Wed 131002 油断大敵 ブタのアンヨ サントユスターシュ(第2次ンラゼマ地球一周記44) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 131002 油断大敵 ブタのアンヨ サントユスターシュ(第2次ンラゼマ地球一周記44)

 慣れというものはマコトに恐ろしいもので、マグニチュード7.1の地震があって深夜の海岸に津波が押し寄せても、そのニュースはずーっと後回し。いくら台風2個が接近している最中だからと言って、この扱いはいくらなんでも小さすぎるんじゃないか。
 だって諸君、「40cmの津波」って、そりゃ昔だったらたいへんな騒ぎになったはずだ。午前2時過ぎの地震の時、何故かサト助はYouTubeで「サルビアの花」「ファッシネーション」「身も心も」「雨に泣いてる」を聞いて、不覚にもホロホロと涙を流している最中であった。
 要するにエラく酔っぱらっていたのであるが、2011年3月の余震がまだ続いていることに、それでも慄然としたのである。もうすっかり地震のことを忘れて浮かれていたけれども、やっぱりこんなにノンキにしているわけにはいかないのだ。
 みずほ銀行に阪急阪神グループに、ヤマト運輸にJR北海道に「ほこ×たて」に、何だか知らんがメッタヤタラに不祥事が続く。不祥事というのは、どこかで1つ発覚するとそこいら中でぶっつづけに発覚し続けるもので、雪印や不二家のときもそうだった。
 誰かの気が緩んでいるというのは、どうもその人たちばかりではなくて、みんなの気が緩んでいる証拠らしいのである。早朝2時の地震の報道があんなに小さかったのは、それこそみんなの気の緩みを暗示するような気がする。諸君、いつでも油断は大敵だ。
教会
(パリ、サント・ユスターシュ教会)

 というわけで、今井君だって同じように油断は大敵。今日は午後から静岡に出張して、①静岡の浪人生のための激励授業と、②高1高2生のための公開授業、それぞれ90分ずつをこなさなければならない。
 朝から「台風27号が接近して、静岡県では雨風ともに強まっています」のテレビニュースが流れ、画面には「静岡市葵区の状況」が映っている。「ボクチンは、これからそこに行くんですけど」と呟きつつ、「こんな激しい雨でホントに人が来るのかね」と、たいへん不安な朝を迎えた。
 ついでに「そう言えば、旅行記からもだいぶ長い間遠ざかってるな」とふと気づいて、思わずガハハハと大口を開けて笑い転げた。気がつけば、もう10日も第2次ンラゼマを怠けている。
 最後に書いたのは10月17日、あそこから、北見やハッカ、ジンギスカンやラーメン、日赤病院や荻窪や大宮のことに夢中で、最終盤を迎えた第2次ンラゼマは完全にパリに置き去りになっていた。9月11日午後、いったいサト助はどこにいるんだっけ?
薔薇窓
(サント・ユスターシュ教会のバラ窓)

 諸君、9月11日の記憶がもう消えてしまっているとすれば、それはヤタラに年をとったか、または健忘症にかかったかのどちらかである。何しろサト助は記憶力の権化みたいなネットリ里芋であるから、そのあたりの記憶がスカッと消えていることなんかあり得ない。
 冷たい雨が降ったりやんだりのあの日、サトちゃんはパリの街をヴァンドーム広場からコンシェルジュリー、ノートルダムからバスティーユまで、どこまでも西に向かって歩き続けていた。
 何だかフランス革命の名所めぐりみたいだが、まさにその通り。1789年のパリの人々が「これは革命なのだ!!」とは明確に意識しないで行進していった道を、2013年のクマ蔵は次第に興奮しながらたどっていったのである。
コション1
(パリの名店、ブタさんのアンヨ)

 するとまず「ブタさんのアンヨ」という名の名店に出会った。看板のブタさんは、ワイングラスを手にすっかり酔っぱらった様子。ずいぶん大きな店のようで、5階建てのビルの2階も3階も4階も客席になっている。
 ここまで大きいと、バスでドヤドヤ訪れる中国のお客さんであっという間に満員になるタイプの団体優先かもしれないが、セット料理の「コション・エキスプレス」→たった19ユーロは悪くない。
 もちろん今井君はそんなセット料理じゃ満足できないから、「牡蠣30個とカニ1匹」とか「牡蠣50個」「デッカい豚足」みたいなトンでもないものを食べたくなるのであるが、店の名前が「ブタさんのアンヨ」なんだから、「トンでもない」ぐらい、別に構わないじゃないか。
 ただし、今日はまだメシの時間帯ではない。クマ蔵はもう10年も「1日1食」を続けていて、それは外国旅行中も変わらない。メシなんてものは、1日に2度も3度も食べるから面倒くさくなるし、食べるということに対する感動も薄まってしまう。
コション2
(ブタさんのアンヨ、全体図)

 原始人がメシに歓喜したのは、1日にせいぜいで1回、下手をすれば2日に1回、3日に1回、そういう滅多にない幸福の一瞬だったからこそ、深く濃密な歓喜が味わえたのであって、1日に3度もメシを食っていたら、要するに1日中メシばかり食っているハメになる。
 せっかくのパリで、9時から10時まで朝食、12時から13時までランチ、18時から20時までディナー、何でそんなに口とアゴと胃袋ばっかり酷使しなきゃいけないの? 胃袋と腸にももっと休息を与え、食事に濃厚な歓喜を感じるほうが、ヒトの生活は知的になるんじゃないかね。
 そこでサト助は「ブタさんのアンヨ」ないし「ブタのお散歩」に入るのを我慢することにした。また12月下旬にパリに来る予定になっている。ブタのお散歩に付き合うのは3ヶ月後に延期して、今は1789年のパリの人々と一緒に、バスティーユに向かってひたすら行進を続けたい。
パイプオルガン
(リストやベルリオーズも演奏したパイプオルガン)

 すると諸君、目の前に由緒ありげな教会が立ちはだかった。ポンピドゥー・センターの近く、サント・ユスタシュ教会である。ただし、Saint-Eustacsheというフランス語を日本語のカタカナに移すのは困難であるらしくて、ガイドブックでもネット検索しても、「サン・トゥスタッシュ」とか「サント・ゥスタッシュ」とか、目を白黒させるようなカタカナ表記になっている。
 しかし、ここはホントに由緒ある教会であって、モーツァルトのママの葬儀が行われたり、リシュリューやポンパドゥール夫人が洗礼を受けたりした教会。7000本のパイプがついたパイプオルガンは、リストやベルリオーズも演奏したのだそうだ。諸君、「おしゃれキャット」に登場する子猫のうちの1匹も「ベルリオーズ」であったでござるね。
 100年の歳月をかけて、1637年に完成。日曜日の夕方5時半、ミサの前に無料のオルガンコンサートがあり、水曜日には室内楽のコンサートもあるとのこと。こりゃ12月のパリの計画に入れとかなきゃいけませんな。日曜夕方にサント・ユスターシュ、そのまま「ブタさんのアンヨ」で晩飯。赤ワイン2本ぐらい、飲んじゃいますかね。

1E(Cd) Kazune Shimizu:LISZT/PIANO SONATA IN B MINOR & BRAHMS/HÄNDEL VARIATIONS
2E(Cd) Barenboim & Berliner:LISZT/DANTE SYMPHONY・DANTE SONATA
3E(Cd) Perlea & Bamberg:RIMSKY-KORSAKOV/SCHEHERAZADE
4E(Cd) Chailly & RSO Berlin:ORFF/CARMINA BURANA
5E(Cd) Pickett & New London Consort:CARMINA BURANA vol.2
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