Sat 131214 エクアドル短時間誘拐について 外国では公共交通機関を利用(マタパリ12) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 131214 エクアドル短時間誘拐について 外国では公共交通機関を利用(マタパリ12)

 エクアドルの事件に関し、南米を旅する者としてどうしても一言ここに書いておかなければならない。街で流しのタクシーに乗り、いわゆる「特急強盗」の被害に遭ってしまった新婚2人の悲劇についてである。
 あまりにも残念な事件であって、犠牲者の冥福をお祈りするとともに、1日も早い犯人グループの拘束を待つばかりである。「特急強盗」については、テレビの報道などで詳しく伝えられている通り。他に「短時間誘拐」「稲妻強盗」「簡易誘拐」など、さまざまな呼び方があるようだ。
 1年半前、アルゼンチンのブエノスアイレスを旅する直前、いろいろと現地情報を調べているうちに、アルゼンチンにもソックリ同じ犯罪が多発していることを知った。「空港からでもホテルからでも、タクシーはできるだけ避けるように」というアドバイスをネット上でたくさん発見した。
 だから今井君は空港からホテルまで「レミース」を利用。ホテルから空港に戻る日にも、やっぱりレミースをお願いした。レミースとは一種のハイヤー・サービスであって、車体の外見は完全に自家用車。ドライバーは「いかにも紳士」という雰囲気で、往復のドライブはマコトに快適だった。「日系人による経営」という話もあって、まあ安心して乗れる。
パリジャン
(深夜や早朝の地下鉄でも、現地のヒトに完全に同化すれば危険は少ない。パリ地下鉄内のクマ蔵どん自分撮り)

 ブエノスアイレスで一般のタクシーを利用したのは1回だけ。何しろ
「タクシー運転手の中には犯罪組織とつながっている者がいて、いつのまにか犯罪多発地域に入り込み、客はそこで置き去りにされます。すると拳銃をもった男たちに囲まれ、クレジットカード使用限度額の現金をすべて引き下ろさせられたうえ、暴行を受けて放置されます」
という類いの情報があふれていたのである。タクシーを見ただけで、何となく縮み上がるような思いがした。
 たった1度だけタクシーを利用した時も、それなりに「なるほどな」という感じだった。彼は「自虐系」。ワザと道を間違えて大きく遠回りした上、自分のアタマをポカポカ何度も殴りつけ「オレは何てバカなんだ。道を間違うなんて、バカバカバカ、オレのバカ!!」という姿を見せつけて、結局はメーター通りの料金を要求した。
 そういうやり方は今井君もキライだから、トルコのイスタンブールでは思いっきりタクシー運転手を叱りつけた。たった5分の乗車で3000円に相当する額を要求。しかしその前々日、イスタンブール空港からホテルまで40分も乗車して5000円で済んだ経験があるから、「3000円はおかしい」「いや、おかしくない」「いや、絶対にオカシイ」と、この言い合いに負ける気がしなかった。
パリ地下鉄1
(大好きなパリ地下鉄。深夜早朝とも、まずは何とか安全である)

 言い合ううちに、相手の要求はどんどん下がっていく。「なら、2000円でもいい」「1000円でいいことにしてやろう」。うーん、その値切り方がまたムカつくじゃないか。「日本人は気が弱いから、吹っかければ払うよ」というウワサの拡散を直感した。
 今井君はそういう態度にますます腹を立てるタイプだから、「もう絶対に許さない!!」と気持ちは燃えに燃えた。「5分の乗車なんだから、500円程度。そもそもどんどん値段を下げていくのはオカシイだろ」という強硬姿勢を最後まで貫いた。
 ああいうのも、かなり危険なのかもしれない。ドライバーが犯罪者集団とグルになっているケースも少なくないようなので、トルコはともかく、この種の犯罪が多発している中南米では、「とにかく相手を逆上させるのは危険」「言いなりになりなさい」というアドバイスが大使館のHPにも掲載されている。
 今井君の知り合いからの情報によれば、「高速バスだって、やっぱり危険ですよ」とのこと。彼がメキシコの空港から高速バスに乗っていたところ、拳銃強盗に遭遇。何しろ空港から都心へのバスだ、多くの乗客が多額の現金を身につけている。
 バスは拳銃に脅されて停車、2人組の強盗が乗客の1人1人から現金を巻き上げて、サッサと逃走したとのことである。定期運行のバスは、夜の高速道路の闇を通る。確実にその場所を通るのだから、犯罪者集団だって狙いやすい。中南米では拳銃の入手もカンタンとのことなので、この種の犯罪はまだまだ多発しそうだ。
オンフルール
(オンフルール。ノルマンジーの冬の強風が吹きつけていた)

 昨年9月に旅したブラジルにも同じようなウワサが流れ、「路上でタクシーを拾って乗ってはいけない」との情報があった。ホテルの前でさえ危険であるらしく、宿泊していたホテル前に止まっていたタクシーに乗り込もうとしたところ、ホテルのベルボーイが大慌てで走り寄ってきて、タクシーのドライバーに厳しい態度で数々の質問を浴びせた。
 結局「このクルマなら大丈夫です」とOKが出たけれども、慌てて駈け出してきたベルボーイの切迫した表情に、凶悪犯罪が多発している状況への危機感がハッキリ見てとれた。諸君、中南米を旅している時は、流しのタクシー利用は今のところ出来るだけ避けたほうがいい。
 むしろ地下鉄や路線バス利用のほうが遥かに安心感がある。サンパウロでもリオデジャネイロでもブエノスアイレスでも、地下鉄で身の危険を感じたことは一度もない。それは夜間でも同じであって、今のところ治安対策は公共交通機関が優先のようである。
 ガイドブックの情報は、その点で3~4年遅れているようだ。「市内で食事をして夜遅くなったときは、タクシーを利用するほうがベター。夜間の地下鉄は危険です」みたいなアドバイスが掲載されているが、地下鉄で身の毛のよだつような経験をしたことはない。
 考えてもみたまえ、地下鉄なら周囲のヒトの目もたくさんある。どんなに凶悪な犯罪者だって、それなりに目撃者を恐れるはず。大声をあげて助けを呼べば、助かりようもあるだろう。
吊り橋
(オンフルールとルアーブルを結ぶ橋。セーヌの河口を路線バスが走る。橋の通行は有料なので、タクシーに乗ると「帰りの通行代金」もタクシードライバーに請求される)

 「周囲の乗客は冷たく傍観しているだけ。助けになってはくれません」と書かれたガイドブックもあるが、いやいや、助けになってくれるケースだって少なくないはずだ。電車にもホームにもSOSボタンがあるし(ただし実際に機能しているかどうかはわからない)、意識の高い鉄道職員もたくさんいる。
 ところがタクシーということになれば、味方になってくれるのは運転手さん1人だけだ。数名の犯罪者に狙われれば、ひとたまりもない。しかも、「ドライバーもグル」という状況で見知らぬ土地の暗がりに連れ去られたら、もうどうしようもない。略奪と暴行を防ぐのは至難の業。それこそ大使館HPにあるとおりに「言いなりに」「逆上させないように」しか道はない。
 ニューヨークみたいな大都会だって、やっぱり油断はできない。一昨年8月、金曜の夕暮れに空港に向かおうとしていると、タクシーがちっともつかまらない。自分で30分ほど悪戦苦闘し、ホテルのベルボーイにもさらに30分頑張ってもらったのに、流しのタクシーは結局1台も止まらなかった。
 すると、困り果てている今井君に「白タク」=要するに無認可タクシーが目を付けて、盛んに誘いをかけてくる。「どこまで行くんだ?」「空港か?」「乗らないか?」と言うのである。
 黒塗りの高級車の窓がスーッと開いて、いかにも紳士ふうの男が声をかけるのだから、思わず誘い込まれそうになって危険きわまりない。ホテルマンが冷たくあしらってくれたからいいようなものだが、うにゃにゃ、どんな犯罪が待ち受けているかわかったものではない。
パリ地下鉄2
(他に乗客のいないこういう車両はやはり危険である。行動はできるだけ、地元のヒトビトと一緒に)

 こういうふうで、不便なルアーブルでもオンフルールでも、今井君は普通の地元民が乗ってチンタラ走る路線バスや路面電車を利用。マジメに働いている地元の人たちと一緒に行動していれば、危険に巻き込まれる確率はずっと低いはずである。
 ルアーブルからはフランス国鉄のインターシティに乗って、パリのサンラザール駅に帰った。ホテル到着21時。諸君、さすがのサト助も、寒風吹きすさぶ田舎町を歩き回って本日は疲労困憊だ。
 しかも明日は朝5時に起床しなければならない。5時起床→お風呂に入って→ブログ1本アップして、6時45分には部屋を出る。パリ東駅8時半発のTGVでストラスブールに向かう予定。こりゃ、すぐにベッドに入らなくちゃ。「ひぐま」にラーメンぐらい食べに行きたいが、それはまた明日の晩にして、今夜はすぐにスヤスヤ眠ることにする。

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.4
2E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
3E(Cd) Baumann:MOZART/THE 4 HORN CONCERTOS
4E(Cd) Solti & Wiener:MOZART/GROßE MESSE
5E(Cd) Rilling:MOZART/REQUIEM
total m70 y2250 d12445