Thu 130328 さよなら親友ポット君 ポット君との日々を思う(ベルギー冬物語39 最終回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 130328 さよなら親友ポット君 ポット君との日々を思う(ベルギー冬物語39 最終回)

 1月24日昼前、13連泊ですっかりお世話になったブリュッセル「ホテル・アミーゴ」に、ついに別れを告げる時刻になった。毎朝のように挨拶を交わしたお掃除のオバサマとも、もう当分のあいだ顔を合わせることはない。
 次にベルギーにくる時も、おそらくホテル・アミーゴを選ぶとは思うが、うーん、「次にベルギーに来る時」がいったいいつ訪れるのか、今のところ見当がつかない。これからの予定は、リオデジャネイロ、モスクワ、サンクトペテルブルグ。治安情報がホンの少し改善されれば、シリア、チュニジア、エルサレム。なかなか「2度目のベルギー」ということにはなりそうにない。
ポット君1
(親友ポット君の肖像 1)

 さて、ホテル出発にあたって、長年の旅の友であった「ポット君」とも別れることになった。上の写真で示したように、「ポット君」は旅のお伴には必須の小型ポット。2005年2月9日、40日のヨーロッパ周遊に旅立つ直前に、成田空港の売店で購入した。
 以来8年。ポット君は常に旅のお伴として、ボローニャにもストレーザにも、コモ湖にもリスボンにもダブリンにも、エジンバラにもNYにもブエノスアイレスにも、必ずともに旅をしてくれた。イスタンブールでもマドリードでも一緒だった。
 暑い土地に行けば、当然クマ蔵は冷たい飲み物ばかりを欲し、冷蔵庫のビール君とばかり仲良くして、親友ポット君を顧みることは少なくなる、しかしどんなに冷淡にしても、傍らのテーブルの上で「ボクは、いつでもお茶を入れてあげるし、スープだってすぐに準備してあげますよ」と言ってニコニコ笑っていた。
ポット君2
(親友ポット君の肖像 2)

 今回のベルギー冬物語では、ポット君はその持てる力を存分に発揮してくれた。毎日マイナス10℃近くまで気温の下がる厳冬期のブリュッセル。ホンの2~3時間街を歩き回れば、クマどんはカラダの芯からガチンガチンに凍りつきそうなアリサマでホテルに帰ってくる。
 どんなに寒くても、里之丞はマコトにダラしないサトイモであるから、ベルギーの街の店で注文するのはどうしても「ビール」「ワイン」であって、そんなものをいくら飲んだってカラダはチットモ温まらない。
 ブリュージュではグリューワインを2杯飲んだけれども、そんなホットなワインより何より、常にサトイモの肉体は熱いお茶と熱いスープを求めていた。深夜1時、読書しながらブランデー入りの紅茶を2杯でも3杯でも飲んだ。朝起きると、日本から持参したいろいろな種類の粉末スープを作って楽しんだ。老いたポット君も、「もっと使ってください」「もっとどんどん使ってください」とニコニコ笑っているようだった。
ナシ君
(ホテル・アミーゴのナシ君たち)

 しかし滞在9日目、とうとう彼の限界がやってきた。ポットとコードの接続部分が擦り切れて、電気が通じなくなってしまったのである。別れの時がきた。擦り切れたコードをグルグルねじるように回していると、何かのハズミで接触が戻って、その時だけはお湯がチャンと湧かせるけれども、次の回にトライしてみるとピクリとも動かなくなっている。「寿命」というヤツである。
 マコトに悲しい事態であったけれども、サトイモどんはここで「無慈悲な断捨離」を決意。2000円だったか3000円だったか、8年も前に空港で慌てて購入した安いポット君が、世界をマタにかけて八面六臂の大活躍をしてくれたのだ。そろそろ穏やかに終焉を迎えさせてあげていいだろう。
ナシ君とともに
(ナシ君とサトイモ君の自分撮り)

 しかも断捨離の場所は、ブリュッセル。ポット君、安らかに眠りたまえ。もうサトイモ君に紅茶やスープを作ってくれることはないけれども、フランス語とオランダ語とドイツ語が飛び交うブリュッセルの街で、キミが大活躍した8年間のことを思いながら、永遠の眠りについてくれたまえ。
 こういうときのクマどんは、ホントに涙が込み上げてしまうタイプの厄介な生き物。自分で自分を持てあますほどである。諸君は「たかが2000円とちょっとの安ポットじゃないか」と無慈悲な発言をするだろうが、クマどんにとってはやっぱりかけがえのない友人だったのだ。
マグリット
(お部屋にはマグリットの複製があった)

 空港まではホテル前からタクシーに乗った。ドライバーはたいへん優しいおじいちゃん。空港前でガッチリ握手して、ポット君との別れの悲しさを忘れることができた。帰りはミュンヘン経由。ミュンヘンまでルフトハンザの小型飛行機で行き、ミュンヘンからはANAを利用する。
 ブリュッセル空港のラウンジで2時間近く時間をつぶさなかればならない。うにゃにゃ、空港は広大であって、ホンの数日前にこの空港でダイアモンド強奪事件が起こったばかりである。確かに、こんなに広大な空港では、なかなか警備の目も行き届きそうにない。
小型機
(ブリュッセルからミュンヘンはこの小型機で)

 ところが、ラウンジは驚くほど狭い。飲み物や食べ物もまあ「貧弱」と言ってよくて、贅沢を言ってはいけないのかもしれないが、フードはパンとオリーブとハムとバターだけ。飲み物はビールぐらいしかない。これで2時間はケッコーきついものがある。
空港
(ブリュッセル空港)

 このラウンジで出会ったのが、この旅行のラストを飾る「超お説教オバサマ」。周囲のヒトビトに常に厳しい視線を注ぎ、何かチャンスがあれば直ちに無慈悲なお説教を始める。60歳代半ばだろうか、狭い座席で豊かな肉体を持て余し、しょっちゅう溜め息をついてばかりいらっしゃる。ラウンジからミュンヘン便まで、クマ蔵はこのオバサマとずっと一緒だったのだ。
 ルフトハンザのCAにもお説教を始めた、機内でサービスしたお菓子が「ネバネバして気持ち悪い」とおっしゃるのである。もちろん、ルフトハンザのCAも負けてはいない。ANAやJALのアテンダントなら、「とにかく謝っておこう」と平身低頭するところ、ルフトハンザのオネエサマは、敢然と「そんなことはありません」「お客様の感じ方次第です」と軽く反論に出るのだった。うぉ、さすがヨーロッパである。
お土産
(おみやげのビア君たち)

 さて、蛇足に蛇足を重ねてここまで来たが、これでホントにホント、ホントに間違いなくベルギー冬物語はこれで終わりである。このあとすぐに次の旅行記「アメリカ東海岸お花見旅」が始まってしまうが、ま、とにかくベルギーはこれでオシマイ。読者の皆様もお疲れ様でした。今夜はこれで、いったん解散いたしましょう。

1E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
2E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS②
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