Sun 131020 目玉焼きの流儀 朝食後、睡魔と戦う 法隆寺で「今井先生だ」 煮込みうどん | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 131020 目玉焼きの流儀 朝食後、睡魔と戦う 法隆寺で「今井先生だ」 煮込みうどん

 11月7日、朝の大阪は雨模様である。ホテルの部屋から東の方角を眺めると、重い雲が垂れ込めて、どうやら今日一日この雨はやみそうにない。テレビの天気予報でも、「今日は曇りがちで時々雨、午後にはザッと激しく降りそうです」と言っている。
 サト助が東の方角の空に注目したのは、「今日はこれから奈良のほうに出かけてこようかな」と考えていたからである。今夜は堺でお仕事があるが、スタートは19時。大阪に2連泊しているんだから、京都か奈良を観光する時間はタップリある。
五重塔
(奈良・法隆寺、五重塔)

 いつもは朝食をとらないが、ホテルの豪華朝食が無料というなら話は別だ。大好きな目玉焼きを2個も焼いてもらい、これもまた大好きな大根オロシにジャコを心ゆくまでふりかけ、焼き魚も2切れお皿にとった。
 「炭水化物カット中」だからゴハンは我慢したが、もしこれで「ゴハンもOK」などということになったら、限度を知らないクマ蔵のことだ、朝からゴハンをお茶碗に5杯でも6杯でもモリモリ食べちゃうに違いない。お味噌汁だって2回はオカワリ、せっかく減りはじめた体重も、あっという間に80kg台に逆戻りしてしまう。
 ホテルの中があんまり静かなので「おやおや、ホテル戦争で大苦戦の最中か」と心配していたが、朝食ビュッフェは十分に混雑していて、まあ一安心。ビジネス客よりも外国人観光客が圧倒的に多いけれども、まだ当分の間、帝国ホテル大阪は大丈夫そうである。
夢殿
(法隆寺、夢殿)

 そうやって妙竹林な安堵の胸を撫でおろしながら、サト助は目玉焼き2枚に取り組んだ。目玉焼きの食べ方にもポリシーがあって、ボクは絶対に黄身でお皿を汚したくない。
 黄身がお皿の上で破れてしまうと、お皿が真っ黄色に染まって見苦しいじゃないか。ついでに、黄身からフワッと立ちのぼる硫黄臭さだって、何だかとってもハシタナイ。何より、お皿を洗うヒトの気持ちになって考えてみたまえ。お皿に残った黄身の感触は、とっても気色悪いのであるよ。
 だからサト助はまず、まあるい黄身を満月のように残して、白身の部分だけを先に平らげてしまう。最後に残ったお月さまをまるまる1つ、慎重にフォークで持ち上げて一息に口に入れるのだ。黄身を破るのは、あくまで口の中。絶対にお皿で破ってはならない。
 こういうことを、ボクチンは世界中のホテルでやっている。ロンドンでもアテネでも、サンパウロでもイスタンブールでも、黄色いお月さまを一息で飲み込む快感は変わらない。12月にはパリのホテルで1週間これを続ける予定。今から一番楽しみなのは、パリのクマ蔵の口の中で黄身がパチンと割れる瞬間だったりする。
中宮寺門跡
(中宮寺は、あちらです)

 さてと、朝食からお部屋に戻ってくると、当然のことだが強烈な眠気がサト助を包み込む。昨日は明石からホテルに帰り着いたのが1時。確かに8時までゆっくり眠ったが、ポンポンの中がいっぱいになると、動物の脳からは危機感が一掃され、「よおし、ひと眠りしとくか」という弛緩した気分が横溢するのである。
 「おお、このままでは人間のクズになってしまう」と思いながらも、ベッドに倒れ込んで目を閉じ、ひと呼吸ふた呼吸するうちに、一瞬「スヤーッ」と意識を失う。イカンイカンと頭を振って睡魔に抵抗するが、人間の睡魔に対する抵抗など、滑稽なほど無力なものである。
 しかし諸君。「人間のクズ」ならまだいいが、「クマのクズ」とか「サトイモのクズ」ということになると、やっぱり話は違う。スーパーの棚にズラリと並んだサトイモ君の中にも、「ああ、こりゃ売れないな」と目星のつくダメなサトイモというものはあるので、ボクはついこの間サンパウロのスーパー「ポン・ジ・アスーカル」でそういうサトイモを目撃してきたばかりだ。
「このままじゃ、オマエもあんなふうになるぞ」
「いま睡魔に負けてスヤーッと身を任せれば、もう誰にも選んでもらえないサトイモのクズになるぞ」
天からもそういう崇高な神の声が聞こえて、サト助は思わずガバと身を起こし、悪辣な睡魔のワナを払いのけた。
紅葉
(法隆寺にて。ことしの紅葉は早めのようだ)

 こうして危機一髪で睡魔から逃れた今井君は、ホテルの送迎バスで大阪駅に向かった。JR「大和路快速」に乗り込んで大阪環状線をグルリと回り、関西本線・河内堅上のあたりから奈良県への侵入に成功。折よく雨は上がって日差しが差すと、汗ばむぐらいの暖かさになった。
 王寺の駅で降りて、駅前から乗り合いバスに乗れば、目指す法隆寺まで15分ほどである。大昔の「聖徳太子の壱万円札」でお馴染み、五重塔やら夢殿やらを眺め、中宮寺にも足を運んで、美しい弥勒菩薩の姿を拝んだ。
 今年の紅葉はいつもの年より急速に進行しているようである。暑かった10月中旬から、台風の通過とともに一転して気温が下がったせいかもしれない。奈良の紅葉はもうすぐ見頃と言ってよくて、カエデはまだ青葉だけれども、サクラの葉っぱは赤や黄色に美しく染まっていた。
名物
(名物、大和地鶏煮込みうどん)

 法隆寺で日光菩薩や月光菩薩を拝み、四天王の勇ましい姿に見入っていると、「今井先生だ」の声。うにゃにゃ、法隆寺に来てまでこんなに目立つとは予想もしていなかったが、考えてみればここは修学旅行のメッカであり、季節も修学旅行シーズンの真っただ中。見つからないほうがおかしいぐらいだ。
 というわけでサト助は、ほうほうのていでその場を逃げ出し、近くの飲食店に駆け込んだ。もちろん飲食店だって修学旅行生の嵐のはずだが、時刻はすでに14時を回っている。昼食ラッシュは去って、店内にもはや緊張感はない。午後のけだるい倦怠の中で、従業員のオバサマたちは世間話に興じている。
 注文したのは、大和地鶏の煮込みうどん。固形燃料を2つも使って、テーブルの上で豪勢に煮えたぎる。うどんの1本1本が長過ぎるせいか、煮えたぎる鍋から鉢に移すのかなり苦労したけれども、修学旅行のコドモたちにばかり食べさせるのはもったいないぐらいの結構なお味であった。観光地では炭水化物カットのことは忘れてもいい。
 店を出ると15時、そろそろ急いで大阪に戻らなきゃいけない。堺でのお仕事は19時からだが、ホテルで着替えをしてから、17時半に難波でスタッフと待ち合わせる予定になっている。大急ぎでJR法隆寺駅に向かい、大阪行の「大和路快速」に乗り込んだ。

1E(Rc) Collegium Aureum:MOZART/EINE KLEINE NACHTMUSIK & SYMPHONY No.40
2E(Rc) Rubinstein:THE CHOPIN I LOVE
3E(Rc) Solti & Chicago:DEBUSSY/LA MER・PRÉLUDE A L’APRE MIDI D’UN FAUNE & RAVEL/BOLERO
4E(Rc) Bernstein & New York:/SHOSTAKOVITCH SYMPHONY No.5
5E(Rc) Rozhdestvensky & Moscow Radio:BARTOK/DER WUNDERBARE MANDARIN & TWO RHAPSODIES FOR VIOLIN & ORCHESTRA
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