Wed 130417 路上での飲食は禁止☂ アーリントン墓地へ(アメリカ東海岸お花見旅19) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 130417 路上での飲食は禁止☂ アーリントン墓地へ(アメリカ東海岸お花見旅19)

 4月20日、何だか妙に厳粛な気分になってきたのは、
① キング牧師の優しげな微笑のせい
② 長い日米友好を讃える石碑のせい
③ 水のほとりに立つジェファーソンさまの影響
④ 春の彼岸のころのような冷たい空気のせい
のうちのどれなのか。今井君には判断がつかないが、とにかく気分が厳かであることだけは間違いない。
 この場合、「①~④の中から最も適切なものを1つ選んでマークせよ」とか、センター試験なみのムリな要求を自分に突きつける必要はゼロであって、もちろん①から④の全てが複雑に絡まりあって、普段は先祖の墓参りにすら行かないサトイモ君の表情を引き締めているのである。
チューリップ1
(行儀よく並んだチューリップ。アーリントン墓地付近で)

 ついでに言えば、「歩きながらの飲食禁止」というワシントンの厳格なルールも、今日の今井君をKuso-Majimeにしている要因の一つである。最初のうちこそ、このルールをバカにしていた。
「ガッホッホ。そんなルール、守るヤツいるはずないだろ」
「だって、アメリカだぜ。自由の国だぜ。『路上の飲食禁止』っていくら頑張ったって、『ワタシたちは自由なはずよ♡』と、すぐに誰かが叫びだすはずじゃんか」
「歩きながらハンバーガー、歩きながらコカコーラ。路上でダンス、路上でドラムス。それこそがゴキゲンなアメリカン・スタイルなんじゃないの?」
以上のように、「飲食禁止ルールなんか誰も守っているもんか」とタカをくくっていた。
チューリップ2
(チューリップ君たち、拡大図)

 なお、「ゴキゲン」というのは、混沌の昭和を生き抜いたエネルギッシュ&脂ギッシュな日本のオジサンたちが、アメリカ文化に対してもっていたイメージ。チャンと漢字で書けば、ゴキゲン→「ご機嫌」である。
 21世紀の若者たち≒「さとり世代」の諸君にとっては、「ゴキゲンな」という形容詞はすでに死語の部類なんだろうが、ボクら昭和人の日曜は、ゴキゲンなクルマをとばし、ゴキゲンなカーラジオから流れるゴキゲンなサウンドを満喫し、ゴキゲンなDJのゴキゲンなトークを聞きながら、湘南の海に向かうのがナウい定番だったのだ。
 ゴキゲンなDJとは糸居五郎であり、ゴキゲンなサウンドとはカントリー・ウェスタンだったりしたのだから、昭和のフォーク世代とは、マコトに恐るべき人々である。しかしまあとにかく閑話休題、ワシントンの「飲食禁止ルール」が異様に厳格に守られていることに、この日の里芋サト次郎は一驚を喫していた。
地下鉄駅構内
(地下鉄駅は、どこも異様に暗い)

 だって、真っ暗な地下鉄の構内でさえ、だれも飲食なんかしていない。飲酒厳禁はニューヨークでも経験してきたが、タバコやビールはおろか、ミネラルウォーターのペットボトルを手にしているヒトだって、ホントにウソじゃなくてカンペキにゼロなのである。
 気温はちょうど東京の春のお彼岸ぐらい。「清々しい」というより「思わず厳粛な気持ちを誘われる」ような、ピリッと冷えた空気である。空は快晴で、雲一つない。税金を山ほど使った、手入れの行き届いた花壇では、チューリップ、パンジー、ヒヤシンスなどの春の花々が、幾何学的と言っていいほど行儀よく並んで、冷たい春風に揺れている。
 もちろんクマ蔵どんは、どこまでも困った昭和オヤジであって、どんなに厳粛な気持ちになっていてもアタマの中は常にダジャレでいっぱいだ。チューリップを眺めれば「大リップ、中リップ、小リップ」。ヒヤシンスを見れば「肝を冷しんす」。マコトにくだらんクマである。
チューリップ3
(こういう変わり者が大好きだ)

 こうして今井君は「アーリントン墓地に行かなきゃ」と心を決めることになった。ボストンでの爆弾テロの犠牲者を悼み、今日もまた星条旗はすべて半旗。人々は穏やかに笑いさざめき、路上にはゴミひとつ落ちていない。空中にもチリ一つ舞っていなければ、虫1匹飛んでいない。
 ま、この最後の部分は気にならないこともない。色とりどりの花がこんなテンコモリで咲き誇っているのに、花とセットのはずの虫がいないとなれば、誰か税金をジャブジャブ使える立場にあるオカタが、「ふっふっふ。ワタシは虫がキライ。昆虫界、許すまじ。虫と名のつくものは、すべて抹殺してくれよう」とでも考えたのかもしれない。
たんぽぽ
(タンポポもたくさん咲いていた)

 キング牧師像の前から、リンカーン記念館の麓を通り、ポトマック河にかかる長い橋をわたって、アーリントンまで徒歩30分ほど。人の気配もマバラで、むかし「犯罪都市」として有名だったころのワシントンだったら、たいへん危険な行動なのかもしれないが、すっかり時代が変わったのか、たまに行き会う人々の表情は穏やかである。
アーリントン墓地
(アーリントンの光景)

 この広い墓地に埋葬されているのは、40万人以上。戦死した兵士、殉職者、テロの犠牲者などが中心で、戦争の名を列挙すれば、独立戦争/南北戦争/第1次&第2次世界大戦/朝鮮戦争/ベトナム戦争/湾岸戦争/イラク戦争。地平線までズラリと並んだ白い墓石の光景に息をのむ。
 余りにも広大なので、訪れた観光客を運ぶために大きなバスが運行、アーリントンハウス、JFKの墓、無名戦士の墓の前に停車する。修学旅行の高校生集団も大勢つめかけ、春の花々が咲き乱れて、厳粛な中にも花やかな雰囲気である。
JFKのお墓1
(JFKのお墓と、永遠の炎)

 一番の人気は、やっぱりJFKの墓。墓の後ろには「永遠の炎」が燃えつづけている。Eternal Flameである。またまた映画の話で申し訳ないが、オリバー・ストーン監督の「JFK」(1991年)の中でもこの「永遠の炎」は重要な役割を果たしている。ワシントンDCを訪れたニューオーリンズ地方検事ジム・ギャリスン(ケビン・コスナー)は、このEternal Flameを見つめながら、ケネディ暗殺事件の徹底究明を誓うのだ。
 その直前、匿名の元大佐X氏(ドナルド・サザーランド)とリンカーン記念館前で出会い、ともにオベリスクまで歩きながら「これはクーデターだ」と確信するに至る。昨日の夕方にサトイモ君が散歩した、あの道である。「ウーン、あんなに人目につく場所で、あんな危険な話をしていいの?」であって、ストーリーと場面の構成に若干ムリを感じないこともない。しかしとにかく、ボクチンの大好きな映画の一つである。
JFKのお墓2
(JFKのお墓、拡大図)

 いま永遠の炎の前に立つと、ケネディの墓と、リンカーン記念館と、国会議事堂とが、西から東に向かって一直線に並んでいるのがわかる。やっぱりケネディとリンカーンは、アメリカのヒトビトの中ではカンペキに特別な存在なのだ。
地下鉄1
(ワシントンDCの地下鉄。グリーン、オレンジ、レッド、ブルーの4路線あるが、電車はみんな同じデザインである)

 帰りは、地下鉄で。ホテルまで歩いても30分程度だが、さすがに朝から歩きっぱなしで疲れてしまった。アーリントン駅でワシントンのSuica=SMARTRIPのチャージをした。
 たった10ドルの入金であるが、日本の交通系カードみたいに「オートチャージ」というわけにはいかないのだ。メッタヤタラに意地悪な機械を相手に、あれこれ悪戦苦闘して、10ドルのチャージをするのに2分も3分もかかる。その間に、30分に1本しか来ない電車が行ってしまった。あらら、土曜日とはいえ、マコトに暢気なダイヤの地下鉄である。
地下鉄2
(地下鉄、正面図)


1E(Cd) Michael Davis:MIDNIGHT CROSSING
2E(Cd) Michael Franks:THE ART OF TEA
3E(Cd) Michael Franks:DRAGONFLY SUMMER
4E(Cd) Michael Franks:1988-INDISPENSABLE
5E(Cd) Santana:EVOLUTION
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