Sun 131106 岩谷時子、死去 銀座ライオンでリベンジする(ンラゼマ第2次地球一周記45) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 131106 岩谷時子、死去 銀座ライオンでリベンジする(ンラゼマ第2次地球一周記45)

 10月29日、金沢から小松へ、小松から再びビューンとお空を飛んで東京に帰ってきたサト助は、東京の冷たい雨にビックリした。10月末の金沢はまだ紅葉もほとんど始まっていなかったし、快晴のこの日はタクシーの窓を開けないと暑くてたまらないほどだったのに、東京に帰ってみると、ヒトビトは冬のコートの襟を立て、「寒い」「寒い」を連発していたのである。
 いやはや、こりゃ松任谷由実とハイファイセット「冷たい雨」の世界である。おお、懐かしいねぇ。「冷たい雨にうたれてぇー、アナタを思ったのぉー」は 1976年の大ヒット曲。作家・村上龍が「限りなく透明に近いブルー」でデビューするかしないかの、シコタマ昔のヒット曲だ。
 ということは、先日亡くなったばかりの作詞家・岩谷時子氏が完全にバリバリ現役の時代である。子供時代の今井君は、ピンキーとキラーズ「恋の季節」や郷ひろみ「男の子女の子」で育ったし、子供時代に愛読した庄司薫の小説にも、そういう歌の話は何度も出てきたはずだ。
 というか、岩谷時子の世界は「ボクチンより3つか4つ年上の先輩たちの世界かな」というのが正直なところ。越路吹雪「愛の讃歌」「ろくでなし」「雪が降る」「枯葉」などは、今井君のカラオケの定番であるが、「リアルタイムで聞いていた」というより、「両親がいつも聞いていたからいつの間にか覚えちゃった」というタイプの記憶である。
キングカット
(銀座ライオン恵比寿店、ローストビーフ「キングカット」300グラム)

 英会話教材で大宣伝している、いわゆる「聞き流すだけ」でござるね。ま、流行歌なら「聞き流すだけ」で覚えられないことはない。ザ・ピーナッツ「ウナ・セラ・ディ・トーキョー」、園まり「逢いたくて逢いたくて」、佐良直美「いいじゃないの幸せならば」、島倉千代子「ほんきかしら」など、おお、まさに「聞き流すだけ」で記憶した流行歌である。
 そういう記憶のあるヒトビトが、一攫千金を狙って「外国語は聞き流すだけでいい!!」「赤ちゃんは聞き流すだけでコトバを覚えます!!」と大宣伝するのは、まあ仕方のないことかもしれない。
 流行歌を覚えるのと外国語を学ぶのとでは、話は全然違うはずだが、ま、初歩の初歩なら似たようなところがないことはない。ごく基本的なフレーズを何度も聞いて記憶して、ところどころ単語を入れ替えれば、5~6日のワイキキ旅行の会話なら、何とかゴマかせないこともないだろう。
ツリー
(東京は、もうクリスマスが始まっちゃった)

 さて、10月29日の今井君は東京の冷たい雨に濡れながら、タクシーに乗って恵比寿に向かうことにした。10月も末の東京の一夜(una sera di Tokyo)を、サト助は恵比寿ガーデンプレイスで過ごそうと決めたのだ。
 では、どんなuna sera di Tokyoにするかと言えば、諸君、目指したのはガーデンプレイス内の「銀座ライオン」である。「は? ライオンでござるか?」と、マトモなオトナなら眉をあげてビックリするはずだ。
 わざわざ恵比寿ガーデンプレイスに出かけたら、フランス料理の「ロブション」を始め、中華料理なら「龍天門」、鉄板焼なら「恵比寿」、オシャレで高級な店はいくらでもよりどりみどりである。
 もちろん「恵比寿」は、サッカーの稲本選手がモデルの田中美保さんと一緒に夕食に出かけ、その様子を従業員にツイッターで生中継されたことで、一躍有名になってしまった因縁のお店。そういう生中継を覚悟しないといけないから、「とかくこの世は生きにくい」ということになる。
 しかし諸君、オシャレで高級な店に入ったから、そのヒトの人生がオシャレで高級なものになるとは限らない。いくらオシャレで高級な店に入り浸っても、オシャレでないヒトというものは、どんなに頑張ってもオシャレで高級にはならないので、そこが人生の難しいところである。
 かくいうクマ蔵どんは、別に人生をオシャレで高級なものにしようと足掻いているわけではない。オシャレである必要もなければ、高級であることにも何の価値も感じない。大切なのは、楽しいかどうか。それ以外、別にどうだっていいのである。
 するとサト助の中で「静岡のリベンジを果たさなきゃ」という思いが、今夜の最優先事項に浮上してくる。分からないヒトは、一昨日の記事を参照してみたまえ。サト助は10月26日、静岡駅構内の「銀座ライオン」で、ローストビーフが食べたくて食べたくてたまらず、しかし「あああああー、ローストビーフは売り切れとなっておりますうううううー」という拒絶に遭っているのだ。
 ここは意地でもローストビーフである。意地でも、どうしても、天地が逆になっても、デッカい厚切りのローストビーフを独占して、心行くまでワシワシやりたい。ワシワシやりすぎてアゴが外れるほど、徹底的にワシワシやりたいじゃないか。
イルミネーション1
(恵比寿では、もうクリスマスのライトアップが始まった)

 ここには、例えば2013年8~9月「第2次ンラゼマ」の反省も若干含まれている。第2次ンラゼマは、食の面から見ると、何ともテーマ性のボヤけた旅にしてしまった。
 例えば、2012年8月9月の「第1次ンラゼマ」の時は、NY→ブエノスアイレス→フランクフルトと、17日間連続でステーキを食べ続けた。そのステーキも、小さくても300グラム、大きかったら500グラム、余りの徹底ぶりにポンポンが引き締まるほどのものだった。
 2013年のベルギー2週間だって、「13日連続でムール貝の酒蒸し」に取り組み、そのあまりにバカバカしい努力に見事に成功した。ブリュッセルで8回、ブリュージュで2回、アントワープでも2回、リエージュで1回。最後には酒蒸しの匂いを嗅いだだけでムカつくほどになったが、それでも「決めたことはやり遂げる」「決して途中で諦めない」と、受験生にお手本を示したのである。
 ところが、2013年の第2次ンラゼマでは、うーん、マコトに軟弱な食生活に終始した。シカゴではディープディッシュピザにリブステーキ。サンパウロではひたすらラーメン。リオではステーキ、パリではラーメンにエスカルゴ。9月11日の夜は、この段階ですでに「ウナギ」と決めていた。
サンジャック
(パリ、サンジャックの塔。17世紀前半、パスカルはこの塔で実験を行い、大気には圧力があることを実証した。約400年後、日本のクマ蔵はこの辺を散策しながら「今夜はウナギ」と決めた)

 まあ、マトモと言えば確かにマトモなのである。ベルギーやブエノスアイレスの今井君が異様&異常な意地っ張りだったのであって、おお、今回の旅のマトモさは、クマがヒトに、サトイモが現代人に、急激に進化したかのようなマトモさである。
 しかし諸君、「マトモなんてのはツマランのだよ」。これは、遥かな昔「早稲田文学」に掲載された三石由起子の小説「ダイアモンドは傷つかない」の中で、中年の予備校講師が口にする台詞である。1982年、藤田敏八監督が映画化、主演は山崎努と田中美佐子。
 大学に合格したばかりの女子学生と、山崎努が演ずる予備校講師の、マコトに激しい愛の世界が描かれる。舞台は、代ゼミの代々木本校。実際になつかしの講師室が何度も画面に現れるので、ボクチンなんかは思わず「おおお!!」と身を乗り出してしまう。
 ま、中身としてはありきたりかも知れないが、女子学生の「ほら、マトモなヒトはみんな傘もってる」というコトバに対し、山崎努が「マトモなんてのは、ツマランのだよ」と苦々しげに呟く一言だけは秀逸。確かに、「マトモなんてのは、ツマラン」のである。
イルミネーション2
(恵比寿ガーデンプレイスのクリスマスデコレーション。「鐘」のイメージでしょうカネ?)

 その映画の主題歌が、あがた森魚が歌う「サン・トワ・マミー」。もちろんオリジナルは越路吹雪の「サン・トワ・マミー」だから、あがた森魚の歌はコピーであるが、コピーであろうと何だろうと、訳詞は岩谷時子である。
 おお、どうだい、ものの見事に話は今日の冒頭に戻ってきた。こういうのを、終始一貫という。どんなにフマジメに見えても、クマ蔵の頭の中は常に終始一貫、基礎と基本は決して外さないことになっている。
 終始一貫ということになれば、「ローストビーフのリベンジ」も必ず果たさなければならない。サト助君は一番デカい300グラムの「キングカット」を注文。静岡の敵を恵比寿でとる、見事な終始一貫ぶりを店のヒトたちに見せつけたのであった。

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