Sat 130323 4月中旬、前年度の仕事が終わっていない人々へ(復活ベルギー冬物語34) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 130323 4月中旬、前年度の仕事が終わっていない人々へ(復活ベルギー冬物語34)

 新年度に入ってもう半月も経過するのに、まだ昨年度のやり残しの仕事をかかえてクヨクヨしていれば、おそらく先輩なり上司なりにシコタマ怒鳴られる。怒鳴られるのはまだいいので、一人オフィスに残ってクヨクヨし続けているところに、優しい先輩なんかが心配そうに姿を現して
「どうだ、ちょっと飲みに行かないか」
「オマエ、大丈夫か? みんな心配してるぞ」
みたいな、こんな声の掛けかたをされると、惨めさが嵩じてその場に泣き崩れそうになる。
 先輩は、きっと彼の行きつけの焼き鳥屋に連れていってくれるのである。しかも焼き鳥屋のオヤジにはとっくに事情を話してあって「ウマくいってない後輩がいてね。今夜連れてくるから、カウンターの左の端っこ、2席とっといてくれよ」という手筈になっている。ダメな後輩としても、その辺の先輩の心遣いはよく分かっているから、なおさら自分のダメさ加減が情けないのである。
道化者
(メッヘレン。ロンバウツ大聖堂と、伝説で人気の道化者)

「仕事がはかどらなくても、そんなに腐っちゃダメだ。今夜はオレが付きあってやるから、明日から一気にスパートをかけろ」
「4月20日をメドに仕上げてみろ」
「20日がダメなら、25日でもいい。それでもダメだったら、そこから先はオレに任せろ。決して自分を責めないこと。オマエなんだから、努力すれば必ずうまくいく。最近のツラそうな顔、オマエらしくないぞ」
 うにゃにゃ、後輩でも部下でも、仕事が好きで好きでたまらないほど、この瞬間に湧き上がってくる涙は熱い。だって諸君、先輩も上司も自分のノルマ達成で必死。ついさっき、先輩の先輩、または上司の上司に、ほぼ同じストーリーで慰められてきたばかりかもしれない。
道化者拡大図1
(メッヘレン人気の道化者、拡大図)

 最近は「女性の上司」というのが珍しくないから、クヨクヨしているときに慰めにやってくるスタイルも若干変わってきているようである。昔なら「焼き鳥屋」「軽く一杯いかないか?」「〆はラーメン」「いいから、黙って食え!!」一辺倒だったものが、深夜のオフィスに「差し入れ」をぶら下げてフラリと姿を現すわけだ。
 この場合はコンビニで買ったちょっぴり豪華お弁当、ドリンク剤やジュースの類いが、例の白いシャカシャカ袋(Mac君の変換は「釈迦車か復路」であるが)の中でシャカシャカ揺れている。「佐藤クン、頑張ってるじゃない」「武田クン、ハイ、これ、差し入れ」の類いでござるね。ま、それもまた後輩や部下の熱い涙をシャカシャカ効果的に誘うはずである。
道化者拡大図2
(道化者、もっと拡大図)

 これが受験生となると、クヨクヨぶりはもうワンランク重たくなる。「3月までにやっていなければならなかったことを4月に持ち越した」という事態は、何だか1年後の重大な敗北の予告みたいだし、何しろ周囲にいるヒトビトの発言に情け容赦がない。
「3月までに英単語も終わってなかったんじゃ、英語は完全に負けだな」
「新年度に入るまでに数学の基礎だけでも固めておけって、あれほど言ったじゃないか」
「マトモなヤツは、とっくにみんなセンター対策に入ってるぜ」
の類いの発言が、①まず友人 ②続いて予備校講師 ③最後に親から、長篠の合戦の3段構えの銃撃のようにバシバシ&ビシビシ、諸君を殲滅する勢いで飛んでくることになる。これに④「優秀な弟や妹」が加わると悲劇であるが、それは昭和初期に、久米正雄「受験生の手記」に描かれた世界である。
市庁舎1
(メッヘレン市庁舎。その右の足許に道化者)

 しかし諸君、まあ待ちたまえ。焦りなさんな。事ここに至って、友人/講師/親ともに心配で心配でならないから、そうやって速射砲3段構えで攻撃してくるけれども、その攻撃にマトモに正面から1人で立ち向かおうとしたって、ホントに諸君、ムカついてムカついてどうにもならなくなって、そこいら中で怒鳴り合いが始まるだけのことである。
 ま、「昨年度にやっておくべきことを今年度に持ち越しちゃった」「しかももう4月も半分終わっちゃった」「もうすぐ連休だ」→「敗北→早くも浪人の危機」という焦りはひとまず放っておいて、「だからこそ今すぐ立ち直ろうじゃないか」「半月やそこらの遅れぐらい、今すぐ始めれば何とでもなる」と自らに誓おう。誓う場所は、そうだな、ゆっくり浸かった湯船の中がベストでござるね。
市庁舎2
(メッヘレン市庁舎、正面図)

 かく言う今井君自身、実は「年度末にやり終えておくべきだった」「それなのに、日々の忙しさにかまけて、ついつい4月半ばまで持ち越しちゃった」「何だか惨めでならない」という仕事が1つ残っている。「ベルギー冬物語」の完成がそれである。
 ベルギーを旅したのが1月11日から25日。その旅行記「ベルギー冬物語」を書きはじめたのが1月18日。すでに「番外編」も含めて40回近くを書き終え、中身もどんどん進んでベルギー滞在最終日のメッヘレン訪問まで進んできた。
 ところが、2月3月は講演会の連続で多忙。1つの講演会に対して少なくともブログ2日分は書きたいことが山積みになるし、サトイモ君の悪いクセで書きたいことはみんな書かないと気が済まないから、ベルギーのお話は今日も明日も後回し&後回しになる。
ロンバウツ
(重量感タップリのメッヘレン大聖堂。ここから冬物語を復活させよう)

 4月に入って、生徒諸君からもらったたくさんのお手紙の整理をしているうちに、「このお手紙のお返事は、受験生みんなの参考になるはずだ」と思うことが多くなり、それを掲載するうちにまたまた「後回し」。冬物語も何も、東京では桜もとっくに葉桜。八重桜さえ散りはじめてすでに夏物語の気配である。
 そこでサトイモ君は湯船にゆっくりつかりながら、「焦らない焦らない」「ちょっと間延びしたけど、ここで立ち直って、とにかくベルギー冬物語を完成させちゃおう」「だって残りたった3回か4回分じゃないか」と自分に言い聞かせた。
 諸君、1月23日、サトイモ軍曹はメッヘレンの駅に降りてグローテ・マルクトとロンバウツ大聖堂を目指した。そこだけ思い出してくれたまえ。そして、安心してくれたまえ。ここで立ち直ったボクチンは、あと3日ほどで確実にベルギー冬物語を完成させるはずである。

1E(Cd) Gould:BACH/GOLDBERG VARIATIONS
2E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
3E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS②
4E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS①
5E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS②
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