Thu 121227 おつかれさま 失敗した人の立ち直り方 ダメさといも(ベルギー冬物語3) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 121227 おつかれさま 失敗した人の立ち直り方 ダメさといも(ベルギー冬物語3)

 さすがに今日は、ブログ記事を短くまとめよう。最近のスタンダードは「1日:A4版3枚」になってしまっている。3ヶ月に1回は強い決意をして「今度こそは短くしよう」「A4版1枚半、いや、それがダメでも、せめて2枚以内にはまとめよう」と考えるのだが、何しろこの世の中には、書くべきことが多すぎる。
 しかし、やっぱり今日ばかりは、今井君の周囲のヒトはみんな疲れ果てた。センター試験を受験してきた諸君は、おそらくここまでの人生で最も疲労度の高い1日だっただろう。彼ら彼女らを支える予備校のスタッフ、高校の先生がた、パパ&ママ、弟に妹に兄や姉、「同日受験」をやってみた高2生だって、精神も肉体も疲労困憊して、今すぐにでもバタンキュー(古いです?)なんじゃないか。
好調里芋1
(好調サトイモ 1)

 もちろん、予備校のスタッフにはまだまだ仕事が残っている。解答速報を完成しなければ、今日は眠れない。徹夜は十分覚悟の上である。それどころか、明日早朝からはセンターリサーチのスッタモンダが始まる。その準備だってタダゴトではない。
 民放のニュースショーなら「お詫びして訂正します」と局アナが頭一つ下げれば済むが、予備校のセンターリサーチには、受験生一人一人の運命がかかっている。お詫びしても、訂正しても、そこに何かミスが入り込んだら、50万人の受験生とその周囲のヒトビトを、大混乱に陥れることになる。さぞかし準備はたいへんなことだろう。
 受験生を支えてきた予備校スタッフ、「担任」だったり「担任助手」だったり、「チューター」だったり「アドバイザー」だったり、その呼び方はいろいろでも、みんな明日の朝からツライ仕事が待っている。失敗した受験生にデータをつきつけながら「第1志望は危険だよ」「ワンランク下げる勇気をもたなきゃ」と、懸命に説得を続けたりしなきゃいけないのだ。
 「第1志望に合格しました!!」という報告にやってきた生徒たちと、肩をたたきあい嬉し涙を流しあう日々は、まだまだ1ヶ月以上先のこと。センターでうまくいったかいかないかで、「現実を直視しろ」「オマエはもう第1志望をゆずるしかない」と説得するのは、マコトにツライ仕事である。
勝ち里芋1
(勝ちサトイモ 1)

 月曜日の朝、予備校の講師室の雰囲気は暗い。浪人生対象の予備校は、生徒もスタッフももう疲れ果てている。学校法人である以上「第3学期」がなければイケナイらしいから、一応「授業」と称するものはあるが、出席する生徒はごく少数である。
 200人の教室に3人とか、150人教室に1人とか、講師も生徒と目が合った瞬間「あちゃー、いたか」「うわ、来ちゃったの?」とか、思わず絶望の叫びをあげたりする。サボった大量の生徒たちが、外の廊下からニヤニヤしながら覗く中、50分だか90分だかのマンツーマン授業が開始される。
 予備校に顔を出す生徒たちも、要するに友人たちとの待ち合わせ場所に予備校を選んだに過ぎない。「おお、どうだった?」「オマエは?」「サイテー&サイアクー!!」「またまたぁー」「マジに最悪だって!!」という挨拶のあと、「さて、じゃ、河合から行って、ホンで代ゼミに回るか?」というわけである。
ゼッ好調里芋
(絶好調サトイモ)

 浪人生の予備校生活も、あと2週間あまりで終わり。「3学期」は1週間ほどで終わって、あとは超名物講師の単科ゼミが1週間ぐらい。1月末から2月上旬にかけて、最後の最後の締めくくりの単科ゼミを担当させてもらえるのは、その予備校で選りすぐりの名物講師だけである。
 ま、そういう単科ゼミは「要するに景気づけ」「受験生に贈る最後の挨拶」という色彩が濃いから、よほど予備校にドップリつかって過ごした浪人生以外は、避けて通ったほうがいい。大昔は「節分に豆まき」という漢文のセンセがいたし、1年分のギャグや雑談の総集編をやってみせたセンセもいらっしゃった。
ブルージュにて1
(ブルージュのカフェでの絶好調サトイモ)

 8年前までの代ゼミの今井君は、「英作文カンペキ6時間」という講座でこの時期を締めくくった。直前期の単科ゼミは、90分授業×4回で構成されるから、→360分=6時間という計算。たった6時間であるが、この6時間をすべて英作文にあてて、受講生が残らず腱鞘炎になるぐらい、ひたすら黒板に英作文を書きまくった。
 この講座、たいへん人気が高かった。豆まきやギャグ総集編も悪くないが、そういう妙竹林な予備校文化から完全に解脱して、ひたすら英作文を書き続ける6時間。代々木も名古屋も横浜もみんな締切で満員御礼の中、教卓には生徒からの「サシイレ」が山積みになった。
 何故かこの時期の今井君は必ず風邪を引く。埼玉県の大宮校で、39℃の高熱を押して英作文を書きまくった記憶は、今もなお懐かしい。何しろ途中から喉が腫れて全く声が出なくなったので、書きまくったも何も、書きまくる以外することがなかったのである。
ブルージュにて2
(ブルージュ、13世紀建造の鐘楼前でのゴゴゴゴ里芋)

 諸君、もしも予備校の直前単科ゼミに、今もなおああいう鬼気迫る授業があるのだったら、それなら是非とも受講してみたまえ。講師が「鬼気迫る」なら、周囲の受講生諸君もまた「鬼気迫る」である。そういう激しい切磋琢磨の場であれば、土壇場の1週間が大逆転の1週間になりうるかもしれない。
 そういう講座に恵まれない受験生は、ひたすら自習室で過去問演習に励むがいい。来る日も来る日も志望校と同じ時間割で過去問を演習する。自宅を出る時間も、試験開始時間も、試験終了時刻も、全て志望校と同じに設定して、「毎日が第1志望・本番模試」な日々をおくるわけだ。
 英語の長文問題は、自宅に帰って必ず3回以上音読する。間違えた問題は、ひたすら解答解説と格闘する。「赤本の解答は間違いが多い」などというデマを気にすることはない。高校の先生がたや、予備校講師が3日も4日もかけて書いた解答解説だ。1つ2つの間違いがあるとしても、その程度のことは何の問題にもならない。
好調里芋2
(好調サトイモ 2)

 「センター試験で失敗した」と言ってゲッソリしながらこのページを開いた諸君。その周囲のオトナの皆様。まだまだ勝負は終わっていない。昨日と同じことを繰り返すが、クリーンアップが倒れても、6番7番8番打者が塁に出てかき回せば、まだまだ十分に勝てる勝負である。ほれ、6番がエラーで塁に出た。早速チャンスが巡ってきたじゃないか。
 それでもまだ納得がいかないヒトは、昨日も書いたが右欄「ブログテーマ一覧」から「センター試験」をクリック。きっと、萎えてしまった気持ちを切り替えるためのいろいろなヒントに出会うはずだ。
勝ち里芋2
(勝ちサトイモ 2)

 最後に、「データを直視するかぎり、どうしても志望校を変更せざるを得なくなった」という諸君。諸君は必ず、いったん撤退して志望校を変更する理由と今の気持ちを、キチンとした文章に書き記してみたまえ。文章の長さは、A4版2枚以上、原稿用紙なら4枚以上。
 チャンと机の前に座って、キレイな読みやすい文字で、変更の理由を整然と清書してみる。1年前の今ごろ、あれほど考え抜いて決めた第1志望を変更するのだ。よほどキチンとした整理をしないかぎり、この先に進む一歩がなかなか踏み出せないはずだ。
 書き終えたら、クリアファイルに丁寧にはさんで、机の抽き出しの一番奥にしまっておくこと。そして今後、センター試験に関する後悔や愚痴を一切口にしないこと。ただそれだけで、20年後、今日の失敗の痕跡は跡形もなく消えていると、クマ蔵は確信する。
ダメ里芋
(ダメ里芋の思い出)

 なお、本日掲載する写真は、すべて「自分撮り」である。場所は、ブリュッセルから北海沿岸のフランドルの街・ブリュージュに向かうベルギー国鉄の列車の中など。今井サトイモ男爵自身、試験を受けるたびに表情はこんなふうに千変万化した。
 18歳のとき、東京大学を受験しに行って「ダメさといも」の表情になったことがあったが、その後の試験では常に「勝ちサトイモ」「好調サトイモ」の表情でありつづけるように、あれから数百年の努力を重ねてきた。ヒトなどというものは、表情1つでいくらでも勝ちつづけることが出来るのである。
 「ダメさといも」だったあの時、「これを引きずっては、一生ダメなサトイモのままでござるね」と痛感。2度とダメ里芋に転落しないように、長く粘り強い努力を開始する契機になった。諸君、センターで成功したという幸福な諸君も含めて、さっそく今日から、今すぐにでも、さらなる努力を始めないかね?

1E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 1/2
2E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 2/2
3E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3 SONATA No.3
4E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2
5E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
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