Wed 130925 北海道遠軽と「遥かなる山の呼び声」 島勇作 北見での大熱演 手垂れとは | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 130925 北海道遠軽と「遥かなる山の呼び声」 島勇作 北見での大熱演 手垂れとは

 10月17日、宿泊先の「北見ベルクラシック」にチェックインしたのが15時ちょうど。スタッフとの待ち合わせが18時だから、たっぷり3時間も余裕がある。
 こういう余裕は大好きである。ちょっと街をブラブラ歩いてくるのもいい。15分でも20分でもブラついてくれば、ご当地ネタもたくさん手に入る。どんなネタよりご当地ネタが「ツカミ」にはピッタリなので、ギリギリに現地入りするんじゃ、さすがの今井君でもツカミが心配である。
 もっとも、サト助みたいに記憶力がいいと、ツカミに困ることはあまりない。ご当地ネタとして一番いいのは、高校スポーツの話題である。北見には「北見北斗高校」という文武両道の名門があって、何と言ってもラグビー部が有名だ。
 花園での準優勝経験が4回もあって、1951年、52年、59年、62年。これだけ準優勝して優勝がないのは悔しいだろうが、明治大学で北嶋監督を支えた寺西博コーチは、熱狂的な早稲田ファンである今井君としては、絶対に忘れられないニックキ強敵だ。「前へ」の北嶋サンの跡を継いだが、うーん、北嶋サンの足跡が大きすぎて、いろいろ苦労されたはずだ。
北見1
(北見での熱演)

 歴史の長い高校の常で、「強歩大会」も有名。体力だけはありあまっている高校生とは言っても、男子70km以上、女子40 km以上を全員で歩き抜く強行軍である。朝日新聞がついこの間、山梨県立甲府第一高校の強歩大会を特集していたが、北見も負けてはいない。何とまあご苦労なことである。
 以上、北見のご当地ネタは今井君の頭の中にタップリ入っていたし、30年前に鉄道で稚内まで北上したオホーツク海岸の話は、21世紀の高校生たちにはオドロキの異次元世界に違いない。
 こういうふうで、たった90分の持ち時間に対し、ご当地ネタだけで3時間分は抱えている。これ以上ネタを仕込みに駅前をぶらつく必要は、全く感じない。というか、これ以上ネタなんか仕込めば、話がヤメられなくて延長の危機に陥ってしまうだろう。
北見2
(北見、開始直後のサトイモ軍曹。まだ大人しい)

 しかも諸君、この日の北見は「前日に初雪が舞った」というだけあって、強烈な冷え込みであった。すぐ近くの遠軽で積雪27cm。うぉ、遠軽だ。遠軽の駅は、高倉健主演の映画「遥かなる山の呼び声」にも登場する。
 映画の中で車掌の車内アナウンスは、「次の停車駅は遠軽です。遠軽には15時16分の到着。遠軽には6分間の停車です」。やがて遠軽に着くと、列車からホームに出た高倉健が駅弁を買うシーン。「弁当2つ。お茶」。例の顔と例の態度で、マコトにそっけなく弁当を買って列車に戻る。
 若き日の今井君は、高田馬場の名画座「早稲田松竹」でこの映画を見た。同じ高倉健の「幸せの黄色いハンカチ」と2本だて。「どっちが有名?」という話になれば、桃井かおりと武田鉄矢が出る「黄色いハンカチ」のほうに軍配が上がるはずだが、サト助としては「弁当2つ、お茶」の台詞1つで、今も「山の呼び声」の方が好きなのだ。
 ついでに、1977年の映画「幸せの黄色いハンカチ」で高倉健が演じる主役の名前が「島勇作」。弘兼憲史の「課長 島耕作」の連載が始まったのが1984年。当時の今井君はずっと、「おお、作者は高倉健ファンなわけね」と思っていた。
 2005年の早稲田祭で、ボクチンは弘兼憲史と対談した。今井君は「チャンスがあったら、聞いてみよう」とワクワクしていたが、早稲田祭の当日、サト助は夕方から広島でお仕事の予定があって、とうとう聞かずじまいに終わってしまった。
北見3
(北見、そろそろ燃えだした恐るべきクマ蔵)

 こういうふうで、北見のホテルの部屋に収まり、昨日の雪が白く残っている遠軽方面の山々を眺めただけで、サト助の頭を中にはいくらでも地元ネタが湧き上がってくる。散策に出るのはヤメにしてPCに向かい、今年9月11日朝のパリの思い出を、ブログに書いてアップする方を選択した。
 18時、ホテルロビーでスタッフと待ち合わせて、北見駅前校の校舎に向かった。ホテルからJR北見駅に向かって坂道を降りていくと、徒歩5分ほどで北見駅前校舎に着いた。
 普通、「校舎での開催です」と言われれば、講師としては「ああ、今日は出席人数をしぼって、小規模に地味にコジンマリとやるんだな」と分かる。参加人数が多ければ多いほど盛り上がる今井君としては、「今日は校舎で」と告げられると、まあそれなりに覚悟を固める。
 しかし諸君、案内された会場を一目見るなり、今日のクマ蔵は「こりゃ楽しそうだ」「こりゃいいや」と、シャケの大群を発見した秋のヒグマよろしく、一声「ガオー」と天に向かって叫びそうになった。
北見4
(クマを止めることは、もう誰にもできない)

 並べられた椅子は200を超えている。21世紀初頭の大規模予備校の新校舎に勝るとも劣らない立派な設備。いたるところに最新式のタッチパネルが置かれ、「座席表もタッチパネルに掲示されるんです」と、校舎のスタッフも嬉しそうにおっしゃるほどである。
 あんまり嬉しいので、キレイな明るい講師控え室に入ったサト助は、頼まれもしないのに「サインいくらでも書きますよ」と自ら志願。1時間のうちにサインを150枚書きまくって、「まだまだ書けますよ」と汗を拭った。おだてれば木にも登る、ホントに気のいい講師であるね。
 19時40分に開始、終了は21時15分。あまりの楽しさに5分ほど延長してしまったが、延長はこれが限度。JR北見駅を発着する石北本線の列車の終発は、すべて21時台。21時15分を過ぎると「帰れません」とか「帰れま10」とかいう生徒が続出しかねない。
 出席者は約220名、高1高2を中心に中3生も十数名混じっていた。この塾の中学部には「英才クラス」もあって、英語なんかは遠慮することなしにどんどん先に進んでいるらしい。ならば、今井君の大熱演も今のうちに見ておくほうがいいだろう。
北見5
(最後に花束をもらう)

 講師がこんなに盛り上がれば、生徒たちは黙っていてもついてくる。生徒が妙に大人しかったり、居眠りしたりアクビしたりするのは、そもそも講師が悪いのだ。さすがに超ベテランのサト助なら、90分間一人も居眠りさせず、アクビさえ1つもさせずに、「20秒に1度の大爆笑」の今井スタンダードを実現できる。
 こういうのを「手だれ」という。漢字で書けば「手練れ」または「手垂れ」。諸君、両方のお手手を下にダランと垂らした姿を想像してみたまえ。ホントの名人というのは、ホンモノの真剣勝負の場であっても、お手手を2つともダランとさせた超リラックス姿勢で現れる。
 剣も銃も、槍も長刀も、何にもいらない。ダランと両手両肩の力を抜き、「さあどこからでもおいでなさい」と、冷たくニヤリと笑ったその一瞬、敵は腰が抜けてヘナヘナとその場に崩れ落ちる。うにゃにゃ、サトちゃんが10年後に目指すのは、そういうテダレなのである。
 そんなヒト、予備校の世界なんかにいたかねえ? 今井君の記憶では、駿台の鈴木長十師がそれに近い感じだったかもしれないが、さすがにあの境地には、まだまま到達できそうにない。そもそも駿台は、先生を「師」と呼ぶ長年の伝統をアッサリと捨ててしまったらしいでござるね(まだ、つづく)。

1E(Cd) Lima:CHOPIN FAVORITE PIANO PIECES
2E(Cd) Ricci:TCHAIKOVSKY/VIONLIN CONCERTO・PAGANINI/CAPRICES
3E(Cd) Maazel & Wiener:TCHAIKOVSKY/SUITE No.3  R.STRAUSS/TOD UND VERKLÄRUNG
4E(Cd) Dorati & Washington D.C.:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.4
5E(Cd) Barenboim & Chicago:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.5
total m138 y1669 d11865