Sun 131222 センター試験が迫る サト助の高揚感を追体験してくれたまえ(マタパリ18) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 131222 センター試験が迫る サト助の高揚感を追体験してくれたまえ(マタパリ18)

 「センター試験まで残り3日」という緊迫した状況の1月15日、普通の予備校講師のブログなら、まさかフランス旅行記なんかにウツツを抜かしたりはしない。「がんばれよ」「落ち着くんだ」「慌てるな」「泣いても笑ってもあと3日」とか、その類いの「熱いメッセージ」を求めて、エラい先生のページを開く受験生が圧倒的に多いだろう。
 しかし諸君、今井クマ蔵はすでに超ベテランの域に達しているので、そういうアドバイスはもっと若い講師諸君に任せてしまっている。そもそも、この上なく大切な試験の直前になって「頑張れよ」もないじゃないか。そんなこと言われなくても、誰だって頑張るに決まっている。
 交差点をわたるコドモや、初めて1人で外国に出かける若者に、わざわざ「気をつけて」と言う必要があるだろうか。別にそんなアドバイスをしなくても、彼ら彼女らは「気をつける」に決まっている。この世の中には、その種のムダなアドバイスがあふれているのだ。
 エスカレーターに乗るときにも「気をつけて」。甲子園で戦う高校生に「全力を尽くせ」。中学受験の朝、12歳の息子や娘に「ケアレスミスするなよ」。その類いのセリフは、フィギュア選手に「ジャンプの後で転ぶなよ」、握力の強い寿司職人に「シャリを握りつぶすなよ」、真顔でそう言うのと同じぐらい滑稽である。
 だからボクチンは、これからセンター試験を受けにいく諸君に向かって
「全力を出し切ってこい」
「集中力が大切だ」
「悔いのないようにな」
「慌てるな」
「落ち着くんだ」
みたいな、チョー当たり前のことは言いたくないのだ。
 「落ち着け」と言われたからといって落ち着けるヒト、「慌てるな」と言われたから慌てないでいられるヒト、「集中しろ」とアドバイスされて集中できるヒト、そういう人物自体が、すでに奇跡的だ。もしそんなことが出来るなら、もともと予備校講師なんかにアドバイスなんかされなくても、落ち着き、慌てず、集中できるはずである。
ストラスブール1
(夕闇のストラスブール大聖堂に前進 1)

 だから今井サト助は、「全力を尽くせ」と言われても全力を尽くせないというタイプのヒト、「集中しろ」と言われても集中できないヒト、「慌てるな」と絶叫されても思わず慌ててしまうヒトのためのアドバイスをおくりたい。諸君、「負けそうだ」と感じたら、素直に「負けそうだ」と自分に告白して、実際に「負けそうー♨」と呟いてみたまえ。
 その時、ニヤニヤすることも大切。ニヤニヤがムリなら、ニタニタでもいい。ニヤニヤして、ニタニタして、ついでに「負けそうー♨」「くじけそうー♨」「慌てそうー♨」とペロリと舌を出し、せっかくだからその負けそうな顔を鏡に映してみたまえ。驚くなかれ、その時キミは他の誰よりも落ち着いて集中しはじめている。
 それでも心が落ち着かなかったら、去年も書いたような気がするが、口を「え」の字にして、そのまま15秒ほどジッとしていたまえ。「え」を発音する口の構えは、イコール明るい微笑の笑顔である。
 不思議なことだが、形だけでも笑顔を作っていると、心まで笑顔に変わってくるものだ。789年も生きてきたベテラン・サトイモの言うことだ。みんな信じてやってみたまえ。
 どんなに苦しくツラいときでも、作った笑顔でかまわないから、とにかく笑顔でいること。するとあら不思議、まず心が笑い、つられて肉体が笑い、肉体が笑うと自然に結果がついてきて、試験の結果もまた明るい笑顔に包まれる。
ストラスブール2
(夕闇のストラスブール大聖堂に前進 2)

 そもそも、センター試験が最終目標であるようなヒトはいないはずだ。センター試験の後には第1志望の本試験が控えているだろうし、第1志望の試験の後には、「ホントにやりたかったこと」の広大な世界が広がっているはずだ。
 諸君の真価が試されるのは誰が何と言ってもその広大な世界であって、センター試験などというのはホンモノの戦いの前夜、戦端が開かれる前のツバ迫り合い程度のものである。
 「緊張するなよ」というヒトコトでさえ、本来は滑稽なアドバイスに過ぎない。そんなことを口にする講師には、「せんせー、我々をあまり見くびらないで下さいよ」ぐらい、毅然として言い返していいのである。
ストラスブール3
(夕闇のストラスブール大聖堂に前進 3)

 以上のような考察を経て、サト助は今日もまたフランス旅行記にウツツをヌカすことにする。今井の授業をしっかり受講してきたほどの諸君が、センター試験なんかを最終目標に据え、人生の全てをかけているとは思いたくない。
「我が人生の興廃はすべてこの一戦にかかっている」
「天気晴朗なれど波高し。Z旗を揚げよ!!」
とか、センター試験とはそういうレベルのものではない。今井クマ蔵が諸君に期待するのは、
「これは緒戦にすぎない」
「鎧袖一触、笑顔であっという間に蹴散らしてくれる」
「第2戦・第3戦と続く戦いも、悠然と勝ち抜いていく」
「自分が目指すのは、宇宙征服のレベル。緒戦の緊張で自滅するようなコモノでないことを、この世の中に思い知らしてくれんず」
この類いのドッシリした姿勢。だからこそこの20年、予備校講師として「宇宙征服」「鎧袖一触」「悠然と」というサインを数万枚も書きまくってきたのだ。
 こういうふうで今井クマ蔵自身も、センター試験が迫ったからといって、何か特別な態度をとろうとは思っていない。年末にフランス東部を旅して、その旅行記がまだ途中だというなら、やっぱりその旅行記を黙って悠然と継続すればいいのである。
ミサ1
(ストラスブール大聖堂。クリスマスミサが進行中だった 1)

 12月24日の夕暮れのサト助は、あまりにもバッタモノくさいコルマールをサッサと離れ、12世紀建造の大聖堂が待つストラスブールに帰ってきた。パリに帰るTGVまで2時間しかないが、クリスマスイブの夕暮れの空を背景にスックと立つ大聖堂の姿を、サトイモの脳裏に刻みつけておきたかった。
 国鉄駅からトラムに乗って10分、大聖堂前の広場に到着したのが16時55分。藍色の薄闇を背景に、ピンク砂岩の大聖堂の迫力は圧倒的である。賑やかなクリスマス市の向こうに、ピンクの壁は重々しい赤褐色に変わって、周囲を圧するようである。
 と、その時、高い鐘楼から荘厳な鐘の音が響きはじめた。17時のミサの始まりを告げる鐘である。目の前には赤褐色の大聖堂。ヒトビトをかき分けて、華やかなクリスマスの鐘の音の中を、クマ蔵は真っすぐに大聖堂に進んでいく。諸君、これ以上ドラマチックなシチュエーションが考えられるだろうか。
ミサ2
(ストラスブール大聖堂。クリスマスミサが進行中だった 2)

 今この記事を読んでいる諸君。アナタには、ストラスブール大聖堂からクマ蔵が最高の幸福を運んできた。今年の受験生はもちろんのこと、来年の受験生や、受験生の周囲でヤキモキし続けたオトナたち、諸君が一緒に暮らしているイヌ君やネコ君やイタチ君にまで、クマ蔵が地球の裏側から運んできた幸運のタネを分けてあげようと思う。
 だって諸君、あの鐘の音の中を大聖堂に向かってズンズン進んでいった時にクマ蔵が感じたのは、「もう誰にもボクチンの前進を止めることは出来ない」という恐るべき充実感であったのだ。今日掲載した大聖堂の写真を眺めながら、ぜひその高揚感を追体験していただきたいのである。

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