Wed 131120 金沢で330人超 センターの戦略と戦術(第1994回 カウントダウン6) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 131120 金沢で330人超 センターの戦略と戦術(第1994回 カウントダウン6)

 12月12日、金沢でのお仕事は、当初は「校舎での開催」ということで「出席者60名程度」の予定。それではあんまり寂しすぎるので、ちょっと心配していたのだが、関係者の皆さまのたいへんな努力で「出席者330名超」まで漕ぎつけた。会場は駅前の「ホテル金沢」。期待した以上の大盛況になった。
 サト助は金沢の近現代史をあんまり知らないが、どうやらこの「ホテル金沢」も相当に由緒正しいホテルであるらしい。駅前ではホテル日航や全日空ホテルに押されているように見えるけれども、初めて入ってみたところでは、長い歴史の重みと言うか、老舗の余裕というか、まあそんなものを感じた。
 年末の宴会も、盛んに開催されているようである。今井君がこれから熱演する会場のお隣の広間は、地元のエラいオジサマ方がズラリと集まった忘年会の会場になっている。ワンフロア上の「サト助控え室」のお隣は、どこかの製薬会社の忘年会であった。
 しかも、こうして超ベテラン講師になった今井君の顔は、製薬会社のヒトビトにも知られてしまっている。忘年会受付のヒトたちが盛んに何やらヒソヒソ言いあっていると思ったら、「代ゼミのセンセ、代ゼミのセンセ!!」と低い絶叫を繰り返しているのであった。10年ぐらい前の生徒諸君であるらしい。
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(金沢、330名超の大盛況 1)

 今日の金沢で330名超を相手に話をするのは、「センター試験の整序英作文攻略法」である。確かに、センター試験の第2問には、もう20年も整序英作文が出題されつづけ、多くの受験生を悩ませてきた。さっきの製薬会社の受付担当の皆さんだって、約10年前に同じ整序英作文で悩まされていたはずである。
 「共通一次」と呼ばれた大昔を振り返ってみれば、整序英作文はもっともっと難しかったのだ。今はたった3問だが、何と7問もズラリと並んだこともあった。今は選択肢が5つか6つであるが、大昔は「選択肢が7つ」という難問ぞろいだったのだ。
 センター試験を受験するには、どうしても戦略と戦術が必要。戦略も戦術なしに白兵戦に引っ張りだされたんじゃ、兵士はみんなカンタンに討死だ。今井君は犬死が絶対にイヤだから、受験生諸君には戦略と戦術をどうしてもハッキリさせたいと願っている。
 ところが、戦略と戦術の違いさえ、コドモたちはよく理解していないのである。戦略とは、首相や社長や大将が考えること。「この国の未来をどうするのか」「この会社をどう経営していくか」「この戦い全体をどう考えるか」。戦術とは、官僚や部課長や部将が考えること。コマゴマとした地域戦をどう効率的に戦って勝利し、損失をどう最小限に食い止めるか。そういうことである。
ケーキ
(由緒正しいホテルの由緒正しい控え室で、由緒正しいショートケーキをいただく)

 だから普段のお仕事なら、今井君は90分かけてジックリと戦略を語るのである。目の前には受験まで1年も2年もある高1生と高2生が並んでいる。1年も2年もあるならば、戦略のグランドデザインを語って浸透させ、長い戦いを悠然と戦って勝利する道を示すのが本筋である。
 しかし、前回の大阪でもそうだったが、「実際の試験問題を使って、大きな戦略よりも、局所戦や地域戦の勝ち方を語ってほしい」と依頼されることがある。今井君は超ベテランだから、そういう依頼をなさる先生方の気持ちも痛いほどよく分かるのである。
 この20年、かつてのいわゆる3大予備校の教壇を経験し、予備校によってスタンスが全く異なることに一驚を喫した。戦術も戦略もナシに、ひたすら「フレーフレー!!」と受験生を叱咤激励する予備校もあった。しかしそんなんじゃ、一向一揆と同じである。「進まば極楽浄土、引かば無間地獄」「恐れてはならぬ。ひたすら進め」では、ヒトビトは無惨な討死をとげるだけである。
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(金沢、330名超の大盛況 2)

 「これはいくらか王道に近いかな?」と感じたのは、何を隠そう駿台予備校であった。サト助が駿台で大活躍していたのは1990年代中頃。まだ構文主義の伊藤和夫師が君臨していた時代であったが、そのセンター試験に対するスタンスは
「センターへの『対策』などという小手先のものは、不要なのである。君たちの本当の戦いは、東京大学や京都大学の2次試験であって、君たちはひたすらそこに向かって努力を続ければいい。東京大学の本番に向けて邁進した者にとって、センター試験などというものは、ハードルの名にも値しないのだ」
という、まさに正論。マコトに素晴らしいスタンスであった。
 ただ、スタンスが素晴らしければ、受験生が満足して勉強に取り組み、みんな9割を超える高得点がとれるというわけではない。正攻法だからといって「構文をとるだけ」「淡々と和訳するだけ」「しかもあまりにスローペース」という状況に、業を煮やす生徒が多かった。
 丁寧な戦術ナシに白兵戦に放置されれば、兵士は犬死にするしかない。同じように、「構文さえとれれば大丈夫」と突き放され、「こういう問題はどんなふうに解くんですか?」と質問しにいくと、「そんな下劣なことを質問するんじゃない」と冷たく叱責されるありさまでは、センター高得点は望めない。
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(語るクマ蔵。「こういう乱雑なやり方はダメだよ」の一節)

 1997年に移籍した代ゼミは、駿台とは正反対の世界。駿台が「戦術なき戦略」だったのに対して、こちらは「戦略なき戦術」。大きな戦略は全く見えないが、「戦術」という次元になると、よく言えば百花繚乱というか百家争鳴というか、一人一人の講師がみんなバラバラの戦術を駆使するので、戦術で対立する講師どうしが激しいつば迫り合いを繰り返した。
 諸君、「ツバ迫り合い」も漢字の問題としてネラわれそうだから、気をつけたまえ。普通のセリアイは「競り合い」だが、ツバゼリアイは「迫り合い」が正しい。どうしてそうなるかは、グーグル先生に尋ねましょう。
 総大将がいない戦いもまた、兵士としては非常にツラいものである。課長クラスの部将が30人も40人もいて、それぞれバラバラの指令を出すような状況で、兵士が生き残れる見込みは小さい。部将はみんな自信満々で、他の部将の戦術を陰で皮肉タップリに否定してみせる。
「ああいう戦い方はな、インチキなんだ」
「その戦術では時間がかかりすぎるだろ」
「その解き方は、イモ。もっとスマートに解けるぞ」
という相互否定が、冷笑・失笑・嘲笑・憫笑とともに校舎を満たせば、生徒は右往左往するばかりで、一向に勉強に身が入らない。
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(頭上の看板には、ビックリマークが2つもついていた)

 しかし今井君は幸いなことに、先に「戦略のみ」の世界で6年を過ごし、戦術の重要性を認識。次に「戦術♡百家争鳴」の世界で8年を過ごして、戦略なき戦いの非効率を強烈に認識。その後さらに9年を費やして、クマ蔵の中では戦略&戦術ともにすっかり熟したのである。
 かっかっか。こんなにパンパンに熟した状況で、2014年早春のうちに新講座「センター試験90%」の収録に入る。長い間ご迷惑をおかけしたが、新収録の講座は最新の問題とオリジナル問題にしぼって、戦略と戦術を語り尽くそうと思っている。
 12月12日の金沢では、頭上の大看板に「整序英作文攻略!!」とビックリマークが派手に2つもくっついていたから、第2問C攻略の戦術について90分を費やしたわけであるが、同様の戦術は、第3問のB・Cにも、第4問のA・Bにも、第5問や第6問にも、同じように存在して、これを駆使すれば8割の得点は9割に、9割の得点は10割に、どんどん近づいていくものと信じている。

1E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
2E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
3E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
4E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE
5E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER
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