Sat 131005 羽田—小松便の感慨 金沢で大熱演 なぜ企業秘密か 片町で大祝勝会 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 131005 羽田—小松便の感慨 金沢で大熱演 なぜ企業秘密か 片町で大祝勝会

 10月28日、夕方から金沢でお仕事があり、お昼過ぎのヒコーキでビューンと小松空港に飛んだ。羽田から小松までたった1時間だが、それでもお弁当が出る。お弁当をつつきながら、台風一過、グッと秋の深まった山々を眺めて感慨にふけった。雲の間から、富士山も頭を出していた。
 松本の上空を過ぎると、たくさんのスキー場をハッキリと見おろせる。もちろんまだ雪は全くないが、大昔の今井君はスキー大好き少年だったから、八方尾根、岩岳、栂池高原その他、ヒコーキの窓から地形を見ただけで、どこのスキー場か今でもチャンと区別がつく。
 そのあたりから、山々が赤く染まっているのがわかる。「全山♤紅葉」というヤツである。もちろん山の樹々が全部カエデばっかりということはなくて、実際に山に入ってみれば圧倒的に黄色い葉っぱのほうが多いはずだが、それでも上空からの山々は赤く燃えているように見える。時刻は14時過ぎ。傾きかけた秋の太陽のせいかもしれない。
 まもなくヒコーキは白山を越える。このあたりからぐんぐん飛行高度を下げていくので、白山の山頂が手に取るように近い。CAのオネーサマにお弁当を下げてもらって、コーヒーを飲みつつ白山から日本海の眺めを満喫していると、あっという間に小松空港に到着する。
金沢1
(金沢で大熱演)

 小松への飛行について、何でこんなにしみじみ書いているのかと言うと、おそらく小松へのヒコーキの旅は、金沢まで北陸新幹線が開通すれば、もうあんまりしなくなるだろうからである。福井に行くヒトはともかく、金沢に向かうヒトはほとんどが新幹線利用になるはずだ。
 金沢への出張は1年に2回ぐらいずつあって、クマどんにとって小松空港はもうすっかりお馴染みだ。しかしタクシーだと金沢まで1万円以上かかる。小松駅経由のJR利用だと、小松駅までタクシーで1600円、小松駅で30分も待たなければならなかったりする。金沢までのバスもあるが、一番速いバスでもまるまる1時間かかってしまう。とにかく不便な空港だった。
 しかし、ダメな生徒ほど気にかかるのと同じように、不便な空港だからこそ懐かしい。この8年で30回近く乗り降りして、空港内のレストランとかラウンジにもタップリお世話になった。新幹線の開業でこの空港がもしも寂れてしまうとしたら、サト助はやっぱり寂しいのである。
モンブラン
(控え室にて、たいへん美味しいモンブランを出していただいた)

 ついでに、以前にも一度書いたことがあるが、金沢の人たちの意識が一挙に東京に向くようになるんじゃないかと、それもまた心配なのである。金沢は、近代以降も京都の文化圏。優秀な高校生は、京大と阪大を目指し、関関同立を目指して切磋琢磨した。特急「雷鳥」「サンダーバード」が頻繁に関西方面に走り、ヒトビトの言葉にも京都の彩かな香りが漂う。
 そういう近世近代の数百年間の伝統が、北陸新幹線の開業で一気に東向きに変わってしまう。高校生は東京大学や早慶を目指し、「サンダーバード」の本数もいつの間にか減らされ、ヒトビトは東京コトバしか話さなくなっていく。静かな小松空港に立って、そういう近未来が目に見えるような気がした。
金沢2
(態度の悪い今井君 @金沢 1)

 さてと、そんなことばかり心配していても仕方がないので、金沢に着いてANAクラウンプラザホテルにチェックインしてみると、駅前は「祝・新幹線開業」のムードでいっぱい。妙なことを心配しているのは、どうやらサト助君だけのようである。
 今日のお仕事の会場は、金沢駅前からずっと野々市のほうに南下、もうほとんど市の境あたりに位置する「金沢国際ホテル」である。19時半開始、21時終了。出席者は300人超。高校入試を控えた中3生160人強と、その保護者140人強が、ホテルの巨大結婚式場を埋め尽くした。たくさんのシャンデリアが輝く、マコトに贅沢な会場であった。
 写真にはサト助の満面の笑みが写っているから、どのぐらい楽しかったかはこれで一目瞭然である。話すほうがこのぐらい楽しければ、聞いているほうはもう言語道断&空前絶後の楽しさだったことは間違いなくて、会場は90分間たいへんな爆笑の大渦と化した。鳴門の渦潮でさえ、今日の大渦には勝ち目なんかない。
金沢3
(態度の悪い今井君 @金沢 2)

 しかも驚くべきことに、今日の会場のヒトビトは、ほぼ全員が今井君とは初対面なのである。普段サトちゃんの授業を受けていて、笑いのツボを熟知した生徒たちばかりというなら、この激烈な反応も理解できるかもしれないが、諸君、完全に初対面の人がこんなに大きな口を開け、遠慮なしに際限なく爆笑を繰り返すとすれば、それはこのサト助の話術のタマモノとしか言いようがない。
 何を話したかは、いつも通り「企業秘密」。なぜ企業秘密かというに、「マネされたら困るから」などというケチな理由ではない。だって、あの話術は誰にもマネなんか出来るものではない。
 誰かが話の中身をカンペキに記憶して、頭の中にカンペキにコピーして、自信たっぷりに聴衆の前に立ったとしたら、間違いなくその御仁は大惨事に陥る。クマ蔵が話せば、シャンデリアが落ちてこないか心配になるほどの大爆笑が20秒に1度の頻度でやってくるが、全く同じ中身でも、他の人じゃ会場がカチンカチンに凍りつくのがオチである。
 だからこそ、中身を「企業秘密」のままにしておく。誰かが今井君のマネをしようとして大惨事に陥るのを、未然に防いであげるためである。
 大昔に流行した参考書「実況中継シリーズ」を丸暗記して、それと全く同じ授業をしようとした多くの新人講師が、まさにそのせいで大惨事に陥り、講師の道を諦めざるを得なくなったような事例は少なくないはず。同じような惨事を未然に防いであげるのが、超ベテラン=今井サト助の役割なのだ。
香箱蟹
(香箱ガニのお寿司。おいしゅうございました)

 というわけで、今夜もまたまた大勝利。大勝利の後は、大祝勝会がなければ話にならない。金沢はその点マコトに便利な街で、祝勝会場には事欠かない。日本屈指の繁華街「片町」に出れば、美しい街の灯が犀川のさざ波に映ってキラキラ輝いている。
 今夜の祝勝会は、その犀川沿いの細い道を1分ほど行ったあたりにあるお寿司屋さん。野々市の超有名店で修業をした大将が、とっておきの珍しい日本酒を次から次へと出してくれる。22時にお店に入った時は学校の先生方と思われる5~6人がカウンターに座っていたが、やがて我々だけの貸し切りになった。
 鰆の焼き物、おいしゅうございました。香箱カニのお寿司、たいへんおいしゅうございました。タラの白子ももちろんおいしゅーございました。そうやって「おいしいな」「おいしーな」「今晩もまた異様なほどの大成功だったな」と大騒ぎしているうちに、祝勝会自体が今夜の大熱演以上の盛り上がりになってきた。
 お腹はそろそろいっぱいになり、お酒もそろそろ限界に近づいたが、こんなに盛り上がったその頂点のところでいきなり「もう帰りましょう」ということにはならない。
 「もう1軒、行きますか」の声も高らかに、サト助一行は片町をさらにほっつき回ったのであるけれども、今日ももう長く書きすぎた。10月29日、小松空港に戻って、またまた感慨にふけることになったが、今回の金沢出張についての記録はまあここまでにしておこう。

1E(Cd) Cluytens & パリ音楽院:BERLIOZ/SYMPHONIE FANTASTIQUE
2E(Cd) Lenius:DIE WALCKER - ORGEL IN DER WIENER VOTIVKIRCHE
3E(Cd) Bernstein & New York:BIZET/SYMPHONY No.1 & OFFENBACH/GAÎTÉ PARISIENNE
4E(Cd) Prunyi & Falvai:SCRIABIN/SYMPHONY No.3 “LE DIVIN POÈME”
5E(Cd) Knall:BRUNNER/MARKUS PASSION 1/2
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