Tue 130806 サトイモを甘やかす ほうほうのていでシカゴへ(第2次ンラゼマ地球一周記2) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 130806 サトイモを甘やかす ほうほうのていでシカゴへ(第2次ンラゼマ地球一周記2)

 朝10時45分に成田を出て、シカゴには同じ日の朝8時半に到着。東京からシカゴに向かう直行便は、ANAに限ればこれ1本しかない。
 出発の日、朝5時前に起きて身支度を整え、6時ちょっと過ぎにタクシーを呼んで慌ただしく出かける。一瞬「オレは何でワザワザこんな苦労に飛び込んでいくんだ?」という後悔の思いがよぎる。
 おとなしく東京にいれば、朝だってタップリ寝ていられるし、食べるものも飲む酒も、思うぞんぶん好き放題ができる。なのに朝5時前に無理やりベッドを出て、眠い目をこすりながら、外国での不自由な日々にバタバタ飛んでいく。
 そういうことをもう8年間、1年に3回も4回も繰り返し、ついこの間だってワシントンやボストンやNYを歩き回っていたばかりなのに、こんな朝っぱらから、何も用のないシカゴに向かう。「オレってアホなんじゃないか?」という疑問が拭いきれない。
ワイン
(出発前のラウンジ、赤ワインで出発を祝う)

 しかしそういう疑問に対しては「そうですよ、ボクはアホなんです」と平然と開き直れば足りる。アホじゃないとしたら、いったい何だというのだ? クマ? サトイモ? ジャガイモ? ま、どれをとっても、みんな同じようなもんじゃないか。
 もしもクマだとすれば、クマというのは山の中を徘徊するのが専門なんだから、今井君は世界を徘徊するのを専門にしていいわけだ。サトイモやジャガイモみたいな芋類だとしても、まさか暗い地面の中で一生ジットリしているわけにもいかないだろう。
「いつかは陽の目をみて、世界中をゴロゴロ転がって歩きたいもんだ」
どんなサトイモだって、そういう夢に心を躍らせているのである。
ラウンジ
(成田空港、ANAスイートラウンジ)

 しかしどんな世界でも「保守本流の長老」が幅を効かせていて、
「いかんのう、最近の若いもんは。そんなゴロゴロ世の中を転がってみたって、得るところは少ねえべ。サトイモの本領は、暗い地中でジットリしてることでねえけ」
「ことわざにも『転石コケを生ぜず』と言うでねえけ。これをサトイモ界に応用すれば『転がるサトイモには毛が生えねえ』。ポヨ毛のちっとも生えてねえ、マズそうなサトイモになっちまうのがオチだんべ。がはがは、がっはがは!!」
と、世界を転げ回るサト助を冷たく批判して豪快に笑ってみせたりするが、諸君、そういう考え方ではやがて「酔生夢死」に至るばかりだ。
 サト助は、そういうのは絶対にイヤである。だから5時起きだろうが何だろうが、ある8月の朝、周囲の制止を振り払ってでも、意地でもシカゴに向かうことにした。さまざまなポイントを駆使して、サト助のくせにビジネスクラスに紛れ込んだ話は、すでに昨日の記事で終わっている。
 ところが諸君、いつものプレミアム・エコノミー席とビジネスクラス席を比較して、「そんなの、ビジネスのほうがいいに決まってるだろ!!」と決めてかかるのは、まだまだシロートなのである。サト助の旅の始まりとしては、ビジネスが毒になる可能性だって、なきにしもあらずなのだ。
ビジネス
(ポイントを駆使して獲得したビジネスシートのチケット)

 つまり、育ちも性格も高級じゃないし、忍耐力も自制心もチャンと鍛えてこなかった今井君は、あんまり甘やかされると図に乗って、「結果がどうなろうと構わない」「今の幸福さえ確保できればそれでいい」と、全身から熱い湯気が噴き出すような気分になる。
 どういう甘やかされ方かというに、食べるものと飲むものが次から次へ、「これでもか」&「これでもか」と果てしなくサーブされるのである。
 出発前のスイートラウンジで、まずキツネ蕎麦をすする。冷やし中華もウドン各種もカレーも揃っている。オムスビもあればポテトサラダもあり、たまご焼きもサンドイッチも酒のツマミも各種ズラリと揃っている。もちろん、何から何まで無料でござる。
 ツマミが各種そろっていれば、もちろんお酒もすすむ。まず生ビール。一息ついたあとは、赤ワインでも白ワインでもシャンパンでも、まあ高級なのが3~4本ずつよりどりみどり状態。日本酒も焼酎も、ウィスキーもコニャックも、一目見て「おや、旨そうですな」というレベルのボトルがやっぱりズラリと並んでいる。
 こういうお部屋にすわっていると、忍耐力のなさ、性格の幼稚さが、余りにも如実に前面に出てくるから、自分でもビックリする。
「これから長いフライトですよ」
「ちょっとは自制したらどうですか」
と、天の声、神の声、ホトケの声が渦巻くように聞こえてくるが、思わず「ホットケ」と心で振り払って、それで終わりである。
座席
(ポイントを駆使して紛れ込んだビジネスシート)

 こういうわけで、搭乗する頃には「いやはや、飲んだ飲んだ」「食った食った」と苦笑いするアリサマ。10時45分、さすが日本のエアラインは定刻に出発するが、離陸して1時間ちょっとで、もう「お食事のご用意でございます」が始まる。
 「うーん、ラウンジで食べ過ぎ&飲み過ぎたな」「まだあんまり食欲はないな」であるが、エコノミーと違ってビジネスクラスのお食事は、昨日の記事で示した通りの豪華版。意地汚い今井君はデザートまでキチンと食い尽くして、勧められるままに赤ワインを何度でもオカワリする。
 もちろん、周囲のエラそうなオジサマたちだって、今井君とほとんど変わらない健啖家ぶりを発揮しているのであるが、きっとラウンジでチャンと自制していたのであろう。ちっとも乱れた様子を見せない。さすがにエラいオジサマたちは、ホントにホントにエラいのである。
ラーメン
(ANAの機内でサーブされる「一風堂」のラーメン)

 食事のあとはシカゴ到着が迫るまで、まあ放っておいてもらえる。しかし、ヒコーキがアンカレジ近くを通過する頃、「ご希望なら、ラーメンやウドンのご用意もございます」とCAに声をかけられれば、「では、ラーメンをください」ということになる。「お飲物は?」「では、ビールを」、この流れも致し方ない。
 これでもう、ポンポンがパンパンだ。だって、この「一風堂」の特製ラーメンは、あまりにアブラがキツすぎて、このアブラは滅多なことじゃ体外に排泄されそうにない。ヒコーキの中はアッサリした旭川ラーメンのほうがいいと思うが、今そんなこと言ったって何にもならない。
 パンパンなポンポンを抱えて「もう食べられません」と唸っているところに、「朝食のおしたくでございます」という話になって、パンパンポンポンのサト助は、自制心を欠いた自らの日々や、イタズラを優先し慎重な判断の欠落した人生を、心の底から反省することになる。
 こうして、ビジネスクラスでたっぷり甘やかされたサト助は、ほうほうのていでシカゴ・オヘア空港にたどり着く。朝8時10分、定刻より10分早い着陸だ。ダラしないサト助とは雲泥の差。さすが日本のエアラインは、何よりも日本が世界に誇るべき優等生なのである。

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