Wed 131016 久々の炭水化物 下北沢・麺僧とホームラン軒 静岡の写真が見当たらない | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 131016 久々の炭水化物 下北沢・麺僧とホームラン軒 静岡の写真が見当たらない

 11月2日、下北沢「禪べえ」で単独祝勝会に興じた後、サト助はすぐ近くのラーメン屋に立ち寄った。このところちょっと太りすぎたので、しばらく炭水化物を断っていたのだが、「禪べえ」のシカやらカモやらで盛り上がるうちに、どうしても我慢ができなくなった。
 今井君のベスト体重は、どうやら75キロから76キロぐらいなのである。お医者さまの言うことをチャンと聞こうとすれば、身長から100を引いた72キロがベストということになるのだが、本人にしか分からない「気合い」の問題があって、あんまり軽くなりすぎると、仕事にも遊びにも何だかヒョロヒョロして気合いが入らない。
 その辺が、まさにクマ蔵どんの難しいところ。お医者は「自分の言うことがベスト」「一般人に何が分かるんだ?」という顔でクマ蔵の意見をニタニタ笑ってやり過ごすのだが、それがムカつくので今井君は、お医者のところなんか滅多に訪れないことにしている。
 つまりでござるね、例えば英語の授業をしたとする。ヒョロヒョロ軽くなりすぎると、思ったように声を張り上げることができない。英米人は誰でもデカい声で英語を話し、電車の同じ車両に英米人がいると、車両の端っこからでも彼らの話す英語が聞こえるものだが、やっぱり授業で声がキチンと出ないと、発音的にも何だか情けない授業になる。
禪べえ
(11月2日、下北沢「禪べえ」にて)

 すると、授業の最中に常にストレスを感じ続けることになる。「声が情けないな」「今日は発音が悪いな」と、90分間ずっと気がかりで、ストレスはどんどん大きくなっていく。
 そんなストレスを抱えたまま毎日仕事をしているより、医者の言う体重をちょっとぐらいオーバーしたって、腹の底からバンバン声を出し、「おお、今日もまたいい声が出てるな」と満足できるほうが、ずっと健康にいいはずだ。
 しかしさすがにこのところの今井君は、79キロぐらいのラインを行ったり来たりしていて、数字的にも気分的にもやっぱり太り過ぎ。出張の連続で食生活が不安定になると、数字はどんどん大きくなる。「ここは、ちょっと炭水化物を我慢するしかないかな」と決意するに至った。
 最近この方法が中年のオヤジの間でずいぶん流行しているらしいが、サト助は10年も前からたびたびこれを実践している。昨年のブエノスアイレス旅行の2週間、延々と固いステーキを食べ続けたのにも、炭水化物カットを目的とした部分もあったのだ。
鹿肉
(下北沢「禪べえ」のシカ肉ステーキ。余計な脂がなくてマコトに美味。「牛脂注入」などという愚かなことは絶対にしていない)

 確かに、肉を食べた後はグッと体重が減っている。シロートに過ぎない今井君の判断としては、ゴツい肉を消化しようとして、胃袋や腸が思いっきり運動するのである。
 胃も腸も、炭水化物が相手なら「ちょっとぐらい怠けてもヤツらは勝手に融けてくれる」と考えて、すっかり怠惰な胃腸になっちゃうだろうが、相手が強敵のゴツい肉塊となると、全身全霊をこめて消化しなきゃいけない。カワイイ胃には運動させよ、カワイイ腸にも運動させよ。そういうことである。
 もちろん、それにはアメリカや中南米やオーストラリアの、アブラの少ないゴツい肉でなければならない。アブラの塊みたいなサシ入り和牛では、胃袋の熱ですぐにデロデロ融けてしまって、運動になんか全然ならない。ましてや大流行中の「牛脂注入肉」なんかじゃ、脂肪ばかり目いっぱい吸収するのがオチである。
 ま、以上のようなストーリーがあって、10月中旬以降の今井君は炭水化物カット中。チャンと成果も出て、78とか77という数字に落ち着いてきた。体調も滅法よくて、授業中の英語の発音もたいへん好調。十分に満足できる状態を維持している。
 今日の「禪べえ」でシカ肉を注文するときも、「アブラが多いと食べられないんですが、シカってアブラはどうなんですか?」と尋ねてみた。「シカは、アブラは余りありません」と答えながら、店のヒトは「変わったお客さんだな」という表情を見せた。
 そりゃそうだ。牛脂を注入してまで、アブラまみれのデロデロ肉を食べたがるのが日本人。ひとくち噛んで、いきなり「スゲー肉汁だ!!」「アブラが甘い!!」と絶叫する日本人。その中にあって、「脂が少ないなら注文します」と言うんじゃ、確かに天邪鬼すぎる気がする。
アップ
(立川でのアップ写真。若いスタッフが撮影してくれた)

 しかし、ま、いいじゃないか。今夜も旨いシカ肉で満足したことだし、努力のカイあってそろそろ目標体重に近づいている。久しぶりに「〆のラーメン」ということにしたい。下北沢ならラーメン屋は星の数ほどあるが、今夜は昔から馴染みの「麺僧」を訪れることに決めた。
 下北沢駅南口を出て、井の頭線の線路沿いに茶沢通りのほうに坂を降りていけば、「麺僧」はすぐに見つかる。カウンター5席、4人掛けのテーブル4つの小さな店である。もうビールは「禪べえ」でタップリ飲んできたから、クマ蔵は醤油ラーメンにコーンのトッピング、あとは餃子を1皿頼んだ。
 11月2日の夜9時ごろ、他の客は誰もいない。店に流れるのは、日本シリーズのラジオ中継。今年1年一度も負けなかったイーグルスの田中将大が、ついにジャイアンツに逆転を許し、追加点をとられた直後であった。
コーン
(下北沢「麺僧」の醤油ラーメン。コーンをトッピングしてもらった)

 このシチュエーションで今井君が思い出したのは、30年ほど前の「ホームラン軒」のCMである。ごく平凡なラーメン屋で、1人寂しそうにラーメンをすする青年。外は、雨。聞こえるのはラジオのプロ野球中継。それにかぶせるように、「例えどんなに切ない夜も、ホームラン軒は旨かった」のナレーションが入る。
 昭和日本の数々のCMの中でも、屈指の名作だったと思う。実際、あの頃の若きサト助はホームラン軒が大好きだった。バイト先の塾に深夜まで残り、結局朝まで仲間と語り合いながら酒を酌み交わし、明け方にホームラン軒をすすったこともしばしばだった。
 さすがに2013年の「麺僧」にその風情はない。野球だって、昭和の根性野球なんかすっかり影をひそめてしまった。しかしやっぱりちょっと疲れた時には、「ラーメン屋でラジオのプロ野球中継」の世界がいい。ちょっとアブラが多すぎるスープをすすりながら、何だかサト助は涙が流れそうになった。
サンドイッチ
(静岡駅で買った昭和なサンドイッチ)

 最後に、一つだけお詫びをしなければならない。この翌日11月3日は静岡で保護者対象の教育講演会があった。スタッフにお願いしてたくさん写真を撮ってもらったのに、その写真がどこにも見当たらないのだ。SDカード、Mac君のiPhotoやゴミ箱、思いつくところは全て当たってみたが、静岡講演会の写真だけがどうしても見つからない。
 で、やっと見つかったのは、静岡からの帰りの新幹線でパクパクやったサンドイッチの写真だけである。この古色蒼然たる箱を見てくれたまえ。懐かしさのあまり、ボクチンの目には再び涙が溢れてきた。中身は、ハムサンドとタマゴサンドのみ。こういうのをモグモグやりながら、昭和日本のヒトビトはあの奇跡的高度成長を達成したのである。

1E(Cd) Madredeus:ANTOLOGIA
2E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3
5E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
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