Sun 131208 笑う白馬と、新年おめでとう お神酒は→カルバドスとシードル(マタパリ9)
諸君、あけましておめでとうございます。東京は快晴で、マコトにおめでたいお正月になりました。
本年はウマの年でござるから、記念すべき本年1枚目の写真は、何と言ってもおウマの写真にしたい。しかも意地っ張り&欲張りな今井君としては、平凡なウマじゃどうしてもイヤである。
特に2014年には、昨年までの穏やかな今井君からは考えられないぐらいの強烈で獰猛な執念を燃やしている。ブログ1枚目の写真は意地でも
① 笑顔のウマさんにしたい
② 至近距離からのウマさんにしたい
③ ニャゴロワみたいにキレイな白馬にしたい
以上3点、寒風吹きすさぶ12月の北フランスを旅しているときから、「ウマさんの写真♨」「どうしても笑顔の白馬の写真♡」と、虎視眈々とウマを狙ってカメラを構えていた。
しかし諸君、今や21世紀も序盤を終え、ウマなどという四つ足が街なかを平気で歩いている時代ではなくなった。ジャンヌダルクの時代ならともかく、今やおウマを見られるのは映画のスクリーンか競馬場ぐらい。いくら夢中でカメラを構えていたって、そうカンタンにウマが目の前に登場したりはしない。
12月23日、なかば諦め気味にサンラザール駅から電車に乗り込んだサト助は、車窓の右側に延々とセーヌ河を眺めて過ごした。パリからルーアン、ルーアンからルアーブル。この線路はまるで「たっぷりセーヌの眺めを楽しんでください」という意図で作られたかのように、セーヌ、セーヌ、またセーヌなのである。
春から夏、夏から秋のセーヌは、いつでも深い美しい緑色である。日本の都会で泥色に澱んだ河ばかりを見慣れているクマ蔵にとって、緑のセーヌは常に驚きの対象だ。大都会パリのど真ん中で、美しい深緑の水をタップリ湛えたセーヌが悠々と流れ続けるありさまは、ほとんど奇跡にさえ思える。
しかし真冬の12月、しかも連日の冷たい雨を集めて流れるんじゃ、さすがにセーヌもエメラルド色というわけにはいかない。荒々しい泥の色に変じたセーヌが電車の窓の右側にとりついて、下流に進むに従ってどんどんその泥の色を濃くしていった。
ノルマンジー海岸、ルアーブルの街にたどり着いて、荒れ果てた北の海を眺めた時、今井君は「ニャゴみたいな真っ白なウマの笑顔は、今日も諦めなくちゃいけないな」と思っていた。
だって、とてもそんなトボケた雰囲気ではない。ちょうどお昼時、オバサマやオジサマが、ハダカのままのフランスパンを両手にワシヅカミにして家路を急いでいく。ジーチャンなんか、長いフランスパンをステッキみたいに勢いよく振って、強烈な北風に抵抗している。
こんなキビシイ雰囲気の中で、白いおウマが歯をむき出してニヤニヤしている現場になんか、まさか出会えるはずがない。さすがに強運なクマ蔵だって、そんなのを期待するのは、残り5分から5点差の逆転を狙うサッカーチームみたいなもんじゃないか。
しかし諸君、どんなことでも同じだが、決して最後まで諦めてはいけない。残り5分からだって、5点差を逆転することはできる。2001年、あるラグビーの試合で、サトちゃんはロスタイムに入ってから8点差を逆転した瞬間を見届けたことがある。諦めなければ、必ず天が味方してくれる。
今井君が「笑う白馬」を発見したのは、ルアーブル中央市場そばのクリスマスマーケット。完全な白馬とは言えないけれども、ゴマみたいな黒いツブツブのガラのついた鼻面を自分で面白がるように、サト助の前でニヤニヤ&ガハガハ面白そうに笑っていた。それが今年1枚目の写真である。
(15年もののカルバドス。色も味も、さすがに深く濃厚だ)
その姿にすっかり満足した今井君は、ルアーブルから路線バスに乗ってオンフルールの街を目指すことにした。とても優しいオバーサマの係員からチケットを買って、ホクホクしながらバス乗り場に向かった。
バスに乗り込んだのは、地元のヒトビトばかり5~6人。2時間に1本しか走っていないローカルバスだが、このあたりの特産品シードルとカルバドスにちなんで、バスにも青リンゴのデザインがあしらわれている。
シードルはリンゴの微発泡酒。スペインでは「シードラ」と呼ばれる。つい一昨年のクリスマス、マドリード・プリンチペ駅前の鶏の丸焼き屋「MINGO」で、サト助は2本も3本もダラしなくカラッポにしてきたばかりだ。
ま、甘みを一切つけない発泡リンゴジュースみたいな味。「アップルタイザー」というのがあるはずだが、アイツが苦くて、かつ5~6%のアルコールが混じっていれば、それが北フランスではシードル、スペインならシードラ。そういうことである。
(さすがノルマンジー。路線バスも青リンゴのデザインだ)
一方の「カルバドス」ということになると、アルコール度は40度以上。リンゴから作ったブランデーみたいなものである。ついこのあいだ、大阪・京橋でのお仕事後、祝勝会でスタッフの皆さんとカルバドスを賞味した。「げ、こりゃ強いや」というみんなの驚きの反応が楽しかった。
20世紀中頃の名作、レマルク「凱旋門」について、確かこのブログでも4~5年前に書いたことがあるはずだ。カルバドスを飲むたび、今井君はどうしても「凱旋門」を思い出してしまうんだから致し方ない。高校1年の夏、高校に通う電車の中で読んだのが、新潮文庫の「凱旋門」であった。
ドイツ軍による占領を間近にした絶望的なパリの裏町で、ユダヤ人外科医のラヴィックはヒロインのジョアン・マドゥーと出会う。冬の冷たい雨が降りしきる中、暗いビストロで2人がともにグラスを傾けるのが、カルバドス。この冒頭シーンは、1948年、イングリッド・バーグマンとシャルル・ボワイエ主演の映画でも有名になった。
そういう由緒正しい文庫本が、今もキチンと残っているのが今井君の恐るべき書庫である。書庫の整理も強烈で、どんな宝物でも一瞬のウチに書庫から探し出せるようになっている。「おお、久しぶりに読んでみるかな?」という気になった赤茶けた文庫は、初版が昭和30年。うお、うぉうぉうぉ、サト助が生まれる遥か以前の出版物でござるよ。
(レマルク「凱旋門」の上下巻。新潮文庫)
泥色に渦巻くセーヌの河口にかかる巨大な吊り橋をわたって、小さな港町オンフルールまで30分。河口付近では、怪しい黒雲から落ちてくる大粒の雨が、猛烈な風に乗ってバスの窓にたたきつけてくる。
バスが浮き上がりそうな、マコトに凶暴な暴風であったが、さすが地元の路線バス、こんな暴風雨にもビクともしない。13時半、時間通りにオンフルールに到着。およそ「観光客」という人種の見当たらない、しかし間違いなく本来なら観光客でいっぱいのはずの可愛らしい港町である。
まあ、ガラガラならガラガラで、ちっとも構わない。今井君の旅では、ガラガラの街で表六玉になって呆然とするのは日常茶飯事。そんなことをいちいち気にしていたら、旅はちっとも楽しくない。諸君、フランスで超オススメの街・オンフルールについての詳細は、明日の記事に書くことにしようと思う。
1E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4
2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4
3E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
4E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
5E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
total m40 y2220 d12415
本年はウマの年でござるから、記念すべき本年1枚目の写真は、何と言ってもおウマの写真にしたい。しかも意地っ張り&欲張りな今井君としては、平凡なウマじゃどうしてもイヤである。
特に2014年には、昨年までの穏やかな今井君からは考えられないぐらいの強烈で獰猛な執念を燃やしている。ブログ1枚目の写真は意地でも
① 笑顔のウマさんにしたい
② 至近距離からのウマさんにしたい
③ ニャゴロワみたいにキレイな白馬にしたい
以上3点、寒風吹きすさぶ12月の北フランスを旅しているときから、「ウマさんの写真♨」「どうしても笑顔の白馬の写真♡」と、虎視眈々とウマを狙ってカメラを構えていた。
しかし諸君、今や21世紀も序盤を終え、ウマなどという四つ足が街なかを平気で歩いている時代ではなくなった。ジャンヌダルクの時代ならともかく、今やおウマを見られるのは映画のスクリーンか競馬場ぐらい。いくら夢中でカメラを構えていたって、そうカンタンにウマが目の前に登場したりはしない。
(笑顔の白馬が笑顔で「あけましておめでとう」。2014年は素晴らしい年になりそうだ。受験生諸君は、オマモリにどうぞ)
12月23日、なかば諦め気味にサンラザール駅から電車に乗り込んだサト助は、車窓の右側に延々とセーヌ河を眺めて過ごした。パリからルーアン、ルーアンからルアーブル。この線路はまるで「たっぷりセーヌの眺めを楽しんでください」という意図で作られたかのように、セーヌ、セーヌ、またセーヌなのである。
春から夏、夏から秋のセーヌは、いつでも深い美しい緑色である。日本の都会で泥色に澱んだ河ばかりを見慣れているクマ蔵にとって、緑のセーヌは常に驚きの対象だ。大都会パリのど真ん中で、美しい深緑の水をタップリ湛えたセーヌが悠々と流れ続けるありさまは、ほとんど奇跡にさえ思える。
しかし真冬の12月、しかも連日の冷たい雨を集めて流れるんじゃ、さすがにセーヌもエメラルド色というわけにはいかない。荒々しい泥の色に変じたセーヌが電車の窓の右側にとりついて、下流に進むに従ってどんどんその泥の色を濃くしていった。
ノルマンジー海岸、ルアーブルの街にたどり着いて、荒れ果てた北の海を眺めた時、今井君は「ニャゴみたいな真っ白なウマの笑顔は、今日も諦めなくちゃいけないな」と思っていた。
(2014年のお神酒は、ノルマンジー・オンフルールの街で購入したカルバドス。瓶が砂とホコリにまみれているように見えるのは「15年ものですよ」とアピールするためのデザインである)
だって、とてもそんなトボケた雰囲気ではない。ちょうどお昼時、オバサマやオジサマが、ハダカのままのフランスパンを両手にワシヅカミにして家路を急いでいく。ジーチャンなんか、長いフランスパンをステッキみたいに勢いよく振って、強烈な北風に抵抗している。
こんなキビシイ雰囲気の中で、白いおウマが歯をむき出してニヤニヤしている現場になんか、まさか出会えるはずがない。さすがに強運なクマ蔵だって、そんなのを期待するのは、残り5分から5点差の逆転を狙うサッカーチームみたいなもんじゃないか。
しかし諸君、どんなことでも同じだが、決して最後まで諦めてはいけない。残り5分からだって、5点差を逆転することはできる。2001年、あるラグビーの試合で、サトちゃんはロスタイムに入ってから8点差を逆転した瞬間を見届けたことがある。諦めなければ、必ず天が味方してくれる。
今井君が「笑う白馬」を発見したのは、ルアーブル中央市場そばのクリスマスマーケット。完全な白馬とは言えないけれども、ゴマみたいな黒いツブツブのガラのついた鼻面を自分で面白がるように、サト助の前でニヤニヤ&ガハガハ面白そうに笑っていた。それが今年1枚目の写真である。
(15年もののカルバドス。色も味も、さすがに深く濃厚だ)
その姿にすっかり満足した今井君は、ルアーブルから路線バスに乗ってオンフルールの街を目指すことにした。とても優しいオバーサマの係員からチケットを買って、ホクホクしながらバス乗り場に向かった。
バスに乗り込んだのは、地元のヒトビトばかり5~6人。2時間に1本しか走っていないローカルバスだが、このあたりの特産品シードルとカルバドスにちなんで、バスにも青リンゴのデザインがあしらわれている。
シードルはリンゴの微発泡酒。スペインでは「シードラ」と呼ばれる。つい一昨年のクリスマス、マドリード・プリンチペ駅前の鶏の丸焼き屋「MINGO」で、サト助は2本も3本もダラしなくカラッポにしてきたばかりだ。
ま、甘みを一切つけない発泡リンゴジュースみたいな味。「アップルタイザー」というのがあるはずだが、アイツが苦くて、かつ5~6%のアルコールが混じっていれば、それが北フランスではシードル、スペインならシードラ。そういうことである。
(さすがノルマンジー。路線バスも青リンゴのデザインだ)
一方の「カルバドス」ということになると、アルコール度は40度以上。リンゴから作ったブランデーみたいなものである。ついこのあいだ、大阪・京橋でのお仕事後、祝勝会でスタッフの皆さんとカルバドスを賞味した。「げ、こりゃ強いや」というみんなの驚きの反応が楽しかった。
20世紀中頃の名作、レマルク「凱旋門」について、確かこのブログでも4~5年前に書いたことがあるはずだ。カルバドスを飲むたび、今井君はどうしても「凱旋門」を思い出してしまうんだから致し方ない。高校1年の夏、高校に通う電車の中で読んだのが、新潮文庫の「凱旋門」であった。
ドイツ軍による占領を間近にした絶望的なパリの裏町で、ユダヤ人外科医のラヴィックはヒロインのジョアン・マドゥーと出会う。冬の冷たい雨が降りしきる中、暗いビストロで2人がともにグラスを傾けるのが、カルバドス。この冒頭シーンは、1948年、イングリッド・バーグマンとシャルル・ボワイエ主演の映画でも有名になった。
そういう由緒正しい文庫本が、今もキチンと残っているのが今井君の恐るべき書庫である。書庫の整理も強烈で、どんな宝物でも一瞬のウチに書庫から探し出せるようになっている。「おお、久しぶりに読んでみるかな?」という気になった赤茶けた文庫は、初版が昭和30年。うお、うぉうぉうぉ、サト助が生まれる遥か以前の出版物でござるよ。
(レマルク「凱旋門」の上下巻。新潮文庫)
泥色に渦巻くセーヌの河口にかかる巨大な吊り橋をわたって、小さな港町オンフルールまで30分。河口付近では、怪しい黒雲から落ちてくる大粒の雨が、猛烈な風に乗ってバスの窓にたたきつけてくる。
バスが浮き上がりそうな、マコトに凶暴な暴風であったが、さすが地元の路線バス、こんな暴風雨にもビクともしない。13時半、時間通りにオンフルールに到着。およそ「観光客」という人種の見当たらない、しかし間違いなく本来なら観光客でいっぱいのはずの可愛らしい港町である。
まあ、ガラガラならガラガラで、ちっとも構わない。今井君の旅では、ガラガラの街で表六玉になって呆然とするのは日常茶飯事。そんなことをいちいち気にしていたら、旅はちっとも楽しくない。諸君、フランスで超オススメの街・オンフルールについての詳細は、明日の記事に書くことにしようと思う。
1E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 1/4
2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4
3E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
4E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
5E(Cd) Jochum & Bavarian RSO:MOZART/THE CORONATION MASS
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