Sun 130127 下北沢「禅べえ」2連発 久しぶりの本多劇場 ラーメンも2連発 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 130127 下北沢「禅べえ」2連発 久しぶりの本多劇場 ラーメンも2連発

 2月18日、「いわたき」の感激を胸に埼玉県せんげん台から都心に戻ってきたクマ蔵は(スミマセン、昨日の続きです)、地下鉄千代田線を終点・代々木上原で降りると、ちょうど向かいのホームにやってきた小田急線に乗り換えた。
 「ありゃりゃ、今井君のオウチは代々木上原じゃないの?」「何で小田急線に乗っちゃうの?」であるが、もちろん目的地は下北沢。もう22時半を過ぎているが、もし下北沢で飲み屋に入るとすれば、店が空きはじめる22時半ぐらいからがちょうどいい。
 何度も何度も繰り返すが、首都圏での講演会終了後は、公式の祝勝会はないことになっている。どんなに講演が大成功でも、寂しく一人で夜道をトボトボ自宅に戻る。その先には「缶ビールをシュポ!!」か「瓶ビールをシュポン!!」か、どちらかしかないわけだが、それじゃさすがに寂しすぎる。
禪べえ
(下北沢「禅べえ」の赤ちょうちん)

 そこで、下北沢。または、三軒茶屋。どちらにしてもホンの10年前まで今井君の本拠地だったところだし、代々木上原から電車で2分かそこらでたどり着くのもいい。23時が近づけば、遠くからシモキタに押し寄せていた若者たちも「終電、間にあわねえよォ!!」と絶叫しながら引き上げてくれる。
 シモキタがしっとりしたオトナの街に戻るのは、終電の時間が迫って日付が変わる頃からである。せんげん台から1時間半かけて戻ってきたサトイモ男爵が「どうれ、ゆっくり個人祝勝会を開催しますかね」と腰を落ち着けたのは、南口の坂を本多劇場方向に降りた「禅べえ」。見たところ何の変哲もない赤ちょうちんの店である。
 実はこの店には2月15日の夜にもやってきた。「3日にあげず」というコトバがあるが、ダラしない今井君はこのところ3日にあげず「禅べえ」でクダを巻いている。何しろシモキタの街は、1ヶ月後に大きく姿を変えてしまう予定。今のうちにタップリ昭和のシモキタを味わっておかなければならない。
せんげん台
(さっきまでせんげん台で偉そうに喋っていたが...)

 本多劇場やザ・スズナリをはじめ、下北沢を象徴する数多くの小劇場がこぞって反対を表明したにもかかわらず、まもなく小田急線下北沢駅は地下にもぐってしまう。井の頭線がどうするのか今井君は知らないが、駅が地下にもぐってしまえば、迷宮のように入り組んだシモキタの街の味わいは、春の淡雪よろしくハカなく消滅してしまう。
 すでにそれを見越したかのように、シモキタには「デフレを生き抜いた価格破壊企業」が次々と出店している。メシでも酒でも衣料品でも、劣等財を大量に並べた激安の店は大キライだから、サトイモ君が迷宮・下北沢でゆっくり酒を飲めるのも、きっと残すところホンのわずかな期間である。
チケット
(本多劇場「キバコの会」チケット。個人情報を左手で隠しております)

 2月15日、久しぶりに本多劇場で芝居を見たくなって、冷たい雨の中カサをさして、18時からシモキタの街に出た。この時間帯のシモキタは大学生諸君の嵐であって、ちょっと油断すれば「あ、今井だ」「お、今井先生だ」のエジキになる。しかし彼らの入る店は大手チェーンの飲み屋ばかり。駅から徒歩2分も離れれば、もう大丈夫だ。
 芝居が始まるまで30分ほど時間があったので、劇場近くのラーメン屋に入った。旭川ラーメン、札幌ラーメン、函館ラーメンなど、北海道各地のラーメンを食べさせる店である。旭川「すがわら」以来、里之丞はアッサリした旭川ラーメンの大ファン。大いに期待して店に入った。
ラーメン1
(あれれ。「ギトギトな旭川ラーメン」に一驚を喫する)

 ところが諸君、こりゃダメだ。「ダメだ」と書く時には絶対に店の名前を明記しないが、旭川ラーメンのはずが、アブラでドロドロだ。あんまりドロドロだから、芝居の前なのに思わず「ビールも1本」。しかしビールの力を借りてさえ、スープを最後まで飲みきれない。今井君がラーメンのスープを残したのは、ホントに珍しい出来事である。
 トイレを借りてテーブルに戻ると、残ったスープの上でアブラが固まりはじめている。天ぷら油を固めて捨てるヤツを思わせる固まり方で、表面で膜がプルプルいっている。おお、これで旭川ラーメンを名乗っちゃイケマセン。もちろん「アブラたっぷりが大好き」というヒトだっているだろうが、少なくともこれは「旭川ラーメン」じゃござんせん。
ピスタチオ
(禅べえの「生ピスタチオ」。ツマミにちょうどいい)

 本多劇場は超満員だった。ちょうど「下北沢演劇祭」開催中で、そのせいもあるだろうが、ゲスト出演の戸田恵子さんが目当てのヒト、EXILEのメンバーも出演するらしいのでその彼が目当てらしいジョシコーセー集団など、普段あんまり小劇場なんかに足を運ばない層も多いようだ。
 「キバコの会」は、前口上にもあった通り、法政大学を1970年代後半に卒業した中年オジサマ3名が立ち上げた小劇団。東京・中目黒の飲み屋に集まって「何かやってやろうぜ」と語り合った3人が、とうとう演劇のメッカ/本多劇場に乗り込んだわけである。
 ストーリーは単純だけれども、オヤジギャグをテンコモリにした激しいコントの連続は悪くない。あんまりテンコモリだから、若い世代にはツライかもしれないが、40歳代以上のヒトなら「抱腹絶倒」も夢ではない。
鴨肉
(禅べえ、鴨のロースト。ベルギーの鴨に匹敵する旨さだ)

 しかし、うーん。やっぱりテンコモリすぎて、台本に何度も何度も書き込みをしながら、一人でニタニタしている筆者の満足げな顔が透けてみえてしまう。または飲み屋で台本を読み合わせしながら、「このギャグも入れよう」「あの『言いマツガエ』も盛りこもう」と、自分たちで爆笑している姿が見えてしまう。
 要するに、この芝居はさっきのラーメンと同じことである。「あれも入れよう」「これもぶち込もう」と丁寧にスープに向き合ううちに、テンコモリのデロデロ、ギトギト&ドロドロなスープになっちゃった。もちろんそれが大好きなヒトもいるから、決して悪いことじゃないが、まあサトイモ君は年齢のせいか、デロデロは控えめなほうがいい。
アボカド
(禅べえ、クマの大好物「アボカドのラー油がけ」。必ず2皿注文する)

 本多劇場を出て、「禅べえ」に入った。金曜日の夜のせいか、店は超満員。今井君の右隣のテーブルでは「25歳の誕生パーティー」。運ばれてきたケーキと「ハッピーバースデー」の合唱はサプライズだったらしくて、主人公の25歳女子は顔をクシャクシャにして笑い転げていた。
 左隣のオジサマ3人組は、ワインの試飲で顔を真っ赤にしている。3人のうち一番若い一人は、「オマエは早稲田大学卒業のエリートなんだから」と先輩2人にオダてられて満足気。いい気になってワインのウンチクを傾けはじめた姿が、おお、なかなか可愛いね。
御祝い
(禅べえ、お隣のテーブルではお誕生日パーティーが始まった)

 こういう「いかにもシモキタ」な雰囲気に今井君は弱い。満員のお客はみんなワガママ放題。忙しそうに店内を駆け回る店員のお姉さまに遠慮することなく、ワガママな注文やメンドクサイ質問を浴びせかける。
 かく言う今井君も、15日の夜は焼酎を飲みまくった。黒ゴマの焼酎、珍しいゴボウの焼酎、ありふれた麦焼酎。1時間で焼酎お湯割り9杯を飲みほし、ついでだから生ビール2杯に、日本酒を熱燗で1合。「普通なら、気を失いますよ」というハイペースで飲んで、まもなく春の淡雪のように消えようとする昭和のシモキタを惜しんだ。
里芋
(サトイモの唐揚げ。共喰いの疑いあり)

 あれから3日しか経過していないが、せんげん台の後もやっぱりシモキタ「禅べえ」。3日前とはうってかわって、今夜は他にお客が2組しかいない。金曜夜と月曜日の夜じゃ、雰囲気はこんなに違うのだ。
 もちろんサトイモ君は、どちらのシモキタも好き。どちらかと言えば、深夜のガランとした店のほうがいい。大好きな「アボカド ラー油がけ」を2回も注文し、「こりゃウマいですね」と声をかけて恐縮され、恐縮されたのが恐縮だったので恐縮して「じゃ、サトイモのカラアゲも下さい」と共喰いみたいな料理をお願いし、また恐縮されて恐縮した。こういう恐縮合戦もまた、昭和でレトロで素晴らしい。一晩のうちに何度「スミマセン」と恐縮しただろう。
ラーメン2
(麺僧の醤油ラーメン)

 最後の〆に「キーマカレー丼」を恐縮しながら食べたのが悪かった。ここで食欲に火がついた。〆の丼で食欲に火がついて、「ようし、じゃ、もう1回〆だ」「麺僧のラーメンをすすりに行こう」と決意。またまた恐縮しながら勘定を済ませ、下北沢で16年も通っているラーメン屋に駆け込んだ。
 この夜のホントの〆である。うーん、改めて店内を見回すに、「麺僧」もこの16年のうちにすっかり古びてしまった。駿台から代ゼミに移籍して、埼玉県鷲宮から下北沢に引っ越してきたのが16年前。すると、今井君自身も16年ですっかり古びたことになる。ラーメンをすすりながら、シミジミと時の経過の速さを思うのだった。

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13A(γ) A TREASURY OF WORLD LITERATURE 18:Dostoyevskii Ⅲ:中央公論社
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