Tue 130219 麗らかな大阪 2年前の記憶 金沢歌劇座での講演会 9月の再会を誓いあう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 130219 麗らかな大阪 2年前の記憶 金沢歌劇座での講演会 9月の再会を誓いあう

 3月13日、大阪は朝からよく晴れて、春の梅田は「ひねもすのたりのたりかな」。頭脳のほうもいつまでも寝ぼけたままで、なかなかマトモに働かない。11時近くにホテルをチェックインして、新大阪までタクシー。これから3時間かけて金沢まで移動して、夕方から金沢で講演会がある。
 ホテルから乗ったタクシーに、大阪駅前あたりから1台のトラックがずっと並走している。その脇腹には「トーリクンコ中田(株)」の文字。「トーリクンコ?」「なんだそりゃ?」と首をひねるうち、サトイモ君のタクシーとトラックは一緒に淀川の橋を渡った。
金沢1
(金沢での講演会 1)

 トーリクンコ、トーリクンコ。淀川を渡りきっても、頭は混乱するばかり。一向に謎は解けない。ずっと並んで走りつづけて、新大阪の駅が向こうに見えてきた。それでもまだ分からない。中田(株)はいいとして、トーリクンコねえ。はてな&ハテナである。
 運転手さんに「トーリクンコって、何でしょうね?」と尋ねる寸前になって、やっとハタと気がついた。なんだ、気がついてみれば何のことはない、あれは右から左に向かって「田中コンクリート(株)」であるに過ぎない。マコトにお粗末な春の大阪の一席であった。
金沢2
(金沢での講演会 2)

 麗らかな春のそよ風が吹く新大阪の駅で、金沢への特急「サンダーバード」を待つ。同じホームに、関西弁のオジーチャンとオバーチャンが佃煮にしたいほど溢れていて、同じ特急サンダーバードを待っている。
 加賀温泉、芦原温泉、和倉温泉。金沢の周辺には有名な温泉郷がズラリと並ぶ。ジーチャンもバーチャンもきっと春の金沢・兼六園を見て、それから温泉を満喫するのだ。山陰からのディーゼル特急「はくと」、福知山からは特急「こうのとり」、撮り鉄サンたち垂涎のレアな電車も次々と到着する。マコトに麗らかで、マコトにホンノリ暖かな光景である。
金沢3
(金沢での講演会 3)

 ただし、どうしても今井君には2年前の記憶が蘇ってくる。2011年3月11日、クマ蔵は今日と同じように、新大阪駅から金沢までサンダーバードに乗った。北陸地方は春の大雪で、琵琶湖から見上げる比叡山は春の雪に白く覆われていた。敦賀、武生、鯖江、福井とだんだん雪が深くなって、金沢はすっかり冬に逆戻りした雪景色だった。
 「東北で大地震」のニュースを知ったのは、金沢のホテルにチェックインした直後である。金沢も大きく揺れて、窓のブラインドがいつまでも壁にガタガタぶつかり続けた。
 テレビをつけると、まず東京のビジネス街の大混乱の風景。続いて仙台の名取川を遡る津波の映像が映り、どす黒い凶悪な津波はやがて堤防を乗り越えて、田んぼも村も飲み込みながら西の方向に駆け上がった。
雨
(金沢は暴風雨。ホテル17階から)

 あの日は富山で講演会があって、午後5時、やむなく金沢から富山に向かった。130人もが参加した富山講演会が、大成功のうちに終わったのが午後9時。「さて、金沢に戻ろうか」と富山駅に戻ると、「北陸沿岸にも津波警報が出ています」「特急は全て運休。各駅停車しか運転していません」。2時間近くかけて金沢に戻ったが、東京にも、仙台の快傑ババサマにも、全く連絡が取れなかった。
 その深夜3時ごろ、金沢もまた大きな地震に襲われた。東日本大震災の余震と思ったけれども、長野県栄村を襲った震度6の烈震。そのまま眠ることができずに、朝までずっとテレビのニュースを見守りつづけた。気仙沼の街が燃え続けている映像が悲しすぎた。
シャンデリア
(金沢歌劇座・小ホール。シャンデリアがマコトに派手である)

 2013年3月の大阪は、うってかわって麗らかな春の1日。やがてやってきた特急サンダーバードに乗りこんで、一路金沢を目指した。ところが、琵琶湖の西岸を北上するにつれて、天候が一気に悪化していく。
 「ありゃりゃ」「ありゃりゃ」と慌てているうちに、敦賀で雨が降り出し、北陸トンネルを抜ける頃には、大きな雨粒が強風に煽られて電車の窓を強打するようになり、福井ではすっかり本格的な雨に変わった。金沢に着いてみると、これはもう暴風雨の様相。講演会開催には最悪の天候になった。
金沢4
(金沢での講演会 4)

 金沢のホテルで2時間ほどゆっくりして、17時半にスタッフと待ち合わせ。天候は最悪の暴風雨である。日本中で電車は運転見合わせ、ヒコーキだって欠航が相次ぐアリサマ。これじゃ講演会に何人来てくれるか、甚だ心もとない。
 会場は「金沢歌劇座」。昨年9月に1100人超の巨大講演会を成功させた思ひ出の地である。あの時はオペラ座大ホール。今日はぐっと小さな小ホールでの開催だから、まさか「ガラガラのガーラガラ」ということはないだろうが、「輝かしい思ひ出が台無しになったらイヤだな」という臆病な気持ちはどうしようもない。
金沢5
(最後に、花束をもらう)

 ところが諸君、小ホールはカンペキな満員になったのである。予定した出席者数が180人。ところが開場して開演を待つうち、まだ開演まで30分もあるのに、席が全部埋まってしまった。雨の中、ズブ濡れでやってきた女子高生集団だっていた。
 そこで急遽イスだけの席を増設。それでも次から次へと訪れる高校生でどんどん席が埋まっていく。30席増設して、それでも足りなかったぐらいだから、最終的な出席者数は220を超えたはず。みんな横ナグリの雨にズブ濡れで、ホントによく集まってくれた。感謝&感謝、大感謝である。
花
(金沢でもらった花束。こんなキレイなのを、2つもいただいた)

 これほどのヒトが集まってくれたのに、講演が盛り上がらないはずはない。オペラ座の派手なシャンデリアのモト、サトイモ君はヤツガシラなみに膨張して躍動する。70cmチョイの短いアンヨも、思わず2メートル超にビョーンと伸びて、金沢会場は開始直後から湯気が出るほどの大爆笑の渦になった。
 ズブ濡れの聴衆が一気に暖まって熱い水蒸気が立ちこめたのだから、オペラ座が湯気に満たされたのも無理はない。「風邪を引かないといいがな」という今井君の心配も、まったく無用のこと。これだけ熱く楽しく盛り上がり、「よーし、今夜からガンガンやるぞ」とみんなで決意を固めれば、風邪なんか引くヒトはいないものである。
寿司
(祝勝会のお寿司。ノドグロの塩焼きも旨かった)

 終了後、金沢市内「千取寿司」で祝勝会。昨年9月の1100人講演以来、金沢はこれまでにもまさる絶好調であって、校舎に生徒が入りきらないほど。高校合格を決めた直後の中3生が、新高1生として続々と受講に詰めかけ、もう高1数学を受講し終えた猛者もいるそうだ。
 「また今年も9月中旬に是非ともお願いします」と言ってもらえると、嬉しさもヒトシオ。今井君も「いや、こちらこそお願いします」と9月の再会を誓い合って、楽しい祝勝会は23時すぎにオヒラキになった。

1E(Cd) José James:BLACKMAGIC
2E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
3E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
4E(Cd) Kenny Wheeler:GNU HIGH
5E(Cd) Jan Garbarek:IN PRAISE OF DREAMS
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