Tue 130611 新美南吉の町へ 酢のCMに偏屈サトイモが感じること 200名もいる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 130611 新美南吉の町へ 酢のCMに偏屈サトイモが感じること 200名もいる

 7月5日19時前、「一部特別車両」のくっついた名鉄の特急電車で知多半田に到着した。一部特別車両とは、6両編成の電車の前2両のことであって、たった350円払えば、楽チンな指定席にゆっくり座って行ける。
 ちょうど通勤時間帯のことで、一部特別車両も完全に満席である。もちろん、梅雨の盛りの蒸し暑い中、汗まみれのヒトビトがギュウギュウづめになった普通車両で行くのはツラいから、350円はちっとも惜しくない。
 というか、別に「値上げ賛成」というわけではないが、350円は安すぎるんじゃないか。普通車両と比べてこんなに乗り心地がいいんだったら、500円ぐらい全然かまわないような気がする。うんにゃ、怠惰なクマ君なんかは、もっと払ってでもゆっくりして行きたいぐらいだ。
知多半田1
(大盛況の知多半田 1)

 知多半田では、雨がやんでいた。名古屋を出るときはかなり強い雨が降っていたから、これはもっけの幸いである。いつも言っている通り、雨が降れば出席者は予定の9ガケか8ガケを覚悟しなければならない。せっかくスタッフが大奮闘して180名も出席する予定なのに、「雨で8ガケ」なんてのは余りにももったいない。
 会場には早くも今日の受講生たちが詰めかけている。東進の生徒の素晴らしいのは、この熱心さである。「今日は町にクマがくるぞ」と言うことになれば、世の中の常識としては
「危ないから、オウチから出ないようにね」
「しっかり鍵をかけて、知らない人が来ても扉をあけちゃいけないよ」
ということになるはずだが、今井君の受講生たちは実に積極的にクマを見物にくるし、開始1時間前には早くも会場に集まって、サトイモの登場を今か今かと熱く待ち受けてくれる。
名鉄
(真っ赤な名鉄電車)

 愛知県半田は、新美南吉の町である。おりしも2013年は、新美南吉生誕100年の記念すべき年であって、今井君の講演会場にもポスターが張り出され、市内各所でたくさんの催しがあるようだ。
 今井君はとっても素直な子供だったから、「ごんぎつね」が苦手である。「手ぶくろを買いに」はもっと苦手である。もちろん「苦手」と言っても、キライということでは全くなくて、オウチには今でも2冊の絵本がキチンとそろっている。
 では「どんなふうに苦手か」であるが、
「読めば必ず、激しく涙する」
「789歳にもなった古老グマが、『絵本を広げて泣いている』という恐るべき姿を披露することになる」
「それはさすがに困るじゃないか」
ということである。
 年を取ると、熱い涙がこみ上げる対象も場面も変化してくる。むかしは子ギツネが可哀そうで泣いたが、今では子ギツネにどうしても手ぶくろをさせたかったママギツネの心情を思って涙が溢れる。昔はキツネのごんが可哀そうだったが、789歳の今では「兵十のそれから」を思うとたまらない。
新美南吉1
(新美南吉、生誕100年 1)

 知多半田はミツカンの町でもある。だから新美南吉のイベントも、ミツカンがスポンサーについている。素晴らしいことである。うーん、しかしどういうもんだろうねぇ。今井君は、新美南吉は大好きだが、酢は「天敵」以外の何者でもない。
 それなのに、ミツカンはCMにマコトに熱心であって、「鶏肉を酢で煮こむ」などという恐ろしいレシピを頻繁にテレビで放送する。パパも子供たちも、ママが酢で煮こんだ料理を嬉しそうに口に運び「酸っぱくなーい!!」と大喜びをしてみせる。
 いやはや、そりゃおかしい。「酢で煮こむ」という行動をとる以上、その行動の目的はまさに「酸っぱくする」ことであって、それは「酢じめ」「酢の物」「酢豚」その他、酢を使用するすべての料理に共通の目的である。
 それなのに、その料理を一口パクリとやるなり、噛みしめも飲み込みもせずにいきなり目の色をかえて「酸っぱくなーい」とみんなで大ハシャギするのは、おかしいじゃないか。
新美南吉2
(新美南吉、生誕100年 2)

 酸っぱさを求めて酢を使い、それなのに食べた者全員が「酸っぱくなーい」と絶叫するとすれば、その叫びは強い非難を露わにしているはずである。「辛くなーい」と言われたカラシ、「甘くなーい」と叫ばれたヨーカンやおまんじゅう、「冷たくなーい」と判定されたビールと同じことである。
 もちろん最近は、ワサビやモヤシやサシミを口に含むや「甘い!!」と目の色をかえてハシャギだす御仁も少なくないから、ホントに奇妙な世の中だと思うが、少なくとも酢の料理を口に入れて「酸っぱくなーい」というのが、決して絶讃の言葉ではないのは明らかである。
知多半田2
(大盛況の知多半田 2)

 ところが、CMのママはニッコリ嬉しそうに微笑むのである。パパは「全然酸っぱくないな」と目を丸くし、子供たちも「酸っぱくないよね」とうなずきあう。ならばいったい何故「酢で煮こむ」という行動をとったのか。ほとんど無意味な行動じゃなかったのか。
 その辺が、サトイモ男爵はイヤなのだ。どんなに「酸っぱくない」と強調しても、それは酸っぱさに対してよほど鈍感な、それこそ酢を1瓶丸呑みしても「大して酸っぱくないな」と平然としていられるようなヒトビトの発言なんじゃないか。
2冊
(作:新美南吉 絵:黒井健「ごんぎつね」「手ぶくろを買いに」の2冊)

 世の中には冷たい人がたいへんな勢いで増えていて、サトイモ君がせっかくマジメにこういうことを論じてみせても
「だったら、食べなきゃいいだけのことじゃん」
「実際にやってみればいいじゃん」
と吐き捨てて、鬼の首でもとったような表情で冷ややかに笑ってみせる。最近は「つぶやく」という行動に出て、140字程度で短く切り捨てる人も多い。
 でも、ボクチンはマジメなのだ。少なくとも「実際にやってみる」のだけはイヤである。CMを信じ込んで「酢で煮込む」を実際にやってみたら最後、台所から子供部屋からパパの小さな書斎まで、家の中がみんな酸っぱくなって、トイレにさえ落着いて座っていられなくなるんじゃないか。
 寝るときも、酸っぱい。起きた瞬間、酸っぱい。歯を磨いてもアクビしても、クシャミをしてもやっぱり酸っぱい。うかつに花粉症にもなれないし、風邪を引いても酸っぱい。ネコたちも酸っぱさにあきれて、日がな1日酸っぱそうな顔をして座っている。うにゃ、クマ蔵どんは、そんな生活はイヤなのだ。
和菓子
(お茶と和菓子で開会を待つ)

 さて、そういうクダランことをいろいろ考えているうちに、知多半田での出番がきた。20時開始、21時半終了。出席者約210名。当初の予定が180名だったから、予定より30名も増えたことになる。スタッフの皆さんの奮闘に感謝する。
 こういうことになれば、今井君が張り切るのは当たり前。テーマは、
   ① 英語の長文読解が弱いのはなぜか
   ② リスニングが弱いのはなぜか
   ③ 今、何をやるべきか。何をやるべきではないか
   ④ どこから始めるか
の4つ。これを90分ピッタリに収め、「20秒に1回の大爆笑」という今井のベスト・スタンダードを達成して、悠然と会場を後にすることになった。
知多半田3
(半田でも 熱く語った クマ蔵どん)

 太宰治「走れメロス」を読んだとき、何を考えるべきか。実は諸君の長文読解力がなかなか伸びない理由は、そのあたりに隠れている。「ええっ、『友情の大切さ』じゃないんですか?」と、怪訝そうな顔をするアナタ。確かにそんな状況じゃ、国語も英語長文読解も、なかなか強くなれませんな。
 「じゃ、どう考えればいいの?」であるが、その答えは、また明日。なお、その問題について直接クマ蔵の話を聞きたければ、ぜひ講演会場を訪れたまえ。そのために、詳細なスケジュールまでブログに掲載しているのである。

1E(Cd) Patti Austin:JUKEBOX DREAMS
2E(Cd) Richard Tee:THE BOTTOM LINE
3E(Cd) Brian Mcknight:BACK AT ONE
4E(Cd) Norah Jones:COME AWAY WITH ME
5E(Cd) Isao Tomita:Shin Nihon Kikou
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