Thu 130516 キミは一生、文章を書いて過ごしてみないかね?(アメリカ東海岸お花見旅44) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 130516 キミは一生、文章を書いて過ごしてみないかね?(アメリカ東海岸お花見旅44)

 今日はまず、「いきなり感」がやや強すぎるかも知れないが、2013年夏のサトイモ君スケジュールを掲げることから始めたいと思う。いやはや、マコトに地味ではあるが、さすがにサトイモだけあって、6月も7月も8月も、地味に地味に地味に、フツーの日々のお仕事を継続することになっている。

2013年サトイモ君スケジュール
  6月11日 茨城県 つくば
  6月12日 池袋
  6月13日 吉祥寺(収録)
  6月14日 千葉県 津田沼
  6月15日 吉祥寺(収録)
  6月17日 千歳烏山
  6月18日 吉祥寺(収録)
  6月20日 兵庫県 姫路
  6月22日 名古屋
  6月23日 埼玉県 春日部
  6月25日 吉祥寺(収録)
  6月28日 大阪府 八尾
  6月30日 新宿
  7月2日  吉祥寺(収録)
  7月4日  愛知県 半田
  7月5日  吉祥寺(収録)
  7月6日  山口県 宇部
  7月7日  静岡県 浜松
  7月8日  香川県 高松
  7月9日  吉祥寺(収録)
  7月10日 新百合ヶ丘
  7月11日 埼玉県 浦和
  7月12日 埼玉県 草加
  7月13日 千葉県 松戸
  7月15日 長野
  7月16日 巣鴨
  7月17日 福岡
  7月18日 埼玉県 川越
  7月19日 千葉
  7月21日から30日 河口湖合宿
  8月2日 埼玉県 熊谷
  8月3日 沖縄県 浦添
  8月5日 吉祥寺(収録)
  8月7日 吉祥寺(収録)
  8月9日 吉祥寺(収録)
  8月24日 鹿児島

 ま、こういう日々である。相変わらず今井君はテレビのクイズやバラエティには出ないから、次に派手なことになるのは、東京→シカゴ→サンパウロ→パリ→東京の「第2次ンラゼマ地球一周」まで待ってもらわなければならない。
バス
(ニューヘイブン、イェール大学付近を回る無料の循環バス)

 その代わり、4月下旬には諸君の代理として東海岸の超名門:イェール大学に参拝してきた。今井君がイェールを知ったのは、早稲田大学政経学部教授だった故・鴨武彦氏がイェールのPh.Dだったからである。20世紀後半、学界でキチンと認められている有名教授がほとんど見当たらなかった早稲田政経で、鴨武彦助教授のゼミに入るのは、学部1年生の憧れの的だった。
 その他には、政治哲学の藤原保信教授と、政治過程論の内田満教授。鴨助教授とあわせ、「早稲田政経3羽烏」と呼んだんだそうだ。その「3羽烏」の「烏」の文字を「鳥」と勘違いして、「早稲田政経3羽ドリ」と呼んだ人物がいるのには、さすがの今井君も腰を抜かしたが、今の日本の現状を見れば、まあそんなのもやむを得ないのかも知れない。
イェール大学1
(イェールでも桜が満開だった)

 ニューヨークから電車で1時間半、無事ニューヘイブンの駅に着いてみると、うぉ、地味も地味、超地味を通り越して、超&超地味な街である。駅前からニューヘイブン市内に向かう無料バスが3路線も走っているが、こんなに小さな街なら、無料バスも何も、ぜんぶ徒歩で十分だ。
 もちろん、大学で研究に没頭するのに派手やド派手やドド派手を期待するほうがおかしいので、今から約45年前、イェールの研究者としてニューヘイブンの駅に降り立った若き鴨武彦氏は、おそらくこの閑散とした地味な風景に、「お、こんなに地味な街ならば、研究に没頭できるだろう」と心躍らせる思いだったに違いない。
岩波新書
(1993年、鴨武彦教授は岩波新書を執筆)

 そして諸君、我が師・鴨武彦は、この街で伝説になるほどの猛勉強に励んだのである。後に、当時の東京大学ではホントに珍しい「早稲田大学卒なのに、東大教授」に招かれた人なのだから、Ph.Dを取得するに至るイェールでの猛勉強ぶりは、さぞかし鬼気迫るものだったのだろう。
 そういう我が師の修業時代の街を歩くのだ。クマ蔵の頭の中も、いつものフザケた思考回路とは違う。「うーん、博士課程レベルとかPh.Dレベルでの『猛勉強』とは、いったいどんなものなのだろうか」と、道をゆきかう自信たっぷりな研究者たちを眺めながら、夢中になって考えた。
イェール大学2
(春のイェール大学で 1)

 かく言う今井君だって、当時の鴨武彦助教授に「今井君、キミはこれから、文章を書いて一生を過ごそうという気はないかね?」と真顔で尋ねられた経験がある。後に「早稲田卒なのに東大教授」という、20世紀の奇跡を達成した超秀才の言葉である。
 あの「文章を書いて一生を過ごしてみないかね?」という言葉の重みのせいで、今もなおサトイモ君は学問の世界への憧れを捨て去ることができない。学部時代の教授の影響力って、ホントにホントにその人間の一生を支配しかねないものなのである。
イェール大学3
(春のイェール大学で 2)

 うーん、文系の研究者の猛勉強って、ひたすら先輩の雑誌論文を読みまくるんだろうねぇ。まさか博士課程まで進んで、「アリストテレスとマルクス、ヘーゲルとウェーバーをじっくり読んでます」というわけにもいかないじゃないか。
 図書館に丸1日こもって、先輩学者の雑誌論文を一字一句ゆるがせにせず読み進み、要約し、批判し、ある部分を否定し、しかしある部分は肯定し、膨大なデータを収集して、自らの否定と肯定をデータから正当化する。いやはや、ボクなんかには、とても耐えられない日々である。
イェール大学4
(春のイェール大学で 3)

 ハーバードでもMITでも、今日のイェールでも同じだが、行き会う研究者の皆さんは、みんなそういう日々を5年でも10年でも耐えぬいているのだ。しかも学会に出れば、その猛勉強やら猛研究やらの成果を、マコトに正直に真っ向から全否定され、攻め立てられる。
 「アナタの研究は無意味であるばかりでなく、問題の立て方自体に倫理的な問題が存在する」とか、ほとんど人格を否定されるような発言にさえ、ニコニコ笑って耐えなければならない。諸君、名刺に「教授」とか「Dr」とか、そんな晴れがましい肩書きを印刷できるようになるには、厳しいイバラの道が待ち構えているのだ。
新聞
(こんな学生新聞もあった)

 今井君なんか、完全にそれ以前のお話。告白すれば、若きクマ蔵は「青焼きのニオイをガマンできなかった」のである。PCはおろか、コピーすら高価で普及しきっていなかった時代、ゼミの資料は「青焼き」、当時のコトバでは「湿式複写」で回ってきた。
 その独特の甘酸っぱいニオイに、今井君は耐えられない。いま10代20代の若い諸君は、パパかママに尋ねてみたまえ。あの甘酸っぱいニオイは、誰でも記憶があるはずだ。しかし、みんながチャンとガマンしたあのニオイに、ワガママなサトイモ君はどうしても耐えられなかった。
土産物屋
(イェールのお土産物屋)

 「こんな酸っぱいニオイにはガマンができません」。そう叫んで、今井君は「研究者になる」と大胆にも公言していた夢をマコトにトットと撤回してしまった。尊敬する教授に「文章を書いて一生を費やしてみないかね?」などと言われるのは、おそらくなかなか経験できないたいへんな光栄に違いないのだが、酸っぱい研究論文に鼻を一生つっこんで過ごさなければならないとしたら、ボクチンはそんなの絶対にカンベンしてほしかったのだ。

1E(Cd) Incognito:WHO NEEDS LOVE
2E(Cd) Incognito:NO TIME LIKE THE FUTURE
3E(Cd) Incognito:POSITIVITY
4E(Cd) Larry Carlton:FINGERPRINTS
5E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT
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