Wed 130206 羽田まで「ルンルン」 ルンルンの使い方 羽田からの難行苦行 釧路到着 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 130206 羽田まで「ルンルン」 ルンルンの使い方 羽田からの難行苦行 釧路到着

 書いている段階で3月2日午後。いま北海道の釧路にいる。今日のNHKニュースを見るかぎり、トップニュースは「北日本で大荒れの天気」「暴風雪で北日本各地に被害」「今後とも交通機関の乱れに注意」であるが、今日の釧路は朝のうち快晴、昼ごろから雲が出てきたが、まだチャンと晴れている。
 「交通機関の乱れ」の直撃を受けたのは、むしろ昨日である。昨日の記事に「まさにピンポイントで、暴風雪警報の出ている北海道をこれから訪れる」と書いたが、こういう天候の時は、用心深く講演会の前日から現地に入るのが定石だ。
寿司
(釧路に向かう途中、新千歳空港で寿司屋に入った)

 いやはや、もともとのピンポイントにさらに磨きをかけて超ピンポイント、今井君の乗った飛行機は見事に「大幅な遅れ」になった。東京の自宅を出てから釧路のホテルに到着するのに、何と11時間かかったのである。
 諸君、「自宅を出てから11時間」なら、シドニーやホノルル、シンガポールやムンバイにでも到着できるほどの時間である。出発点を「成田を飛び立って」に設定すれば、パリやニューヨーク、ミュンヘンやフランクフルトにも立派に到達している。うにゃにゃ、まさに難行&苦行の1日であった。
 自宅から羽田空港までは、お馴染み「定額タクシー」。メーターを回して普通に乗るよりも3000円もお得だから、これに乗らない手はない。西日本は春一番で荒れたが、東京はそれほどでもなかった。「チョイと風が強いかな?」ぐらいで、これなら花粉は仕方ないとしても、中国からの例の有毒微粒子は心配なさそうだ。
店内風景
(寿司屋の風景)

 というわけで、羽田まではルンルン。諸君、「ルンルン」である。昭和の終わり頃、人々は盛んにこの「ルンルン」を使用した。妙に楽しそうな友人と出会えば、男子なら「オマエ、何ルンルンしてんだよ?」と小突きあい、女子どうしなら「いいことあったの? ルンルンしちゃって」と尋ねたのものである。
 今井君なんかは、完全な昭和小憎であり、カンペキな昭和サトイモであるから、こんな春めいた1日、「ルンルン」というコトバを5回は絶叫しないとシアワセを実感できない。誰が何と言おうと、死語だ&時代遅れだと誰がセセラ笑おうと、ルンルン&ルンルン、ルンルン&ルンルン、徹底的にルンルンして、「これでもか?」とルンルンしてみせる。
熊ころり
(寿司屋で冷酒「熊ころり」を注文)

 ところが、飛行機に乗り込んだルンルン今井里之丞を衝撃のアナウンスが襲う。最初のうちは「出発時刻となりましたが、出発準備に少々時間を要しております」だったのだが、予定の3時を15分過ぎても一向にラチがあかない。今井君の席は2K。上品なビジネスマンを満載したプレミアムクラスも、何だか不穏な空気になってきた。そこへ
「ただいま新千歳空港の天候悪化のため、除雪作業を開始いたしました。そのためしばらく離陸を見合わせます。除雪作業に15分、そのあと点検作業にさらに時間を要します」
と来た。「うわ、それじゃいったい…」と頭から血が引いていく。この段階でまだルンルンしていたら、まさに日本で最も愚かなサトイモ君のソシリを免れない。
切符
(新千歳→釧路は、JRを使って陸上移動になった)

 キャンディを配りながら回ってきたCAのお姉さまに「あの、新千歳発17時の釧路便に乗り継ぎなんですが、間に合いますか?」と尋ねてみた。今井君としてはホントに珍しく、マコトにオズオズ尋ねたのである。オズオズの魔法使いみたいなもんである☃
 「釧路なら、直行便があるじゃないか」というヒトもいるだろうが、この日の今井君は諸般の事情で新千歳での乗り継ぎ。実際この日は釧路も大荒れ&大雪だったのだから、直行だろうが乗り継ぎだろうが同じ目に遭ったのであるが、まあこの時点では「乗り継ぎ、間に合いますか?」程度の暢気な質問でよかったのだ。
南千歳
(南千歳駅で特急「スーパーおおぞら」に乗り換える)

 しかしここから、事態はどんどん悪くなる。飛行機などというものは、いったん事態が悪くなると「比較級 and 比較級」の構文みたいに、雪ダルマ式に悪いほうへ悪いほうへ進んでいく。
 最初は「20分程度の遅れ」と言っていたのが、「離陸時刻は予定より1時間遅れて16時頃」にかわり、しかし実際に離陸したのは16時15分。青森県上空を通過するあたりまでは順調だったが、今度は「新千歳空港が混雑のため、しばらく着陸を見合わせます。着陸は17時35分」とアナウンスが入って、実際に着陸したのは18時だった。
スーパー北斗
(函館行き特急「スーパー北斗」。これも遅れていた)

 こうして一寸のばしにされるから、どうしてもイライラがつのる。着陸した後は「雪のため、注意深くスポットに向かいます」。停止してはノロノロ、また停止してはノロノロ、スポットに到着したのは18時15分を過ぎていた。
 何しろ雪のせいだから誰に文句を言うわけにもいかないが、羽田で乗り込んでからすでに3時間15分、機内にカンヅメで電話連絡もとれなかった。夜から釧路で会合がある予定だったから、先方もさぞかし心配しているはず。ところが新千歳に到着してみると、「釧路行きに乗り継ぎ」もなにも、今日の「釧路行きは欠航になりました」ときた。
 うにゃにゃ、この段階で選択肢は2つ。
① 札幌あたりにホテルをとって宿泊、明日の便で釧路に向かう
② 南千歳からJRに乗って、石勝峠を越えて陸路で釧路に向かう
 当然、今井君の選んだ選択肢は②。①のほうが楽そうだが、万が一明日も「暴風雪のため欠航」ということになったら、明日の釧路講演会を中止にせざるを得なくなる。スタッフの皆さんがたいへんな努力をして「外部生だけでも50人に達しました」「高校の先生がたも出席です」とまで言ってくれているものを、「暴風雪で中止」にはできないだろう。
駅ホームにて
(南千歳駅のホームで。雪がミゾレに、さらに雨に変わっていた)

 ここで頑張ってくれたのが、ANAの女性グラウンドスタッフである。まず「しばらくラウンジでお休みください」と告げられ、飛行機ダイヤの混乱で大混雑していたラウンジで、今井君のための席を確保してくれた。
 すぐにJRの時刻表をチェックして、JR窓口に問い合わせてくれたのも彼女。「キップを買いに行ってきます」と走っていってくれたのも彼女。キャンセルした飛行機代と、JRのチケット代をすぐに精算してくれたのも彼女。テキパキ仕事をこなしてくれるこういうスタッフがいるから、クマ蔵はANAを愛してやまない。
満員
(釧路行きは満員。この雰囲気で3時間半はキツい)

 しかし諸君、今度は電車まで1時間以上の時間をつぶさなければならない。まずラウンジでブログを更新。ふう、何とか更新できた。昨年6月以来すでに8ヶ月、1日も休まず更新を続けて、受験生諸君のお手本になるよう努力を続けている。飛行機が遅れたり欠航になったぐらいのアクシデントで、まさかこの記録を途切らせるわけにはいかない。
 次に、空港内のお寿司屋に入って、ポンポンをいっぱいにする。こういう時に大事なのは、「まずメシ」。これから先も何があるか分からないんだから、空腹をかかえていてはダメだ。昨年11月、大盛イクラ丼を食べて気持ち悪くなった思い出の店に入り、今日はごく普通の盛り合わせの寿司を注文。ついでに生ビールと冷酒「熊ころり」も飲み干して、おお、マコトに楽しい1時間であった。
 空港内の売店で北海道の地酒をカップで2つ購入して、これで準備万端である。新千歳空港駅から電車で一駅、南千歳で乗り換え。ホームに出てみると、雪はミゾレにかわり、暖かい南風が吹いて、ミゾレは冷たい雨にかわったようである。
 釧路行き特急「スーパーおおぞら」は、6分の遅れ。雪の北海道で6分程度の遅れなら、まあ順調に走っていると考えていいだろう。ただし、車内は超満員。グリーン車の設定されていない特急なので、普通車輛の狭い座席で、ここから3時間半、ずっと突っぱらかっていかなければならない。
日本酒
(カップの地酒を2つ。パカッと開ければ、もうこっちのものだ)

 しかし、今井君はこういう旅が大好きである。カップの日本酒をあけ、ヘッドフォンをつけてしまえば、もう何も気にならない。ホンの1年ちょっと前、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステラからマドリード・チャマルティンまで7時間、夜行列車の旅をした。あれも楽しかった。
 学部生時代には、札幌から旭川経由で釧路まで、当時まだ普通に走っていた夜行急行「大雪4号」を満喫した。あの頃はまだ石勝トンネルが開通していなくて、釧路には遠く旭川を経由して遠回りで行くしかなかったのである。貧乏だったから、特急「おおぞら」に乗るなどということは考えもしなかった。
 諸君、昨日はなぜ釧路行きがあんなにパンパンで満員だったのだろう。「どうせ帯広でガラガラになるだろう」とタカをくくっていたクマ蔵君は、その期待を見事に外されて、ホントに突っぱらかったまんまで釧路まで耐えぬくことになった。
雪景色
(深夜、釧路に到着。湿った雪が降り続いていた)

 釧路到着、予定より6分遅れて23時50分。ほうほうのていでホームに降りると、3月初めの釧路とは思えないほど暖かい風が吹いて、雪もすっかり湿っている。北海道と言えばフワフワのパウダースノーのはずであるが、駅前は新潟あたりの温泉地のような、ヌクヌクした湿っぽい雪に覆われていた。
 革靴で雪道を歩くのは不可能である。マコトに申し訳ない気持ちではあったがタクシーに乗って、たった3分の釧路プリンスホテルへ。雪は深く、町あかりはとっくに消えて、コンビニもほとんど見当たらない。降りしきる湿った雪の中に、駅前のホテルの灯りが赤く滲んでいた。
 ついにホテルにチェックインして、時計を見ると12時10分。自宅を出て11時間後のことである。新千歳でメシを食べといてホントによかった。やっぱり諸君、「何かあったらすぐにメシ」「まず弁当と水を確保」。こんなに大事なことは、他にはなかなか考えつかないほどである。

1E(Cd) Barenboim & Chicago:SCHUMANN/4 SYMPHONIEN 1/2
2E(Cd) Barenboim & Chicago:SCHUMANN/4 SYMPHONIEN 2/2
3E(Cd) Holliger & Brendel:SCHUMANN/WORKS FOR OBOE AND PIANO
4E(Cd) Indjic:SCHUMANN/FANTAISIESTÜCKE CARNAVAL
5E(Cd) Argerich:SCHUMANN/KINDERSZENEN
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