Mon 130121 三重県伊勢で講演会 久しぶりの新幹線 楽しい祝勝会 ジュニアスイート? | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 130121 三重県伊勢で講演会 久しぶりの新幹線 楽しい祝勝会 ジュニアスイート?

 2月13日、夕方から三重県伊勢で講演会があり、午後1時ちょっとの新幹線で名古屋に向かった。最近は大阪の講演会でも飛行機をつかうから、新幹線に乗るのは久しぶりである。
 「前回の新幹線はいつだったっけな」と記憶をたどってみるに、12月中旬の愛知県豊橋での講演会にさかのぼる。「何を大袈裟な。たった2ヶ月しか経過していないじゃないか」と叱られるかもしれないが、諸君、その後「パリ速攻滞在記」「ベルギー冬物語」、2回も外国を旅しているのだから、やっぱり大昔のことのような気がして仕方がない。
 サトイモ君が「大阪でも飛行機」をやっているのにはワケがあって、何しろ新幹線は地震にも雪にも弱い。1月や2月の東海道新幹線と言えば、「関ヶ原付近の大雪で運転見合わせ」「大幅な遅れが出ています」など、乗客が戦々恐々としなけれなばらない事態も少なくない。
伊勢
(春の夕暮れの伊勢。ホテル9階から)

 昨年は東京から静岡での講演会に向かう寸前、「人身事故の影響で、復旧の見込みは立っていません」という恐ろしい経験もした。「小田原まで在来線で行って、そこからタクシー」という選択肢はあるけれども、タクシー代を5万円かけても、生徒諸君を2時間近く待たせなければならない。
 ま、静岡の時は意外に新幹線復旧が早くて事なきを得た。しかしとにかく、たくさんの生徒が待っている時の新幹線はコワい。「大阪なのに、なんで飛行機?」と不思議がるヒトもいるが、決まった時間にキチンと到着しようとすれば、どうしても飛行機を優先することになる。
 ただ、目的地が三重県伊勢ということになると、さすがに新幹線で名古屋経由が常識。「伊丹空港に降りて、大阪難波から近鉄で行く」という選択肢もなくはないが、それじゃあんまりムリしすぎ。「どうしても大阪に立ち寄りたい」という用事でもあるみたいで、何だか怪しいじゃないか。
講演1
(三重県伊勢市での講演会 1)

 怪しいと言えば、今日の新幹線で今井君のすぐ後ろの席に座った超・年の差カップルがあんまり怪しいから、サトイモ男爵は興味津々。じっと聞き耳を立てていた。男子・40歳代半ば。女子・20歳代前半。まかり間違えば10歳代かもしれない。その世界、サトイモ男爵が一番ワクワク盛り上がる世界である。
 小田原を通過するあたりで、女子のほうが「ない、ない、ない。どうしても見つからない」と激しい泣きべそ状態に陥った。ケータイをなくしたらしい。20歳代前半の女子にとって、ケータイは命より大切だ。
 昔は「おカネは差し上げます。命ばかりはお助けください」と手を合わせたものだが、21世紀のヒトは「命なんか差し上げますから、ケータイだけは助けてください」と絶叫しかねない。そのケータイが見つからないとなれば、せっかくの超・年の差カップルでの旅行も台無しである。
弁当
(新幹線で食べたお弁当「味百華」。お寿司弁当である)

 女子はまず自分の荷物2コをすべてひっくり返して、ベソをかきながら点検。続いて、オロオロする彼氏の荷物も残らず、スーツケースの底まで詳細に点検。グリーン車のシートはカバーが外れるから、通路側も窓側も2人分丹念に外してクマなく点検したが、やっぱりケータイは見つからない。
 彼女の狼狽ぶりにオロオロするだけの彼氏。しかし彼女は諦めない。前後のお客、通路をはさんで左の席のお客にも頼み込み、席を立ってもらってはシートカバーを外して点検。やがて今井君にの席にも順番が回ってきて、やっぱりシートの下を徹底的に調べあげた。もちろん、この努力はバカげているので、そんなところにケータイがコッソリ忍び込むはずはない。
 本来ならオトナとしてサトイモ男爵は「そんなところにあるわけないでしょ?」「落ち着きなさい」と言ってあげなければならないが、女子の迫力がタダモノではない。ホンの2~3分のことだから、他の乗客と「たいへんな騒ぎですね」という視線を交わすだけに留めた。
中身
(弁当の中身。シャリが多すぎる。こういうのを食べている最中に、この騒ぎが起こったらタイヘンだ)

 彼女があきらめた時には、のぞみチャンはもう大井川を渡りきっていた。
「もういい、あきらめた♨」
「あきらめた、あきらめた。もういい。もういいって言ってるじゃん♨」
「こんな旅行、だからイヤだといったじゃん☃」
「ホント、サイアクぅー☂」
彼女の怒りは収まる様子がない。
 まず、彼氏がイヤ。周囲の乗客がみんなキライ。のぞみチャンなんか、顔も見たくない。世界のすべてを呪ってやりたい。「サイアクぅ」という呪詛の声は、最愛のケータイ以外、世界のすべてに力のかぎり投げつけられた。彼氏だって、もう呪詛の泥まみれ。2人はもう一切口をきかない。
伊勢市駅
(近鉄伊勢市駅)

 さて、かくいう今井君は別に大阪に怪しい用事はない。ごく普通に名古屋で近鉄に乗り換え、桑名→四日市→津→松阪を経由、1時間半後に伊勢・宇治山田の駅に到着した。伊勢は快晴。途中、沿線のあちこちに梅が咲き始めていて、伊勢はいよいよ春である。
 伊勢での講演会、19時開始、20時45分終了。出席者約100名。当初の予定90名から急遽10名も増えて、今夜もまた大盛況になった。緊張からか、開始から3分ほどはシーンと静まり返っていたけれども、そこからの盛り上がりのペースは普段に勝るとも劣らない激しいものになった。
 保護者も3名ほど参加。最初コワーい顔でサトイモ閣下を睨みつけていたパパやママが、10分、15分と経過するうちに、とうとうそのコワばった表情を維持できなくなって、爆笑を始める。しまいには生徒以上に身体を揺すぶって、爆笑の先頭を切る。こりゃいいや。クマ蔵は、最初のうち機嫌の悪い、難しい顔の保護者の皆さんが大好きである。
講演2
(三重県伊勢市での講演会 2)

 終了後11時半頃まで、オジサマ4人で楽しい祝勝会。伊勢は日本有数の観光地であるが、深夜まで営業している飲食店は少ない。それでも何とか静かな居心地のいい店を探してくれて、まず今日の大成功を祝い、成功の原因を語り合い、将来の展望を語った。
 この2~3年、講演会の最中の今井君は、余裕タップリで会場の様子を眺めている。いい意味でも悪い意味でも「気になる生徒」というのがいるもので、祝勝会の席で「こんな生徒がいましたね」と、出来るだけ話題に載せることにしている。
 今日、特に気になったのは、2人である。
① まだコドモっぽい雰囲気だが、前から4列目、会場の真ん中あたりで、誰より熱心にノートをとり、爆笑のたびに一番元気に背中をのけぞらせていた男子生徒。
② 外見は「いかにも野球部」の男子生徒。会場の最後列に陣取り、開始から30分経過するまで、「意地でも笑ってやるものか」「中年オヤジのこんな話、意地でも面白くない」というカタクナな態度を堅持。しかし45分を経過するあたりから、イッキに今井ファンになっちゃったようで、明るい表情で最後まで大爆笑していた。
講演3
(三重県伊勢市での講演会 3)

 講演会を主催してくれた塾の若いスタッフに尋ねてみると、①はまだ中3生。「とても優秀な生徒で、○○君。ウチの将来のホープです」とおっしゃる。その○○君という珍しい名前を聞いて、今井君の灰色の脳細胞がピクリと動いた。
「もしかして彼のオジーチャンは、一橋大学のフランス語の教授じゃありませんか?」
そして諸君、驚くなかれ、そのコトバはピタリとピンポイントで的中。彼のオジーチャンは、ホントに一橋大学のフランス語の教授だったのである。
 「なんで知ってるんですか?」という驚きの中、さっき参加していたママから、スタッフに喜びのメールが届いた。「うちの子が、今井先生のお話を聞いて、帰宅すると同時に英語の音読を熱心にやってます」「こんなに素直に反応するのは初めてです」「ありがとうございました」というのである。いやはや、こんなに嬉しい祝勝会は珍しい。
看板
(店には「寒ブリ」もある。あれれ、「塞ブリ」って?)

 ②の生徒も、塾の中でも話題の生徒だったらしい。「優秀なんだけど、なかなか言うことを聞いてくれない生徒がいましてね」と塾の先生のほうから話を切り出してくれた。ここでもやっぱり、クマ蔵の灰色の脳細胞が素早く記憶の森を駆け巡った。
 「その生徒は、一番後ろの真ん中へんに座ってましたよね」と尋ねてみると、これもまた大当たり。「なんで分かったんですか?」であるが、さすが超ベテラン・クマ蔵どんは、彼の顔の角度の変化を100分にわたって注目しつづけていた。能面の表現と同じことで、下向き15°の影の多い顔が、上向き15°の明るい表情に変化していく様子を観察するのは、講師として最上の喜びなのである。
神都ビール
(伊勢は、神都。駅売店でも「神都ビール」を売っている)

 深夜12時、宿泊先の「伊勢パールピアホテル」に帰る。驚くなかれ、今夜のクマ蔵はジュニアスイートに宿泊である。ただし同じジュニアスイートでも、ホテルによって様々なジュニアスイートが存在するのはやむを得ない。「ホントにこれがジュニアスイート?」と尋ねたくなるような部屋もある。
 伊勢パールピアホテルのジュニアスイートが、果たしてそのどっちだったか。そういうことを書くといろいろな方面に迷惑がかかるから、分別あるクマ蔵はどちらとも明記せずに済ませちゃおうと思う。
ジュニアスイート
(ジュニアスイート?)

 ただ、次の会話から、状況を察してくれたまえ。
「朝10時にチェックアウトしなきゃいけないんですか? ジュニアスイートでも、やっぱり10時ですか?」
「はあ。10時と決まっております」
「帰りの電車が11時14分なんです。11時までとは言いませんが、せめて10時45分まで待っていただけませんか?」
「は? 10時45分? では、宿泊料金の10%を追加でいただくことになってしまいます」
「10%? たった45分で、2000円追加ですか?」
「はあ。そういう規則でございますので♨」
 というわけで、たいへん清貧で素直な今井君は、2000円追加するよりも、寒い風の吹きまくる伊勢市の駅で1時間、背中を丸めてじっと電車を待つほうを選んだ。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.11
2E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 1/5
3E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 2/5
4E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5
5E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 4/5
total m106 y106 d10301