Sat 130223 クマは悄然 あずさ27号で旅立ちますゅゅぅぅ 立川の講演会で立ち直る | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 130223 クマは悄然 あずさ27号で旅立ちますゅゅぅぅ 立川の講演会で立ち直る

 サトイモ君のテーマは「悠然と」であって、受験生諸君にも常に悠然と行動するように言っている。サインを求められたときには、今井君の定番「宇宙征服」「鎧袖一触」の他に「悠然と」というのもあって、色紙やテキストの表紙に大きく「悠然と」と書きながら、若干の恥ずかしさを抑えつつ「根拠のない自信でいいから、自信をもってゆったりとね」と口に出してみる。
 しかし、今日のサトイモはとても「悠然と」どころではない。「悄然と」である。「しょうぜんと」を辞書で引いてみると「元気がなく、うちしおれているさま」「しょんぼりしたようす」であり、別の辞書には「心にかかることがあって元気がないさま」「ひっそりと寂しい様子」とある。
 つまり今井君はいま、寂しくてションボリと元気がなく、うちしおれているのである。だって、もうWBCは終わっちゃったのだ。あーあ、負けちゃった。あーあ、終わっちゃった。あーあ、次はもう4年後である。
立川1
(立川でのクマ。最初5分ぐらいは、まだ悄然としていた)

 コドモ時代のサトイモ軍曹は、高校野球に夢中。もちろん秋田県代表を必死で応援したのである。コドモの頃の秋田県は野球王国。甲子園でのベスト8は珍しくなかったし、ベスト4だって何度もあった。普通の県立高校とか、県立の農業高校が甲子園でベスト4に進めば、郷土の代表を夢中で応援するのは当たり前である。
 だから、秋田県代表がとうとう負けちゃったあとは、何だかもうこの世の中に夢も希望もなくなったようで、4日も5日もムクれて過ごしたものである。ホントのことを告白すれば、4ヶ月も5ヶ月もムクれ続けていたし、いや、もっともっとチャンと真実を告白するなら、20年も30年も前の敗戦について、2013年の今もなおムクれつづけている。
 もっとも、秋田県の高校野球は21世紀に入ってから唖然とするほど弱くなったので、もはや負けてもムクれることはなくなった。あえて言えば、2011年の代表・能代商が、竹串のようにヒョロヒョロしたピッチャー保坂君の大活躍で勝ち進んだときのみが例外。あの時は約1ヶ月ムクれつづけたが、それ以外は「おお、今年も緒戦で敗退ね」と溜め息をつく程度になった。
ケーキ
(ションボリグマに、立川校のヒトがケーキを出してくれた)

 太陽に挑むほど夢中になって、敗退とともに8000メートルの海溝の底まで沈み込むようなこういう激しい興奮の対象は、 その後は高校野球から早稲田ラグビーに移り、大学選手権決勝で敗退するとか、トップリーグのチームに惜敗するとか、2010年頃まで激烈な気持ちの浮き沈みが続いた。
 負けて悄然とすれば、1ヶ月でも1年でも悄然とし続け、翌年の大学選手権決勝でリベンジ、さらにトップリーグチームにリベンジするまで、執念深くずっとずっとムクれつづけた。
 「心にかかることがあって元気がない様子」が1年も続けば、そりゃ周囲のヒトだって「今井先生がションボリしている」「サトイモに元気がない」「クマさんが悄然としている」と心配してくれるが、何のことはない、「秋田県代表が負けた」「早稲田ラグビーが負けちゃった」という、ただそれだけのことだったのである。
立川2
(立川での講演会 1)

 今回のWBCについて、世間のヒトビトはたいへん感心なオトナの反応をしているようである。「メジャーリーガーが参加せず、苦戦が予想される中、よくここまで頑張った」「山本監督に拍手」。いやはや、マコトに立派であって、精神年齢の低いサトイモ君は、かぶってもいないボーシを脱いで「脱帽」な気分になる。
 しかし諸君、ここはもうしばらく悄然として、みんなでムクれつづけようではないか。あんまり早く納得し、あんまりサッサとあきらめてしまうのは、健闘した選手たちに対しても返って失礼なんじゃないか。春の嵐が迫る中を新宿駅に向かいながら、サトイモ軍曹は「自分だけでもいい、もうしばらくは悄然としていたい」と夢中で考えたものである。
ケーキとコーヒー
(悄然サトイモには、大っきなケーキが一番のクスリだ)

 そこで、ムクれ放題にムクれたクマ蔵は、「新宿から立川に行くのに特急電車を利用する」という暴挙に出た。新宿から立川、東京駅から横浜、そういうのは普通電車のグリーン車に乗ったって十分に「贅沢だ」と指摘されて然るべき短時間移動。大宮から東京駅まで新幹線に乗るとか、新宿から立川まで特急に乗るなんてのは、まさに唾棄すべき行為である。
 しかし諸君、今井君はいま徹底的にムクれている。というか、「ボクチンは今ムクれてるんだよ」ということを、出来るかぎり派手に世間に見せつけたいのである。ならば、特急利用がいいだろう。だって、利用する電車は「あずさ」である。
あずさ
(17時半の『あずさ27号』で、私は私は新宿から旅立ちます)

 今から300年ほど前、確か江戸時代中期のことであるが、日本の芸能界に「狩人」という兄弟デュオがいて、「あずさ2号」「コスモス街道」の2曲をヒットさせたあと、「一発芸人」ならぬ「2発デュオ」として水平線の彼方に消えていった。
「8時ちょうどのぉ、『あずさ2号』でぇ、わたしはわたしはアンナッタから、っかぁー、旅立ちぃますゅゅゅぅぅぅ♨」
このフレーズを知らない中年は日本中に存在しないっチューネン、であるが、若い世代の人で「っかぁー」「ますゅゅゅぅぅぅ♨」がいったい何を意味するか分からないオカタは、ぜひYouTubeをクリック。昭和日本文化の精髄に触れてみてくれたまえ。
 なかなかウマくいかない男女関係に疲れ果てた昭和の女性は、こうして特急「あずさ」に乗って「あなたから旅立っ」たり「あなたの知らないところへ嫁いでいっ」たりしたのである。昭和の精髄とは、実はムクれた女性のムクれた行動のことなのかもしれない
 という訳で、ムクれたムクれた今井君は「あずさ」に乗って立川に旅立った。ところが我が「あずさ」チャンは、山梨県内での強風のせいでダイヤに乱れを生じ、新宿発20分遅れ、立川着も20分遅れ。立川の講演会場に到着したのは、講演会開始45分まえ。おお、ムクれたおかげでスタッフに心配をかけてしまった。
イスとボード
(イスにホワイトボードをくくりつけて使用する)

 立川での講演会は、19時開始、20時40分終了。出席者は100名弱。普通なら首都圏での講演会は校舎での開催なのだが、立川校には100名も収容できる大きな部屋がないので、駅前の飲屋街の先の古い貸し会場を借りての開催になった。
 立川は、文教地区である。都心の国立私立の名門校にいくらでも通える距離にあるし、立川高校に国立高校、国分寺高校に八王子東高校、クマ蔵の大好きな文武両道&質実剛健の公立の名門がズラリと顔を並べる地域。「なんで今まで立川でやらなかったんだろ?」と不思議になるほどであって、今日を機会にジャンジャン立川講演会に呼んでもらおうと思う。
 立川の校舎責任者は、ついこの間まで下北沢の責任者だったヒト。毎年1度は下北沢で顔を合わせていたから、「よーし、これからは立川で」と考えると、さっきまでの悄然&ションボリはウソのように消えた。
立川3
(立川での講演会 2)

 諸君、今井君が冷めたサトイモみたいにションボリしていたら「どうですか、講演会でもやりませんか?」と声をかけてくれたまえ。ラーメンや寿司や焼き肉をタラフク食べまくるより、講演1回やらせてもらったほうが「悄然→悠然」の切り替わりは早い。
 定員90名程度の会場に100名弱の出席者があったから、通路に補助イスを出した。これに「昨年まで今井先生の授業を受けてました」「今は青山学院です」「早稲田に行ってます」「明治大政経学部です」という担任助手の諸君も加わって、会場は超満員になった。
 おなじみの今井スタンダード(=30秒に1回の大爆笑)はもちろん今日も達成して、うぉ、こりゃ爽快だ。「講師が爽快なのと、生徒が爽快なのは違うんじゃないか」「講師が自分だけ満足してたって何もならない」とか、難しいことを言うなかれ。そもそも、話をしている張本人が楽しくないのに、聴かされている側が楽しいなんてことはあり得ないのだ。
立川4
(立川での講演会 3)

 21時過ぎ、会場から外へ出てみると、外は予想されていた通りの春の嵐。強い南風に、大きなヌルい雨粒も吹きちぎられそうになっている。こんな夜、もしあのまま悄然としてションボリ街を歩いているのだったら、今井史上に残るほど惨めな夜になっていたに違いない。
 それが今や、爽快も爽快、1時間のサウナの後でビールの大ジョッキ2杯を立て続けに飲み干したより、もっと爽快である。ションボリくん、さようなら。悄然クン、一昨日おいで。ホントにウキウキしながら、新宿経由で代々木上原に帰った。
 ただし、個人祝勝会はナシ。悄然としていた半日のせいで、サトイモ君は風邪をひいた。名づけて、ションボリ風邪。諸君、ションボリなんかしていたら、所詮ロクなことにならない。ちょっとぐらいツラいことがあっても、今すぐに元気を出しなされ。

1E(Cd) Reiner & Wien:VERDI/REQUIEM 2/2
2E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5
3E(Cd) Maggini String Quartet:ELGAR/STRING QUARTET in E MINOR & PIANO QUINTET in A MINOR
4E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 1/2
5E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE BARBIROLLI ELGAR ALBUM 2/2
total m116 y429 d10624