Sat 130202 ナデシコが急性腎不全 緊迫の一夜 再びブリュージュ(ベルギー冬物語26) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 130202 ナデシコが急性腎不全 緊迫の一夜 再びブリュージュ(ベルギー冬物語26)

 ナデシコの様子が2月24日午後から急におかしくなって、翌25日午前10時、大慌てで獣医さんのところに連れていった。血液検査の結果は「急性腎不全」。クレアチニンの数値が、数値化できないほど急激に上昇していて「少し危険な状態」とのことだった。
 12月中旬に膀胱結石が3つも見つかり、あのときも緊急に手術して結石をとってもらったのだが、あれ以来ずっと具合がよくなかった。不機嫌にうずくまって、寝てばかりの日々が続いたけれども、数値的に問題がなかったので病気のことは心配しなかった。
小さなナデシコ1
(ナデシコ 1)

 24日、快晴の東京に強風が吹き荒れた午後、今井君はラグビー日本選手権(サントリーvs神戸製鋼)をテレビで観戦していた。国立競技場も強風で、プレースキックを狙う選手の前で、楕円形のボールが何度も倒れた。
 今井君自身、この1週間ほどずっと風邪気味で身体が重い。こういう時にテレビなんかみていてもサッパリ面白くないが、ナデシコはもっと面白くなさそうな顔で、サトイモ閣下の足許に丸くなってうずくまっていた。
小さなナデシコ2
(ナデシコ 2)

 もともと小さかったナデシコの身体が、異様に小さく見えたのはこの時である。体重が5.5kgもあるニャゴロワと並んで座るから、3kgちょっとのナデシコは小さく見えても仕方がない。しかしとにかくこの時は「あれれ!?」と絶叫したくなるほど異様に小さかった。ガリガリに痩せた感じで、歩く姿も何だかフラフラ頼りなさそうだった。
 そう言えばこの2週間ほど、食べたものを少量ずつよく吐いた。ニャゴが腎不全になった時にも突然よく吐くようになって病気に気づいたのだが、ナデシコの場合はもともと頻繁に吐くクセがあったし、何しろ1ヶ月前の血液検査ではクレアチニンも「異常なし」、すべての数値が平常値の範囲に入っていたから、あまり心配しなかった。
ブリュージュ
(1月21日、雪のブリュージュ駅に到着。今日のベルギー紀行は、写真だけにさせてくれたまえ)

 しかし、今日はとにかく全くゴハンを食べない。お水のところまでは頻繁に歩いていくが、ではホントにお水を飲むかと言うと、お皿のお水の表面を2ナメか3ナメしただけでヤメてしまう。
 喉に何かサカナの骨が刺さっちゃったとか、強烈な吐き気がするとか、人間の目から見ても明らかに異常である。「来週早いうちに病院に連れていくか」と、さすがに暢気なクマどんも、シロートの手には負えない事態になっていることを覚悟しはじめた。
先頭車両
(これが先頭車両だ。黒ゴムのボンボンした感じが楽しい)

 夜19時半、7時のニュースからそのままチャンネルをNHKに合わせていたら、何というタイトルだったか、お馴染みの動物番組に変わった。特集されていたのは、ツパイ。ビール並みのアルコールを含む樹液を連日大量に飲んで、それでもアルコールの毒にやられることなくパーフェクトに生き続ける、リスとソックリの生物である。
 そのツパイの姿を眺めながら、ふと「何だか今のナデシコは、リスみたいに見えるな」と思った。腰から脚のあたりが、ニューヨークのセントラルパークを走り回るリスたちよろしく、頼りなく痩せ細ってみえたのである。
自分撮り
(この日もブリュージュの名店「マクシミリアン」を訪ねた。今日はガラガラ、他に2組しかいなかった。右手での自分撮りが見事である)

 「とにかくゴハンを食べさせなくちゃ」と思い立ち、ネコ用の缶詰の中でも一番旨い、ネコならどんなネコでも100km先から飛んでくるほど旨い缶詰を開けてやった。
 何しろまだ赤ちゃんの頃から、食べ物にはあまり興味を示さなかったナデシコだ。食べるものと見れば意地でもぜんぶ独り占めしようと飛んでくるニャゴロワと比べたら、食べ物に対する欲求はあまり感じられない。缶詰を開ける音がしても、ちっとも興味を示さない。
 一方のニャゴは、缶詰がパカッと開けられる音を聞きつけるやいなや、何としてでも独り占めしようと「ホギャ」「ウンギャラガ」「ウナーオ、ウォウォー」と、ほとんど威嚇を含めたありとあらゆる大声で「いま缶詰あけただろー!!」「知ってるぞー!!」「ゴマかすなー!!」と訴えかける。
雪景色
(マクシミリアンの窓から冬景色を眺める)

 その強烈なニャゴを何とか遠ざけ、ナデシコをコッソリ1階の階段下に連れていって、缶詰を皿にあけた。2階の居間から1階の玄関脇までナデシコを抱っこしていったが、今さらながらナデシコのあまりの細さに愕然とした。胸も、胴も、お中元かお歳暮にもらうボンレスハムぐらいの太さもない。そして、抱っこした人間が思わず泣きたくなるほど軽い。
 ホントにナデシコは、この3~4日で一気に痩せてしまったのである。しばらくお水もマトモに飲まなかったから、おそらくは軽い脱水症状。さすがに美味しい缶詰だから、人間がホッとするほどの食欲でムシャムシャ音をたてて食べつづけた。
 それでも、小さな缶詰を1/3ほど。そこでピタッとヤメてしまって、もう缶詰には見向きもしない。ニャゴが激しく騒いでいる2階の居間に上がりたがって、潤んだ目でナーナー弱々しく鳴いてみせた。いつもはカンタンに飛び上がれる1mほど台の上に、ジャンプして失敗したのもこの直後だった。
暖かい
(マクシミリアン。暖かく燃える炎のそばのテーブルに通された。ここで調理もする)

 それからは、その夜一晩ずっと苦しそうに鳴きつづけた。床にうずくまって、苦しそうに息を吸っては、吐く息の全てを鳴き声にして、3秒に1回ずつ「ナー」「ナー」「ナー」と低く鳴いた。横になるのも苦しそうで、背中を上に向けて丸くしたまま、夜が明けるまで鳴いていた。
 この場合、「動物の緊急診療」という選択肢もある。24時間診療を受け付けて、緊急事態に対処してくれる。都会のイヌやネコはマコトに贅沢なのである。しかし諸君、ナデシコはそういう性格のネコではない。病院にいくのは絶対にイヤ。つい2ヶ月前の結石手術の入院以来、イヌたちと一緒に時間を過ごすのを何よりも嫌がっている。
本日のムール1
(1月21日、ブリュージュで「対ムール10連勝」を確定。おお、熱い湯気も写っているでござるよ)

 24日の早朝は冷え込んだ。関東南部ですら、内陸では氷点下5℃以下にまで気温が下がった朝だった。それでもナデシコはじっと朝まで頑張って、背中を上に向けて丸まったまま過ごした。全く吐かなかったし、いくらか元気は出たようだった。「では、お医者さんのところへ連れてってください」と、すっかり覚悟した落ち着いた様子である。
 むしろ意気阻喪していたのは飼い主のほうである。10時、動物病院に入ると、月曜日の朝のことだから、病院は大混雑。土曜日から日曜日にかけて具合を悪くしたイヌ君とネコちゃんを抱っこして、たくさんの飼い主たちが真っ青な顔をして駆けつけていた。
本日のムール2
(ムールの鍋は深い)

 15分ほど待って、ようやく診察の番がきた。3kgの体重は2.5kgを下回って、獣医さんも「すぐに血液検査を」と言ってくれた。冒頭に書いたとおりの結論で、「血管からの点滴のほうがいいでしょう」ということになった。
 ニャゴは皮下からの点滴をもう2年3ヶ月続けているが、ナデシコの場合は何しろもともと華奢な身体。「血管から一気に」のほうが効果的らしい。腎不全だけれども、ニャゴと違って急性とのことなので、この点滴で一気に回復する可能性もある。
 現在、2月26日午後9時半を過ぎた。ナデシコの病状は「現状維持」であって、グイグイ快方に向かっているわけではないが、悪化しているのでもない。ニャゴのときの経験からするに、ネコの回復力は強烈であって、急速に悪化しないかぎり、いつか早いうちに分水嶺を越えて快方に向かいはじめる。いまはまだ安心して、グラフの傾きがマイナスからプラスに変わる瞬間を待ち受けるだけである。
本日のムール3
(ちょっとした牡蠣ほどに大きなムール。今日のベルギー紀行は、やっぱり写真だけで許してくれたまえ)

 こういう状況だから、一応タイトルは「ベルギー冬物語」とはしたものの、ムールを相手にフザけた連戦連勝を続けている話や、電車の中で自分撮りに励んだクダラン1日の話を長々と書き続ける気力は、さすがのサトイモ里之丞にもない。
 1月21日、2週間の滞在のクセに、ブリュージュに2度目の訪問を試みた。前半にはアントワープを2日連続で訪問。後半にはブリュージュを2回訪問。なかなか贅沢な旅のやり方であるが、その贅沢ぶりを今日の記事にはとても書けないから、写真とその説明文だけで許してくれたまえ。

1E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 7/9
2E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 8/9
3E(Cd) Barenboim, Zukerman & Du Pré:BEETHOVEN/PIANO TRIOS, VIOLIN AND CELLO SONATAS 9/9
4E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 1/10
5E(Cd) Barenboim:BEETHOVEN/PIANO SONATAS 2/10
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