Thu 130620 いよいよ河口湖合宿が迫る 獅子文六「大番」のこと 千葉県松戸での大熱演 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 130620 いよいよ河口湖合宿が迫る 獅子文六「大番」のこと 千葉県松戸での大熱演

 7月13日、午前中オウチでノンビリしていると、宅配便が次から次へとやってくる。まず最初に、東進の夏期河口湖合宿テキスト一式。「ああ、また今年も始まるんだな」であるが、7月21日から25日までの第1期、26日から30日までの第2期、合わせて10日間も河口湖畔「ホテル美富士園」で過ごすことになる。
 今年が東進9年目だから、河口湖での夏は合計90日に及ぶ。80年の人生として、一生で80年×365日=29200日。約30000日の人生のうち90日とは0.3%に過ぎないが、しかしその0.3%をホテル美富士園で受験生たちとともに過ごしたことになる。計算してみると、マコトに感慨深いものがある。
 思えばこの9年、目の前の受験生たちはどんどん優秀になってきた。9年間の夏期合宿で、サトイモ男爵はずっと同じ「Hクラス」担当。Hとは要するに「ハイレベルクラス」の略であるが、2005年のHクラスと2013年のHクラスでは、学力にビックリするぐらい大きな違いを感じる。
大笑い1
(千葉県松戸、大爆笑の風景 1)

 9年前の合宿は、ほとんど20世紀の部活のような「力ずく感」が満ちていた。腹の底から声を張り上げて音読を続けるのだが、生徒たちが音読する英語の例文は、たとえば
「私が持っている2倍の本を、ボブは持っている!!」
「サマンサが駅に着くやいなや、激しい雨が降り出した!!」
「植物にタップリ日光が必要なのは、動物に新鮮な空気が必要なのと同じことだ!!」
など、およそ腹の底から声を張り上げるタイプの例文ではない。そういう例文を、朝まだきの湖畔に整列して、まるで富士に語り聞かせるかのように音読するグループも少なくなかった。
 しかし今や、Hクラスの諸君は「センター模試160~170点」の立派な成績を引っさげてやってくる。170点以上の超優秀なヒトビトは、もうワンランク上の「HHクラス」に入ってしまうから、今井君の目の前の生徒たちはまだ8割程度の得点率なのであるが、それでも顔つきから漂う集中力が違う。
 それを今井君が実感し始めたのは、一昨年ぐらいからである。授業中の雰囲気も違う。基礎基本徹底を授業方針にしていると、イマイチの諸君は「こんな基礎的なことばっかでいいのか?」と暗い不平&不満を漂わせるものだが、優秀になればなるほど、基礎徹底の意義をキチンと理解しているのである。
松戸1
(松戸会場の横断幕。何だかとってもレトロを感じる)

 昔は、基礎徹底がどれほど重要かを繰り返して語り聞かせる必要があった。ところがこの2~3年、むしろ「もっともっと基礎を徹底してほしい」という態度の生徒がほとんどなのである。合宿で扱う例文の数は300近くに及ぶが、それをすべて何の苦もなく暗唱できるようになるまでは、基礎徹底とは考えない。
 だから、今井君のクラスでは「テキストを見ないで音読」が最終目標になる。最初の段階ではテキストを見ながらでもタドタドしかった音読が、最終日にはテキストを見ないでもスラスラ音読できるようになる。
 生徒に付き添うスタッフの諸君も、同じようにテキストなしでの音読をめざす。スタッフの語学力が伸びれば、自然に生徒たちの基礎力もカンペキになる。若いスタッフは、自らの乏しい人生経験をもとに日々シツコイお説教なんかに励むより、自ら率先垂範して「ほら、私はテキストを閉じたまま音読できますよ」という姿勢を見せる方が、遥かに効果的なのだ。
ホイジンガ
(松戸でもまず最初に、ホイジンガを紹介する)

 次にやってきた宅配便は、昨日アマゾンに注文した文庫本2冊である。諸君、どう思うかね? 獅子文六「大番」の上下巻。小学館文庫「昭和のエンターテインメント叢書」の1つとして、今でも読むことができる。
 主人公・ギューちゃんこと丑之助は、四国の貧しい農家に生まれ、富豪の令嬢・可奈子にガリ版ラブレターを送ったりするが、全く相手にしてもらえない。18歳、田舎を飛び出して昭和初期の東京日本橋へ。住み込んだ兜町の小さな株屋で働くうちに才能が開花。株屋として独り立ちし、相場師としての道を驀進することになる。
 やがて太平洋戦争が勃発。戦中戦後の混乱期、東京と四国を舞台に、挫折をはさみながらも兜町で大活躍するギューちゃんと、令嬢・可奈子の波瀾万丈の人生が描かれる。マコトに痛快な、昭和の相場師の物語である。
大番
(獅子文六「大番」上下巻、小学館文庫)

 若い諸君は、「獅子文六」と言われても、おそらくその名前さえ知らないだろう。19世紀末の横浜に生まれ、本名は岩田豊雄。岸田国士・久保田万太郎とともに劇団文学座を結成した演劇界のヒトであるが、小説家としても大活躍。小説家として書くときは、獅子文六を名乗った。
 慶応義塾大学の理財学科を中退。諸君、昔は経済学とは呼ばずに、理財学といった。財産をどう増やし、どう使い、どう管理するのか。何だかマコトに生臭い世界だったわけであるが、学生時代のそういう勉強を小説「大番」にも生かしたことになる。
 快傑ババサマ(サトイモ男爵の母上)は、獅子文六の大ファン。バサマの書棚には彼の「自由学校」「娘と私」「てんやわんや」が揃っていたし、獅子文六が原作を書いたNHK連続テレビ小説「信子とおばあちゃん」も欠かさず見ていた。昭和天皇も獅子文六のファンでいらっしゃったそうである。
無表情の実演
(今日もまず冒頭で「無表情な生徒」を実演する)

 しかし世の中が移り変わるスピードは、人間の記憶ではとても追いつくことができない。昭和人気作家の代表格だったはずの獅子文六だが、彼の名前にももはや滅多にお目にかからない。やっぱり祇園精舎の鐘の声には諸行無常の響きがあるし、夏の真っ盛りの華麗な花々を眺めても、盛者必衰の理を感じずにはいられない。
 今回サトイモ男爵が「久しぶりに読んでみっかな♡」と思い立ったのは、「大阪証券取引所が134年の歴史に幕」というニュースがキッカケである。小説の舞台は愛媛県宇和島と東京日本橋の兜町であるが、昭和初期の株式と生臭い理財の話となれば、大阪の昭和レトロを連想せずにはいられないのだ。
松戸2
(松戸の最終盤、生徒代表が挨拶する)

 宅配便の第3弾で届けられたのは、8月の出張に関わるチケット類である。日本で一番熱く燃える8月2日の埼玉県熊谷では、160名が出席の予定。翌日はいきなり太平洋を南に飛んで、沖縄県浦添で250名が出席してくれる予定である。
 そのあとは20日も間があいて、鹿児島だ。ラサール高校の優秀な受験生を始めとして、鹿児島大学の会場に150名が集まってくれる。3回ともマコトに楽しみであって、熱く焦げた里芋サト助の夏はまだまだ長く続くのである。
 夕方4時半に自宅を出て、地下鉄千代田線で懐かしの千葉県松戸に向かう。今井君は20歳代の10年間、ほとんどを松戸市内で過ごした。あのころの様々なエピソードは、授業中のいろいろな場面で語られる通りである。校舎での開催が無理なので、今日の会場は松戸商工会議所4階ホールである。
大笑い2
(千葉県松戸での大爆笑風景 2)

 この数年、今井君もすっかり有名になったようだ。松戸駅から会場に到着するまでの短い時間にも、「あ、今井先生だ」「受験のころ、先生の授業を受けてました」「いっしょに写真とってください!!」の声が盛んにかかる。結局、たった5分のうちに3組の若者たちと写真に収まった。
 19時開始、20時40分終了、出席者約90名。いつも通りの大熱演で、諸君、写真をもう1度眺めてくれたまえ。最後列の男子諸君はみんな顎が外れそうな大爆笑中である。
 こういう笑いが90分も100分も延々と続いてみたまえ。「アゴ、痛えよ!!」「もう、オレ、ダメ!!」「腹と背中、チョー痛え!!」という絶叫があちこちから沸き起こるのも、これなら全くフシギはないのである。

1E(Cd) Nevel & Huelgas Ensemble:Canções, Vilancicos e Motetes Portugueses
2E(Cd) SPANISH MUSIC FROM THE 16th CENTURY
3E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 1/2
4E(Cd) The Scholars baroque Ensemble:PURCELL/THE FAIRY QUEEN 2/2
5E(Cd) Corboz & Lausanne:MONTEVERDI/ORFEO 1/2
total m92 y1147 d11342