Thu 131212 月下独酌がいい 高イビキと日本髪 住吉大社→蕎麦屋→福島の串揚げ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 131212 月下独酌がいい 高イビキと日本髪 住吉大社→蕎麦屋→福島の串揚げ

 大阪・国立文楽劇場を訪れた1月3日の今井君であるが、昨日の記事に写真を掲載した通り、「お人形にお酒を注いでもらう」という稀有な体験に心を踊らせていた。
 人見知りなサト助は、「ヒトにお酒を注いでもらう」というのが苦手中の苦手。特に「見知らぬ女のヒトがお酌をしてくれる店」がチョー苦手であって、昔、友人なんかにそういうお店に連れて行かれると、緊張のせいで翌々日ぐらいまで肩が凝ったものである。
 どこの予備校でも、「そういうシチュエーションが大好き」というセンセと遭遇することは珍しくないが、今井君はどうしてもダメなのだ。代ゼミ時代、「意地でも今井サンをそういう店に連れて行きたい」というお節介きわまりない御仁がいて、「六本木に馴染みの店があるから行きましょう」と、無理やり引っ張られて行ったことがあった。10年以上前のことである。
 すると諸君、クマ蔵はもう店に入った瞬間から「何もかもがイヤ」「目にする全てが大キライ」「そこにいる全ての人間を叱りつけたい」という、マコトに激しい反応を示した。しかも諸君、事もあろうに近くの女のヒトが「先生の授業、むかしウケたことがあります」とおっしゃった。
 おお、なんてことだ。こりゃイカン。今井君は身震いしながら立ち上がって、「それなら、こんなバイトなんかやってないで、すぐにマジメに勉強を再開すべきだ」とヒトコト。そのまま「気持ち悪いんで」と言い訳して1人で店を出た。いやはや、「短気は損気」であるが、サトちゃんは別にあれで損をしたなんて思ったこともない。
太鼓橋
(1月3日、大阪・住吉大社に初詣に行く。「太鼓橋」もたいへんな混雑だった)

 こういうタイプだから、女のヒトばかりか、オジサマたちのお酌だって肩が凝る。お酌は自分でするものであって、何よりいいのは「月下独酌」である。独酌は、月の下でも花の下でも、雪明かりや菊のカホリの中でもいい。
 おお、まるで「天声人語」の世界であるが、「ほぼ独酌」として、文楽の華やかなお人形さんにお酌してもらうなら、これはホントに稀有な素晴らしい体験である。ボクチンは枡に注がれた約1合の日本酒を、文楽劇場の入口で一息にグイッと飲み込んだ。
 この「鏡割り」に並んだヒトビトはたいへん多かったが、全員がお人形のお酌を受けられたわけではない。お人形さんも、それを遣っていた人形師たちも、30分後には舞台に登場しなければならない。「まもなく舞台ですので」ということで、今井君の次の次ぐらいのヒトまでお酌をして、退場することになった。
 もちろんその後ろにも長い列が出来ていたから、みんな枡酒だけはもらえたようだが、お人形のお酌は今井君の直後のヒトまで。まさにギリギリ・セーフだったわけで、2014年の今井君は抜群に運がいいようだ。
鴨南蕎麦
(大阪での新年会、1次会はお蕎麦屋。まず鴨南蛮のお蕎麦で腹ごしらえをした)

 こんなふうに、客席の人々はみんな朝酒に酔っぱらっていたから、幕が上がって早速そこいら中から高イビキが聞こえた。遠慮会釈のない高イビキと、それを叱りつける連れの人の声。イビキのヌシは酔っぱらったオジーチャン。「あんた、何やってんのよ、みっともない!!」と叱るのはオバーチャン。マコトに微笑ましいお正月である。
 冒頭の「二人禿」で、ついさっきお酒を注いでくれたばかりの禿2人が、花の下で華やかに舞った。何だか夢の中のような光景に、オジーチャンたちの高イビキはもう止まらない。バーチャンはますます厳しく叱りつけなければならない。
 こういうふうで、午後3時まで「源平布引滝」「梅川忠兵衛」と続いた2ヶ月ぶりの文楽は、マコトに華やいだ雰囲気。そこいら中でオジーチャンとオバーチャンの言い争いが起こり、私語はやまず、そうかと思えばお弁当にお茶にジュースに、飲食の騒音も静まらない。
南進
(1月3日、新年会の2次会場を求めて道頓堀をうろついた。発見したのが「南進」。東に進むのもいいが、タマには南に進むのもいいかもしれない)

 意外に気になるのは「キャンディーの包み紙をむくチリチリ音」である。眠気ざましにキャンディー。自分の口臭が気になってキャンディー。その気持ちはよくわかるが、緊張した劇場空間でのセロファン紙のチリチリ音は、おそらく演じている役者や演奏者にもかなり気になるものなんじゃないか。
 さすが関西だけあって、和服の女性も多い。中には「日本髪を結った女性」なんてのもいらっしゃる。何しろお正月だ。日本髪もまた奥ゆかしいけれども、「あの盛り上げ放題に盛り上げた髪の後ろの席のヒトは、さぞタマらんだろうな」と可哀そうになった。
 最後のクライマックスを豊竹嶋大夫が語り、吉田蓑助のつかう遊女梅川が盛り上げて、終演が3時。まだ飲み会には早すぎたから、「住吉大社に初詣に行ってくるか」という話になった。
 文楽劇場のある日本橋から難波を縦断して15分ほど歩けば、恵美須町からチンチン電車に乗れる。この路面電車で10駅ほど行くと、大阪の初詣のメッカ・住吉大社である。たどりついてみると、お正月ももう3日目の夕暮れだというのに、屋台もたくさん出てたいへんな賑わいであった。
髭政
(大阪を一気に北上して、2次会は福島の「髭政」。串揚げもワインも旨かった)

 難波まで戻って、ようやく新年会。もうすでにポカポカに温まった旧交を、さらにお酒で温めることになった。1次会が難波のお蕎麦屋。1時間で焼酎のお湯割りを4合ほど痛飲、ついでに鴨南蛮のお蕎麦で腹ごしらえをした。
 しばらく難波をウロウロした後、2次会は一気に梅田に北上。梅田の大混雑を避け、1つ隣の福島駅で降りると、薄暗い路地にシブい店がいくらでも軒を並べている。旨そうな店があんまり多いので少なからず迷うぐらいである。
 最終的に選んだのは串揚げの「髭政」。カウンターが7~8席、奥に4人のテーブルが1つ。狭い店だが、正月早々満員の盛況である。サト助より5~6歳年上の、髭もサトちゃんより相当ゴツい感じのマスターが、旨いボルドーワインを選んでくれた。串揚げも7~8本。ついさっきお蕎麦で腹ごしらえをしたばかりなのが恨めしいぐらいの旨さで、ボルドーも次々にカラッポになった。
カラオケ
(3次会は、オジサマの定番・カラオケ。年末に亡くなった大滝詠一を忍んで、徹底的に大滝詠一シリーズをやった)

 ちょっとウロウロしただけの難波で、嬉しい出会いが2つあった。まず、難波駅前で信号待ちをしていると、「今井先生ですか?」と尋ねられた。現在28歳、「代ゼミでウケてました」という男子である。もう立派な社会人になっていらっしゃる。おお、今井君にとって「代ゼミは遠くなりにけり」と実感する瞬間であった。
 さらに難波を北上して、道頓堀・法善寺横丁あたりを歩いていたら、若いカップルが声をかけてくれた。これまた「今井先生ですか?」だが、彼らは東進で授業を受けていた2人。もう大学を卒業して、2人ともやっぱり社会人である。「大いに頑張ってくれたまえ」と握手して、一緒に写真にも収まった。

1E(Cd) Solti & Wien:MOZART/GROßE MESSE
2E(Cd) Fischer & Budapest Festival:BRAHMS/HUNGARIAN DANCES
3E(Cd) Hungarian Quartet:BRAHMS/CLARINET QUARTET・PIANO QUINTET
4E(Cd) Alban Berg:BRAHMS/KLARINETTENQUINTETT & STREICHQUINTETT
5E(Cd) Backhaus(p) Böhm & Vienna:BRAHMS/PIANO CONCERTO No.2
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