Sun 131110 鰊御殿 お茶漬サラサラ 札幌・午前の部(第1984回 カウントダウン16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 131110 鰊御殿 お茶漬サラサラ 札幌・午前の部(第1984回 カウントダウン16)

 11月24日のサト助は、北海道札幌で朝からダブルヘッダーである。午前10時半ごろから、京王プラザホテルで90分。午後1時半からは、新札幌駅前のシェラトンホテルで90分。途中にはクルマで1時間ほどの移動が入る。なかなかのハードスケジュールだ。
 天候にも恵まれて、ホテル32階の窓からは遠く日本海を望むことができる。日本海を挟んで小さく空に突き出た青い小山は、小樽市郊外「祝津」の岬。祝津と書いて「しゅくつ」と読む。「鰊御殿」で有名。もちろん「鰊」とは「にしん」であって「いわし」ではない。このあいだ京都で満喫したニシンそばのニシンである。
札幌1
(大盛況だった札幌、午前の部 1)

 もう30年も前のこと、若きクマ蔵はニセコでスキーを満喫したついでに小樽に立ち寄り、大雪の日だったにも関わらず、乗り合いバスに乗って祝津の「鰊御殿」を目指した。20世紀初期、北海道がニシンの大漁で沸いていた頃、ニシンで儲けたオカネを惜しげもなく投入して建てられたのがニシン御殿。うにゃにゃ、素晴らしいでござるね。
 ところがあの大雪の小樽で、若きクマ蔵は鰊御殿がなかなか見つけられず、頭のてっぺんから爪先まで雪まみれになって右往左往した。ようやく見つけた鰊御殿の入り口で「今日は、やってません」と冷たく申し渡されたのを記憶している。
 今は「年中無休」のはずだが、何せまだ今井君が若かった縄文時代の話。バスの停留所から膝まで雪に埋まって歩き回り、ついに御殿を訪ねあてたクマさんなんか、相手にしてもらえずに追い返されるばかりだった。
祝津
(札幌、JRタワーホテル日航32階から祝津岬を望む)

 その祝津の岬をはるかに望みながら、2013年のクマ蔵は「朝飯でも食べにいくか」と思いついた。まだ8時ちょっと過ぎだ。34階だったか35階だったか、最上階の展望レストランで朝飯というのも悪くない。
 普段なら、「朝ゴハン」などという品行方正なものは口にしないけれども、何しろこれからダブルヘッダーだ。ゴハンに焙じ茶をザブッとかけて、お茶漬けにしてお腹にサラサラ流し込んでおけば、スタミナだってもつだろう。
 もともと「朝食付き」のプランで申し込んでいた。朝食なんか滅多に食べないのに、それでも朝食付きのプランで予約したのは、朝食付きのほうが素泊まりよりも安かったからである。多くのホテルで「朝食ナシより朝食アリのほうが安い」という逆転現象があるようである。
 「JRタワーホテル日航」は、今のところ札幌で一番人気の高いホテルである。他にもっと居心地のいいホテルもあるんだろうけれども、何しろ高層階からの眺めが素晴らしい。部屋はマコトに平凡な作りで面白味はサッパリないが、夜景がこんなにキレイなんじゃ、他のホテルの勝ち目は当分なさそうだ。
札幌2
(大盛況だった札幌、午前の部 2)

 朝食の席で見かける宿泊客は、たいへん上品なヒトビトばかりである。大きなカゴに入れて運ばれてくる和定食も、なかなか凝っている。「ザブッと焙じ茶をかけてお茶漬けでサラサラ」とか、そういう下品な行為は慎まなければならないのかもしれない。
 ただし、1人1人の客にいちいち「朝食券にプラス500円で『海鮮丼』にも出来ますが…」と持ちかけるのはどういうもんかね。朝っぱらから「プラス500円」などというみみっちい判断をさせるより、黙って海鮮を500円分少なくしてくれたほうがスッキリしていいと思う。
 店員さんも、ちょっと可哀そうだ。1日につき何十人ものヒトに「プラス500円で…」と持ちかけ、どれほど冷たく「いえ、普通の和定食がいいです」と断られ、それを1年も2年も続ければ、精神的にも相当なダメージがあるんじゃないか。
 その点、この上なく図太い精神のクマさんは、ちっとも恥ずかしいなんてことを知らない。お茶漬けにしたければ、どんな高級店に入ったって、意地でもお茶をザブッとかけちゃうのである。
 焙じ茶でも緑茶でも、ウーロン茶やジャスミン茶だって構わない。それでもダメならお湯でいい。焼きタラコか明太子があれば申しぶんないが、焼きシャケでも焼き海苔でも塩コブでもいい。小皿にスプーン1杯の味噌を盛ってくれれば、それだけで黙ってお茶碗3杯はいける。
札幌3
(大盛況だった札幌、午前の部 3)

 こうしてクマ蔵は8時半ちょっとすぎに意気揚々とお部屋に帰ってきた。いやはや、満足&満足。ちょっとお腹がタプタプしているが、何せダブルヘッダーだ。仕事は午後3時すぎまで続く。少しぐらいタプタプしているほうがいい。
 少し慌てて身支度を整え、会場に向かった。会場の京王プラザホテルは、JR札幌駅から徒歩で10分ほどかかる。途中に長い信号が3つもあって、近いようで遠い。なかなかたどり着けずにイライラするけれども、タクシーに乗ったら間違いなく運転手さんに叱られるような、中途半端な距離である。
 午前の部、10時40分開始、12時10分終了。出席者は約300名。高校入試を控えた中学3年生とその保護者が対象である。こういう形式のお仕事が毎年7~8回あるが、今年から教材も改訂して、ますます素晴らしい「文句ナシ」の出来になってきた。こんな話を聞いたんじゃ、誰だってすぐに今井君の生徒になりたくなるわな。
控え室
(控え室も豪華。結婚式の「親族控え室」というヤツであるね)

 会場はおそらく、京王プラザホテル最大の結婚式場なのである。きらびやかなシャンデリアがたくさんぶらさがり、会場はマコトに華やかな雰囲気。最初のうちこそ、「何で連休の朝からクマの話なんか聞かなきゃいけないんだ?」という不承不承な顔も目立ったが、まずパパたちから大爆笑がはじまった。
 開始5分後、手を叩いて笑い転げるパパを呆れ顔でなだめていたママたちも、やっぱり大きく頷きながら大爆笑を開始。それに引き込まれるように中3のコドモたちも「もう遠慮しなくていいんだな」と悟った様子。そこからは一気呵成、「いったいこの人、どこまで面白いんだ?」「もう助けて」と絶叫が飛び交うほどに昇りつめていった。
 控え室に帰って気がつくと、クマ蔵はもう汗ビッショリである。ワイシャツの胸のあたりはヨレヨレになり、ネクタイもたっぷり汗を吸って、ほどくことも出来ない。おお、さっきのお茶漬けサラサラは、午前の部だけですっかり消費し尽くされてしまっていた。

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