Thu 130221 茨城県土浦で講演会 αをあきらめる 水戸の女子高生は筑波大に合格 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 130221 茨城県土浦で講演会 αをあきらめる 水戸の女子高生は筑波大に合格

 3月15日、茨城県土浦で講演会。講演は19時からだから、午後4時に代々木上原を出て、夕暮れせまる首都圏を大横断。一路、春の霞ヶ浦のほとりに向かった。
 代々木上原から土浦は、マジメに各駅停車の電車を乗り継いで行けば、片道1時間40分。ちょっと贅沢して上野から特急「ひたち」を利用しても、片道1時間半弱である。これを日帰りで往復すると、移動だけで3時間から4時間かかる。完全に日帰り圏の出張であるぶん、4時間に近い移動はツライ。
 いつも書いているように、「ヒコーキでビューン」とか「新幹線でビューン」な出張なら、気分はまさに「ハレ」の世界であって、「ボクチンはエラいな」とふんぞり返る気分になれる。ヒコーキなら、ダイアモンドメンバーのラウンジを利用できるし、マイルだってタップリ溜まる。
 しかし3月15日のサトイモ男爵は、茨城県土浦に向かって、まず地下鉄千代田線の各駅停車でスミっこで小さくなったまま、ジッと耐えていかなければならない。
 北千住まで40分。東京メトロの電車の車内放送がどれほどウルサイか、経験した人でなければ分からないが、発車してすぐに始まる「お待たせいたしました」の車内放送は、町内会のカラオケ大会よろしく、下車するまで延々とヤムことがない。
土浦1
(茨城県土浦での講演会 1)

 車内放送は、まず日本語のアニメ声に始まり→英語のアニメ声が続く。アニメ声2連発の後に、ご丁寧なことに車掌さんもマイクを握って、
「お待たせいたしました」
「今日も東京メトロ千代田線をご利用いただきまして、ありがとうございます」
「この列車はJR常磐線直通、表参道、大手町、北千住方面、取手行きです」
「次は明治神宮前(原宿です)。副都心線、JR山手線はお乗り換えです」
「ホームと電車の間が大きくあいております。お降りの際はご注意ください」
マコトにご親切なこのアナウンスは、全ての駅で3回繰り返され(ジャパニーズのアニメ声→イングリッシュなアニメ声→車掌さんのナマ・アナウンス)、ドアが閉まってからドアが開くまで、静寂は一切与えてもらえない。
 ここまでご親切だと、さすがのサトイモ男爵でも読書はスッパリあきめざるを得ない。電車の中での読書をあきらめたのは、今から10年前、日英のアニメ声が導入されてからである。
激オチ君
(受験生のドギモを抜く「激落ち君」。今もどんどん新製品が出ている)

 大昔、今井君は電車やヒコーキの中の読書をα、書斎での読書をβ、お風呂の中での読書をγ、大急ぎで飛ばし読みする読書をδと分類し、αβγδの4種類の読書を上手に使い分けて管理してきたが、この10年、αの進行状況は甚だ遅々としたものになってしまった。
 加藤周一は名著「読書術」(岩波書店)の中で
「通勤電車は素晴らしい書斎である」
「自分は電車の中でラテン語とギリシャ語をマスターしたほどだ」
と書いたが、こんなにカワイイ響きのアニメ声が車内を占領したんじゃ、さすがに素敵な加藤周一オジサマでも、今ではとても古典古代のコトバなんか勉強できるはずがないのである。
土浦2
(茨城県土浦での講演会 2)

 北千住からはJR常磐線各駅停車に乗り込んで、土浦まで1時間。諸君、一難去ってまた一難、常磐線の車内アナウンスは、東京メトロに勝るとも劣らない丁寧さである。ほぼ同じような日英のアニメ声が連続した後、「グリーン車にご乗車の際には」のご注意が始まる。
「グリーン券が必要です。グリーン券をお求めの際、車内でお求めになると、駅での発売額と異なりますのでご注意ください」
「事故防止のため、急停車することがあります。お立ちのお客さまはお近くの吊り革におつかまりください」
こういうのが全て日本語と英語の2通り、駅を発着するたびに繰り返されてみたまえ。とてもαだのβだの言っていられる状況ではない。
土浦3
(茨城県土浦での講演会 3)

 グリーン車ではついでに「車内販売のご案内」が入り、やがて小さなバスケットに缶ビールやおツマミを満載した「グリーン・アテンダント」のお姉さまが車内に現れる。駅と駅の間隔わずか4~5分の間も、「缶ビールにおツマミ、いかがでございますか?」と笑顔を振りまくことになっている。
 何も各駅停車の電車の中でそんなものを買わなくてもよさそうなのに、不思議なことに、何故か今井君の近くのお客ほど「ビールくれる?」「ツマミって、何があるの?」と、マコトにゾンザイな口調でアテンダントを呼び止めるヒトがいる。すると諸君、アテンダントのお姉さまは、缶ビールの種類やそれぞれの缶ビールの味やノドゴシやキレについて、ホントに丁寧な説明を始めるのである。
 あとは推して知るべし。説明に納得して缶ビールを購入したオジサマ連は、得意げに「プシュ」「プシュ」「プシュ」と大声で歓談を始め、ツマミはオジサマの口の中でカリポリカリポリ、ニチャニチャ&クニュクニュ、酒とイカとオカキのニオイが充満して、読書なんか天上の夢と散る。
とりお1
(昨日は下北沢「とりを」で個人祝勝会を開催 1)

 以上、ほうほうのていでサトイモ男爵は土浦に到着した。土浦での講演会は19時開始、20時40分終了。出席者は100名弱。もともとの予定では70名強ということになっていたから、いきなり25名から30名ほど増えたことになる。こりゃ、マコトに素晴らしい。会場定員は50名ぐらいだから、90名を超えれば完全にパンパンパンだ。
 あんまりスバラシイから、今井君もスンバラしく盛り上がって、爆笑&爆笑また爆笑のうちに、聴く側も話す側もみんなヘトヘトになってしまった。高校の先生も2名出席していたが、今井君の話に頷き放題に頷いているうちに、彼らもまたヘトヘトになった。
 理想的な展開ではあるが、今井君としてはどうしても不満が残る。昨日の成増だって、今日の土浦だって、明日の千葉県柏だって、こんなにギューギュー詰めにして「忍耐力の限界に挑戦!!」みたいな状況にもっていく必要はないのだ。出来れば外部に会場を借りて、スペース的にも精神的にも余裕タップリの講演がしたい。そのほうが、生徒の満足度も講師の充実度も圧倒的に高いはずなのだ。
フレッシュひたち
(土浦からの帰りは、特急「フレッシュひたち」に助けを求める)

 21時、土浦の校舎を出てJRの駅に向かう。「帰りぐらいは特急で帰りたい」「アニメ声アナウンスに攻撃されたくない」という思いでいっぱいだ。諸君、片道100分、往復で3時間半近く、延々と同じアニメ声攻撃に晒されたら、サトイモ君の精神の皮がペロペロ剥けはじめてしまいそうである。
 土浦駅の改札前で、「今井先生ですか?」の2人の女子が待っていてくれた。わざわざ水戸からやってきた高校3年生。「今井先生の授業を受けて、筑波大学に合格できました」と言うのである。合格したのは、筑波大学医学群看護学科。D組から初めて、C組→B組と続け、第1志望に合格しただけじゃない、「英語が一番好きな科目になった」とおっしゃる。
 丁寧な手紙を書いてきてくれたので、まずその手紙を受け取り、3人でかわりばんこに改札前で写真を撮った。いやはや、周囲のサラリーマンの皆さんがやたらに注目する。そりゃそうだ。「デカいサトイモと女子高校生2名が、何でこんなところでパシャパシャ写真なんか撮ってんの?」であって、もし注目しないヒトがいたら、それは単にヤセ我慢をしているだけのことである。
とりお2
(昨日は下北沢「とりを」で個人祝勝会を開催 2)

 こうして、サトイモ男爵はようやく東京に帰ることになった。土浦発21時20分ぐらいの特急「フレッシュひたち」である。おかげで3時間半近くアニメ声アナウンスに晒される境遇は避けられたが、さすがにもうヘトヘト。個人的祝勝会さえ開かずに、23時半すぎにヨレヨレになって自宅に戻った。
 この夜の晩飯はコンビニ弁当。ファミマのペペロンチーノに、缶ビール2本をグビグビ飲み干して、3月15日は終わった。昨夜、成増から帰って下北沢「とりを」で個人祝勝会を開いたが、何だか全然盛り上がらずに終わった。あれ以来ずっと、祝勝会の不調が続いている。
 だって諸君、もう今井君の素性が、どこの街でもどこの店でも、完全にバレてしまっている。下北沢「とりを」だって、里之丞は自分の正体を一度も明かしたことがないのに、いきなり店員さんに「先生!!」「今井先生!!」と呼ばれてしまう。うにゃにゃ、マコトに嬉しいけれども、若干の煩わしさをナシとしない。

1E(Cd) Ashkenazy:RACHMANINOV/PIANO CONCERTOS 1-4 2/2
2E(Cd) The State Moscow Chamber Choir:RACHMANINOV/VESPERS op.37
3E(Cd) Brendel(p) Previn & Wiener:MOUSSORGSKY/PICTURES AT AN EXHIBITION
4E(Cd) Sinopoli & New York:RESPIGHI/FONTANE・PINI・FESTE DI ROMA
5E(Cd) Dutoit & Montréal:RESPIGHI/LA BOUTIQUE FANTASQUE
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