。電車の時間まで30分ぐらいの余裕をもって駅に着かないと、乗り遅れる危険が常につきまとう。それが、21世紀前半の欧米の姿なのである。

1E(Cd) Bobby Coldwell:BLUE CONDITION
2E(Cd) Boz Scaggs:BOZ THE BALLADE
3E(Cd) The Doobie Brothers:MINUTE BY MINUTE
4E(Cd) Solti & Wien:MOZART/GROßE MESSE
5E(Cd) Solti & Wien:MOZART/GROßE MESSE
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