Mon 130708 花火より、ポンポン絶叫するほうがいい 栂尾高山寺のウサギTシャツについて | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 130708 花火より、ポンポン絶叫するほうがいい 栂尾高山寺のウサギTシャツについて

 7月下旬の河口湖は、夏休み最初の旅行にやってきた親子連れ、大学サークルの小旅行、中高生の部活の合宿、その他さまざまなヒトビトでごった返している。

 夜になれば、酔っぱらった若者たちがポンポン花火を打ち上げて、歓声というか奇声というか、湖畔はちょっとイカレタ雰囲気に包まれる。合宿第2期の河口湖は連日の雨模様で、夜から早朝にかけて少し寒いぐらいだったが、彼ら彼女らはそれでも花火で気勢をあげる。

 しかし誰の目から見ても一番楽しそうなのは、間違いなく東進の合宿に参加した諸君である。何も花火なんかに頼らなくても、サトイモ大将と一緒に「ポンッ!!」「ポンッ!!」と気勢をあげることは難しくない。
ウサギさん
(3日目は鳥獣戯画ウサギさんのTシャツにする)

 「ポンッ!!」に飽きたら、「タァー!!」でも「トァー!!」でも、今井君が思いつく限りのあらゆる奇声に唱和するうちに、音読の声はますます勢いづいていく。最初は若干カラ元気的な傾向があっても、2日目の夜からの音読は奔流のようになって、
「もう誰にも止められない」
「このままいつまででも合宿が続いてほしい」
「帰りたくない。帰りのことなんか考えたくない」
という勢いである。

 第2期も、今井君が担当するのはH1クラス。記述模試8割以上という優秀な諸君のクラスである。ピッタリ100名のうち、男子60名、女子40名。女子も男子もマコトに胸がすくような元気な諸君であって、かつ繊細さと優しさに満ちている。
河口湖1
(7月下旬、河口湖は雨模様が続いた)

 クラス全体で声を合わせて音読するとき、黒板の前に出てリードする役が必要になる。初日から2日目の昼にかけての生徒たちには、まだちょっとオズオズしたところがあって、リード役を募っても手をあげる生徒は多くない。

 結局スタッフがリードせざるを得ないのだが、2日目の夜にはリード役希望者がワンサと手を挙げるようになる。手を挙げた者は出来るかぎり全員を黒板の前に立たせるから、いつの間にかリード役とリードされる役がほぼ同数になったりする。

 それはそれでいいのだ。半分の生徒が黒板の前に立ち、残る50人が自分の席に立って、ほとんど対抗戦のように掛け合いで同じセンテンスを朗読する。こうなりゃ、朗読合戦だ。木下順二演出の平家物語群読を聴くみたいな、迫力に満ちた音読合戦が夜遅くまで続くことになる。
河口湖2
(富士山が見えるはずの方向も、分厚い雲に覆われた)

 これなら、湿気た花火なんかに援軍を頼まなくても、音読だけでどこまでも気勢が上がっていく。第1期もそうだったが、第2期の諸君も発音がたいへん上手である。

 一語一語の発音がいいだけでは、何だかサイボーグの発音みたいで聴いていて奇異な感じがするものである。サト助クラスは、センテンスの発音がいい。1行ちょっとのセンテンスを、スラッシュなんか入れるんじゃなくて、滑らかに一気に発音できる諸君が多いのだ。

 2日目の夜から急激に元気が出るのは、今井君がこの瞬間を選んで「いくら大きな声を出して構わない」と、大声を張り上げての音読を解禁するからである。そのことについては第1期の記事でもう説明した通りだ。

 2日目までは怒髪天をつくBAD TOROの表情にこわばっていた生徒たちであるが、だからこそ「もう大丈夫」と分かったときの解放のエネルギーは強烈。100人がほとんど円陣になっての音読は、クマ蔵としても遠い将来まで語り草にしたいほどの迫力である。
個別学習
(個別学習の風景)

 このチャンスに、今井君はウサギさんのTシャツで対応する。一口にウサギさんと言っても、ただのウサギさんではない。鳥羽僧正の描いた鳥獣戯画の中から、大量のウサギさんたちがズラリと並ぶ。うぉ、枯れススキだか笹の枝だかを振りかざして、何とも楽しそうなウサギさんの列である。

 このTシャツを買ったのは、何を隠そう京都栂尾・高山寺。「高山寺周辺の土産物屋」というならまだ分かるが、諸君、ホントにホントに高山寺そのものであって、拝観料を支払うのと同じ窓口で、大胆不敵にもこのTシャツを購入した。
3日目
(3日目の晩餐)

 あれは昨年秋のことである。11月下旬、朝から栂尾・高山寺→槙尾・西明寺→高雄・神護寺を回った。いわゆる「三尾」であるが、今井君は紅葉の季節、大原に劣らず三尾が大好き。高雄の神護寺は雪解け直後の3月にも訪れた。鄙びた雰囲気がそのぐらい好きなのだ。

 いやダンナ、嘘をついてはいけませんぜ。正直に言うと、ホントに大好きなのは神護寺のカワラケ投げであって、プロ野球のアンダーハンドピッチャー並みのスピードとコントロールで、今井君のカワラケは京都の谷間に飛んでいく。

 常識的な人物ならカワラケ5枚か10枚で終わりにするけれども、サト助には常識なんか通じない。10枚投げれば「あと10枚いくかね」、20枚投げれば「あと20枚ぐらい、いいじゃないか」で、気がつくとカワラケ100枚がビュンビュン京都の空を飛んでいる。
4日目
(4日目の晩餐)

 それをまた、周囲の観光客が褒めてくれる。
「ほら、見てみ。あのオジサン、カワラケ投げるの上手やで」
「スゴいなあ。ビュンビュン飛んでいくでえ。カラスにぶつかりそうで、面白いなあ」

 関西のヒトビトは、クマをつけあがらせてコッソリくすくす笑うのが大好きらしい。しかしサト助もそういう関西人が大好き。コッソリくすくす笑うなら、いくらでもコッソリくすくす笑うがいい。こっちは何十枚でもカワラケをビュンビュン投げてみせようじゃないか。

 昨年の秋は、そのあと鷹ケ峯の源光庵や光悦寺に回って、いかにも「私は風流に京のミヤコの紅葉をエンジョイしております」というフリをした。「カワラケ投げ? そんな物騒なこと、興味ありまへんなぁ」というわけであるが、実際には昼ごろ投げまくったカワラケのせいで、右腕の筋肉は「こりゃ4~5日は筋肉痛でたいへんだろうな」という予感に苛まれていた。
すきやき
(4日目のすき焼き拡大図)

 しかも、実は高雄・神護寺の周辺で道に迷ってもいたのである。ホントは「しんどいから、今年は神護寺はヤメとこうかな?」と考えていたのだ。高雄のバス停近くに「もみじ屋」というお蕎麦屋があって、そこでお蕎麦を食べて、素直に宿泊していた京都ホテルに帰る予定だった。

 しかし、何を間違ったのか、「もみじ屋」に向かうはずの山道をたどるうち、いつの間にか「硯石亭」に着いてしまった。硯石亭は、神護寺参道の8合目付近。山道にヒーヒー唸っている頃、「もうすぐ神護寺ですよ。あとちょっと頑張りましょう」というニュアンスで姿を現す茶屋である。

 さっき栂尾・高山寺で購入したウサギさんTシャツをブラブラさせながら、「何だ、結局『カワラケ投げ』をしなきゃいけないな」と、苦笑いしたものである。ちょうど冷たい雨も降り出して、今井君の投げた数十枚のカワラケは、冷たい北山の雨の中をビュンビュンどこまでも飛んでいった。
ウサギ拡大図
(ウサギさんたちの拡大図)

 今日のTシャツのウサギさんたちには、以上のような思い出が染み込んでいる。合宿3日目の晩餐は、エビとホタテの焼き物とハンバーグ。4日目の晩餐は、すき焼と天ぷら。さまざまな小鉢とコラボして、高校生の夏期合宿としてはビックリするぐらいの豪華な晩餐であった。

 ウサギさんたちもビックリしながら、「そんなに楽しそうな晩餐と音読パーティーなら、ぜひ私たちも参加したいですね」と、ススキの穂を片手に今井君の胸を駆け巡った。もちろん、確認テストも授業も楽しいことこの上ない。

 今井君には絶対の自信がある。今のサト助の授業なら、鳥獣戯画のウサギさんたちに限らない、カエルさんもおサルさんたちも、みんな爆笑しながら満喫してくれるに違いない。ニャゴだってナデだって、「サト助どん、あなたは何でそんなに分かりやすいんですか?」と英語で質問してきそうな気さえする。

1E(Cd) Schiff:BACH/GOLDBERG VARIATIONS
2E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 1/2
3E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 2/2
4E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3 SONATA No.3
5E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2
total m35 y1232 d11427