Mon 121217 次々と湧き上がるオカン それでも再びガルニエを訪問(パリ速攻滞在記15) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 121217 次々と湧き上がるオカン それでも再びガルニエを訪問(パリ速攻滞在記15)

 12月27日、こんなふうにパリの大ラーメンブームを満喫しながらも(スミマセン、昨日の続きです)、サトイモ閣下は肉体の奥の奥の奥底から湧き上がってくる悪寒に耐えていた。
 この場合、「悪寒に耐えていた」だから何とか持ちこたえることができたが、万一「オカンに耐えていた」という条件なら、今井君がパリから生きて帰れたかどうか、マコトに微妙なところである。
 「肉体の奥の奥の奥底から湧き上がってくるオカン」などというシュールものを考えた場合、オカンという存在に慣れている関西の諸君だって、「次々に湧き上がるオカン」の恐ろしさには、なかなか耐えきれるものではあるまい。明治大や帝京大ラグビーの重量フォワードにまさる圧倒的な重量感を、「湧き上がるオカン」に感じないではいられない。
 そういうバカバカしいことを書いていられるのも、あれからすでに半月が経過しているからである。どんな恐ろしいオカン軍団も、半月の時間を隔てれば恐怖をいくらか忘れることはできる。まして、あの時の今井君が戦っていたのは「悪寒」だ。オカン組の重量フォワードじゃない分、戦うのも耐えるのも「悪寒」であれば気楽なものである。
チケット
(今夜もオペラ・ガルニエの予定。今夜は現代バレエである)

 しかし、悪寒を感じながらラーメンをすすり、悪寒に耐えながらカレーをかきこむのは、あまり楽しい仕事ではない。まして、普段の圧倒的な大好物:アサヒスーパードライでさえマズく感じる状況なら、早くホテルの部屋に戻ってチャンと休息を心がけるべきである。
 12月の冷たい強風に雨が混じる最悪の天候の中、クマ蔵はホテルへの帰還を試みる。こういう時に限って人間は意地っぱりになるものであって、「たった20分かそこらだ。歩いて帰ろう」と決意する。
ジョルジュサンク
(最寄りのメトロ駅、ジョルジュ・サンク)

 「パリなんだから、意地っパリ」のオヤジギャグぐらい、黙って言わせていただきたい。だって、もしもまだお部屋の掃除が終わってなかったら、ホテルのメイドさんもクマどんも、お互い気まずいじゃないか。
 しかし結局は誘惑に負けて、コンコルドから2駅だけメトロに乗った。あと10分というところまできていたが、激しい風雨&強烈な悪寒のダブルパンチに、「もうとてもこれ以上は我慢できない」というより、「これ以上ムリをすれば、きっと倒れる」というホントのギリギリまできていたのだ。
ガルニエ1
(ガルニエは今日も満員だ)

 ところが、ホテルに戻れば戻ったで、「お隣のお部屋の激しい愛の気配」に悩まされることになる。こんなに壁の薄いホテルは久しぶりだ。7年前、イタリア・ローマのホテル・クィリナーレで、今回に勝るとも劣らない激しい愛の気配に一晩中悩まされたことがあったが、午後3時から6時まで、発熱の悪寒の中で耐える騒々しい愛の気配には、さすがにもうヘトヘトだ。
 しかし諸君、状況はどうあろうと「ベッドでしっかり目を閉じている」というのは、心にも肉体にも最高のリフレッシュ効果があるらしい。結局ほとんど一睡もしなかったのに、午後6時には「よおし、今日のガルニエも120%カンペキに楽しんでやる」という闘志がフツフツと湧き上がってきていた。
 そうだ。こんなに体調が悪くても、今井君はこれからオペラ・ガルニエに出かけて現代バレエを楽しんでこようという予定を変えたくはない。受験生諸君、センター試験の前の晩、緊張感でほとんど一睡もできなかったとしても、焦る必要は全くない。ベッドの上でリラックスして、じっと目を閉じて数時間を過ごしただけで、気力も知力も集中力も、ほぼ完全に回復できるものである。
ガルニエ2
(今夜もボックス席のクマどん)

 18時半にホテルを出て、19時前にはオペラ・ガルニエに到着。ジョルジュサンク→コンコルド→オペラ駅という経路も昨夜と全く同じだから、もう完全に勝手知ったるパリの街。迷うとか、焦るとか、そういう初心者みたいなことも一切ナシ。受験生諸君、「会場を下見」の重要性を学びたまえ。
 本日もまたボックス席、しかもやっぱりボックスの最前列であって、東京から持参したスーツとコートとネクタイの「三銃士」は(Mac君の変換は「三十四」。なるほど、当然であるね)今夜もまた大活躍である。
 この場合、ダルタニャンを演ずるのは、「3万円で買って、3万円で修理した」という例のヤンコの革靴だ。「クマさん、3万円で買ったワタシを、3万円かけて修理なさって、ヒトに笑われませんでしたか?」とオズオズ尋ねる様子がまた可愛らしいじゃないか。
ガルニエ3
(本日のボックス席のドア)

 エントランスも客席も、昨日に変わらぬ重厚さであり、今夜もまた超満員の客席の盛り上がりも、昨夜の「チェネレントラ」に勝るとも劣らない。
 現代バレエということになれば、まずオペラファンのジーチャン&バーチャンが愛想を尽かし、正統バレエファンのジーチャンとバーチャンが罵声を浴びせながら席を蹴って帰りそうなものだが、さすがパリのジー&バーだ。みんなホントに楽しそうに歓声をあげていらっしゃる。
 「忍耐」とか「我慢」とか、そんな暑苦しい話では全然ない。最初から最後まで、ジー&バーさんこそが最も熱烈にこの現代バレエをエンジョイ(Mac君の変換は「援助医」でござる)していらっしゃる。おお、さすが、パリ。ウィーンやミュンヘンでは「席を蹴って帰る」という行動に出たジー&バーさんを相当数目撃したが、パリにはそんな短気な人は存在しないようである。
ガルニエ4
(超豪華な貴賓席)

 こうして2時間半、クマ蔵の満足感も、昨日に勝るとも劣らない。すっかりバレエのファンになってしまった。2013年は、国外でも国内でも、現代バレエも古典バレエも、たくさん観に出かけようと決意。「周囲の観客の観劇態度に触発される」ということもあるのだ。
 諸君、日本で歌舞伎や能や文楽を見るとき、居眠りしないように、もっともっと楽しそうに見るように、気をつけようではないか。ボクらの観劇態度を、欧米のヒトビトが注意深く観察しているはずだ。「何だ、つまらなそうだな」「何だ、みんな眠そうだな」と思われないようにしなきゃダメじゃないか。
ガルニエ5
(22時半のオペラ・ガルニエ)

 終了、22時。ガルニエを出てみると、やっぱり今日も食事の選択肢はあまり多くない。シャンゼリゼに戻れば大好きなDeauvilleがまだやっているはずだが、時間ギリギリだし、熱と悪寒と肩こりに耐えながら、大混雑のDeauvilleに行きたくない。せっかくの大好きなお店の記憶に傷がつくだけである。
カフェ
(オペラ座前、カフェドラペ)

 じゃ、昨日に続いて「グラン・カフェ」は? うーん、正直言って「願い下げ」だ。そもそもこの激しい悪寒は、昨夜のグラン・カフェでツムリン王国・マキマキ軍団を救おうとクマ蔵に呪いをかけてきたジョルジョ・ママの視線が原因なのだ。
 あの店の中には、今でもサトイモを呪詛する呪いの力が渦をマキマキしているはずだ。すでにクマ蔵は青息吐息。これ以上、海と陸のマキマキ軍団を相手にして、「気力も体力も尽き果てた」→「巴里に死す(知らないヒトは「ブログ内検索」のこと)」とか、バカなことをやってはいられない。ツマラン意地を張らずに、とっとと別の店を探すに越したことはない(明日に続く)。

1E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 1/3
2E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 2/3
3E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 3/3
6D(Bl) Opéra National de Paris:WILLIAM FORSYTHETRISHA BROWN: Palais Garnier
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