Sun 130519 締めくくりは、八重桜 バキッと折っちゃう人(アメリカ東海岸お花見旅47) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 130519 締めくくりは、八重桜 バキッと折っちゃう人(アメリカ東海岸お花見旅47)

 4月27日、いよいよこの「お花見旅」の締めくくりの日になった。明日の夕方にはJFK空港から東京便に乗るから、実質的には今日が2013年東海岸の旅の最終日になる。
 いやはや、たった2週間の旅について、今回もまたよく書いた。出発から13日が過ぎた段階で、もう47回目。「早く結論を言え」「結局、何が言いたいんだよ」みたいな性急でせっかちな人は、さぞかし激しく苛立っていることと確信する。
 しかしでござるね、そんなキーキーした人生って、楽しくなさそうでござるよ。3時のオヤツをモグモグやりながら、「この食品って、結局どんな栄養価があるの?」「こんなもの食べて、何の役に立つの?」と、とんがった難しい顔をもっと顰めてみせるんじゃ、自分も楽しくなさそうだが、周囲の人たちまで楽しくなくなっちゃうじゃないか。
 ま、そんなにキーキーしなさんな。そんなにキンキンしなさんな。何の役に立つのか分からんものを、何だか分からないがいじくり回しているうちに、ふと「あれれ、もしかして、これって… … !!!」という新発想につながるのが、人生の醍醐味だ。
 というか、人類の歴史も文明もみんなそうやって発展してきた。そんな気がする。キーキー、キンキン、尖りっぱなしだと、歴史にも文明にも文化にも、最後まで参加できずに終わっちゃう。与えられたプログラムをこなすことに汲々としているうちに、プログラム以外の発想を拒絶するツマラン人になっちゃう。
八重桜1
(ルーズベルト島の八重桜。河の向こうには、国連ビルやクライスラービルが見える)

 というわけで、旅行記を長々と書く悪いクセをホンの少し正当化して、いよいよ最終日のニューヨークの街に入っていこうと思う。この日も快晴。4月下旬の快晴となれば、東京なら「汗ばむぐらい」という常套句そのままの陽気になるが、ニューヨークならまだ十分に爽やか。日陰に入ると寒いぐらいである。
 何しろ「お花見旅」だ。この2週間、ずいぶんたくさんの花を楽しんできた。ニューヨークに到着したばかりの頃は、コロンビア大学のマグノリア、セントラルパークの桜とモクレン、プラザホテル前のスイセン。そして何と言っても、ルーズベルト島の満開の桜に感激した。
 ワシントンDCではパンジーにチューリップの広大な花壇が美しかったし、番外編として、タンポポと葉桜だってサトイモ君には十分に楽しかった。ボストンに移動してからは、まずハーバードの桜、MITの桜、まるで日本の大学の入学式の頃みたいに、世界一の名門大学はそこいら中で桜が満開。悼ましい爆破テロのあった旧市街あたりでも、やっぱり桜はキレイだった。
八重桜2
(やっぱり八重桜はちょっと重たいね)

 そこで最終日、お花見旅の締めくくりとして、もう1度ルーズベルト島を訪れることにした。
「そんなこと言ったって、前回のルーズベルト島訪問からもう1週間も経過しているじゃないか」
「もうとっくに葉桜なんじゃないの?」
と思うだろうけれども、諸君、1週間前のボクチンは、まだ固いツボミのままの八重桜の並木を発見。「1週間後にここに来れば、ちょうど八重桜が満開のころだろう」と目星をつけておいたのだ。
八重桜3
(先週は、まだツボミだった)

 もちろん、八重桜というものについての評価は分かれるだろう。あの重苦しいボッテリぶりは、日本だと「汗ばむほどの陽気」の中で見るせいもあって、暑苦しい印象が拭えない。葉っぱが一緒に出てきちゃうのも、ちょっと可哀そう。せっかくの豪華なピンクが、葉っぱの緑で黒ずんでしまうのだ。
 あの暑苦しいピンクの花が、並木になって延々と続いているということになると、もったり&ぼってり、桜餅を10個も食べちゃったような、「もう結構です」的な食べ過ぎ感を感じてしまう。
 しかし諸君、今年は八重の桜の年である。視聴率が伸び悩んでいようが、そんなことはどうでもいい。八重桜にはもっともっと脚光が当たっていい。せっかくイーストリバー沿いにズラリと咲きそろい、河向こうの国連ビルやクライスラービルを背景に美しいピンクの枝を揺らしているのに、それも見にいかないという法はない。
八重桜4
(葉っぱ君たちとともに)

 河の下をモグラのように潜っていく地下鉄Fラインには、ルーズベルト島に向かうお花見客も多く見かける。考えてみたら、今日は土曜日だ。ニューヨーカーのお散歩に、八重の桜のテンコモリはちょうどいいのかもしれない。
 中国系の人たちは、やっぱり意地でも団体でやってきている。何もここまで団体ツアーでなくともよさそうだが、個人でほっつき回るより、ツアーバスに乗ってどっと押し寄せるほうに、より高いステータス感を感じるのかもしれない。いやはや、みんなスゴいカメラを持っている。お花見そのものより、ひたすら写真を撮りまくるのが目的であるらしい。
八重桜5
(鉄橋とともに)

 川沿いに約200メートルの桜並木があって、北側の100メートルが八重桜、南側の100メートルが普通のサクラ。1週間前に満開だった南側は、今日はとっくに葉桜になっている。北側は、予測した通りの満開だ。
 「ぼってり感」とか、いつまでもケチばかりつけていないで、快晴、爽快な河風、人々の花やいだ笑顔、対岸の高層ビル群の風景など、素晴らしいものが全て揃った、中華料理フルコースみたいな豪華さを、ここでは満喫すべきなのである。
 残念なのは、やっぱり飲酒禁止のルール。こんなに花やかな雰囲気の中で、お酒を片手にお弁当でも食べたらさぞかし楽しいだろうが、とにかく絶対お酒は禁止。するとあんまり食べ物も欲しくなくなるらしくて、お花見に訪れた人々は、穏やかにお話をしながらそぞろ歩くだけということになる。
八重桜6
(グッと接近してみる)

 すると、小さな子供たちはカンタンに「もう飽きちゃった」「帰ろうよ」とダダをこねはじめる。ダダをこねる子供をなだめてガマンさせるには、お手手に何かを持たせるのが一番いい。日本ならこういう時、綿菓子、チョコバナナ、フランクフルト、ヤキソバ、アイス、最近は「牛串」などという豪華なモノまで揃っているが、ニューヨークにはそんな便利なものはない。「ダダをこねたら買ってもらえる」みたいなダラしないことは教育上悪い、おそらくそういう発想である。
 ならば、「買い与えずに何かを持たせる」しかないわけだ。こうして、日本では信じがたい乱暴な行動に出る人々を、たくさん見かけることになる。「さあ皆さん、ここで問題です。彼らは何を子供に持たせるのでしょう?」であるね。
ロープウェイ
(帰りは、コイツで河を渡る。中央がクライスラービル)

 その答えは、「サクラの枝」なのである。枝を1本バキッと折って、子供はホントに嬉しそう、ママもパパも嬉しそう。美しいピンクの枝をふりふり、5歳か6歳のカワイイ女の子がスキップしながらやってきたりする。中国系のオバサマもやっぱりバキッとやっていた。大っきな高級カメラを下げた、たいへんリッチな感じの富裕層オバサマである。
 帰りは、地下鉄じゃなくてロープウェイで河を渡ることにした。メトロカードが使えるし、この豪華な八重桜の並木を、上空から楽しむことができる。いつもはガラガラのロープウェイが、今日はお花見客で満員だった。
 だれでも考えることは一緒らしくて、乗客は一斉に桜の見える窓際に殺到する。こういう場面でのサトイモ君はマコトにスバシコイので、あっという間に最も条件のいい窓を占領した。
ゴンドラから
(上空からの桜並木)

 本日の記事最後の写真は、そのとき頑張って上空から撮影した八重桜の並木の光景である。うーん、大したことないな。「やはり野に置けレンゲソウ」であるのと同じぐらい、やっぱりサクラの花は下から振り仰ぐべきものらしい。いや、それともカメラのせいか? ボクチンも中国富裕層の人々みたいに、デカイ高級カメラを持たなきゃだめなのかねェ。
 なお、このロープウェイの中にも「サクラの枝を折って、持ってきちゃった」という女の子がいた。おお、マコトに嬉しそうにニコニコ笑っている。「でもね、そうやって折っちゃうと、オウチに着く頃にはとっくにしぼんじゃって、ガッカリするんだよ」。物凄くコワい顔のアメリカンママが横にいなかったら、そう言って教えてあげたい場面であった。

1E(Cd) David Sanborn:HIDEAWAY
2E(Cd) Jaco Pastorios:WORD OF MOUTH
3E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
4E(Cd) Anita Baker:THE SONGSTRESS
5E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
total m100 y1015 d11210