Wed 130703 河口湖合宿3日目から4日目 お空は曇りがち どこまで走ろうか | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 130703 河口湖合宿3日目から4日目 お空は曇りがち どこまで走ろうか

 こうして(スミマセン、昨日の続きです)合宿3日目からは、スタッフも生徒たちもエンジン全開になって、マコトに気持ちよく最後まで疾走するのである。講師のすることは、もう特に存在しない。淡々と授業を進めて、生徒たちの音読の素材を作ってあげるだけである。

 しぼりにしぼってきた手綱をスーッと緩めて、「それ、思いっきり走ってきな!!」と叫べば、今までこらえてきたもの全てが一気に解放されて、爆発的に噴出する。この解放感は何ものにも代えがたい。

 この瞬間までの長い道のりが、生徒にとっても講師にとってもホントにもどかしい。そのもどかしさに耐えることができるかどうかが、成功か失敗かの分かれ目になる。

 経験の少ない予備校講師だと、エンジンを最初から全開にして、いわゆる「尻すぼみ感」だけが残ってしまう。尻すぼみというか、右肩下がりというか、まあそんな情けない感じでござるね。
ぽん
(スピリットの高まりを、各班ごとにコトバにする。今井君の名言「ポン」は人気絶頂だ)

 短期の合宿ばかりではなく、1年の長いスパンでみても、「4月にはあんなに盛り上がっていたのに、5月になったら出席率がヤタラに低下している」「6月の1時間目は、教室が驚異的にガラガラ」などというのは、まさにその典型である。

 もっとも、従来型の予備校の経営スタイルだと、それもやむを得ないのかもしれない。講師の評価は、5月末の「夏期講習申し込み者数」と、6月上旬の「授業アンケート」で決まってしまう。講師はスタートからエンジン全開にせざるを得ず、全てを4月5月に爆発的に集中させるわけだ。

 つまり、6月から受験までの8ヶ月、予備校は尻すぼみと右肩下がりの寂寥感に覆われる。手綱をしぼる/緩めるという名伯楽の醍醐味はそこには一切存在しない。
不穏な雲1
(富士山の不穏な雲 1)

 どんどんガラガラになっていく教室で、もうマイクなんか使わなくても誰も困らないのに、それでもマイクに口を近づけて、異様に馴れ馴れしく語りかける。

「いいかー、なー、おまえらー。この問題はなー、マジでー、頻出なんだー。チャンと話を聞けよー、いいかー、なー、おまえらー。マジでよく出るぞー」
「はい、ね。いいですかー。ね、ホントにね、この問題ね、はい、ね、はい皆さん、大事なんです、うん。はい、ね、はい、うん。いいですかー、ね。はいー、うん」

この類いのむなしいコトバが、ガラガラの教室に軟らかく反響すれば、わずかに出席している20名か30名の生徒全員が激しい睡魔に襲われる。予備校の10月11月に大いにありがちな光景である。

「全てはスタートダッシュ」。これが失敗のモトなのだ。野球なら「1回表がすべて。1回表の先取点を、最後まで守り抜く」という弱小チームの戦い方を強いられる。相撲なら「立ち会いがすべて」、サッカーなら「開始5分がすべて」。「いったん攻め込ませておいて、あとからジワジワ追いつめる」という横綱相撲は、彼ら彼女らには許されていない。
不穏な雲2
(富士山の不穏な雲 1)

 うーん、何だか可哀そうになりながら、合宿3日目→4日目は生徒・スタッフとともに、ほとんど勢いに任せてゴールまで疾走する。もどかしさに2日目まで耐え、懸命に手綱をしぼったからこそ可能になる疾走の快感である。

 この段階で、ますます高まっていくスピリットを、各班ごとにコトバにして教室に掲示する。スタッフの発案である。「俺たちは常にパーフェクトを目指す!!」とか「めざせ、頂点!! 」「有言実行、燃えろ、私たち♡」みたいな、さすがに789歳の長老サトイモ閣下としては恥ずかしい世界だが、今や勢いに任せた里芋カッカに変貌している。このぐらい、赤面せずに耐えられる。
とあー
(トァー!)

 このとき、写真で示す通り、「ポン!!」「タァー!!」「トァー!!」などの不思議な絶叫が妙に目立つ。初日の全体開講式で里芋カッカがステージで絶叫する「ポン!!」「タァー!!」をパクったものである。

 もうこの5~6年続いているのであるが、里芋カッカは開講式と閉講式で「ポン!!」「タァー!!」をやっている。まずカッカが「ポン!!」。それにつづけて生徒全員で「ポン!!」。次にカッカが「タァー!!」。それに続けて生徒全員で「タァー!!」。美富士園だけで約400名の生徒がいるから、たいへんなボリュームの「ポン!!」「タァー!!」になる。

 河口湖に集まった東進生は、全部で2000名ほど。ホントは全員で「ポン!!」「タァー!!」をやりたいのだが、さすがに2000人全部を収容するようなスペースはない。

 仕方がないので、今年からは「ポン!!」「タァー!!」を2度も3度も繰り返すことにした。特に「ポン!!」の人気が高いので、閉講式では「ポン!!」だけを数回繰り返す計画である。
たあー
(タァー!)

 23日、合宿3日目のスケジュールは以下の通り。
① 分詞に関連する文法問題20と、長文読解問題1問。ディクテーション5問
② 関係詞に関連する文法問題20と、長文読解問題1問。ディクテーション5問
③ 会話体の読解問題3問
4日目の教室
(4日目の教室)

それに続く24日、合宿4日目のスケジュールは以下の通り。
① 関係詞に関連する文法問題20と、長文読解問題1問。ディクテーション5問
② 比較に関連する文法問題20と、長文読解問題1問。ディクテーション5問
③ 仮定法に関連する文法問題20と、長文読解問題1問。ディクテーション5問

 合宿4日目は実質的に最終日であって、5日目には「合宿修了判定テスト」があるだけである。しかし諸君、4日目は夜11時に最後の授業が修了した後で、朝5時までの個別学習がある。合宿のヤマ場は、4日目から5日目にかけての徹夜学習になるわけだ。
不穏な雲3
(河口湖の不穏な雲)

 確かにごく冷静になって考えてみれば、
「そんな一夜漬け、あんまり役にたたないんじゃないの?」
「徹夜で7~8時間勉強ということなら、期末テストとか中間テストのときに何度でも経験した」
「そんな無理なことより継続が大切。一晩で7時間も8時間もやるより、1日2~3時間ずつでも1年間毎日継続することのほうがずっと重要」
なのであるが、そんな優等生的お説教や教育ママレクチャーとは別次元の、おそらく一生忘れない集中と協力がそこに存在するのである。
夕景
(4日目の夕方、河口湖の上空はキレイな夕焼けになった)

 合宿1日目から4日目まで、生徒たちは1日4~5時間の睡眠以外はすべて勉強に費やしている。しかもそのほぼ全てが音読。つねに声を出して英文や文章を発音しているんだから、「ボンヤリしてました」「つい他のことを考えていました」みたいなことの一切ない、極度の集中で4日間を過ごした。

 そういう4日間のあとで「では、朝まで7時間突っ走りましょう」と言うんだから、その苦しさはたいへんなものである。しかもその7時間のほとんど全てが、またまた音読なのである。

「眠いだろ、でも我慢してやんなきゃダメだぞ」
みたいなお情けは一切ナシで、音読、音読、ひたすら音読。しかも何度も言うように、クマ蔵のH1クラスは「文字を見ないで音読」「腕を後ろに組んで余裕の表情で音読」が目標。厳しさに輪がかかるのだ。
4日目の夜
(いよいよ4日目の夜が始まる)

 7月24日の河口湖は、昨日の激しい雷雨からずっと重い雲がとれない。富士山は麓まで雲に隠れ、河口湖の静かな水面にもたくさんの波が立って、冷たい風が吹いている。「今朝の最低気温は18℃でした」とニュースで言っている通り、早朝はクーラーなんか全く必要のない涼しさであった。

 合宿4日目の生徒たちは、朝からもう今夜の徹夜学習が楽しみでたまらない様子。すでに手綱は緩めてある。「いくらでも好きなように走りたまえ」と告げられ、「夜の7時間でどこまで走ろうか」と、彼も彼女もワクワクしながら考えて過ごす。4日目は、マコトに幸福な1日と言っていいのである。

1E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)1/
2E(Cd) J.S.BACH/SILVIA(Cantata Opera in 3 Acts)2/2
3E(Cd) Münchinger & Stuttgart Chamber:BACH/MUSICAL OFFERING
4E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 1/2
5E(Cd) Jochum & Concertgebouw:BACH/JOHANNES-PASSION 2/2
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