Sun 130616 ヒコーキの中で思ういろいろ 新聞がうるさい 孫を待つジーチャンバーチャン | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 130616 ヒコーキの中で思ういろいろ 新聞がうるさい 孫を待つジーチャンバーチャン

 7月9日、午前8時にホテルをチェックアウトして、タクシーにて高松空港に向かう。今日はこれから東京に戻り、15時から18時まで吉祥寺スタジオで授業収録。そのあと広報部のヒトのカンタンな取材がある。
 こういうふうで、せっかくうどん県にやってきても、うどんの「う」の字もない。別に今井君はうどんフリークではないし、蕎麦屋に入っても生牡蠣しか食べないような偏屈サトイモだから、うどんにはちっとも未練がない。しかし諸君、やっぱり郷に入っては郷に従わないと、偏屈さに磨きがかかってマコトに感じが悪い。
 今回の高松への旅で、うどんという食べ物と妥協して握手する最後のチャンスが空港である。空港まできてもまだ「うどん」「うどん」「うどん」と耳元で連呼する声が聞こえるほど、香川県はうどん押し、ひたすらうどん押しであって、お蕎麦派の里芋サト助ははなはだ肩身の狭い思いである。
満員御礼
(うどん県高松、400名超満員の思ひ出)

 昨日のスタッフの皆さんに「空港のうどんじゃ、ダメですか?」と尋ねたところ、まさにたちどころに「ダメですね」と笑顔で返されてしまった。地元のうどんプロが口をそろえて「空港じゃダメです」と言っているのに、そこをあえて「空港うどん」に入店してしまうのも、やっぱり地元に対する挑戦であって、サト助は気が引ける。
 実は3~4年前の早朝、高松空港のうどん屋さんを試してみたことがある。あのときは「なんだ、普通のうどんじゃん」という感想しか残らなかった。東京の安いうどん屋と、ほとんど変わらない。
ラインナップ
(昨日の映画館、夜のラインナップ)

 「東京の安いうどん屋と変わらない」のが、果たしていいことか、悪いことか。その辺の判断はなかなか難しいが、例えばここに大阪のヒトが介入&仲介を申し出たと考えてみたまえ。
 大阪のヒトは、何が何でも「東京のものはマズい」と断定したがる傾向がある。だから「東京のラーメン、マズいなあ」であり、「東京のうどんなんか食べられへんで」であり、「東京って、あのモンジャとかいう困った食いモンが出てくるところやろ」「田舎モンの集まりやでぇ」なのである。
 だから、もし高松空港のうどん屋で大阪のヒトが「このうどん、東京のうどんと同じや」とつぶやいたとすれば、その評価は「ゼロどころか、マイナスや」ということになる。うーん、大阪基準で空港うどんを考えるに、「それ食べて、讃岐うどんと思われたら困ります」ということじゃないか。
 以上、空港に存在する3軒ほどのうどん屋を覗きながら、「今回はヤメときますかね」と結論するに至った経緯である。実際、朝9時半発のヒコーキに乗れば、プレミアムシートではボリュームたっぷりのお弁当が味噌汁付きで出てくる。空港うどんを躊躇する理由は、そういうところにもあったのだ。
高松駅
(ホテルクレメント高松18階から、JR高松駅を望む)

 梅雨が明けて上空の空気はキレイに澄み、10000メートルの上空からは、下界の眺めが素晴らしい。淡路島、琵琶湖、浜名湖、御前崎、伊豆大島、みんなまるで地図帳を眺めるように、地形がくっきりと浮かび上がる。
 いつも新幹線から眺める浜名湖が、一番奥の方までキチンと一望できるのは、まさに夢のようである。伊豆大島も上空から眺めると、1986年の大噴火の跡が実にハッキリわかる。三原山の火口周辺に黒々とした火山灰が点々と積もり、あの夜の全島避難の緊迫感をありありと思い出すのである。
 山口宇部から羽田に向かう便からは、吉野川が四国の大地を長々とのたうつ姿がキレイに眺められた。大河はやがて徳島の河口に達し、河口の北側には鳴門大橋が見え、鳴門大橋の真下から南側にかけて、鳴門の渦潮が渦を巻くのがハッキリと分かった。
瀬戸内
(午前7時の瀬戸内海。猛暑の中、島は朝もやに包まれていた)

 これほど美しい光景が眼下に広がっているのに、乗客のオジサマたちはみんな夢中で新聞をめくっている。どんな絶景よりも、日経新聞のほうが大事であるらしくて、ヤタラに大きな音で紙面を殴りつけながら、隅から隅まで2度でも3度でも執拗に読み返す。
 何であんなに乱暴に新聞を殴りつけるのか分からないが、そのせいでヒコーキの中は騒然としている。向こうでバシャッ!! こっちでパシャパシャッ!! 大きな新聞紙をめくり、叩きつけ、殴りつける音は、本人が思っているよりもはるかに騒がしいものである。
 何でそんなに新聞ばかりめくるのかといえば、プレミアムシートでは朝刊を無料で配っているからである。キレイなCAのオネエサマに「朝刊はいかがでございますか?」とニッコリされると、オジサマとしても見栄を張らざるを得ない。例え経済になんか興味がなくとも「じゃ、日経!!」と叫ぶことになる。
デラックス
(ホテルオークラ浜松、デラックスルームの思ひ出)

 サトイモ君は、ヒコーキの中も出来るだけ静かなのがいいので、ここで2つの提案をしておきたい。
① 日経新聞社の皆様へ。新聞紙をもっと柔らかいヨレヨレ素材にかえていただきたい。サトイモの誤解かもしれないが、すべての新聞の中で日経が一番パリパリ感が高く、電車でもヒコーキでも日経を読んでいるヒトの周囲は騒がしくなる。パリパリパシャッ、バシャベシャッ。騒然としてやりきれない。めくっても優しい音の素材にかえれば、日本経済はもっと優しく穏やかに発展するんじゃないか。
にゃご1
(ニャゴが待っていてくれた 1)

② ヒコーキ会社の皆様へ。偉いオジサマたちが座るシートで、新聞の無料配布は止めていいんじゃないか。偉いオジサマたちは、わざわざヒコーキのシートで新聞を読まなくたって、
(1) 自宅でとっている
(2) ラウンジでも読める
(3) 新聞の読める電子機器だってメッタヤタラにもっている
(4) 会社でも読み放題のはず。むしろ、「新聞を読むのが主な仕事」というヒトも少なくないかもしれない。
にゃご2
(ニャゴが待っていてくれた 2)

 というわけで、今井君は新聞のシャカシャカ音に悩まされながらも、美しい緑の吉野川を眺めてウットリしていた。諸君、吉野川の夏や、四万十川の夏を、ちょっと思い浮かべてみたまえ。
 あと10日で夏休み。真っ黒になって野球に興じる四国の子供たち。孫たちが訪れる賑やかなお盆を、指折り数えて待ち受ける優しいオバーチャン。「孫たちに、あれも食べさせたい、これも食べさせたい」とニコニコ笑う老妻の横顔を見て、「仕方がないヤツだ」と苦笑するオジーチャン。
 しかし実際のところ、そういうオジーチャンのほうが、孫軍団の来襲を待ちきれないのだ。セミもとりにいこう、トンボもとりにいこう。カブトムシの穴場も教えてやろう。釣りにもいかなきゃならんし、バーサンが何といおうと、冷たいスイカにかき氷をコッソリ食べさせてやらなきゃならん。
にゃご3
(ニャゴが待っていてくれた 3)

 眼下の山並みの間を蛇行しながら流れていく吉野川の両岸で、数えきれないほどのジーチャンとバーチャンが、この日の梅雨明けをどんな思いで迎えたか。それを思うと今井君は、熱い涙が溢れ出すのを止めることができない。新聞のシャカシャカなんか、もうどうでもいいのである。
 こんなふうに機内をたっぷりエンジョイして、午前11時、羽田着。これからいったん渋谷区の自宅に帰り、ゆっくりお風呂に入って、ますますいい気持ちで吉祥寺のスタジオに向かおうと思う。

1E(Cd) Anastasia:SOUVENIR DE MOSCOW
2E(Cd) Nanae Mimura:UNIVERSE
3E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 1/2
4E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 2/2
5E(Cd) Maria del Mar Bonet:CAVALL DE FOC
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