Tue 131112 メトロノース 札幌雑感 北斗星と出会う(第1986回 カウントダウン14) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 131112 メトロノース 札幌雑感 北斗星と出会う(第1986回 カウントダウン14)

 12月1日、ニューヨークでメトロノース鉄道が脱線、多くの死傷者が出た。犠牲者の冥福をお祈りする。
 ついこの間、今井君もこのメトロノース鉄道に乗っていた。今年4月中旬、アメリカ東海岸にお花見の旅に出かけ、「せっかくだからイェール大学を見学に行ってこよう」と考えた。グランドセントラル駅からニューヘイブンの街まで片道1時間半。確かに今回の事故現場、マンハッタンとブロンクスの間で褐色の河を渡った。
 ニューヨーク到着直前にボストンで爆破テロがあって、アメリカ中が騒然としていた。今井君がメトロノースに乗ったのは、爆破テロ犯の身柄がボストンで拘束されてから、まだ1週間後のことだった。
 東京で言えば横須賀線とか高崎線、関西なら「新快速」に該当する通勤路線である。映像で見るような大事故が発生したとすれば、それはたいへんなこと。原因究明から復旧にいたるまで、ニューヨーク市民の生活に深刻な影響を与えそうだ。
 メトロノースの車両風景は、映画「UNFAITHFUL」の中にも登場する。邦題は「運命の女」、主演はダイアン・レインとリチャード・ギア。うーん、ちょっとストーリーはドギツイが、まあ見てみたまえ。「この路線での大事故では、今後の影響は小さくなさそうだ」と痛感するはずだ。
 しかも、その事故の原因が「どうやら運転士の居眠りらしい」という展開になっているのだから、オソロシヤ&オソロシヤである。「ボーッとしていた」「記憶が全くない」という供述を読むと、うにゃにゃ、安心して電車なんかに乗っていられない。
北斗星と
(札幌駅で。はるばる到着したばかりの寝台特急「北斗星」と自分撮りを楽しむ)

 「そういう懸念は日本の鉄道には必要ありません」。ホンのひと昔前なら、ボクら日本人は胸を張ってそう言えたのである。「親方日の丸」と批判を浴びた旧・国鉄時代だって、組合活動にどれほど熱心でも、「順法闘争」「スト権スト」にどれほど夢中でも、いったん仕事となれば、国鉄職員のプライドには強烈なものがあった。
 しかし諸君、11月25日の今井君がこれから乗るのは、このところヤタラに評判の悪い「JR北海道」である。朝のNHK北海道を眺めていたら、おお、懐かしい高橋美鈴アナが登場して、JR北海道のニュースを迫力満点に読み上げていた。
 話がそれるようで申し訳ないが、高橋美鈴アナは2002年から5年ほど「NHKおはよう日本」のメインキャスターを務めた花形アナである。「おはよう日本」ということになれば、小谷真生子→草野満代→有働由美子→道伝愛子→武内陶子→首藤奈知子→島津有理子と、NHKを背負って立つようなヒトビトが名を連ねる。黒田あゆみや平野啓子や膳場貴子の名前も出てくる。
 おお、NHK北海道には、こんなビッグネームが存在したのであるね。そう言えば、優雅な白髪とニヒルな笑顔で人気だった登坂淳一アナも、今は札幌にいらっしゃる。サト助みたいにお仕事で全国を飛び回っていると、ふとスイッチを入れたテレビの地方ニュースに、かつてのビッグネームを見いだしてビックリすることが少なくないのである。
札幌
(寝台特急「北斗星」の勇姿)

 ま、今ボクが書いているのは論説文でも評論文でもなく、小説でもエッセイでもなくて、ブログである。話がそれてもいいじゃないか。ちょっとでも話がそれると、すぐに「長過ぎる」「カンケーねー」「話がそれた」と怒り心頭に発するオカタが多いが、そんなに話がそれるのがイヤだったら、ムズカシイ新聞の社説だけ読んでいればいい。
 そこで話のそれるのが何より好きなサト助君は、とりあえずホテルのお風呂に入って、それから札幌駅を目指すことにした。備え付けの入浴剤を入れると、あら不思議、お風呂の水は鮮やかな紫色に染まった。うーん、こんな紫のお湯には、ボクは入りたくない。
 「JRタワーホテル日航」については、うーん、今のところ今井君はこのホテルはキライだ。次回からは別のホテルに泊まる。お風呂はムラサキだし、朝食の席ではいちいち「プラス500円で海鮮丼にできます」とミミっちいことを言われるし(昨日の記事参照)、部屋もあまりに平凡だ。
 鮮やかなグリーンやオレンジ色のシャンプーやシャワージェルも、大昔の「子ども昆虫採集セット」みたい。「昆虫採集セット」は、若い読者はよく理解できないだろうから、いろいろググって調べてみたまえ。ホテルを経営する者として、こういう細かな部分の検討が疎かになっている気がする。
紫
(JRタワーホテル日航。あまりに平凡な浴室と、驚くべきムラサキ風呂)

 11時、ホテルをチェックアウトして札幌駅に向かう。昨日から天気予報は延々と
「25日午後から暴風雨→暴風雪」
「風速は30m/secを超える見通し」
「風に向かって歩けないほど」
「立っていられないほどの暴風」
と、ヒトもクマもサトイモもみんな怯えて穴に潜り込みそうな情報を伝えていた。ビッグネーム・高橋美鈴アナも真剣な表情で「交通機関の乱れに注意」と訴えかけたものである。
 事実、お昼が近づくにつれて、雲行きが怪しくなってきた。朝8時に朝食会場に出かけ、今日もお茶をザブッとかけてお茶漬けを満喫していた頃にはまだ青空ものぞいていたのに、西の方から怪しい黒雲が次々と押し寄せて、「いつ雨が降り出してもおかしくない」という空模様に変わりつつあった。
 そういう緊迫感の漂う札幌駅を歩いていたら、「ただいま○○番線に、上野からの寝台特急『北斗星』が到着いたしました」のアナウンスが入った。乗車予定の空港行き快速「エアポート」の発車時間まで、まだ15分も余裕があったので、サト助は早速「北斗星」を眺めに○○番線に向かった。
2重連
(DD51の2重連)

 北海道内で「北斗星」を牽引するのは、電気機関車ではなくてディーゼル機関車DD51 である。DD51は、昭和の日本を牽引したヒーローと言ってもいい。そのDD51が2重連になって函館から札幌までの道のりを走り抜き、いま札幌にたどり着いた。その姿を眺めに行かないんじゃ、国鉄職員の長男の名がすたる。
 1988年以来、すでに25年も上野-札幌間を走り続けてきた英雄である。2016年に北海道新幹線が開通すると、それに伴って廃止されてしまう可能性が高い。引退を間近に控え、老雄はさすがに疲れきった様子。DD51はまだまだ意気軒昂であるが、ホームにズラズラ並んだ客車を眺めてみるに、さすがに老朽化のそしりを免れない。
日立
(誇らしげな「日立」の文字が、何ともレトロでござるね)

 そこで、11月25日の今井君は強く決意したのである。近い将来、どうしてもこの「北斗星」で旅をしたい。出来れば始発の札幌から終着上野まで、昭和の英雄たちとともに日本を縦断する。オーダーストップまで食堂車に陣取り、薄れていく昭和の記憶を満喫しながら酔っぱらいたい。
 青年時代に今井君は貧しかったから、ブルートレインの旅などという贅沢にはなかなか手が届かなかった。利用した記憶があるのは、急行「津軽」「天の川」「八甲田」ぐらい。秋田発・羽越/上越線経由「天の川」なんか、途中で金沢発の急行「能登」に追い抜かれる情けないヤツだった。同じ急行なのに、金沢からのほうが優先されるのである。
 青森発上野行き「ゆうづる」は、若かった今井君にはまさに「高嶺の花」。「いつかあれに乗れるようになったら」と憧れながら青年時代を過ごした。しかし諸君、最初で最後に「ゆうづる」に乗ったのは、一番親しかった友人のお葬式の帰りであった。彼の死は、ロサンゼルス・オリンピックよりも前のこと。時間の過ぎるのは、あまりにも速いのである。

1E(Cd) Brian Bromberg:PORTRAIT OF JAKO
2E(Cd) John Coltrane:IMPRESSION
3E(Cd) John Coltrane:SUN SHIP
4E(Cd) John Coltrane:JUPITER VARIATION
5E(Cd) John Coltrane:AFRICA/BRASS
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