Wed 131106 富山へ 困ったらお弁当 富山のお仕事(第1980回 カウントダウン20) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 131106 富山へ 困ったらお弁当 富山のお仕事(第1980回 カウントダウン20)

 11月22日、快晴の大阪で目覚めたクマ蔵は、これからJRの特急サンダーバードで富山に向かわなければならない。
 お仕事は午後7時からだが、何しろ電車に乗って地を這って進んでいくのだ。「サンダーバード」とか、何だかヤタラにカッコいいことを言っているが、マホーのジュータンやキント雲みたいな、夢の乗り物とはワケが違う。
 琵琶湖の西岸を延々と走り、冷たい冬の日本海の波を左手に感じながら、富山までタップリ3時間半かかる。昼過ぎにはチャンと電車に乗っていないと、富山のお仕事に間に合わない可能性だってある。
 この日の予報は、大阪でも「昼過ぎから雨」。福井・石川・富山の北陸3県には暴風雨警報が出ていて、テレビの天気予報でも「交通機関の乱れには十分に注意してください」と言っている。
 そういう恐ろしい日に、クマ蔵どんはノコノコその真っただ中の富山に出かけていって、暢気に大学受験の英語の話なんかをしようというのである。12時にホテルをチェックアウトして、混雑するグランフロントを横断し、大阪駅の北陸本線ホームに向かった。
富山
(富山でのお仕事。豪雨の中、こんなにたくさんの高校生が集結してくれた)

 いや、実際には「北陸本線ホーム」ではなくて、「北陸本線乗り場」である。諸君、ぜひ駅の案内放送や車内アナウンスに注意してみたまえ。西日本では決して「ホーム」とは呼ばない。意地でも「乗り場」というコトバにこだわっているのが分かるはずだ。
 新幹線で東日本⇔東海⇔西日本⇔九州を何度か往復してみるとハッキリ分かるはずだか、新大阪で乗務員が交代した瞬間に、さっきまでの「ホーム」がいきなり全て「乗り場」になり、進行方向が逆ならば、さっきまでの「乗り場」が全て「ホーム」に変わる。
 首都圏なら、「3番ホーム」「総武地下ホーム」または「中央線は1番線・2番線」。ところが関西圏では「3番乗り場」「大阪環状線乗り場」「新幹線乗り場」。あんまり気がつくヒトはいないだろうが、新大阪を境にモノの呼び方がこんなに截然と分かれるのである。
 うーん、クマ蔵どんはずっと東日本で生活してきたから、「3番ホーム」「1番線・2番線」が好き。「乗り場」という表現にはどうも違和感がある。だって諸君、いつも乗ってばかりいるのならいいが、ホームは降りる場所でもある。「乗り場に降りる」というのは、どうも気色が悪いじゃないか。
 推理小説を読んでいて、「その日の武彦は、京都駅5番乗り場に降りた」と書いてあったとする。あれれ、「乗り場に降りる」なんてのは、反則なんじゃないの? そう思った瞬間、クマ蔵はもう小説なんかに集中していられない。
 「降り場に降りる」ならいいが、「乗り場に降りる」なんてのは、「入り口から出る」「出口から入る」みたいな、許されない行為なんじゃないか。例えば配膳台に汚れたお皿やドンブリを返すような、落ち着かない気分になるのである。
弁当
(大阪駅の「のりば」で「神戸ローストビーフ弁当」を購入)

 ま、いいか。とにかく11月22日のクマ蔵は、大阪駅の北陸本線乗り場から特急サンダーバードに乗って、富山を目指さなければならなかった。ところが諸君、そのサンダーバードが始発の大阪駅でもう20分も遅れてしまった。
 北陸地方の悪天候のせいで、使用する車両の大阪駅到着が遅れ、だから始発からもう遅れている。今後も遅れが見込まれるから、利用するお客はみんなそれを覚悟の上で乗ってくれ。ホームだか乗り場だかのアナウンスは、ほとんどあきらめ気味のフテくされた声で、全てを北陸の悪天候のせいにしているのだった。
 うーん、こりゃマコトに困った情報である。電車さえマトモに前に進めないような豪雨と強風の中、クマ蔵は100名を超える高校生を集めて大学入試英語の話をしなきゃいけない。ホントにそんなにたくさん集まってくれるのかねえ。
 何だか心配でならなくなってきたので、クマ蔵は乗り場だかホームだかのお弁当屋さんを覗いてみることにした。
「困ったら、まずお弁当」
「何か事故があったら、すぐお弁当」
「仲間どうしケンカしそうになったら、とにかくお弁当」
長い人生でクマ蔵が発見した処世訓は、何とこんなに単純である。
 大阪のサト助が選んだのは、「神戸ローストビーフ弁当」。この店で一番高いお弁当で、何と1200円もする。サト助のもう1つの処世訓は、「駅の弁当は、一番高いヤツを買え」である。一番高いのを買ったら、マズくても旨くても、少なくとも4~5日は話のタネになるじゃないか。
弁当中身
(ローストビーフ弁当。写真で見るとあまり旨そうじゃないね)

 大阪で20分遅れた電車は、京都→敦賀→武生→福井と進むにしたがって、どんどん遅れが大きくなっていった。1200円のローストビーフ弁当は、京都に到着する前にとっくにカラッポになってしまい、30分も40分も遅れたサンダーバードのなかで、クマ蔵はマコトに手持ち無沙汰である。
 車内放送で、車掌さんがメッタヤタラに謝るのも考えものでござるね。こう平謝りに謝られると、車窓の暗い豪雨の風景との相乗効果で、乗客はなおさら悲しくなってくる。
 グリーン車内は北陸の温泉地に向かう老夫婦が目立ったが、「乗り継ぎは大丈夫でしょうか?」と問われるたびに、ひたすら謝って謝って謝りぬく。じゃあ、そんなに謝るから乗り継ぎの便をはかってくれるのかと思うと、「連絡はとらないことに決まりました」「ホントに申し訳ございません」と頭を下げるばかり。意地でも乗り継ぎ列車と連絡をとりたくないらしい。
刺身
(富山の祝勝会は、旨そうな富山の食材が並んだ)

 津幡駅→倶利伽藍駅の間で30km/hの徐行運転を実施したせいで、富山には45分の遅れで到着。いやはや、乗った電車がこんなに遅れたのは、ホントに久しぶりである。
 早稲田大学政経学部を受験しに秋田から上京した時、秋田発の特急「いなほ」は大雪のせいで5時間も遅れたけれども、おかげで受験直前に山川の日本史教科書をもう1回通読できた。若い頃なら、電車の遅れもなかなかいいものなのである。
 しかし疲れきった中年のサトイモにとって、電車の遅れには1つのメリットもない。昭和38年1月、世に言う「サンパチ豪雪」の真っただ中で、新潟発上野行急行「越路」は「106時間遅れ」を記録。列車も乗客も沿線住民も満身創痍のアリサマで、列車は4日遅れて上野に到着したのであるが、今日のサト助は何だかそのぐらいの疲労困憊であった。
 「ANAクラウンプラザホテル富山」にチェックインして一息ついた後、クマ蔵はホテルロビーでスタッフと待ち合わせ。「一息つく」とは、テレビの大相撲中継を見ただけであるが、白鵬や稀勢の里や日馬富士の勇姿を眺めただけで、今井君は例のスタミナ十分の大グマに戻っていたのである。
日本酒
(富山の祝勝会。たくさんの美味しい日本酒を満喫した)

 富山でのお仕事は、19時スタート、20時半終了、出席者約115名。高1高2に限定したこの時期のスタンダードな運営で、なぜか今井君の富山到着を合図に雨も小やみになってくれた。
 大爆笑が90分間やむことなく連続するのも、また完全にスタンダードである。仕事が終わる頃には雨もすっかり上がって、11月下旬の富山の夜は、もうすっかり透き通った真冬の空気に満たされていた。
 今夜の祝勝会は、驚くほどたくさんの種類の日本酒がズラリと並んだお店。白海老やブリなど「いかにも富山」な食材が並んで、サンダーバードの疲れを癒すにはベストの布陣であった。日付が変わる頃にホテルに帰還。明日は、朝10時にホテルを出て、札幌を目指すことになる。

1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 13/18
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 14/18
3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 15/18
6D(DMv) HOW TO MAKE AN AMERICAN QUILT
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